球詠

球詠

幼なじみの武田詠深と山崎珠姫は、高校で再会したのを機に再びバッテリーを組む。そんな二人を中心に再始動した新越谷高校女子硬式野球部の部員たちが、全国大会優勝を目指して奮闘する姿を描いた青春スポーツ漫画。「まんがタイムきららフォワード」2016年6月号から連載の作品。

正式名称
球詠
ふりがな
たまよみ
作者
ジャンル
野球
 
部活動
レーベル
まんがタイムKRコミックス(芳文社)
巻数
既刊15巻
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あらすじ

第1巻

高校1年生の武田詠深山崎珠姫は、かつていっしょに軟式野球をしていた幼なじみ。珠姫の突然の転校によって離れ離れになってしまったが、二人は共に軟式から硬式に変えて、それぞれ野球を続けていた。しかし、名門チームで確実に実力を伸ばしていた珠姫に対し、詠深はチームメイトに恵まれず、珠姫と共に考えた魔球も活用できずにいた。そして、中学卒業を機に野球をやめようと考えていた詠深だったが、新越谷高校の入学式の日に珠姫と再会し、川口芳乃川口息吹の後押しもあり、四人で硬式野球部への入部を決意する。その後、四人は藤田菫川﨑稜も勧誘し、六人の入部希望者が集う。しかし、新越谷高校女子硬式野球部は、部員同士のケンカが原因で対外試合も禁止され、活動自粛の状態にあった。さらに部員は2年生の岡田怜藤原理沙しか残っておらず、二人も野球部での活動はあきらめており、籍を残しているのも硬式野球部が廃部になることを防止するためだった。そんな二人に感謝する詠深は、自分と勝負して勝った方の言うことを聞くという約束を取り付ける。そして詠深はみごと勝利し、怜と理沙にチームに戻ってきてほしいと頼み込む。こうして活動を再開した新越谷高校女子硬式野球部は、まずは部員集めから始めることとなる。

第2巻

新越谷高校女子硬式野球部は、柳川大学付属川越高校と初めての練習試合を行う。柳川大学付属川越高校は以前は弱小チームだったが、現在は投手の朝倉智景を中心に強豪チームとして名を馳せていた。しかし、なぜか智景はベンチ入りしておらず、3年生の大野彩優美が登板。一回の表から三点を奪った新越谷高校は有利なゲーム展開に持ち込む。そのまま試合は四回の裏まで進むが、武田詠深は初ヒットを打たれたのを機に調子を崩してしまう。そんな詠深を山崎珠姫は激励し、詠深は徐々に調子を取り戻すが、ここで智景がやって来たことで、彩優美の様子が一変する。これに混乱した珠姫は配球ミスを犯し、彩優美にホームランを打たれてしまう。これをきっかけに新越谷高校は逆転を許し、敗北することとなった。詠深たちは悔しい思いをバネに、六月末から行われる県大会予選に向けて、ゴールデンウィーク返上で合宿を決行。こうして新越谷高校女子硬式野球部はさらなる厳しい練習を重ねるが、合宿最終日に行われた大鷲高校と藤和高校との練習試合で二連敗してしまう。

第3巻

全国大会の埼玉県予選が始まり、武田詠深たち新越谷高校女子硬式野球部は、初戦で県立影森高校と対戦することとなる。しかし影森高校は無名チームで、データがほとんどなかった。そこで川口芳乃川口息吹はこっそり練習を見に行くが、選手たちの不気味な雰囲気に圧倒されてしまう。結果、これといった情報は得られなかったが、芳乃は過去のデータから影森高校の平均試合時間が極端に短く、またロースコアであるという特徴を見つけ出す。そこで芳乃は、エースの詠深が影森高校のペースに惑わされるのを恐れ、最近投手の練習を始めたばかりの藤原理沙を先発に起用する。こうして始まった試合は、理沙が一回から得点を献上してしまうが、次第に影森高校のハイテンポな戦い方にも慣れてきて、三回裏に大村白菊が一点を返す。しかし、その状況になっても影森高校の選手たちはどこか上の空で、詠深たちはその様子を不思議に感じていた。その理由は、影森高校女子硬式野球部の内弁慶な性質にあった。影森高校の選手たちは、部員同士は非常に仲がよく、練習時間があまりにも心地いいため、試合にはまるで関心がなかったのだ。そのため、この試合も早く終わらせて、みんなで練習をしたいと考えていたのである。

第4巻

新越谷高校女子硬式野球部は、投球間隔が短い藤原理沙から、投球間隔が長い川口息吹に変えることで、影森高校のペースを乱そうとしていた。これにより、影森高校エースの中山は苛立ち、息吹はデッドボールを当てられてしまう。これを川口芳乃は自分の采配のせいだと落ち込むが、中村希が一点を取って逆転したことで、チームの雰囲気は一気に明るくなる。これで勢いづいた新越谷高校は一挙七点を挙げ、六回コールド勝ちをおさめる。こうして新越谷高校は、エースの武田詠深を温存したまま初戦を突破。次の対戦相手である梁幽館(りょうゆうかん)高校の対策を始める。梁幽館高校はかつて山崎珠姫とバッテリーを組んでいた吉川和美を擁する、埼玉四強常連校の強豪チームであった。先攻の新越谷高校は一回から幸先よく一点を獲得。そして一回の裏、芳乃は詠深に四番打者の中田奈緒を敬遠するように指示すると、新越谷高校は観客から大ブーイングを浴びてしまう。

第5巻

新越谷高校と梁幽館(りょうゆうかん)高校の試合は、同点で三回の裏まで進むが、山崎珠姫のエラーにより、ワンアウト満塁とピンチを迎える。ここで中田奈緒の打順が再び回ってきたことで、川口芳乃は二度目の敬遠を指示する。一回よりも激しいブーイングを受けながらも、最小限の一失点に抑える。そのまま試合は五回表まで進み、新越谷高校に逆転のチャンスが訪れる。四番の中村希はこれを生かすことはできなかったが、次の打席に向けてとある計画を立てていた。そして五回の裏、ツーアウト走者なしで三度目の奈緒の打席を迎える。芳乃はここでついに勝負を指示するが、武田詠深は奈緒を追い込みながらもホームランを打たれ、点差を広げられてしまう。しかし六回の表、岡田怜が出塁し、チャンスを迎える。

第6巻

六回の表、新越谷高校は一点を返し、二対三となる。山崎珠姫は、先ほどホームランを打たれてしまった武田詠深が落ち込んではいるのではないかと案ずるが、詠深の調子はむしろよくなっていた。珠姫はそんな詠深を頼もしく感じつつ、自分もまだまだ成長できるという喜びを感じるのだった。そしていよいよ七回表となり、新越谷高校はノーアウト一、二塁のチャンスが訪れる。しかし梁幽館高校の監督の栗田は、ここで投手を吉川和美から中田奈緒に変更。そんな中、川口芳乃は勝負の行方が自分の采配にかかっていると意気込むものの、そのプレッシャーから体調を崩してしまう。これを察した中村希は芳乃を激励しながら、自らの打法を、これまではフォームが崩れるという理由から避けてきた長打狙いへと切り替える。これがみごとに的中し、新越谷高校は三点を獲得。その後も詠深が相手打線を抑えてみごと勝利するのだった。そして試合後、梁幽館高校の選手たちから激励され、今後対戦相手になる可能性のあるチームのデータを受け取る。そしてこの勢いのまま、四回戦の対戦相手の馬宮高校にも勝利する。

登場人物・キャラクター

武田 詠深 (たけだ よみ)

埼玉県の新越谷高校1年2組に在籍する女子。女子硬式野球部に所属しており、右投げ右打ちで、ポジションは投手。松原中学校出身。前髪を目の上で切り、腰まで伸ばした焦げ茶色のストレートロングヘアを、ハーフツインテールにしている。身長は160センチ。つねに一所懸命で、穏やかな性格をしている。幼い頃に山崎珠姫と出会い、いっしょに軟式野球を始める。この時に変化球を覚え、もし自分が硬式でもこの球を投げられるようになったら、いっしょに野球をしようと珠姫と約束する。しかし、珠姫が突然引っ越したことで、離れ離れになってしまう。中学時代は女子硬式野球部で投手として活動を続けるが、チームメイトの意欲が低いことから、思うような成績を残せずに引退してしまう。一時は野球をやめようと考えていたが、新越谷高校の入学式の日、珠姫と再会。川口芳乃と川口息吹の後押しもあり、もう一度野球をする決意を固める。誕生日は6月4日。好きな動物は猫で、趣味は投球練習。新越谷高校に進学したのは、制服のデザインが気に入ったため。自宅から新越谷高校まで、電車で20分ほどかかる。成績は非常に優秀で、一学期の中間テストでは、学年401人中29位だった。ふだんは誰に対しても親切だが、珠姫とバッテリーを組んでいた吉川和美に対してはライバル心を抱いている。

山崎 珠姫 (やまざき たまき)

埼玉県の新越谷高校に通う1年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、右投げ右打ちで、ポジションは捕手。美南ガールズ出身で、当時は吉川和美とバッテリーを組んでいた。前髪を目の上で切り、肩につくほどまで伸ばした黒のセミロングヘアを、ピンクのヘアピンで留めてまとめている。身長は149センチ。あだ名は「タマちゃん」。まじめで落ち着いた性格で、向上心が非常に強い。幼い頃に武田詠深と出会い、いっしょに軟式野球を始める。しかし突如引っ越しが決まり、詠深とは離れ離れになってしまう。その後は家から通いやすいという理由で、硬式野球の名門である美南ガールズに所属する。この時から強気なリードと鉄壁な守備で知られていたため、川口芳乃は山崎珠姫のファンである。新越谷高校の入学式の日、詠深と再会し、芳乃と川口息吹の後押しもあって女子硬式野球部に入部して、詠深とバッテリーを組むことになる。誕生日は8月31日。好きな動物は犬で、趣味は戦略シミュレーションゲームで遊ぶことと、野球動画を見ること。新越谷高校に進学したのは、制服のデザインが気に入ったため。

中村 希 (なかむら のぞみ)

埼玉県の新越谷高校に通う1年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、左投げ左打ちで、ポジションは一塁手兼外野手。福岡県にある箱崎松陽中学校出身で、博多弁で話す。前髪を目の上で切りそろえ、肩につくほどまで伸ばした金色のセミロングヘアの左側を、桜のチャームが付いたヘアピンでまとめている。身長は155センチ。物静かで引っ込み思案な性格で、泣き虫。抜群の打撃センスで、強豪箱崎松陽中学校でも主力選手として活躍していた。しかし高校入学を機に、家庭の事情で埼玉県に引っ越すことになってしまう。この時にチームメイトと全国大会で再会しようと約束し、新越谷高校に進学した。しかし、入学してから女子硬式野球部が活動停止状態にあることを知り、愕然とする。そのため入部するべきか悩んでいたところ、隠れて見学しているのを武田詠深たちに見つかり、同じく見学していた大村白菊と共に入部した。プライドが高く、初心者であるにもかかわらず、運動神経抜群の白菊をライバル視している。誕生日は11月5日。好きな動物は大型の鳥で、趣味は打撃の研究。

藤田 菫 (ふじた すみれ)

埼玉県の新越谷高校に通う1年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、右投げ右打ちで、ポジションは二塁手。南相模中学校出身で、川﨑稜とは当時からのチームメイト。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばしてゆるく巻いた黒のロングヘアを、耳の上の位置でツインテールにしている。身長は159センチ。まじめな性格で、堅実なプレイを好むことから、派手なプレイばかりする稜とはケンカばかりしているが、なんだかんだで仲がいい。稜と共に女子硬式野球部に入部するが、部が活動停止状態なのを知っていたため、二人で自主的に練習していた。そんなある日、同じように自主練を始めていた武田詠深たちと知り合い、そこに藤原理沙と岡田怜も加わり、ようやく本格的な部活動が始まった。誕生日は10月17日。好きな動物は犬で、趣味はお菓子を食べること。新越谷高校に進学したのは、自宅から近くて通いやすいため。ファッションセンスがよく、チームのおしゃれ番長として知られている。

藤原 理沙 (ふじわら りさ)

埼玉県の新越谷高校に通う2年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、右投げ右打ち。ポジションは主に三塁手で、投手と外野手も兼任する。岡田怜と同じ小鳩中学校出身ながら、怜は野球部に所属していなかったため、在学中の接点はなかった。前髪を目の上で切り、腰まで伸ばしてゆるく巻いた銀色のロングヘアにしている。身長は158センチで、穏やかでおっとりとした性格の持ち主。中学時代に怜が野球選手であることを知り、ひそかにあこがれるようになり、新越谷高校でいっしょに野球ができることを喜んでいた。しかし、部内の雰囲気は非常に悪く、やがて部員同士の暴力事件が発生して活動停止に追い込まれてしまう。その後は怜と共にクラブチームの練習に参加していたが、自分たちが野球部を退部すると廃部になってしまうことを知り、後輩のために籍だけは残していた。そして高校2年生の春、武田詠深たちが入部したことで、再び部に戻って活動するようになる。誕生日は9月18日。好きな動物はハムスターで、趣味もハムスターの飼育。

川﨑 稜 (かわさき りょう)

埼玉県の新越谷高校に通う1年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、右投げ右打ちで、ポジションは遊撃手。南相模中学校出身で、藤田菫とは当時からのチームメイト。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして、後ろ側だけ肩につくほどまで伸ばした銀色のショートヘアにしている。身長は152センチ。容姿も話し方も男性的で、明るい性格のお調子者。そのためチームのムードメーカー的な存在で、選手としてのプレイも大胆かつ派手。自分とは対照的な性格の菫とはよくケンカをしているが、なんだかんだで仲がいい。菫と共に女子硬式野球部に入部するが、部が活動停止状態なのを知っていたため、二人で自主的に練習していた。そんなある日、同じように自主練を始めていた武田詠深たちと知り合い、そこに藤原理沙と岡田怜も加わり、ようやく本格的な部活動が始まった。誕生日は4月7日。好きな動物は猫で、趣味はプロ野球観戦。新越谷高校に進学したのは、自宅から近くて通いやすいため。

川口 息吹 (かわぐち いぶき)

埼玉県の新越谷高校1年2組に在籍する女子。川口芳乃の双子の姉でもある。女子硬式野球部には、芳乃と共にマネージャーとして入部したが、のちに選手に転向する。ポジションは外野手兼投手。光陽台桜中学校出身。前髪を目の上で切って右側は上げて額を見せ、肩につくほどまで伸ばした亜麻色のセミロングヘアを、耳の高さでツインテールにしてまとめている。双子の芳乃とはあまり似ていない。身長は156センチ。明るい性格のしっかり者で、面倒見が非常にいいが、暴走しがちな芳乃にはよく振り回されている。武田詠深とは、高校1年生の入学式の日に知り合い、すぐに親しくなる。その後、芳乃に誘われる形で女子硬式野球部に入部した。野球ファンの芳乃にいつも付き合わされていたため、野球選手のプレイのまねをするのが得意。選手になってからは、これを生かして詠深のまねをして投げることもある。誕生日は8月7日。好きな動物はうさぎで、趣味は戦術の研究。新越谷高校に進学したのは、自宅から近くて通いやすいため。

岡田 怜 (おかだ れい)

埼玉県の新越谷高校に通う2年生の女子。女子硬式野球部の主将を務めており、右投げ右打ちで、ポジションは中堅手。荻島ガールズ出身。藤原理沙とは同じ小鳩中学校ながら、在学中は接点がなかった。前髪を目の下まで伸ばして目が隠れないように分け、肩につくほどまで伸ばした前下がりのセミロングヘアにしている。身長は159センチで、胸が大きい。一見クールで近寄りがたいが、まじめな性格で面倒見もいい。走、攻、守のすべてに優れた中堅手として中学時代は名門荻島ガールズで活躍し、新越谷高校女子硬式野球部に入部する。しかし、部内の雰囲気は非常に悪く、やがて部員同士の暴力事件が発生して活動停止に追い込まれてしまう。その後は怜と共にクラブチームの練習に参加させてもらっていたが、自分たちが退部すると野球部が廃部になってしまうことを知り、後輩のために籍だけは残していた。その後、高校2年生の春、武田詠深たちが入部したことで活動再開が可能となったため、部に戻った。詠深たちと出会った当初は、興味がなさそうに振る舞っていたが、実際は早い段階で入部希望者が多くいることに気づいており、会うのを楽しみにしていた。また、後輩たちがすぐに活動できるように、理沙と共に道具のメンテナンスも怠らずにいた。誕生日は7月6日。好きな動物は犬で、趣味は野球道具のメンテナンス。新越谷高校に進学したのは、女子硬式野球部が強いことと、自宅から近かったため。

大村 白菊 (おおむら しらぎく)

埼玉県の新越谷高校に通う1年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、右投げ右打ちで、ポジションは外野手。前髪を目の上で切りそろえ、腰まで伸ばした黒のストレートロングヘアを、白いリボンで結んでハーフアップにしている。身長は161センチで、胸が大きい。吉峰中学校出身。実家は剣道道場で、大村白菊自身も全国大会の優勝経験がある実力者。中学時代までは剣道部に所属していたため、野球は初心者である。道場関係者からは「お嬢」あるいは「お嬢様」と呼ばれている。上品かつ穏やかな性格で、同級生に対しても敬語で話す。以前から野球に興味があったが、実家が剣道道場であるため、なかなか言い出せずにいた。しかし、剣道で一位を取れば野球に転向してもいいという条件を受け、中学生時代にみごと全国優勝を果たす。そして、新越谷高校入学を機に、女子硬式野球部に入部した。野球は初心者ながら、剣道の経験を生かした長打力が魅力。そのため、同じ日に入部した中村希からは、ひそかにライバル視されている。誕生日は2月13日。好きな動物は犬で、趣味はアニメや漫画鑑賞。新越谷高校に進学したのは、学力が自分に適していたため。

川口 芳乃 (かわぐち よしの)

埼玉県の新越谷高校1年2組に在籍する女子。川口息吹の双子の妹でもある。女子硬式野球部に、息吹と共にマネージャーとして入部した。その後、息吹が選手に転向したため、一人でマネージャーを務めている。選手たちの練習に付き合う際は、右投げ両打ち。光陽台桜中学校出身。前髪を目の上で切って左側は上げて額を見せ、肩につくほどまで伸ばした亜麻色のセミロングヘアを、ハーフツインテールにしてまとめている。双子の息吹とはあまり似ていない。身長は155センチ。明るい性格で、コミュニケーション能力が非常に高い。また大の野球ファンで、出会う前から山崎珠姫のファンだった。武田詠深とは席がとなりだったことと、お互いに野球が大好きなことで親しくなった。すぐに詠深が優秀な投手であることを見抜くが、彼女がいい成績を残せていないことと、高校では野球を続ける気がないことを不思議に思う。さらにその後、詠深と珠姫が友人であることを知り、詠深を女子硬式野球部に誘った。誕生日は8月7日。好きなものは野球で、趣味も野球分析。新越谷高校に進学したのは、子供の頃から野球選手たちと接する機会があり、学校にいい印象を持っていたことと、自宅から近かったため。興奮すると結んだ髪の毛が動物の耳のように動く。

藤井 杏夏 (ふじい きょうか)

埼玉県の新越谷高校で教師を務める若い女性。担当教科は家庭科で、女子硬式野球部の顧問兼監督を務めている。新越谷高校女子硬式野球部のOGでもある。前髪を目の上で切りそろえ、肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアを二本の三つ編みにしてまとめ、眼鏡を掛けている。穏やかな性格ながら野球選手としての実力は高く、指導も厳しい。豊富な人脈を持っていることから監督就任後は、さまざまな高校との練習試合をセッティングしている。趣味はゲームで、特に野球チームを育成するシミュレーションゲームが大好き。ふだんは冷静で頼りになる存在ながら、対戦チームのデータを自分のゲームのデータとまちがったり、ふらふらになるまで練習に付き合ったりと、かわいらしい一面がある。

大野 彩優美 (おおの あゆみ)

埼玉県の柳川大学付属川越高校に通う3年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、ポジションは投手。前髪を上げて額を全開にし、胸の高さまで伸ばしたロングウエーブヘアをハーフアップにしている。繊細な性格で、プライドが高いために自分と他人を比べては嫉妬して過剰にライバル視したり、逆に見下すあまり判断を誤ったりしている。浅井花代子とは中学時代からの知り合いで、当時弱小チームだった柳川大学付属川越高校に入学し、1年次からバッテリーを組んでいる。弱いながらも楽しく活動していたが、高校2年生の春、朝倉智景が入部したことで状況が一変。智景にエースナンバーを奪われ、悔しい思いをすることになる。それでも負けずに練習を重ね、実力を伸ばしてきた頃、智景があまり部活に来なくなる。そんな高校3年生の春、新越谷高校との練習試合で、武田詠深と対戦することになる。詠深に智景とまちがえられることで、さらに智景嫌いに拍車がかかってしまう。

浅井 花代子 (あさい かよこ)

埼玉県の柳川大学付属川越高校に通う3年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、チームの中心的な存在で、ポジションは捕手。胸まで伸ばしたセミロングヘアを、首の付け根の位置で二つに結んでいる。クールな性格で、男性っぽい口調で話す。大野彩優美とは中学時代からの付き合いで、精神的に浮き沈みの激しい彩優美の性格を理解して陰ながら支えている。

朝倉 智景 (あさくら ちかげ)

埼玉県の柳川大学付属川越高校に通う2年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、ポジションは投手。腰まで伸ばしたロングヘアを、頭の左側に集めて耳の上で結んでサイドテールにしている。天才投手として知られているが、何を考えているのかわからない、ミステリアスな雰囲気を漂わせている。柳川大学付属川越高校に入学してすぐにエースとなるが、夏と秋の大会の敗戦に責任を感じ、冬からさまざまな変化球を試している。そのためにしばらくフォームを崩していたが、高校2年生の春から復活した。武田詠深とはその頃に出会い、その時に朝倉智景が川で釣りをしていたことから「釣りの人」と呼ばれていた。

大島 留々 (おおしま るる)

埼玉県の柳川大学付属川越高校に通う1年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、ポジションは外野手。前髪を目の上で切り、顎の高さで切りそろえたボブヘアにしている。明るく人懐っこい性格の持ち主。優秀な選手が好きで、大野彩優美や朝倉智景を慕っているため、八方美人に見えてしまうことがある。

中山 (なかやま)

埼玉県の影森高校に通う2年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、ポジションは投手。前髪を目の上で切りそろえ、顎の高さで切りそろえた前下がりのボブヘアの左側を、猫の形のヘアピンでまとめている。クールな性格ながら、自分のペースを乱されるとすぐに取り乱してしまう。野球部員が練習好きで試合嫌いなことを理解しているため、クイックを多用してできるだけ早く試合を終わらせようとしている。全国大会の県予選一回戦で新越谷高校と対戦するが、チームには勝ちたいという意識がほとんどなかった。そのため、いつもどおりに早く試合を終わらせることを優先して戦っていた。しかし、これを武田詠深に見抜かれ、ペースを乱されたことで敗北してしまう。

中田 奈緒 (なかた なお)

埼玉県の梁幽館(りょうゆうかん)高校に通う3年生の女子。女子硬式野球部の主将を務めている。右投げ右打ちで、ポジションは主に投手だが、一塁手と外野手も兼任する。天王州ガールズ出身。前髪を目の上で切りそろえ、腰まで伸ばした銀色のロングヘアを、首と肩の付け根の高さで二つに結んでいる。身長は167センチ。まじめな性格で、男性っぽい口調で話す。精神的支柱ともいえる存在で、選手としても人間としてもチームメイトたちから慕われている。高校3年生の夏、全国大会の県予選三回戦で新越谷高校と対戦するが警戒されてしまい、二度敬遠された。しかし三度目の勝負で得点し、七回から登板して新越谷高校を苦しめた。結果、新越谷高校に敗北したものの、終始礼儀正しく爽やかな態度で武田詠深たちを感動させた。誕生日は5月11日。好きな動物は犬で、趣味は健康管理。スカウトされて野球部に入部した。

陽 秋月 (よう しゅうげつ)

埼玉県の梁幽館(りょうゆうかん)高校に通う3年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、左投げ左打ちで、ポジションは外野手。高宮ガールズ出身。胸の高さまで伸ばしたストレートロングヘアを首の付け根の位置で一つに結んでいる。左目は前髪に完全に隠れて見えない。身長は163センチ。梁幽館不動の一番打者で、打率六割をキープしている。管理野球が徹底された梁幽館の選手の中で、自由に打たせてもらえるのは陽秋月と中田奈緒だけ。誕生日は1月17日。好きな動物は猫で、趣味は散策。スカウトされて野球部に入部した。

吉川 和美 (よしかわ かずみ)

埼玉県の梁幽館(りょうゆうかん)高校に通う2年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、ポジションは投手。美南ガールズ出身で、当時は山崎珠姫とバッテリーを組んでいた。前髪を目の上で切り、腰まで伸ばしたロングヘアを後頭部の真ん中の高さでポニーテールにしている。投手であることや、その顔立ちから武田詠深とよく比較されている。明るく気の強い性格の持ち主。珠姫を非常に気に入っており、珠姫が梁幽館高校に進学できるように監督にも強く推薦していたが、珠姫が新越谷高校を選んだことを残念に思っている。詠深とは全国大会県予選の三回戦で新越谷高校と戦い、七回の裏途中まで投げるものの、ピンチを招いて中田奈緒とチェンジさせられてしまい、悔し涙を流した。

小林 依織 (こばやし いおり)

埼玉県の梁幽館(りょうゆうかん)高校に通う2年生の女子。女子硬式野球部に所属しており、ポジションは捕手。前髪を目の上で切り、胸の上まで伸ばしたロングヘアを、耳の上の高さでツインテールにしている。冷静な性格で、お調子者の吉川和美のつっこみ役を務めている。

高橋 友理 (たかはし ゆうり)

埼玉県の梁幽館(りょうゆうかん)高校に通う2年生の女子。女子硬式野球部の戦略担当マネージャーを務めており、敬語で話す。顎の高さで切りそろえた内巻きボブヘアに眼鏡を掛けている。穏やかな性格ながら、データに基づいた綿密な戦略を立てるのが得意。そのため、中田奈緒からの信頼も厚く、奈緒の引退後は次期主将に推薦された。しかし、最終的に主将は部員たちの投票で決まるため、自分が選ばれることはないだろうと考えている。

書誌情報

球詠 15巻 芳文社〈まんがタイムKRコミックス〉

第12巻

(2022-10-12発行、 978-4832274068)

第13巻

(2023-04-12発行、 978-4832274549)

第14巻

(2023-10-12発行、 978-4832274907)

第15巻

(2024-04-11発行、 978-4832295391)

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