あらすじ
第1巻
周囲に子供っぽいと見られるのを悩んでいた波多野貴樹は、高校3年に進級したことを機に、将来について思いを巡らせていた。漠然と兄のまさ兄のように珈琲が似合う大人になりたいと思っていた貴樹は、クラスメートから幽霊喫茶の噂を聞き、喫茶店で飲む珈琲に興味を持つ。そして貴樹は、噂の出どころとなった喫茶店「ユカリ」に興味本位で訪れ、そこで喫茶店のマスターの紫都香と出会う。おしとやかな大人の女性である紫都香にほのかな恋心を抱いた貴樹は、少ないお小遣いをやりくりしてユカリに通い詰める。しかしある日、貴樹はまさ兄もユカリの常連客だったことを知る。まさ兄と紫都香の関係にやきもきしつつも貴樹はユカリに通い、喫茶店を通じて多くの人と知り合い、絆を育んでいく。
登場人物・キャラクター
波多野 貴樹 (はたの たかき)
高校3年生の少年。年齢の割に童顔で、身長も160センチに満たない。そのため、クラスメートや年下からも子供っぽく見られるのが悩み。朝に弱く、妹の波多野知沙希に毎朝起こされている。年の離れた兄であるまさ兄のことは大人の男性として尊敬しつつ、子供っぽい自分と比較し、少しコンプレックスを感じている。まさ兄のような珈琲の似合う大人になることを目標としており、その一環として、幽霊喫茶と噂の喫茶店「ユカリ」を訪れる。そこで出会ったユカリのマスターの紫都香に恋心を抱き、通い詰めるようになる。しかしその後、まさ兄もユカリの常連と知り、まさ兄と紫都香の関係にやきもきしている。
紫都香 (しづか)
喫茶店「ユカリ」のマスターを務める若い女性。艶やかな黒髪を夜会巻きにし、おしとやかな雰囲気を漂わせている。店ではつねに着物姿でコーヒーを淹れ、接客をしている。着物を着るのは自分の中で仕事意識を高めるスイッチのようなもので、オフのときは私服で過ごす。ユカリでは学生時代からアルバイトをしており、前マスターから店をゆずってもらってマスターとして働いている。物を大切にする律儀な性格で、喫茶店の備品は前マスターの頃からの物を愛用し、それらが壊れたときは強く動揺する。またユカリで出されている珈琲のブレンドも、前マスターの時と同じブレンドを出している。
まさ兄 (まさにい)
波多野貴樹と波多野知沙希の年の離れた兄で、会社員の男性。貴樹より12歳年上の、落ち着いた大人の雰囲気を漂わせている。貴樹と知沙希が幼い頃から、二人の面倒をしっかりと見てきた。喫茶店「ユカリ」の常連で、貴樹とは店でもよく顔を合わせる。
波多野 知沙希 (はたの ちさき)
波多野貴樹とまさ兄の妹で、ツインテールの髪型をしている。しっかり者で、朝に弱い貴樹を毎朝起こす役を担っている。最近は貴樹のだらしなさや子供っぽさに呆れており、彼を兄と認めずに名前を呼び捨てにしている。また、喫茶店「ユカリ」に通い始めて以来、まさ兄の様子が変わっていることに気づいており、彼が誰かに恋をしているのではないかと考えている。
牧瀬 保乃伽 (まきせ ほのか)
大きな丸眼鏡を掛けた大学生3年生の女性。塾講師のアルバイトをしており、年齢は20歳。髪を長く伸ばしているが、アルバイトの際には髪をポニーテールにしてまとめ、スーツを着用する。趣味は妄想することで、周囲を観察してそれを基に物語を作るのが好き。特に初めて訪れた喫茶店がどんな店か考えるのが好きで、よく喫茶店巡りをしている。
書誌情報
珈琲をしづかに 5巻 講談社〈モーニング KC〉
第1巻
(2019-10-23発行、 978-4065168080)
第2巻
(2020-04-23発行、 978-4065190173)
第3巻
(2020-12-23発行、 978-4065215807)
第4巻
(2021-06-23発行、 978-4065236468)
第5巻
(2021-12-23発行、 978-4065260838)