あらすじ
第1巻
深夜の仕事を終えた源さんはアンちゃんに声を掛け、撤収の準備に入る。その際、朝食を食べてから寝ようと口にした源さんに対し、アンちゃんは何を食べるのかと尋ねる。それに源さんは、朝食は断然トーストに決まっていると答え、そこから二人はバターは焼く前にぬるか焼いてからぬるか、焼くのにはオーブンを使うかポップアップトースターを使うか、そもそもパンの厚さは何枚切りかと、それぞれの思い入れを熱く語り始める。そんな二人の前に、おしゃれなものが好きな苦学生が姿を現す。(エピソード「男のトースト談義」。ほか、22エピソード収録)
第2巻
仕事終わりの車中、日が出たら暑くなりそうな気配を感じた源さんとアンちゃんは、そんな日に食べるのに最適なものとして、そうめんと冷や麦について語り始める。そして、冷や麦の麵の太さに端を発し、話はうどん、そしてそばへと派生し、乾麵全域にわたる話になっていく。話は続き、二人がわさびや七味唐辛子を使ったおいしい麵の食べ方を議論していると、そこに仮眠から目を覚ました苦学生が参加。シンプルな食材だけに、さすがの苦学生もシャレた食べ方はしないだろうというアンちゃんに対し、苦学生は「食べるラー油」を使った乾麵の食べ方を提案する。(エピソード「男の乾麵談義」。ほか、20エピソード収録)
登場人物・キャラクター
源さん (げんさん)
清掃会社の仕上げ班で働く男性で、年齢は50代後半。角刈りで、いつも白いキャップをかぶっている。アンちゃんや苦学生らをまとめる、仕上げ班のリーダー的な存在。明るくざっくばらんな性格の気のいいおじさんで、自分の好きなことはゆずらない頑固さはあるものの、人の意見もしっかりと聞き入れる柔軟性も併せ持つ。また、仕事を円滑に進めるために作業中の適度な雑談を推奨するなど革新的な考え方も持ち、その懐の深さからほかの班員にも慕われている。秋田出身で、かつては広告代理店のサラリーマンとしてバリバリ働いていたこともあり、昔ながらの醬油ラーメンなど、昭和の香り漂う定番の食べ物に思い入れが強い。また、これまでの人生経験から、食文化をはじめとした歴史や雑学にも造詣が深い。宵越しの銭は持たない主義で、パチンコや競輪が大好き。
アンちゃん
清掃会社の源さんと同じ仕上げ班で働く男性で、年齢は30代半ば。黒髪のショートヘアで、前髪をツンツンと尖らせている。本名は「大介」だが、源さんには「アンちゃん」と呼ばれている。長崎出身で、夢を抱いて上京したものの、アルバイト生活に流されるままの日々を送っている。豚骨ラーメンやうどんなど、九州由来の食べ物に思い入れが強い。ビールが好き。
苦学生 (くがくせい)
清掃会社の源さんと同じ仕上げ班で働く男性で、年齢は20代。茶髪で、長い前髪をきれいにセンター分けに整えている。かつて「阿佐ヶ谷のジミヘン」を名乗るメンバーが辞めたことに伴い、補充要員として源さんの仕上げ班にやってきたという経緯がある。自己紹介時に横やりが入ったことで誰も本名を知らないが、大学の学費を稼ぐために入社したという話だけは伝わっていたため、源さんたちからは「苦学生」と呼ばれている。ほかに「若者」と呼ばれることもある。北海道出身で、朝食に食べるパンならフレンチトースト、スパイスといえば真っ先にシナモンと答えるなど、源さんやアンちゃんから見ると新しいものやおしゃれなものが好き。
マサ
清掃会社の源さんと同じ仕上げ班で働く男性で、年齢は20代。前髪を上げた黒い短髪で、眼鏡を掛けている。高校卒業後、18歳の時に入社し、源さんの仕上げ班に編入された。本名は「祐天寺正彦」だが、源さんたちには「マサ」と呼ばれている。マイペースな性格で、源さんら三人のロマンあふれる食談義に身も蓋もない突っ込みを入れたりと、少々融通のきかない現代っ子らしさを見せることもある。実家暮らしで年が若く社会経験も少ないため、食に関する知識はそれほど深くはなく、また食への思い入れもあまりない。一方で、両親が共働きだったことから日々の食事によくコンビニを利用しており、コンビニの食品には詳しい。「中目黒こよみ」というかわいらしい彼女がいるが、こよみに強く止められていることもあって、カップラーメンなどのジャンクな味に飢えている。