概要・あらすじ
硬介の父の死を契機に、はったり流道場を継ぐことになった高校生・服部硬介。彼は父親の遺志を継ぎ、立派な空手家になって道場を盛り立てることを夢見ているが、女性に対して初心すぎるという欠点があった。学校では生娘三人衆にからかわれ、硬介の母からは、空手家に向いてない、とはっきり言われる始末。そんな硬介だが、番長や石道剛太郎、そして他流武術のライバルなどとの戦いを通じて、自らの腕と心を磨いていくのだった。
登場人物・キャラクター
服部 硬介 (はっとり こうすけ)
高校生の少年。服部家の末っ子で、唯一の男性。3人の姉がいる。硬介の父の跡を継ぎ、はったり流道場の看板を背負うことになった。とんでもなく純情で、女子のパンツを見ると立ちどころに鼻血を噴きだす。この鼻血は虹のようにアーチを描くことから「鼻虹」と呼称されている。服部硬介が通う学校の男子生徒たちに絶大な人気を得ており、ある種のアイドルとして祭り上げられている。 しかし、そんな女性に対する免疫のなさとは裏腹に、空手家としての実力は本物で、はったり流と呼ばれる特殊な空手技を駆使して、並みいる強敵を次々と撃破している。
硬介の父 (こうすけのちち)
はったり流道場の前師範。服部硬介ら姉弟の父親。穏やかな風貌の持ち主で、特に硬介からは慕われていたが、数年前に病が原因で他界している。その際に、硬介に対して道場を任せる旨の遺言を残している。硬介はこの遺言を守り、現在に至るまではったり流道場の看板を守り続けている。
硬介の母 (こうすけのはは)
服部硬介と3人の姉の母親。物静かだが気が強く、一家の中では常に主導権を握っている。硬介が女性に免疫がないのは、精神力に問題があるためで、ひいては空手家として未熟であると考えている。硬介がはったり流道場を継いだことには、あまり賛成の意を示していない。
牧村 美過 (まきむら みか)
服部硬介と同じ学校に通う少女。生娘三人衆の1人。仲間の2人と組み、硬介をからかって楽しんでいたが、ある思い込みによって、唐突に硬介の家に嫁入りをするべく押し掛ける。しかし、凄まじく寝相が悪く、おまけに料理の腕も最悪と、嫁に入るには致命的な点があまりにも多いのだった。硬介も微妙な反応を返すが、何だかんだで上手くいっている。 思ったことははっきりと言う性格で、火に油を注ぐことも少なくない。
美過の父親 (みかのちちおや)
牧村美過の父親。いつも娘の暴走に手を焼いており、注意はしているもののまったく聞き入れられない。突如服部硬介の家にお嫁に行くと言い出された際にも、止めようとするが、やはり突っぱねられる。何故かはったり流に詳しく、美過に説明をしたところ、美過はますます硬介の嫁に行く決意を強めてしまう。
番長 (ばんちょう)
服部硬介と同じ高校に通う少年。番格を張っているつもりだが、あまり認識されていない。牧村美過に想いを寄せているが、彼女からは蛇蝎のように嫌われている。その美過が、硬介に嫁に行ったことを聞きつけ、阻止するために石松、および石道剛太郎と共に硬介に戦いを挑む。
石松 (いしまつ)
服部硬介と同じ高校に通う少年。黒い眼帯をつけている。番長の子分的存在で、彼の奇行に突っ込んだり、逆に共に悪乗りをする。番長と共に硬介とケンカをすることもあったが、2人揃ってあっけなく負けている。なお、石松は通称であり、本名は不明。
石道 剛太郎 (いしどう ごうたろう)
服部硬介と同じ高校に通う少年。空手部の主将を務めている。特徴的な顔つきをしており、服部家に訪れるや否や、硬介や家族たちに「交通事故に遭ったような顔」「先祖返りみたいな顔」など、さんざんバカにされてしまう。本来は、番長が硬介を倒すために差し向けたが、あまりに顔をバカにされたことで意気消沈してしまい、目的そのものを忘れかけてしまう。
柳生 竜子 (やぎゅう りゅうこ)
雷極拳と呼ばれる拳法を使う女性。はったり流を嫌悪しており、道場破りを果たすべく服部硬介の家に押しかける。女性ながら優れた拳法家で、石松や石道剛太郎を軽くあしらい、硬介のはったり流によるフェイントも完全に見切れる。しかし一撃の重さは及んでおらず、その弱点を補うべく、奥義であるアゲハ落としを修得している。
荒巻 新吾 (あらまき しんご)
荒巻流空手と呼ばれる流派の巨漢。柳生竜子同様はったり流を嫌悪しており、竜子らと共に服部硬介に挑む。硬介には石道剛太郎に劣らない凄い顔と認識されてしまうが、巨体に似合ったすさまじいパワーを保持。さながら鉄の棒で突くほどの強烈な正拳を放ち、硬介を苦戦させる。
戸田 兵助 (とだ へいすけ)
殺倒術と呼ばれる戦法を使う小柄な男性。柳生竜子同様はったり流を嫌悪しており、竜子らと共に服部硬介に挑む。フットワークを活かした攻撃を得意としており、敵の攻撃に鋭く反応し、まるで分身したかのような動きで、あらゆる方向から攻撃を仕掛けることができる。
吹島 薫 (ふきしま かおる)
近代寺拳法と呼ばれる拳法を使う青年。柳生竜子同様はったり流を嫌悪しており、竜子らと共に服部硬介に挑む。石道剛太郎は、彼の放つ気迫を「冷たく光る鋭い刃」と表現している。事実、他の3人とはけた違いのパワーとスピードを持ち、硬介を敗北寸前まで追いつめた。
集団・組織
生娘三人衆 (きむすめさんにんしゅう)
服部硬介と同じ学校に通う少女たち。硬介をからかうことを楽しんでおり、事あるごとに彼の前に現れては、パンチラなどのお色気シーンを見せつけ、硬介に鼻血を出させようとする。この光景は学校の名物になっており、学校の生徒たちからは、硬介とセットで高い人気を誇っている。
その他キーワード
はったり流 (はったりりゅう)
日本古来から続いているという空手の流派。名前通り、はったりを活かした技が多く用いられている。継承者は代々女性に弱かったらしく、服部家の先祖たちは、女への弱さを克服して、はったり流を一人前にしようと日夜努力していた。結局、目的を果たせないまま今日に至っている。現在の継承者である服部硬介は、とりわけ女性に弱いため、継承を諦めるように言われているが、父親との約束だからと言い張り、諦めようとしない。
はしヌンチャク
服部硬介が使うはったり流の技のひとつ。2本の箸をそれぞれの手に持ち、高速で振り回す。振り回された箸を、あたかもヌンチャクのように見せることで、相手に威圧感を与えることができる。はったりのために繰り出す技だが、番長はこの技の動きに惑わされ、撤退を余儀なくされた。
草むしり (くさむしり)
服部硬介が使うはったり流の技のひとつ。相手の脛に素早く手を伸ばし、握力に物を言わせて一気にすね毛を抜き取る。すね毛が濃い人間にとっては、地味に大きなダメージとなる。石道剛太郎との戦いの際に、足で首を絞められた際に咄嗟に発動。ダメージを与えると共に、締めを振りほどくことに成功している。
とんびがクルリと輪をかいた (とんびがくるりとわをかいた)
服部硬介が使うはったり流の技のひとつ。無造作に空を舞い、敵に己を格好の的と思わせ、繰り出された拳を手のひらで弾く。その反動でとんびが輪を描くがごとくクルリと腕をすり抜け、すかさず飛び蹴りを決める、という大技。石道剛太郎への決め技として繰り出したが、急所に命中しなかったため、ノックアウトさせるには至らなかった。
果報は寝て待て (かほうはねてまて)
服部硬介が使うはったり流の秘奥義。地面に寝転んだまま拳と足を突き出し、上空から襲い掛かる敵にカウンターとして打ち出し、相手の力をそのまま跳ね返す超必殺技である。石道剛太郎のボディプレスに対するカウンターとして用いられ、勝利直前の剛太郎に大きなダメージを与えた。
アゲハ落とし (あげはおとし)
柳生竜子が使う雷極拳の奥義。相手に背を向けたまま跳躍。全身を長い髪の毛で隠し、飛び蹴りを食らわせる。髪の毛で姿が隠れてしまうため、受ける方はどこから攻撃してくるのかわからない特性があり、服部硬介はこの特性に翻弄され、立て続けに食らうことで窮地に陥った。