竜馬がゆく

竜馬がゆく

『コウノドリ』の完結後、2年ぶりとなった鈴ノ木ユウの長編連載。司馬遼太郎のベストセラー小説『竜馬がゆく』の初めてのコミカライズ。19世紀の半ば、幕末が主な舞台。12歳になっても寝小便の癖が治らず、勉強もできない泣き虫の坂本竜馬は、死んだ母の期待に応えるため、強い男に成長していく。土佐から江戸へ旅立ち、さまざまな人たちと出会いながら、やがて明治維新の立役者となった竜馬の生涯を描いた歴史大河コミック。文藝春秋「週刊文春」2022年5月5・12日合併号より連載。

正式名称
竜馬がゆく
ふりがな
りょうまがゆく
原作者
司馬 遼太郎
漫画
ジャンル
幕末
 
青春
レーベル
文藝春秋
巻数
既刊7巻
関連商品
Amazon 楽天

「格好いい竜馬を描きたい」という鈴ノ木ユウ

司馬遼太郎による原作小説は、国民的ベストセラーとも言える大ヒット作品である。産経新聞掲載の鈴ノ木ユウへのインタビュー記事によると、編集部から漫画化の打診を受けたときは、強いプレッシャーを感じ、「絶対無理」だと思ったという。高校生の頃に漫画『お~い!竜馬』(武田鉄矢原作、小山ゆう作画)と出合い、大学生で小説『竜馬がゆく』を読んで心を奪われた鈴ノ木にとって、竜馬は憧れの存在なのだ。しかし、21世紀を担う子供たちに向けた司馬のエッセイ『二十一世紀に生きる君たちへ』を読み、「自分の竜馬が描ければいい」という気持ちになり、連載開始を決意した。その結果、人を惹きつけてやまない変わり者で、時にデフォルメされたコミカルな姿を見せる、鈴ノ木ならではの竜馬が誕生した。また、「コウノドリで描きたかったのは格好いいお医者さん。今作でもつい憧れてしまうような、格好いい竜馬を描きたい」という言葉どおり、シリアスなシーンでは、格好よく艶やかな姿の竜馬を堪能することができる。

幕末ヒーロー・竜馬の、漫画ならではのアクションが魅力

国民的作家・司馬遼太郎の代表作である原作小説は、数々の実写ドラマが作られた人気作で、今日の「坂本龍馬(竜馬)」のイメージを形作った小説だといわれている。史実に忠実だと信じる人も少なくないが、あくまで歴史に基づいたフィクションである。エピソードには多くの創作が盛り込まれ、幕末ヒーローとしての竜馬がより劇的に描かれている。本作はそんな司馬小説のコミカライズであり、原作同様「格好いい竜馬」が活躍する。特に、道場での稽古や他流派との真剣勝負、桂小五郎との剣術試合など、漫画ならではの剣豪同士のアクションは、本作の大きな魅力である。

魅力的な架空キャラクターも登場

本作及び原作小説には、実在人物だけではなく、創作上の人物も登場する。例えば、竜馬の初恋の人として描かれる「お田鶴」は、司馬による創作であり、土佐勤王党の平井収二郎の妹・平井加尾がモデルという説がある。お田鶴は土佐藩家老福岡家の娘という設定であり、福岡家の預かり郷士(下級武士)である竜馬とは身分差が大きい。そのため、土佐の身分制度が2人の恋の妨げとなる、印象的なエピソードとして描かれる。また、竜馬に命を救われ、子分となる「寝待ノ藤兵衛」も実在人物ではない。しかし、諜報活動を行う泥棒という藤兵衛は、本作に彩りを加えるキャラクターである。

登場人物・キャラクター

坂本 竜馬 (さかもと りょうま)

土佐藩郷士の次男として生まれた幕末の志士。幼少期に母を亡くしてからは、ふさぎこむことが多く、近所の子どもたちには「寝小便(よばあ)ったれ」と呼ばれて泣かされていた。すぐ上の姉、乙女に叱咤(しった)激励され、「たくましく育ってほしい」という生前の母の期待に応えることを心に決める。小栗流日根野道場に入門後は、めきめきと剣術の腕を上げ、別人のようなたくましい青年に育つ。19歳で小栗流の目録を手にし、剣術修行のために江戸へと旅立つ。歴史上の人物、坂本龍馬をモチーフにしている。

お田鶴 (おたず)

土佐藩家老の福岡宮内の妹。土佐で一番の美人だと噂(うわさ)に高い。女正月の日に正体を隠してお詣(まい)りしていたとき、偶然、坂本竜馬と出会い、竜馬の素直で飾らない性格に惹(ひ)かれる。

桂 小五郎 (かつら こごろう)

長州藩士で神道無念流・練兵館塾頭の男性。藩医和田家に生まれるが、8歳の時に武家の桂家の養子になる。文武両道の俊才として知られ、吉田寅次郎(松蔭)が兵学師範を務める「明倫館」に学ぶ。江戸で剣術修行を行い、わずか1年で練兵館の塾頭になる。長州陣地を視察していた坂本竜馬と出会い、いきなり斬り合いとなる。歴史上の同名人物をモチーフにしている。

クレジット

原作

司馬 遼太郎

書誌情報

竜馬がゆく 7巻 文藝春秋

第1巻

(2022-08-23発行、 978-4160901308)

第2巻

(2022-11-24発行、 978-4160901407)

第3巻

(2023-02-21発行、 978-4160901438)

第4巻

(2023-05-29発行、 978-4160901452)

第5巻

(2023-08-24発行、 978-4160901506)

第6巻

(2023-11-24発行、 978-4160901544)

第7巻

(2024-02-20発行、 978-4160901629)

SHARE
EC
Amazon
logo