概要・あらすじ
飯嶋律は亡くなった祖父・蝸牛(飯嶋伶)譲りの霊感を持ち、日常的に妖怪や幽霊が見える。同じく霊感のある従姉の飯嶋司・広瀬晶と共に、何度も不可思議な出来事に巻き込まれる。しかし妖魔に対応する法力などは無いため、式神の青嵐や、叔父の霊能力者]・飯嶋開の力を借りるが、それぞれの思惑が絡んで事態は思わぬ方向へ進む。
登場人物・キャラクター
飯嶋 律 (いいじま りつ)
黒髪の気弱そうな若者。初登場時は16歳。物腰は柔らかいが、容易に人に本心を見せない。一浪した後、恵明大学に入学し、民俗学を専攻する。生まれつき強い霊感を持ち、幽霊や妖怪が見え、会話をすることができる。しかし対応する術がなく、父、飯嶋孝弘の遺体に住みついた式神・青嵐や、尾白・尾黒達の助けを借りながらなんとか生活している。 亡くなった祖父・蝸牛(飯島伶)の命によって幼い頃は女の子の格好をしていた。3歳年上の従姉で、同じく霊能力を持つ飯嶋司は姉のような存在だが、同時に恋愛にも似た感情も持っている。
飯嶋 伶 (いいじま りょう)
眼鏡をかけた白髪の男性。飯嶋律の祖父。本編では既に死亡しているため飯嶋律達の回想などで登場する。存命中は小説家で、「飯嶋蝸牛」というペンネームで幻想小説を発表していた。青嵐など妖怪からは蝸牛と呼ばれる。強い霊感を持ち、独学で修練を重ねて法術を身に着けた。
青嵐 (あおあらし)
『百鬼夜行抄』に登場する妖怪。長髪で着物姿の男性、または龍の姿で現れる。普段は飯嶋律の父親、飯嶋孝弘の遺体に住みつき、飯嶋家の家族として振る舞っている。かつて飯嶋律の祖父・蝸牛(飯島伶)の命令によって、飯嶋律の生命を守護している。だが契約では守るだけと言い、飯嶋律の願いに応じて対応することはあまりしない。 妖怪を食料とするが、飯嶋孝弘の姿をしているときは、人間の食事も食べる。
飯嶋 司 (いいじま つかさ)
黒髪を肩まで伸ばした女性。飯嶋律の従姉。飯嶋律より3歳年上で、現在大学生。1年留年している。飯嶋律同様、祖父・蝸牛(飯嶋伶)譲りの霊感を持ち、憑依されやすい。酒好きで、宴会好きの使い魔・尾白と尾黒の酒の相手をつとめ、「姫」と慕われている。飯嶋律の母・飯嶋絹と祖母・飯嶋八重子からは、飯嶋律の嫁にと望まれているが、父飯嶋覚には猛反対されている。
尾白 (おじろ)
『百鬼夜行抄』に登場する妖怪。鳥が山伏の装束を着た姿をしている。前世は尾黒と双子の兄妹で妹にあたるが、仲はあまり良くない。尾黒と共に飯嶋律の使い魔をつとめている。酒豪の飯嶋司を「姫」と呼んで慕っている。人間にも化けるが、日本髪を結った姿で目立つため、飯嶋律からは敬遠されている。
尾黒 (おぐろ)
『百鬼夜行抄』に登場する妖怪。鳥が山伏の装束を着た姿をしている。前世は尾黒と双子の兄妹で兄にあたる。飯嶋律の使い魔で、若い人間の男性の姿に化けることができるため、単独で彼のお供を勤めることが多い。道案内の際には「も」と筆でかかれたもののけ提灯を用いて、もののけ道を通る。飯嶋開の従者として働くことも多い。
飯嶋 絹 (いいじま きぬ)
和服姿の女性。飯嶋律の母で、蝸牛(飯嶋伶)の三女。長男・飯嶋覚が家を出たため、飯嶋孝弘を婿にとって家を継いだ。母・飯嶋八重子と共に、茶道・着付けの教室を開いて生計を立てている。霊能者だった父・蝸牛(飯嶋伶)の血をひくためか、勘が鋭い。
飯嶋 八重子 (いいじま やえこ)
白髪の老年の女性。飯嶋律、飯嶋司、広瀬晶の祖母で、蝸牛(飯嶋伶)の妻。霊感は全く無い。家に度々起こる不可思議な現象を訝しがりつつも、あまり動じない。
広瀬 晶 (ひろせ あきら)
ウェーブのかかった長い黒髪の女性。のちにショートヘアーになる。飯嶋律の7歳年上の従姉。初登場時は25歳。明るく社交的な性格。恵明大学を卒業後、一旦就職してから大学院生となり民俗学を専攻している。恵明大学に入学した飯嶋律と同じ民俗学を専攻している。霊感が強く、「恵明大のシャーマン女」と呼ばれたこともある。 円照寺の寺男をしていた石田三郎に魅かれ、のちに交際するようになる。
石田 三郎 (いしだ さぶろう)
長髪を後ろで束ねた男性。大昔に生きた職人だったが、自らが作った箱庭に石となって取り込まれていた。飯嶋律と式神・青嵐によって蘇ったが、石だった時に青嵐から「石」と書かれ、その字が額から消えないため、普段はバンダナを巻いている。円照寺の住職から名前を与えられ、植木職人として働いている。 広瀬晶と交際するようになった。
飯嶋 開 (いいじま かい)
40代半ばの男性。飯嶋律の叔父で顔立ちが似ているが、冷然とした雰囲気を持っている。父・蝸牛(飯嶋伶)から勘当された後、26年間行方不明になっていたが、飯嶋律の手助けで戻る。強力な霊能力を持ち、式神達を操ることができる。飯嶋律に手助けをする一方で、霊能力を野心的に利用しようとする。
飯嶋 覚 (いいじま さとる)
眼鏡をかけた中年の男性。飯嶋律の伯父で飯嶋司の父。父・蝸牛(飯嶋伶)譲りの霊感で不可思議なものが見えるが意図的に避け、家を「バケモノ屋敷」と呼んで毛嫌いしている。
鬼灯 (きちょう)
『百鬼夜行抄』に登場する妖怪。薄笑いを浮かべた赤い髪の青年の姿をしている。飯嶋律の祖父・蝸牛(飯島伶)が若い頃に出会い、以後付きまとうようになる。蝸牛と知り合った頃は赤間と名乗っていた。また、鬼灯は妖怪だと知った蝸牛(飯島伶)が名付けた。飯嶋司を苦手としている。
円照寺の住職 (えんしょうじのじゅうしょく)
中年の僧侶。飯嶋律の妖怪絡みの相談相手。法力を持っているが、インチキ臭い言動をする。箱庭から蘇った石田三郎を寺男として置いている。
書誌情報
百鬼夜行抄 31巻 朝日新聞出版〈Nemuki+コミックス〉
第30巻
(2022-10-20発行、 978-4022143471)
第31巻
(2024-04-05発行、 978-4022143938)