概要・あらすじ
私立荒磯高校には変わった校則が定められている。それは校則第五条「生徒会執行部の執行部腕章を所持する者には、何人たりとも彼らの行動を侵してはならない」というものであった。転校生の桂木和美は、その校則を知らずに久保田誠人と時任稔が違反した生徒に制裁を加えているところを目撃し、止めに入るのだった。
登場人物・キャラクター
久保田 誠人 (くぼた まこと)
タレ目に分厚いメガネをかけた、長身の男子高校生。生徒会執行部の一員で、自称「ラブリー久保田」。時任稔とよくつるんでいることから、女子からはホモの疑いがかけられ、よく漫研の女子にネタにされているが、本人たちは否定している。基本的に暴力は嫌いと公言しているが、敵対する生徒には容赦しない。中学の頃は松本隆久とつるんで生徒会執行部に所属し、松本に借りがあるため、彼の指示には素直に従う。
時任 稔 (ときとう みのる)
世界で自分が一番かっこいいと思っているナルシストの男子高校生で、生徒会執行部の一員。自称「ビューティー時任」。久保田誠人とよくつるんでいることから、女子からはホモの疑いがかけられ、よく漫研の女子にネタにされているが、本人たちは否定している。喧嘩が好きで敵対する生徒のみならず、自分の行動を邪魔された時は激怒する。
桂木 和美 (かつらぎ かずみ)
久保田誠人と時任稔によって生徒会執行部に勧誘された、生徒会執行部の紅一点。口うるさく、先生に対しても動じることのない正義感の強い女の子。生徒会執行部の雰囲気に慣れてくるにつれ、久保田と時任のホモっぽい行動にも冷静に対応している。
藤原 裕介 (ふじわら ゆうすけ)
元生徒会本部会計の男子高校生。生徒会本部のお金を横領して追い出され、以後生徒会執行部に居座っている。久保田誠人に好意を抱いており、何度も彼に迫っているが、すべて断られている。あまりにも長く生徒会執行部に居座っていたため、久保田と時任稔から生徒会執行部補欠の腕章をもらう。
松本 隆久 (まつもと たかひさ)
生徒会本部会長の男子高校生。松本隆久が会長になってから、学内の治安が良くなったと評判になる。生徒会執行部に対しても、松本自身が中学時代に生徒会執行部だったこともあってか、騒ぎを起こしても大目に見ている。実は橘遥と付き合っている。
橘 遥 (たちばな はるか)
生徒会本部副会長の男子高校生。優しげな顔立ちが人気で、彼を狙っている男子生徒も多く、私立荒磯高校の「抱きたい男No.1」の称号を得る。しかし本人は「抱かれる」よりも「抱きたい」方なので、その手のお誘いはすべて断っている。実は松本隆久と付き合っている。
五十嵐 徹 (いがらし とおる)
私立荒磯高校の保健医の男性。しかし、本人の「保健室のオバさんでありたい」という信条ゆえに、女装して保健医を務めている。偽乳を作ってまで女装する念の入れようだが、本来は男らしい性格。男子生徒に襲われた時も、ドスの効いた怒号で生徒たちを恐怖に陥れた。
大塚 伴康 (おおつか ともやす)
私立荒磯高校でも、1、2を争うほどの悪ガキとして知られる男子高校生。カツアゲや配布前のテスト用紙の奪取、喫煙と、数え切れないほどの悪事を働いている。生徒会執行部にたびたび見つかっては、久保田誠人と時任稔に制裁を加えられている。
保坂 祐一郎 (ほさか ゆういちろう)
「裏生徒会」を自称する男子生徒。お金でゲットした美形な生徒に身の回りの世話をさせている。あとは橘遥さえ傍にいてくれればパーフェクトだと考えて交渉したが、橘にはきっぱりと拒否された。その後、お金でゲットした美形な生徒たちにも逃げられる。自らが思っているより不細工な顔立。
工藤 ハルキ (くどう はるき)
私立荒磯高校の文化祭に特別ゲストとして呼ばれたアイドルの少年。少々ひねくれたところがあり、マネージャーを煙に巻くのが得意。本来は純粋で優しい少年で、久保田誠人と時任稔に文化祭に連れ出された時は、本心から楽しんでいた。
石橋 なつみ (いしばし なつみ)
生徒会執行部のクリスマス会の買い出し中に、久保田誠人と時任稔が出会った少女。仕事で両親の帰宅が遅いため、さみしがり屋で放浪癖がある。赤い服に白いスーパーの袋を背負った時任を見て「サンタさん」とつぶやいた。
三文字 (さんもんじ)
私立荒磯高校の男性教師で温厚な人物。生活指導室に保管していた自分の英語のテスト用紙と、他の先生から預かっていた数学と古文のテスト用紙を盗まれてしまい、生徒会執行部に調査とテスト用紙の回収を依頼してきた。できればこの事件を表沙汰にしたくないと考えている。
集団・組織
生徒会執行部 (せいとかいしっこうぶ)
校則第五条に基づいて、校内の治安を守る集団。基本的には前任の生徒会執行部の部員が次の生徒会執行部員を決めることになっており、今の生徒会執行部員も桂木和美や藤原裕介を除いて、前任の生徒会執行部員によって選ばれている。校内の治安を守るという名目で、自由気ままに生活していることから、それが風紀委員会には問題視されている。
生徒会本部 (せいとかいほんぶ)
普通の生徒会で会長、副会長、会計などが所属している。基本的には生徒会執行部と生徒会本部は協力関係にあるが、治安の悪い私立荒磯高校においては、生徒会よりも生徒会執行部の権力の方が強い。
風紀委員会 (ふうきいいんかい)
私立荒磯高校の風紀委員会。自由気まま、傍若無人に活動している生徒会執行部のことを敵視しており、生徒会執行部に負けまいと校内の治安を守ろうとしている。ただし、生徒会執行部のやり方が正しいと認めた際には、潔く反省する気概も持つ。
裏生徒会 (うらせいとかい)
保坂祐一郎が作り上げた、美形の男子高校生で構成された生徒会。保坂以外のメンバーはすべて、お金で集められている。保坂はこの裏生徒会に、橘遥をメンバーとして加えたがっている。藤原裕介が生徒会本部でお金を横領をしていたのは、この裏生徒会に脅されていたため。
場所
私立荒磯高校 (しりつあらいそこうこう)
生徒会執行部という特殊な組織や、生徒会執行部に関する校則第五条が定められているなど、一般の高校とは少々変わった校風を持つ。現在は共学になっているが、元々は男子校であるため、女子生徒の数が少ない。また男子校時代の名残で、男性同士のカップルが多いのも特徴。生徒会執行部とは別に生徒会本部があり、一般的な生徒会業務は生徒会本部で行っている。
その他キーワード
校則第五条 (こうそくだいごじょう)
生徒会執行部の権限を記した校則で、内容は「本校生徒会に在籍する生徒会執行部は、知力、体力、正義心において秀でた在校生徒に与えられる任務の称号であり、その証たる『執行部腕章』を所持する者は、校内の治安を守りぬく義務を負うと共に、何人たりとも彼らの行動を侵してはならない」というもの。