転生したら島耕作だった件

転生したら島耕作だった件

川上泰樹の『転生したらスライムだった件』と、弘兼憲史の「島耕作」シリーズのクロスオーバー作品。『転生したらスライムだった件』の三上悟が、もしスライムではなく島耕作に転生したらというIFコメディ。「イブニング」2019年7号、9号に掲載された作品。本作『転生したら島耕作だった件』の基となった『課長 島耕作』第5話と第6話、『転生したらスライムだった件』第1話も収録されている。

正式名称
転生したら島耕作だった件
ふりがな
てんせいしたらしまこうさくだったけん
原作者
伏瀬
漫画
作者
ジャンル
転生
レーベル
イブニングKC(講談社)
関連商品
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あらすじ

サラリーマンとして働きながら、日常に特に不満もなく生活を送っていた三上悟は、後輩社員の田村から、同じ会社のマドンナ的な存在である沢渡美穂との結婚の相談を受ける。悟は恋愛に縁がなく最初は煩わしく思っていたが、後輩として憎めない田村を素直に祝福しようと適当な店に移動していた。すると、そこに包丁を持った通り魔が出現し、悟は田村をかばって刺され、大量の血を流して倒れてしまう。死を覚悟した悟は、涙ながらに呼びかけてくる田村に、自分のパソコンを浴槽に沈めてデータの完全消去を頼むのだった。しかし悟は、遠のく意識の中で「島さん」と呼びかけられ、見知らぬオフィスで目を覚ます。部下と思われる男性から決裁をせまられて我に返った悟は、席を外しトイレに向かう。そこで鏡を覗(のぞ)き込んだ悟は、自分が「島耕作」シリーズの主人公である島耕作になっていることを知る。幸い、「島耕作」シリーズを全巻読了済みだった悟は、お茶を持ってきた鳥海赫子からホテルに誘われるメモを受け取り、現在が『課長 島耕作』の1984年頃だと推察。夜になり、赫子とホテルに入った悟は童貞を捨てるチャンスに興奮するも、セックスのやり方がわからず、仮病を使ってその日はセックスを断念。翌日、悟は福田敬三から、自社の情報がソナー電機に漏洩(ろうえい)している件について詰問される。そんな中、探偵の木暮久作から犯人の赫子が会社から問い質(ただ)された場合、耕作との関係まで自白してしまう可能性があるため、早期に赫子を言いくるめるべきだとアドバイスされる。久作は女の扱いがうまい耕作ならば、簡単に赫子を説き伏せるだろうと考えていたのだ。しかし37年間童貞だった悟には、耕作のようにトントン拍子に出世するどころか、いきなり無職になる危機に晒(さら)されてしまう。(エピソード「転生したら島耕作だった件」)

登場人物・キャラクター

三上 悟 (みかみ さとる)

大学卒業後、大手ゼネコンに勤務する男性。年齢は37歳。歳の離れた兄が両親を養っているため、気ままな一人暮らしを満喫している。これまでの人生は恋愛に縁がなく、いまだに童貞である。後輩の田村に沢渡美穂との結婚の相談を受けるために待ち合わせた際、通り魔から田村をかばって刺し殺されてしまう。本来、『転生したらスライムだった件』では異世界に転生して「リムル=テンペスト」となり、暴風竜ヴェルドラから同格と見なされ同化するはずだったが、1984年頃の「島耕作」シリーズ『課長 島耕作』の島耕作として転生することとなった。なお、三上悟自身は「島耕作」シリーズは転生前に全巻読了している。ちなみに耕作は、1974年9月9日生まれで年齢は悟と同じく37歳。山口県岩国市出身で早稲田大学第一法学部卒業後、大手電機メーカー初芝電産に入社し、販売助成部宣伝課課長となった。妻の島怜子、娘の島奈美と三人で暮らしている。鳥海赫子と不倫関係にあり、悟が転生する以前にベッドの上で初芝電産の新企画の情報を漏らしてしまった。

鳥海 赫子 (とりうみ かくこ)

初芝電産に10年間勤務している女性。経理部の出納係に所属している。一見地味に見えるため、社内では浮気相手に最適だと噂(うわさ)されている。島耕作(三上悟)と不倫関係にあり、ベッドの上で耕作から新企画の内容を聞き出し、同じく不倫関係にある印刷会社の専務と共にライバル会社のソナー電機に情報を流している。600万円の定期預金を持っているらしい。

福田 敬三 (ふくだ けいぞう)

初芝電産で部長を務める中年男性。島耕作(三上悟)の直属の上司でもある。社内でもやり手として知られ、耕作を派閥に引き入れようとするなど、出世願望が非常に強い。

木暮 久作 (こぐれ きゅうさく)

アーバンリサーチ社で探偵を務める男性。島耕作(三上悟)の学生時代からの友人。角刈りで揉(も)み上げからつながった顎髭(あごひげ)を生やしている。周囲からは「グレさん」という愛称で呼ばれている。公私にわたって幾度となく耕作のピンチを救い、信頼されている。

島 怜子 (しま れいこ)

島耕作(三上悟)の妻。きつい印象の外見と勝ち気な性格で、ショートヘアにしている。耕作の大学時代の後輩で、もともと結婚に興味がなかった耕作に対し、外堀を埋めて結婚に持ち込んだ策士。悟が転生した頃には耕作との夫婦仲はすでに微妙なものとなっており、のちに離婚することとなる。

島 奈美 (しま なみ)

島耕作(三上悟)の一人娘。二つ結びにしている。悟が転生した頃はまだ子供で、耕作には自らの誕生日プレゼントにリカちゃん人形をリクエストしている。耕作は団塊世代のため家庭より仕事を優先しがちだが、親子仲は良好。のちに両親が離婚し、波瀾(はらん)万丈な人生を歩むこととなる。

暴風竜ヴェルドラ (ぼうふうりゅうゔぇるどら)

『転生したらスライムだった件』において、三上悟が異世界に「リムル=テンペスト」として転生した際、転生先の洞窟に封印されていたドラゴン。世界に4体しかいない「竜種」のうちの1体である。巨大な体軀といかつい外見に似合わず、人間好きかつ親切でおしゃべり。天災級のモンスターとして扱われ、300年前に勇者のユニークスキル「絶対牢獄」により封印されて以来、洞窟の最奥部から動けなくなり、現在ではヒマを持て余している。絶対牢獄のせいで本来使えるスキルまで封印されていたが、リムルに捕食されてリムルと同化し、のちにスキルも解放された。捕食され同化する際に、同格と表現するためリムルと同様に自らにも「テンペスト」と名づけ、呼称が「ヴェルドラ=テンペスト」となった。

クレジット

原作

伏瀬

キャラクター原案

みっつばー

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島耕作シリーズ (しまこうさくしりーず)

大手電機メーカー初芝電器産業に務める島耕作が課長から社長へと昇進して活躍する約30年間を描いた弘兼憲史の代表的シリーズ作品。初期はサラリーマンの悲哀、オフィスラブを中心にした物語だったが、出世するにつ... 関連ページ:島耕作シリーズ

転生したらスライムだった件 (てんせいしたらすらいむだったけん)

伏瀬の同名小説のコミカライズ作品。異世界に強大な力を持ったスライムとして生まれ変わったリムル=テンペストが、多くの種族やモンスター達を引き従えて、自らの国家「ジュラ・テンペスト連邦国」を樹立、運営して... 関連ページ:転生したらスライムだった件

書誌情報

転生したら島耕作だった件 講談社〈イブニングKC〉

(2019-07-09発行、 978-4065168349)

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