レナード現象には理由がある

レナード現象には理由がある

超進学校の私立彰英高校を舞台に、個性的なキャラクターたちが織り成す、少し不思議でちょっぴり哲学的な学園オムニバス。「~がある」シリーズの第1作目。

正式名称
レナード現象には理由がある
ふりがな
れなーどげんしょうにはわけがある
作者
ジャンル
学園
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概要・あらすじ

全国でも指折りの超進学校・私立彰英高校に通う蕨よもぎは、背中をさすった相手を癒すことができる、ハンドパワーの持ち主として評判だった。そんなよもぎは、近寄りがたいと敬遠されていた学年トップの天才である飛島穂高と、席が隣になったことから親しくなる。しかし2人がようやく打ち解けてきた頃、穂高は、自分の父親から、医者に向かないと人格否定されたため、つい、よもぎに八つ当たりしてしまう。

本当は、よもぎにハンドパワーで癒してもらいたかったが、今更頼むのもばつが悪く、2人の関係はぎくしゃくしてしまう。(エピソード「レナード現象には理由がある」)

登場人物・キャラクター

蕨 よもぎ (わらび よもぎ)

エピソード「レナード現象には理由がある」、「あの子の背中に羽がある」に登場する。私立彰英高校3年A組の女子生徒。成績は悪いが、毎日のんびりとマイペースに過ごしている。背中をさすると元気になるという、人を癒す不思議なハンドパワーの持ち主。この効果はマイナス・イオンに似ており、小学3年生の時に滝壺の近くで落雷に打たれたことに関係があるのではないか、と考えられている。 席が隣になったことで、今まで一度も話したことのなかった飛島穂高と親しくなる。

亘理 実咲 (わたり みさき)

エピソード「ドングリにもほどがある」、「あの子の背中に羽がある」に登場する。私立彰英高校3年E組の女子生徒。学年で152人中76位、クラスで38人中19位という、ちょうど真ん中の成績を取ったのが嬉しくて、自分とまったく同じ順位で同じクラスの友成真一郎にも親近感を持つ。自分では生まれつき運がいいと思っているが、実際は極端にプラス思考なだけである。 「チャッピー」というリスを飼っており、よく公園へドングリを拾いに行く。

保科 聡真 (ほしな そうま)

エピソード「あの子の背中に羽がある」、「真面目な人には裏がある」に登場する。私立彰英高校3年E組の男子生徒。柔道部主将で、ライバルは栄谷高校の松園。席の近いクラスメイトやライバルの松園にまで暑中見舞いを送るほど、まめな性格。隣に越してきた若宮遥の背に、妖精のような羽が見えることを悩んでいる。それを同級生の友成真一郎に相談した際に、彼女に一目ぼれしたのだろうと説明される。 蕨よもぎ、亘理実咲とは幼稚園から一緒の腐れ縁。

日夏 晶 (ひなつ あきら)

エピソード「真面目な人には裏がある」に登場する。私立彰英高校3年F組の女子生徒。犬並みの嗅覚を持っており、小学校時代は「警察犬カール号」、中学校時代は「麻薬捜査犬マック号」と呼ばれていた。その能力は衰えておらず、席替えで隣になった塔宮拓斗のつけてきた女性の香水の匂いから、その銘柄を言い当てた。兄の日夏葵の恋人が拓斗の兄の塔宮雅斗とわかってからは、拓斗の相談にも乗るようになる。 草壁に借りたBL小説で同性愛者に耐性ができた。

飛島 穂高 (とびしま ほだか)

エピソード「レナード現象には理由がある」、「あの子の背中に羽がある」、「真面目な人には裏がある」に登場する。私立彰英高校3年A組の男子生徒。一度教科書に目を通すと、すべてを覚えてしまうほどの天才。さらにはハンサムで運動神経抜群、家は大病院、という何不自由のない環境で、やや高圧的な性格。しかし、医学部の受験を希望した際、医者である父親に性格的に向かないと反対され、生まれて初めて悩むことになった。 席が隣になったことで蕨よもぎのハンドパワーのことを初めて知るが、非科学的だと信じていない。

八神 (やがみ)

エピソード「レナード現象には理由がある」に登場する。私立彰英高校3年A組の女子生徒。1年生の時に両親の離婚が原因で落ち込み、屋上から飛び降りようとしたところ、蕨よもぎのハンドパワーによって救われた。小此木と共に、よもぎに飛島穂高を助けてあげるように頼む。

小此木 (おこのぎ)

エピソード「レナード現象には理由がある」に登場する。私立彰英高校3年A組の男子生徒。私立彰英高校受験当日にひどい風邪をひいて、試験会場の入り口で倒れそうなところを蕨よもぎのハンドパワーで救われ、無事に合格した。飛島穂高が進路のことで悩んでいるのを見て、完璧な彼でも悩むのだと、当初は面白がっていたが、のちに心配して、八神と共によもぎに穂高を助けてあげるように頼む。

友成 真一郎 (ともなり しんいちろう)

エピソード「ドングリにもほどがある」、「あの子の背中に羽がある」、「真面目な人には裏がある」に登場する。私立彰英高校3年E組の男子生徒。偶然、亘理実咲と同じ成績を取ったため、親近感を抱かれる。いつも顔色が悪く眠そうで心配されている。実はベストセラーになった小説「平成20年のランバダ」の作者・「柚木真」でもある。 執筆活動においてスランプに陥っていたが、実咲としゃべったり、ドングリ拾いに付き合ったりすることで、アイデアやインスピレーションが溢れることに気づく。

新城 (しんじょう)

エピソード「ドングリにもほどがある」に登場する。私立彰英高校3年E組の女子生徒で、亘理実咲の友人。図書館で「平成20年のランバダ」という本を借り、その本が話題作で、作者が17歳の高校生覆面作家だという情報を、実咲に語って聞かせる。

小林 (こばやし)

エピソード「ドングリにもほどがある」、「あの子の背中に羽がある」に登場する。私立彰英高校3年E組の男子生徒。クラスで一番信心深い人格者。亘理実咲が拾いすぎたドングリで作った数珠を、嫌がらないどころか喜んで受け取る。ご飯に牛乳をかけて食べるのが好きで、実咲には「変態」と言われている。

チャッピー

エピソード「ドングリにもほどがある」に登場する。亘理実咲が小学5年の時から8年飼っているシマリス。実咲が大切に育てているので、よく慣れていて手にも乗る。ドングリやクルミが大好きで、実咲は近所のさみどり公園によく拾いに行っている。

若宮 遥 (わかみや はるか)

エピソード「あの子の背中に羽がある」に登場する。小学6年生の女の子。保科聡真の家の隣に引っ越してきた。聡真は彼女の背中に白くぼんやりとした妖精の羽が見えているが、彼女はそれに気づいていない。有名進学校に通っているうえに、柔道部でも活躍している聡真を尊敬していて、彼が蕨よもぎ、亘理実咲と親しげにしているのを見て落ち込んでしまう。 同級生の槇原によく声をかけられているが、聡真の方が気になっている。

槇原 (まきはら)

エピソード「あの子の背中に羽がある」に登場する。若宮遥の同級生の男の子。遥の引っ越し先の近所に住んでいる。黒いラブラドールの「ロッキー」を飼っていて、週末は近所のさみどり公園で一緒にフリスビーの練習をしている。遥が好きで、登下校を一緒にしたり、公園へ誘ったりする。保科聡真に対してはライバル心をむき出しにして、突っかかっていくことが多い。

塔宮 拓斗 (とうみや たくと)

エピソード「真面目な人には裏がある」に登場する。私立彰英高校3年F組の男子生徒。席替えで日夏晶の隣になる。昔は爽やかで真面目な性格だったのに、兄の塔宮雅斗が同性愛者であることをカミングアウトしてからは、女性をとっかえひっかえして、朝帰りをするようになってしまった。雅斗の恋人が晶の兄である日夏葵と知ってからは、晶に色々話すようになる。

日夏 葵 (ひなつ あおい)

エピソード「真面目な人には裏がある」に登場する。日夏晶の兄で、24歳。一流企業の秘書室勤務。料理上手で、共働きの両親に代わって家事をこなしている。非常に穏やかで優しい外見と性格。自分の恋人として塔宮雅斗を家族に紹介したことで、日夏家を混乱させる。

塔宮 雅斗 (とうみや まさと)

エピソード「真面目な人には裏がある」に登場する。塔宮拓斗の兄で、29歳。日夏葵の会社の顧問弁護士で、葵の恋人。売れっ子の一流弁護士で悪魔のように弁が立ち、拓斗いわく「変態の悪魔」。その仕事ぶりから「完全勝訴の鬼」と呼ばれているが、日夏晶はその猛烈な言葉の攻撃力から、むしろ「バジリスク」ではないかと感じている。

草壁 (くさかべ)

エピソード「真面目な人には裏がある」に登場する。私立彰英高校3年F組の女子生徒で、日夏晶の友人。BL小説が好きで、晶に幅広いジャンルのBL小説を貸している。そのお陰で同性愛に耐性ができた晶から、兄の日夏葵が塔宮雅斗を恋人といって連れてきた際にも、さほど動揺せずに済んだ、と感謝されることになる。

場所

私立彰英高校 (しりつしょうえいこうこう)

県下で指折り、全国での有数の超進学校。全国から成績のいい生徒が集まっている。全校生徒912名、1学年304名、1クラス38名、理系4クラス、文系4クラス。A~D組が理系、E~H組が文系。学生寮もあり、地方からの生徒が入寮している。寮以外でも、近くのアパートやマンションを借りて通学している生徒もいる。

変な噴水があるベンチ (へんなふんすいがあるべんち)

私立彰英高校のランチスポット。お昼時以外も読書したり、おしゃべりをする生徒がいつもいる人気スポット。「ドングリにもほどがある」で、亘理実咲と新城が昼食を取ったり、友成真一郎が昼寝をしていたり、「真面目な人には裏がある」で、塔宮拓斗が、同性愛者かどうかを判定するテストを行ったのもこの場所。

さみどり公園 (さみどりこうえん)

私立彰英高校に近い公園。蕨よもぎ、亘理実咲、保科聡真の自宅からも近い。「ドングリにもほどがある」で、実咲と友成真一郎がドングリを拾ったり、「あの子の背中に羽がある」で、槇原と若宮葵が犬と遊んだり、よもぎ、実咲、聡真が偶然出会ったのもこの公園。

ユリアナ高校 (ゆりあなこうこう)

私立彰英高校の近くにある女子校。可愛い女の子が多いとされているが、偏差値はそう高くない。制服のスカートがかなり短く、見る者をハラハラさせている。「真面目な人には裏がある」で、塔宮拓斗はこの学校の女の子とばかり付き合っては捨てる、を繰り返していた。

その他キーワード

レナード現象 (れなーどげんしょう)

水滴と水滴がぶつかって分裂する際、周囲の空気がマイナス・イオン化する現象。マイナス・イオンは人体の健康に良いとされ、自然界では滝の周囲や噴水の近くで多く発生する。最も大量に計測されるのは落雷の直前であり、「レナード現象には理由がある」の蕨よもぎが滝の側で雷に打たれたことと、彼女のヒーリング効果に関係があるのではないか、と考えられている。

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