あらすじ
第1巻
川原夏樹は、知人のカメラマンといっしょに町を歩いていたところ、偶然に出会った眼鏡橋華子に眼鏡画廊を紹介され、その足で店を訪れる。そこで知人のカメラマンは、4万円を超える価格ながら納得のいく眼鏡を選んでもらい、大いに満足して店をあとにする。一方、華子に興味を抱いた夏樹は、その素性を問い質そうとするが、軽くかわされてしまう。(第1話「王様のメガネ」)
夏樹が「眼鏡画廊」で華子と話をしていると、ごく普通の眼鏡を求めて、ごく普通の青年が店にやって来る。華子は眼鏡が原因の頭痛に悩まされているというその青年のため、眼鏡をセレクトする。(第2話「普通のメガネ」)
夏樹のかつての同僚で、現在は芸能系記事を手がける編集者の若い女性が、「眼鏡画廊」に訪れた。彼女は、フレームからレンズを外す事のできる軽量な眼鏡を購入したのち、自分のかかわっている不倫関係をさっぱりと清算するため、相手のもとへと向かうのだった。(第3話「健気のメガネ」)
ある日、街で見掛けた5歳の子供が、近眼のせいで社会不適応状態にある事に気づいた華子は、眼科の受診を勧める。結果、その子には弱視があった事が判明。華子は、「眼鏡画廊」で子供向けのフレームを紹介する。(第4話「こどものメガネ」)
いつものように夏樹が「眼鏡画廊」にいると、中年の男性客が非常に奇抜なデザインの眼鏡を買っていった。あとになって夏樹は、その男性が、自身が子供の頃にあこがれていた変身ヒーローのスーツアクターだった事に気づく。(第5話「変身のメガネ」)
ある日、夏樹は、顔に涙の痕のある華子が、何やら大量の荷物を持って出かけて行く姿を見掛けた。興味を抱いた夏樹は、タクシーを拾って彼女のあとを追う。やがてたどり着いた先は上野の寺で、華子はそこに古い眼鏡の供養をするために訪れた事が判明する。(第6話「泣けるメガネ」)
登場人物・キャラクター
眼鏡橋 華子 (めがねばし はなこ)
21歳の大学生の女性。眼鏡橋華子が「あの方」とのみ呼んでいる素性不明のオーナーから眼鏡画廊の店主を任せられており、普段は大学に通っているのだが、休日や授業のない日には店に立っている。重度の眼鏡マニアであり、「人々にもっと相応しい眼鏡をかけてもらう事」を自らの生き甲斐と定めている。華子自身も眼鏡の愛用者で、しかも川原夏樹が見かけるたびにいつも違う眼鏡を使っている。
川原 夏樹 (かわら なつき)
出版社に勤務する雑誌編集者の青年。ひょんな事から眼鏡橋華子に出会い、雑誌記事の取材対象として追ううちに、華子に個人的な好意を抱くようになっていく。以降は、ほかの編集者などに華子を紹介する事を渋るようになる。川原夏樹自身は裸眼視力が2.0あり、眼鏡はかけていない。
場所
眼鏡画廊 (めがねがろう)
銀座の一等地に店を構える眼鏡専門店。眼鏡橋華子が店主にしてただ一人の従業員でもある。そのため大学が休みの日など、華子の手が空いた時しか店は開いていない。品揃えはマニアックで高級品も多いが、一番安いフレームで7000円と、それなりにリーズナブルな商品も扱っている。