社畜と幽霊

社畜と幽霊

残業が続き、自身を「社畜」と自嘲するサラリーマンと、そんなサラリーマンに気づいてほしい幽霊との不思議なかかわりを描いたホラーコメディ。深夜遅くまで残業しなければならない現実の前には、幽霊の引き起こす超常現象は何の意味もないという、サラリーマンの姿が描かれている。集英社「となりのヤングジャンプ」2016年5月から2018年1月にかけて連載された。

正式名称
社畜と幽霊
ふりがな
しゃちくとゆうれい
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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あらすじ

第1巻

ある日の深夜、サラリーマンの背山透は、残業中に不思議な現象に遭遇する。勝手に棚から落ちるファイル、入力した覚えのないパソコンの文字、誰もいないのに開くドア。この事態に背山は、後輩社員の原田崇が、このビルには幽霊が出ると話していた事を思い出す。そして実際に、背山の目の前に長い髪の少女の幽霊が現れる。しかし、仕事を早く終わらせたい背山は、幽霊にはかまっていられないと業務に没頭する。なかば無視される形となった幽霊は、あの手この手で背山に気づいてもらおうとして、果ては背山の家にまでついて来てしまう。こうして、残業の連続で極力面倒事にはかかわりたくない背山と、彼の興味を引きたい幽霊の奇妙な共同生活が始まった。

第2巻

背山透幽霊に妨害されつつも、これまで通り残業をこなす日々を過ごしていた。そんなある日、背山は通勤途中に立ち寄った店で、セブンティーン妹子という占い師に出会う。背山に取り憑いている幽霊の姿が見えるという妹子に、なんとか除霊できないものかと相談する背山だったが、妹子はあくまでも「見える」だけであり、除霊はできないと答える。そして、背山に取り憑いている幽霊に対して性的な興味を抱く妹子は、その後も幽霊に会うために、たびたび背山の会社を訪れるようになる。そんな中、いつものように残業を続ける背山の前に別の幽霊が現れる。外国人の少女の幽霊である事から、便宜上彼女の事を「ゴースト」と呼ぶ事にした背山だったが、幽霊とゴーストとのあいだで縄張り争いが勃発。こうして背山は、さらなる苦悩を抱える事となってしまう。

第3巻

ある日、背山透仮屋糸という女子小学生に呼び止められる。彼女は弱いながらも霊感があり、背山に取り憑いている幽霊の姿が見えるのだという。糸もセブンティーン妹子と似たようなものだろうと考える背山だったが、予想に反して糸は「退魔の呪文」を唱え始める。だが、それは糸が自分で考え出した呪文であり、結局まったく効果はなく、余計な時間を使ってしまった背山は会社へと急ぐ。それからしばらくして、背山の会社が入っていたビルが、老朽化のため取り壊される事となってしまう。会社では移転のための引っ越し準備が進められるが、それは背山と幽霊の別れを意味していた。

登場人物・キャラクター

背山 透 (せやま とおる)

とある会社に勤めるサラリーマンの男性。年齢は28歳。会社の近くにあるアパートで一人暮らしをしている。勤務先ではほぼ日常的に深夜まで残業を行っており、つねに寝不足なため普段の業務でも機嫌が悪い。ある日、残業中に幽霊と出会って超常現象に驚くものの、多くの仕事を抱え過ぎて幽霊どころではなく、基本的に無視している。幼い頃から幽霊らしきものが見えており、背山透本人には自覚はないものの、霊感はかなり強い。

幽霊 (ゆうれい)

背山透の勤める会社に出没する少女の幽霊。本名はおろか、生前どこでどのような暮らしをしていたのか、なぜ幽霊となってしまったのかも、忘れている。言葉を発する事はないが、笑ったり怒ったりと表情豊かなため、背山とは十分に意思表示ができる。背山の事を気に入り、なんとか自分の存在に気づいてもらおうと、パソコンに大量に「呪」の文字を出すなど、さまざまな超常現象を起こす。 背山にはその存在に気づいてもらっているものの、残業で忙しい背山からは、まともに相手にされていない。

原田 崇 (はらだ たかし)

背山透の後輩の男性。背山と同じく深夜まで残業をこなす日々を過ごしている。背山に最初に幽霊が出る情報を教えたものの、本人はまったく幽霊の存在に気づいていない。霊感はないものの憑依されやすい体質らしく、狸の幽霊によく取り憑かれている。普段は業務処理能力は決して高いとはいえないものの、狸に取り憑かれた場合のみ突如として優秀になる。

神原 陽 (かんばら よう)

背山透とかつて付き合っていた女性。背山と別れた今でも彼の事を気にかけており、未練を残している。鎧武者の姿をした強力な守護霊によって守られており、ほかの悪霊などを寄せつけない。背山に取り憑いた幽霊は、つねにこの守護霊によって威嚇されているが、神原陽本人はもちろんその事に気づいていない。

セブンティーン妹子 (せぶんてぃーんいもこ)

自称占い師の男性。本名不明で、占い師としての仕事以外にも、ビルの清掃のアルバイトをしている。背山透に取り憑いた幽霊の姿を見る事ができるものの、除霊する事はできず、むしろ性的な目線で見ているため、幽霊からは逆に嫌悪されている。

ゴースト

背山透の働く会社に現れた別の幽霊。海外の少女の幽霊である事から、既に背山に取り憑いている幽霊と区別する意味で、背山はゴーストと呼んでいる。背山はゴーストの存在を認識し、姿も見えるものの、ゴーストの話す言葉が英語であるため、会話によるコミュニケーションはできない。つねに古びたクマのぬいぐるみを持っている。

仮屋 糸 (かりや いと)

霊感の強い女子小学生。他人には見えないものが見えるため、周囲からは変人扱いされており、学校でも友達がいない。背山透に取り憑いた幽霊の姿も見る事ができる。背山を救おうと、自身が考えた退魔の呪文で除霊しようとしたものの失敗。これを理由に、幽霊に対して一方的にライバル視している。

(たぬき)

幽霊が連れて来た動物霊。狸の姿をしている。基本的に幽霊と行動を共にする事が多いものの、決してペットというわけではなく、むしろ上下関係は狸の方が上だと思っており、幽霊の体によく嚙みついている。背山透の後輩の原田崇に取り憑いて仕事をこなす事もあり、その際にはかなり優秀な仕事ぶりを見せる。

(きつね)

背山透の働く会社に現れた動物霊。狐の姿をしており、関西弁でしゃべる。背山の会社を縄張りにしようと目論み、幽霊や狸と対立するが、背山によって追い払われる。その後も何度か背山達の前に現れるが、会社の入っていたビルそのものが解体される事になり、姿を消す。

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