鋼鉄の華っ柱

鋼鉄の華っ柱

日本有数の資産家の一人息子として生まれ、あらゆる面で恵まれていた主人公・御前崎真道。しかし両親の経営する御前崎グループがすべて倒産したことにより、突如無一文の身に。それでも彼は動じることはなかった。環境が一変した自分にそれでも一緒にいることを選択してくれた幼い頃からの仲間である佳賀朝涼・佳賀夏野姉弟と、同じく幼いころから仕える執事の古川とともに、新しい人生を存分に楽しみつつ再起を図るコメディ漫画。小学館「週刊少年サンデー」2010年44号から2012年41号まで連載。

正式名称
鋼鉄の華っ柱
ふりがな
こうてつのはなっぱしら
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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概要・あらすじ

御前崎真道は、日本有数の富豪の御曹司。しかも頭脳明晰・スポーツ万能・眉目秀麗と非の打ち所のない男だった。女性からは憧れの視線を、男性から嫉妬の炎を、一身に受けつつも一切動じることなく常に紳士として振る舞う真道の人生は、あるとき大きく変貌する。50社からなる企業体・御前崎グループがすべて倒産し、真道は無一文と化すのだった。

それまでかしずいていた使用人たちは本性をあらわし、両親は真道を置いてけぼりにして海外に逃亡。真道に悪感情を抱いていた級友が債権者となり、残された財産の一切を持ち去られてしまう。しかしそれでも真道は動じることなく、己があるべきと信じる紳士として振る舞い続ける。多くの人間が手のひらを返す中、真道の側には幼なじみで表向きは従者としてはべっていた佳賀朝涼佳賀夏野姉弟と、幼いころから使えていた執事・古川が残る。

真道は、彼らとともにゼロから人生をリスタートさせるのだった。

登場人物・キャラクター

御前崎 真道 (おまえざき さねみち)

日本有数の企業体・御前崎グループの御曹司にして、明晰な頭脳、類まれな運動神経、端正な容貌の持ち主である。何事にも動じない胆力があり、御前崎グループに属する企業がすべて倒産し一文無しになったときもほとんど動揺はせず、むしろこれまで経験していなかった貧しい生活を味わえることを楽しむ素振りすら見せた。 紳士であることを常に己に課しているが、計算高い性格をしており幼いころからともに過ごす佳賀夏野からは計算鬼(けいさんき)と称されることも。常に他者からどう見られるかを考え、自分に最大の利益をもたらす演出を講じる。その際、相手に明らかな非がある場合には、証拠の捏造や脅迫じみた行動を採ることも厭わない。 ただ、単なる利己主義者ではなく、一見すると見下すような言動をするが、仲間のことは大切に思っている。これは幼いころから変わらない性質で、9歳のとき自身の従者になるよう連れて来られた夏野とその姉・佳賀朝涼とも対等の友人になるよう求めた。さらに11歳のころ御前崎家の別荘に夏野と朝涼とともに遊びに行った際、隣接する遠霧家敷地内に遠霧蘭子が監禁されていることを知り、あらゆる困難を予測し、それに対する策を立てた上で蘭子の救出を断行。 なお、自身のことを「カッコがつくようなシーンに出くわすと自然にカッコつけてしまう」と述べ、また朝涼からはどんなに苦労してもカッコつける男と思われている。もともとは名門高校・私立Rf学園に通っていたが、御前崎グループ倒産後はいったん誠質屋という便利屋に就職。 悪徳社長を追い出し、誠質屋をその手に収めたのちあまりレベルの高くない並梅高校に特待生として編入した。

佳賀 朝涼 (かが あさすず)

御前崎家に仕える佳賀家の長女で、父は佳賀巌、弟は佳賀夏野。10歳のとき御前崎真道の従者になるべく御前崎の屋敷に連れて来られた。当初は真道に嫌悪感を示すこともあったが、真道の実は努力家なところや、しかしそれを他人に見せようとしないところを見て、信頼を寄せるようになった。 以来、表向きは真道の護衛として、しかし実態は仲間として行動をともにする。御前崎グループが倒産し、真道が無一文になっても彼から離れなかった。12歳のころ御前崎家の別荘に遊びに行った際、遠霧蘭子の存在を知り、真道とともに蘭子を監禁されている環境から救出。以後蘭子とは親しい関係となった。 巌から仕込まれているため、武道に通ずる。ながらく真道とともにいたため、やや世間一般の感覚からズレている面も。もともとは名門高校・私立Rf学園に通っていたが、御前崎グループ倒産後は弁当屋でバイトをするように。のちにあまりレベルの高くない並梅高校に特待生として編入した。

佳賀 夏野 (かがなつの)

御前崎家に仕える佳賀家の長男で、父は佳賀巌、姉は佳賀朝涼。9歳のとき御前崎真道の従者になるべく御前崎の屋敷に連れて来られた。お坊ちゃん然とした真道を嫌悪し、あるとき父親から仕込まれた武術で真道を打ち倒す。これによって真道を軽んじるようになったが、後日再戦。 このとき、真道は極秘に朝涼の指南を受けていたため今度は自分のほうが敗れてしまう。以来表面的な態度は変わらないが、真道のことを認めるように。11歳のころ御前崎家の別荘に遊びに行った際、遠霧蘭子の存在を知り、真道とともに蘭子を監禁されている環境から救出。その後もつねに真道と行動をともにし、御前崎グループが倒産して真道が無一文になっても彼から離れなかった。 どんな状況下でも計算高く行動し、何ら変わる様子を見せない真道に業を煮やすが、一方真道の果断な行動力や機転、肝の太さについては自分自身と比較して落ち込むことも。なお、純粋な武術の腕前は真道を上回っていると言われ、練習では勝利を収めるものの試合で勝ったことはない。 もともとは名門高校・私立Rf学園に通っていたが、御前崎グループ倒産後はいったん誠質屋という便利屋に就職する。真道が悪徳社長を追い出し、誠質屋をその手に収めたのちあまりレベルの高くない並梅高校に編入。ただし真道と朝涼とは異なり、特待生にはなれなかった。

古川 (ふるかわ)

御前崎家の執事で、御前崎真道からは爺と呼ばれる。やや適当でスケベな性格をしているが、真道の幼いころから近くに仕え、互いに厚い信頼で結ばれる関係。真道が遠霧蘭子を遠霧家から連れ出す計画を立てた際も、そうと気づきながら素知らぬふりをして真道のお膳立てを手伝ったり、いずれ軍資金が尽きることを見越して荷物にお金を忍ばせたりした。 御前崎グループが倒産した後も真道の側を離れず、大人の立ち位置から真道をサポート。

遠霧 蘭子 (おとぎり らんこ)

名家遠霧家の娘であり、遠霧家のしきたりのため遠霧郡という地で俗世とは完全に遮断されて育てられる。11歳の御前崎真道によってそうした環境から救い出され、以降は自由の身となった。同時に真道の許嫁に。真道に思いを寄せるが、これは許嫁だからではなく真道の人となりを見てのこと。 むしろ許嫁になったのは御前崎家と遠霧家の約束事であるので、それで真道のことを縛るつもりはない。逆に御前崎家が没落し許嫁関係が解消されても真道への気持ちは変わらなかった。のちに自分が遠霧家のしきたりから解放された代わりに従姉妹の遠霧麗子がかつての自分と同じ目に遭わされていることを知り、自らの意思で遠霧郡へと舞い戻る。

ルリ

並梅高校に通う女子生徒で、編入してきた御前崎真道の王子然とした振る舞いに心を奪われる。品川とともに真道の家来になろうとするが、仲間として受け入れられた。しかし半強制的に真道が切り盛りする便利屋・Everything 超 OKでバイトをさせられることに。ただ本人は最初こそ落ち込んでいたが、自分の力で初めてお金を稼いだことに満足。 あまり要領は良くなく、クラスメイトや家族からはやや軽んじられている。しかし性格は良く素直。真道と親しげにする佳賀朝涼や、突如現れた真道の元許嫁・遠霧蘭子の存在に気後れするが、すぐにふたりとも打ち解けた。

品川 (しながわ)

並梅高校に通う男子生徒。中学時代まではごく普通の生徒だったが、そんな自分に嫌気が差し、奇抜な髪型にして普通からの脱却を目指す。しかし自分の資質が平凡であることを自覚しており、それならば「誰かスゴイ奴の人生に混ぜてもらおう」と思うようになった。並梅高校に編入してきた御前崎真道の強烈な個性に惹かれ、ルー子とともに家来にしてくれと申し出るが、仲間として受け入れられる。 しかし半強制的に真道が切り盛りする便利屋・Everything 超 OKでバイトをさせられることに。ただ本人は最初こそ落ち込んでいたが、平凡な自分が己の力で初めてお金を稼いだことに満足。その後、神矢間大河とのトラブルの際、駆けつけた真道に窮地を救われ、いっそう真道への傾倒を深くする。

神矢間 大河 (かみやま たいが)

富豪の御曹司で、御前崎真道らが編入した並梅高校に隣接する名門校・特松白金学園に通う。平素は爽やかな行動を心がけ、周囲の一部女子からはサラダボーイの愛称で親しまれる。しかしその裏では、財力に物を言わせて人を使役し、意に沿わぬ相手を排除してきていた。品川とのトラブルから真道と相対するようになると、かつて手の届かなかった真道を完膚なきまでおとしめる機会到来と歓喜。 さまざまな策を弄するが、そこを逆手に取られ暗躍の尻尾を掴まれたことで真道に頭が上がらなくなってしまう。しかし、大河の立場を悪くしないよう調子を合わせてもらったことや、遠慮なく要求をしてくるが陰湿さのないことなどから、真道にかすかな友情を覚えるように。

成瀬 和樹 (なるせ かずき)

かつて並梅高校に在籍していた際、神矢間大河とトラブルになる。「恨みっこなし」という約束でタイマンを張り敗れるが、善戦したため大河にも傷を負わせ、それが大河のプライドを傷つけてしまう。大河の巡らせた策略のせいで、一方的に成瀬が大河に暴力を振るったことにされた。結果、所属していた剣道部にまで累が及びそうになっていることを知り、大河に土下座をして許しを乞うが、歯牙にもかけられず剣道部は廃部、成瀬は退学にされる。 のちに御前崎真道が大河とトラブルになったとき、そのやり口を知りたい真道が成瀬に接触。以降、真道に協力して大河を追い詰める手助けをする。 真道の策謀に大河が嵌り、悪事が発覚したため汚名が雪がれた。並梅高校剣道部の廃部は取り消され、成瀬も復学が認められるがこれを拒否し、真道が実質的に経営する便利屋・Everything 超 OKに就職。年齢が上のため、真道からは先輩と呼ばれている。

真道の両親 (さねみちのりょうしん)

御前崎真道の父母で、物語冒頭で御前崎グループが倒産すると真道への置き手紙を古川に託し、姿を見せることなく逃亡した。真道らが遠霧蘭子を監禁から救い出した過去編に登場。勝手に遠霧家から蘭子を連れ出したことを蘭子の父に抗議されると父親は恐縮しきりだった一方、母親は真道の肩を持つ。 蘭子の父から「息子の経歴に傷がつく」と詰め寄られても、「男の子が女の子を守るために傷ついた経歴なら勲章」と言い放った。いずれも本名は不明だが、父が母に対してユキリンと呼びかけるシーンがある。

佳賀 巌 (かが いわお)

御前崎家に仕える佳賀家の当主で、佳賀朝涼・佳賀夏野の父親。武道の達人であり、朝涼と夏野にも手ほどきをした。朝涼が10歳で夏野が9歳のとき、9歳の御前崎真道の従者にさせるべく引き会わせる。真道のことを非常に高く評価しており、「天賦の才の持ち主」「9歳にして肚を決めていることが素晴らしい」などと激賞。 古川いわく「武人の鑑のような方」で、御前崎家の没落に際しても己の筋を通すため真道の両親とともに逃亡生活に。朝涼と夏野には「ふたりでなんとかやってくれ」との手紙を残すのみだった。

遠霧蘭子の父 (おとぎりらんこのちち)

遠霧家の家長として遠霧家のしきたりに従い、遠霧蘭子を世間から隔離していた。御前崎真道が蘭子を連れ出し、世間をも味方につけて蘭子に自由を与えようとする手腕に感服。蘭子の自由を約束するとともに、真道に蘭子の許嫁になるよう求めた。しかしすべてを一存で決めたため、弟の遠霧邦定に家長の責任を問われ、家督を譲って隠居する。 以降は実権を失うも蘭子とともに心穏やかに暮らしていたが、次第に身体の調子がおかしくなっていく。遠霧家のしきたりに反したための呪いかと思われていたが、のちに邦定の謀略だったことが発覚。なお、遠霧家のしきたりが遠霧郡の人々による復讐であることはまったく知らなかった。

遠霧 邦定 (おとぎり くにさだ)

遠霧蘭子の父の弟で、野心が非常に強い。遠霧蘭子の父が自らの一存で遠霧蘭子を遠霧家のしきたりから解放することを決めると、兄に対して遠霧家家長としての自覚がないと追及。遠霧家の家督を譲り受けてからは権力をほしいままに振るうようになる。また、蘭子の代わりに実子の遠霧麗子を遠霧家のしきたりに従って監禁。 遠霧家のしきたりの真実を知りながら、「娘ひとり差し出すだけで見返りが大きい」と言い放つ。なお、御前崎家が急激に没落したのは、邦定が裏で糸を引いていたからであった。

集団・組織

Everything 超 OK (えぶりしんぐちょうおーけー)

『鋼鉄の華っ柱』に登場する企業。御前崎グループが倒産し無一文になった御前崎真道が、佳賀夏野を伴って就職する。便利屋の看板を掲げているが実態は悪徳企業で、社長の命令のもとで脅迫や詐欺などの不法行為を用いて荒稼ぎしていた。ある一人暮らしの老人の家で社長が手抜き工事をでっちあげてリフォーム詐欺を行おうとしたとき、家に対する思いを聞いた夏野は社長に逆らって真相を暴露。 しかし証拠がなかったため、夏野が嘘をついていることにされかけてしまう。そんなところに真道が駆け付け、でっちあげの現場を撮影した写真を提示。これによって夏野が正しかったことが明らかになる。しかし真道の示した証拠写真は真道がでっちあげたものだった。 そんなことを知る由もない社長が老人からの訴訟や警察の介入を恐れていたところに、真道に意を含められた古川が来訪。30万3円という価格で会社を買収したいと申し出る。最初は渋る社長だったが、現金や口座資産は持って行って構わないという条件を聞きあっさり売却。対外的には古川が社長に就任するが、実質的な経営者は真道。 社員たちは当初は真道に反感を抱くが真道のさまざまな演出によって掌握され、悪徳企業のときとは打って変わって懸命に働くようになる。もとは誠質屋という名称だったが、真道による買収劇ののちしばらくしてEverything 超 OKと社名が改められた。

その他キーワード

遠霧家のしきたり (おとぎりけのしきたり)

『鋼鉄の華っ柱』に登場する用語。遠霧家の祖先が当時の遠霧郡を統治していた作品世界の200年前、毎年氾濫する龍石川を鎮めるため人柱を捧げることになる。クジを引いてあたった人間を人柱にすることが決められるが、領主の一族である遠霧家の人間は当たらないような細工が施されていた。しかし手違いにより、遠霧家の娘があたりを引いてしまう。 母親が強引にクジをやり直させた結果、別の娘があたりを引き、その娘の母親が再度のやり直しを求めるが、その訴えは無視され口封じのために母親は殺害される。さらに抗議に訪れた殺害された母親の一族郎党は根絶やしに。結局、二度目にあたりを引いた娘が人柱に捧げられ、龍石川の氾濫は収まる。だがその後、遠霧家に次々と不幸が出来。 根絶やしにした一族への供養を行うが、不幸の連鎖は収まらなかった。対処法を乞うため呼び寄せた修験者により、「遠霧家の娘に普通の人生を与えず、その生涯を社に閉じ込めて供養に当たらせろ」との手段が示される。これに従うと不幸が沈静化。以来、遠霧家では家長の娘を社に閉じ込めることがしきたりとなる。 その後の200年の間では、しきたりを破ったこともあったが、すると必ず遠霧家に不幸が発生。しかし遠霧家にもたらされた不幸は、その始まりから統治者への不満を抱えた遠霧郡の民草によるものだった。さらにいつからか、監禁された遠霧家の娘が14歳になると男たちによって乱暴狼藉の限りが尽くされるようになる。

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