あらすじ
第1巻
平凡な中学生だった望月冬夜は、神様の手違いによって死んでしまう。自分のミスで死なせてしまった事を悔やむ神様は、せめてもの償いとして異世界への転生と、その異世界で生きていけるように基礎的な能力の底上げを提案。それを受け入れた冬夜は、現世で使っていたスマートフォンを異世界でも使えるようにしてもらえるように頼み、スマートフォンと共に異世界へと転生する。早速衣服を仕立てる商人のザナック・エンフィールドに出会った冬夜は、自身の衣服を売って高額の資金を得る。さらに冬夜は、トラブルに巻き込まれているエルゼ・シルエスカとリンゼ・シルエスカの姉妹を助け、エルゼ達の提案で、仕事を斡旋してくれるギルドに登録するのだった。その後、冬夜達は請け負った仕事に向かう途中、襲撃されていたベルファスト王国の一団を助け、公爵令嬢のスゥシィ・エルネア・オルトリンデから、父親にしてベルファスト王国の王弟でもあるアルフレッド・エルネア・オルトリンデ公爵を紹介される。こうして公爵の家族を助けた事から、冬夜はベルファスト王国の後ろ盾を得る事となる。
第2巻
ギルドに登録した望月冬夜は、商人であるザナック・エンフィールドの依頼で手紙を届ける事になった。その道中で九重八重を仲間に加えた冬夜達は、八重の協力を得て無事に依頼を完了。八重はそのまま、自らもギルドに登録する事になった。その後、冬夜はエルゼ・シルエスカ、リンゼ・シルエスカの姉妹と共に新たな仕事を請け負う。その道中でベルファスト王国へと立ち寄った冬夜は、アルフレッド・エルネア・オルトリンデから、国王である兄のトリストウィン・エルネス・ベルファストが何者かに毒を盛られたと告げられる。冬夜の活躍によってトリストウィンは一命を取り留めるが、そこで隣国、ミスミド王国の大使が持ち込んだワインに毒物が仕込まれていた事が判明。これを受け、冬夜は誰がトリストウィンに毒を盛ったのか、犯人探しを開始する。
第3巻
ベルファスト王国の国王であるトリストウィン・エルネス・ベルファストが、毒を盛られた事件を見事に解決した望月冬夜は、トリストウィンの娘であるユミナ・エルネス・ベルファストから求婚される事となった。冬夜はその申し出を断るが、自身の命の恩人である冬夜の事を気に入ったトリストウィンの口添えもあり、ユミナを仲間に加える事となった。そんな中、召喚魔法を得意とするユミナの姿に触発された冬夜は、神の獣である白虎を召喚し、契約する事に成功する。琥珀と名付けられた白虎を従え、ギルドでの数々の依頼をこなしていく冬夜達は、ギルドの中でもその名前を上げていく。この異世界に転生させた神様はそんな冬夜の成長に目を細めるのだった。
第4巻
望月冬夜はこれまでの功績により、ベルファスト王国の国王であるトリストウィン・エルネス・ベルファストから爵位を与えられる事となった。貴族になる事を望まない冬夜はこれを辞退するが、トリストウィンはその代わりに、冬夜に家と土地を与える。こうして冬夜は自らの拠点を手にする事となった。そんなある日、冬夜はベルファスト王国の国王の弟であるアルフレッド・エルネア・オルトリンデから、ミスミド王国へ行ってほしいと依頼される。ベルファスト王国はミスミド王国と正式に同盟を結ぶ事となり、そのための大使を護衛するというのがその目的だった。これを受けた冬夜は、ベルファスト王国の護衛隊長を務めるリオン・ブリッツや、ミスミド王国の案内人であるオリガ・ストランドと共に、ミスミド王国に向けて旅立つ。
第5巻
無事にミスミド王国に到着した望月冬夜の一行は、無事に国王のジャムカ・ブラウ・ミスミドと謁見する。ジャムカは、白虎である琥珀を従える冬夜に興味を覚えて彼を模擬戦に誘い、そこで冬夜は新たな魔法を修得するのだった。その後、ジャムカの設けた宴席に参加した冬夜は、そこで妖精族の長と名乗るリーンと出会う。そしてリーンは冬夜に、魔法で倒す事ができない強力な魔物が出没している事を教え、その魔物を倒す鍵を握る土地へと向かうよう提案する。その土地とは、冬夜の仲間である九重八重の故郷でもあるイーシェンであった。
登場人物・キャラクター
望月 冬夜 (もちづき とうや)
神様の手違いで死亡してしまい、異世界へと転生した少年。神様のミスで死んでしまったため、望むものを与えてもらえるという事から、異世界でもスマートフォンを使えるようにしてもらった。望月冬夜が転生した異世界でも問題なく生きていけるように、神様によって基礎能力を底上げしてもらっており、格闘技術をはじめ数々の魔法を使いこなす事ができる。 自身と共に転生したスマートフォンを駆使して得た知識を活用しつつ、剣と魔法を駆使して活躍する。
エルゼ・シルエスカ (えるぜしるえすか)
望月冬夜が異世界に来た初日に出会った少女。双子の妹のリンゼ・シルエスカと共にギルドに登録し、人々からの依頼をこなして生計を立てている。妹のリンゼと共にトラブルに巻き込まれているところを冬夜に助けられ、それ以降は冬夜と行動を共にするようになった。魔法の力は強くないが、魔法の保護を受けている特殊な防具を身につけており、戦闘では直接的な打撃などを駆使して戦う。 勝ち気な性格であり、それが原因でトラブルを招いてしまう事も多い。
リンゼ・シルエスカ (りんぜしるえすか)
エルゼ・シルエスカの双子の妹。姉のエルゼと共に望月冬夜にトラブルに巻き込まれているところを助けられ、それ以降は冬夜と行動を共にするようになった。優れた魔法の力と資質を持っており、異世界に来たばかりの冬夜にこの世界における魔法の基礎を伝えた。戦闘では主に魔法を駆使して仲間達のサポートをする事が多い。勝ち気な性格の姉、エルゼとは対照的に、物静かな性格の持ち主。
九重 八重 (ここのえ やえ)
武者修行中の少女。東方にある国、イーシェンの出身であり、剣術の修行のために諸国を渡り歩いている。魔法の能力は低いものの、剣術の腕前に優れ、戦闘ではエルゼ・シルエスカと共に前線で戦う事が多い。食べる事がなによりも大好きで、つねに人一倍の食欲があり、空腹になると力が低下してしまう。
ユミナ・エルネス・ベルファスト (ゆみなえるねすべるふぁすと)
ベルファスト王国の姫。国王にして父親のトリストウィン・エルネス・ベルファストの命を救ってくれた望月冬夜に思いを寄せ、彼に求婚した。本質的に人の善悪を見抜く「魔眼」の持ち主であり、冬夜に惹かれたのは、彼がこれまでに出会った事がないほど純粋な人物である事を見抜いたためでもある。冬夜の心をつかむために仲間に加わり、戦闘では魔法の才能を活かしてリンゼ・シルエスカと共に後方支援を行う。
ザナック・エンフィールド (ざなっくえんふぃーるど)
商人の男性。異世界に転生した望月冬夜が初めて出会った人物であり、この世界には存在しない冬夜の衣服を高額で買い取った。本業は仕立て屋だが、そのほかにも郵便や貿易といったさまざまな商業を一手に担っており、商業の基本は信頼が第一というモットーを持っている。自分と同じく信頼が第一と考える冬夜を気に入り、ギルドに登録した冬夜にたびたび仕事を依頼する。
スゥシィ・エルネア・オルトリンデ (すぅしぃえるねあおるとりんで)
ベルファスト王国の公爵令嬢。国王の弟を父親に持つ貴族の娘で、好奇心旺盛な少女。旅の道中に襲撃されているところを望月冬夜とその仲間に助けられた事で彼らと出会う。スゥシィ・エルネア・オルトリンデの母親は長いあいだ目を患っていたが、冬夜による治癒の魔法で視力を取り戻した。名前が長い事もあり、周囲からは「スゥ」と呼ばれている。
アルフレッド・エルネア・オルトリンデ (あるふれっどえるねあおるとりんで)
ベルファスト王国の公爵で、スゥシィ・エルネア・オルトリンデの父親。国王を兄に持つ貴族であり、魔法をはじめとするさまざまな分野に対しての知識も深い。公爵であるという立場から命を狙われる事も多く、襲撃に巻き込まれているところを望月冬夜とその仲間に助けられた事から彼らと出会う。冬夜の事は将来的に娘の婿にと思っていたため、兄の娘であるユミナ・エルネス・ベルファストが冬夜に求婚したと聞いて残念がっていた。
トリストウィン・エルネス・ベルファスト (とりすとうぃんえるねすべるふぁすと)
ベルファスト王国の国王で、ユミナ・エルネス・ベルファストの父親。その権力の座を奪うために命を狙われる事も多く、毒を盛られた事もあったが、望月冬夜の活躍で事なきを得る。自身の命の恩人でもある冬夜の事を気に入り、娘であるユミナが冬夜に求婚した際には即座に承諾した。その後も冬夜に爵位を与えようとしたり、それを辞退されたら家と土地を贈呈したりと、冬夜のバックアップに尽力する。
リオン・ブリッツ (りおんぶりっつ)
ベルファスト王国の騎士団に所属する男性。ミスミド王国と同盟を結ぶために出発した大使の護衛隊長を務める。ベルファスト王国騎士団長が父親で、自身も相当な剣の腕を持つ。不器用ながら実直な性格の青年で、ミスミド王国のオリガ・ストランドに思いを寄せている。
オリガ・ストランド (おりがすとらんど)
ミスミド王国出身の少女。ベルファスト王国と交流するために訪問していた際に、国王のトリストウィン・エルネス・ベルファストに毒を盛ったという濡れ衣を着せられた。望月冬夜がトリストウィンの命を救い、さらに真犯人を見つけ出した事で冤罪が晴れ、以降は冬夜に信頼を寄せるようになる。リオン・ブリッツの自分に寄せる思いに気づいており、オリガ・ストランド自身もリオンに好感を抱いている。
ジャムカ・ブラウ・ミスミド (じゃむかぶらうみすみど)
ミスミド王国の国王の男性。獣人族の出身であり、亜人達の国であるミスミド王国を統一し、治めている。血気盛んな人物で、腕の立つ若者を前にすると腕試しをしたくなる癖があり、自身の前に現れた望月冬夜と試合を行う。国民からは大きな支持を得ており、大臣達からの信任も篤い。
リーン
妖精族の女性。ミスミド王国に身を寄せ、才能のある人物を見つけると、弟子としてスカウトする事を趣味としている。望月冬夜の持つ才能に目をつけ、自分の弟子になるように強要するが断られる。その後も冬夜を弟子にする事をあきらめず、たびたび冬夜の前に現れては弟子になるよう要求している。見た目は少女の容姿をしているが、実際は600年以上を生きており、底知れない魔力を持っている。
シャルロッテ
ベルファスト王国で魔法の研究を行っている女性。リーンからその才能を見出されて弟子となっているが、妖精族のリーンと違って人間。古代文字の解読に四苦八苦していたところを望月冬夜の協力で解読が一気に進んだ事で、なにかにつけて冬夜を頼りにするようになる。リーンの事は師匠としてその能力は認めつつも、不当な扱いを受ける事が多かったため、関係は良好とはいえない。
レネ
孤児の少女。ベルファスト王国でスリとして生きていたが、望月冬夜と知り合い、彼の家でメイドとして働く事になる。孤児として生きて来たため教養は少ないものの、持ち前の明るさと根気強さから、冬夜達にとってのムードメーカーへと成長していく。
神様 (かみさま)
文字通りの「神様」。望月冬夜を転生させた存在。冬夜を自身の手違いで死なせてしまったため、せめてもの償いとして基本能力を底上げした状態で冬夜を異世界へと転生させた。その後も冬夜の事をなにかと気にかけ、異世界で無事に生活できているかどうかをたびたび確認している。
琥珀 (こはく)
望月冬夜によって召喚され、主従関係の契約をした神獣。冬夜の持つ魔力の高さに心酔し、つねに冬夜と共に過ごす事を選んだ。ふだんは小さな虎の姿をしているが、必要に応じて精悍な白虎の姿へと変身し、冬夜の活動をサポートする。冬夜よりも長く生きているため博学であり、知識面から冬夜をサポートする事も多い。
場所
ベルファスト王国 (べるふぁすとおうこく)
異世界の王国の一つ。望月冬夜が転生した地。トリストウィン・エルネス・ベルファストが王として統治しており、農業や工業などさまざまな産業が盛ん。隣国のミスミド王国をはじめ、ほかの国とも良好な関係を築いており、各国との貿易で栄えている。
ミスミド王国 (みすみどおうこく)
異世界の王国の一つ。獣人族や妖精族といった「亜人」達の国家であり、ジャムカ・ブラウ・ミスミドが王として統治している。多民族国家でありながら、ジャムカの高いカリスマ性から民族間の諍いなどもなく、国内は至って平和。その反面、亜人達の国家である事から、ベルファスト王国以外の周辺国からはやや排他的な目で見られている。
イーシェン
異世界の東方にあるとされる土地。望月冬夜が転生前に暮らしていた日本に近い文化と風習を持っている。名前に「漢字」が使われていたり、「イーシェンの武器」として日本刀が伝えられるなど、冬夜にとって最も馴染みの深い場所となっている。
その他キーワード
ギルド
望月冬夜の転生した異世界で仕事を斡旋してくれる場所。町の至るところに存在する。利用者はこのギルドに登録し、ギルドで紹介されるさまざまな仕事をこなして報酬を受け取る。仕事の内容は魔物の討伐から手紙の配達まで幅広く、利用者は自身のスキルと相談して仕事を請け負う。
スマートフォン
望月冬夜が転生前に使っていたスマートフォンを、神様の力で異世界への転生後も利用できるようにしたもの。異世界ではマップを出して道を調べたり、翻訳といった使い方のほか、冬夜の魔力をスマートフォンを介して飛ばし、遠い場所にいる敵を攻撃する事もできる。ちなみに、インターネットのような感覚で転生前の世界の情報を閲覧する事も可能だが、掲示板への書き込みやSNSなどの能動的な干渉はできなくなっている。
クレジット
- 原作
-
冬原 パトラ
- キャラクター原案
-
兎塚 エイジ
書誌情報
異世界はスマートフォンとともに。 15巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉
第1巻
(2017-06-24発行、 978-4041057698)
第2巻
(2017-07-24発行、 978-4041061008)
第3巻
(2018-02-26発行、 978-4041065471)
第4巻
(2018-05-25発行、 978-4041071656)
第5巻
(2018-11-24発行、 978-4041077191)
第6巻
(2019-05-24発行、 978-4041082287)
第7巻
(2020-01-23発行、 978-4041090343)
第8巻
(2020-05-26発行、 978-4041094402)
第9巻
(2020-11-25発行、 978-4041094419)
第10巻
(2021-05-26発行、 978-4041113516)
第11巻
(2021-12-25発行、 978-4041120125)
第12巻
(2022-07-26発行、 978-4041126981)
第13巻
(2023-03-25発行、 978-4041126998)
第14巻
(2023-10-26発行、 978-4041143544)
第15巻
(2024-07-25発行、 978-4041152126)