トゥーナとティメリアの覇権争奪戦
かつて、正義の国家「トゥーナ」と侵略国家「ティメリア」のあいだで、多くの国を巻き込む戦争が勃発した。この戦争でトゥーナの英雄、ジャックは、絶大な魔力を秘めた数本の聖剣を振るったと伝えられる。しかし、ジャックはティメリアの賢王、カーリガとの激闘の末に相討ちとなり、彼の死と共に聖剣もまた姿を消してしまう。そして現代。永らく行方不明だった聖剣が発見され、さらに、ジャックにしか扱えないはずのその剣を使いこなす者たちが現れる。聖剣を巡り、トゥーナとティメリアは世界の覇権を賭け、再び熾烈な争奪戦を繰り広げることになる。
シリアスとユーモアの絶妙な融合
本作は、過酷な戦争をテーマにしつつ、個性豊かなキャラクターたちが織りなすユーモラスなやり取りが大きな魅力となっている。戦争の非情さを描く重厚な物語の中で、こうしたコミカルなシーンが絶妙なスパイスとして機能し、重苦しくなりがちな物語に緩急を生み出している。
交錯する過去と秘密、二人の運命
トゥーナの傭兵、ゼティは、ティメリアによって滅ぼされたスクイド王国の姫君、イアイージュと出会う。彼女の祖国再興の願いを叶えるため、ゼティはトゥーナの正式な騎士となり、かつてのスクイド王国の一部である土地を領地として得るべく奮闘を始める。しかし、騎士としての初任務で、彼女は忌まわしい過去と向き合うことになる。それは、ゼティが「白雷の騎士」と呼ばれていた頃に自ら滅ぼした一族の唯一の生き残りとの出会いだった。一方、イアイージュもまた、ゼティには明かせない重大な秘密を抱えていた。互いの過去と秘密が交錯し、物語は予測不可能な展開を迎える。
登場人物・キャラクター
ゼティ
かつてティメリアによって滅ぼされたクトプス王国の数少ない生き残りの女性。本名は「ゼティア」。クトプス王国の精鋭騎士「白雷の騎士」として知られ、「氷の眼」という異名を持つ。毛先近くで一つに束ねた長い白髪が特徴。祖国を失ったあと、ヘリングロウ国で盗賊として生計を立てていたが、衛兵の給金を運ぶ馬車を襲撃した際に捕らえられてしまう。しかし、すぐに牢獄から脱出し、トゥーナ国の第六騎士団長のレスターに雇われ、トゥーナの傭兵として活動を始めた。俊敏な動きと優れた頭脳を駆使し、熟練の騎士たちとも対等に渡り合う実力を誇る。しかし、目的のためには卑怯な戦術も辞さず、仲間を平気で裏切る冷酷さも併せ持つ。そのため、レスターによって反逆者用のベルトを装着されており、彼に逆らおうとするとベルトが体をきつく締め上げ、激しい苦痛を味わうことになる。
レスター
トゥーナ国の第六騎士団長を務める男性。ティメリアとトゥーナの国境戦争での活躍により、その名は敵国のティメリアにも広く知れ渡っている。ティメリアの動向監視という表向きの任務の裏で、トゥーナ王からの密命も帯びている。また、伝説の聖剣「片腕」の使い手に選ばれてからは、その重要性ゆえに現場から遠ざけられつつある。身分を隠して行動する際には「ヘクター」という偽名を使っている。人と話す際には腕を組み、猫背になる癖がある。
書誌情報
白雷の騎士 5巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックスONLINE〉
第1巻
(2020-07-10発行、978-4757567535)
第5巻
(2022-11-11発行、978-4757582552)







