概要・あらすじ
遠野貴樹は小学校5年生の時、転校してきた少女・篠原明里と恋に落ちる。しかし、小学校卒業と同時に明里が栃木に引っ越すことが決まり、離れ離れになってしまう。ふたりは文通を続け、思いをつなげていたものの、今度は貴樹が親の転勤で鹿児島の種子島へ引っ越すことが決定する。種子島への引越し前、ふたりは岩舟駅で会う約束をする。
明里への恋心を抱えたまま成長した貴樹は、大学を卒業し、社会人となっても恋人とうまく付き合うことができなくなっていた。遠野貴樹の成長を通じ、彼を取り巻く恋愛と明里への忘れられない思いを描いたラブストーリー。
登場人物・キャラクター
遠野 貴樹 (とおの たかき)
小学校の頃、転校してきた篠原明里と出会い、恋に落ちる。この当時は読書が好きで、軽い喘息があった。音痴なため、合唱クラブに入ろうという明里の誘いを断ったことがある。中学1年の時、親の転勤の都合で東京から鹿児島の種子島へ引っ越しが決まり、以降高校卒業まで種子島で生活する。 高校では弓道部に所属し、スクーターで学校に通っていた。大学からは再び東京へ戻る。大学卒業後はサムドシステムというシステム系の会社でSEとして働いていたものの、忙しさと仕事に対するモチベーションの低下から、退職を決意した。篠原明里との、幼くも真摯な恋と決別できないまま成長し、恋愛がうまくできなくなっている。 小学校の頃は宇宙飛行士になるのが夢だった。
篠原 明里 (しのはら あかり)
ロングストレートの黒髪を持つ少女。読書が好きで、運動は苦手。小学校5年生の頃、静岡から東京に引っ越し、転入した小学校のクラスメイトとして遠野貴樹に出会う。趣味が読書、転校生としての経験、興味や好みが似ていたことから貴樹と仲良くなり、クラスメイトからからかわれたことをきっかけに恋心を自覚する。 小学校6年までは貴樹と同じ学校に通っていたものの、卒業を機に親と共に栃木県岩舟へ引っ越す。引っ越したのちは貴樹と文通を続けていた。中学1年の時、貴樹が鹿児島県の種子島へ引っ越し、それ以降は疎遠になっている。葛飾に叔母がいる。
澄田 花苗 (すみだ かなえ)
遠野貴樹と同じ高校に通う女子高生。姉がおり、花苗の通う高校の教師として働いている。中学の時、東京から引っ越してきた貴樹を好きになり、努力して同じ高校へ通う。貴樹が進学コースであることも手伝って高校では同じクラスになったことはないが、文化祭の実行委員として再会。 以降、帰宅を共にするなど、友人として付き合っている。明るい性格だが、臆病なところがあり、貴樹には告白できていない。姉がサーフィンをやっていた影響から、ボディボードを始め、練習している。高校にはカブで通っている。高校卒業後、一旦は社会人となり、西之表で就職したものの、改めて勉強しなおし、鹿児島の看護学校へ入学。 卒業後は種子島に戻り、南種子病院に看護師として勤務している。
水野 理紗 (理紗)
社会人の女性。眼鏡をかけている。仕事を通じて遠野貴樹と知り合い、恋人となる。酒に弱く、ビール1杯程度で真っ赤になるほど。普段は理性的だが、思い詰めると大胆な行動に出ることがある。遠野貴樹が女性と深く関わろうとしない理由を知るため、共に岩舟駅に向かう。
花苗の姉 (かなえのあね)
澄田花苗の姉。教師として遠野貴樹や花苗の通う高校に勤務している。大学の頃、サーフィンをやっており、この影響でボディボードを始めた花苗を、よく海まで送り迎えしている。妹思いで、進路に悩む花苗に「ゆっくりでいい」とアドバイスした。後に同じ高校で教員を務める中村と結婚する。
亮 (りょう)
澄田花苗が看護師として種子島へ戻った後、出会った男性。プロサーファーのため、焼けた肌をしている。2年ほど前、種子島へ移住してきた。快活な性格で、花苗に告白をする。
サキ
遠野貴樹と同じ高校に通う女子高生で、澄田花苗の友人。高校1年の時、花苗と共にクラス代表として文化祭の実行委員を務める。気が強く、機転が利く性格で、遠野貴樹が好きな花苗のため、貴樹と付き合っていると噂のあった佐々木に、噂が本当か確認しに行ったことがある。 高校卒業後は種子島を出て、テレビ番組の制作会社に勤めている。
ユッコ
遠野貴樹と同じ高校に通う女子高生。澄田花苗の友人で、学校ではサキと共に3人で一緒にいることが多い。高校卒業後は結婚し、子供をもうけている。種子島を出て鹿児島に住んでいる。穏やかな性格で、サキに嫌味を言われても笑顔で返した。
佐々木 (ささき)
遠野貴樹と同じ高校に通う女子高生。貴樹のクラスメイトで、仲が良いこともあり、貴樹との恋仲を噂されたことがあるが、これはただの噂で、本当は塾の講師と付き合っている。そのため、学校で告白されることがあってもすべて断っている。大阪の大学を受験予定。
竹内 (たけうち)
遠野貴樹の大学時代の友人の女性。卒業後に集まった飲み会の際、酔って貴樹に絡んだ。
遠野貴樹の上司 (とおのたかきのじょうし)
遠野貴樹と同じサムドシステムというシステム系の会社で働く中年男性。貴樹が加わるプロジェクトのリーダーを務めている。貴樹とはうまくいっておらず、対立関係にある。
遠野貴樹の同僚 (とおのたかきのどうりょう)
貴樹と同じサムドシステムで働いている同僚の男性。貴樹が退職する日、他の同僚たちと飲み会を開こうと貴樹を誘ったが、断られた。
中村 (なかむら)
澄田花苗の義理の兄。妻である花苗の姉と同じく、花苗が卒業した高校で教師を務めている。妻の出産直前に濡れ雑巾に足を滑らせ、膝の骨を骨折。南種子病院に入院となる。
カブ
『秒速5センチメートル』に登場する犬。澄田花苗に飼われている。花苗が落ち込んださい、よく抱きしめられている。
クレジット
- 原作