赤い鳩 (アピル)

幕末を舞台に、日本人とユダヤ人が同種族という「日ユ同祖論」をモチーフにして描かれる時代劇サスペンス。沖田総司、土方歳三、近藤勇、坂本龍馬、西郷隆盛など、幕末を駆け抜けた偉人たちも多く登場する。サムライたちが刀を武器に大柄な異人たちと渡り合うアクションシーンも見どころの1つ。「日本人はどこから来たのか」という壮大かつロマンティックなテーマ性に加え、未熟だった主人公が愛や葛藤を経て成長していく青春ドラマも楽しめる作品。原作は小池一夫。

正式名称
赤い鳩 (アピル)
ふりがな
あかいはと あぴる
原作者
小池 一夫
作画
ジャンル
幕末
レーベル
ビッグコミックス(小学館)
巻数
全6巻完結
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概要・あらすじ

時は幕末、尊王攘夷運動が過熱化し、京都が政情不安に包まれるなか、池田屋事件が発生。新撰組隊士である馬庭実行は、警戒中に日本の童謡「カゴメの唄」をつぶやく謎の宣教師、オードル・ヘボンと出会う。ヘボンによると、カゴメは古代ユダヤに伝わる紋章の模様に使われていたらしい。そして「日本人とユダヤ人は祖先を同じとする同一種族」「今から146年後、世界ははるまげどンを迎え、4つの民族が戦いを繰り広げる」「はるまげどンから人類を救うためにも、同じ祖先をもつ日本人とユダヤ人が今から手を結ぶ必要がある」など、ヘボンは奇妙な論を展開し、実行や沖田総司らを戸惑わせる。

その後、実行はヘボン殺害の命を隊から受けるが、情に負けて果たせず取り逃してしまう。

そして隊を離脱、ヘボンに協力を乞われるまま、日本人とユダヤ人を結びつける「黄金の子羊像」を探し出す旅をスタートさせる。日本のサムライとして、ヘボンが唱える「日ユ同祖論」に反発を覚えながらも、そのよどみない理論と朴訥とした人柄に魅かれていく実行。旅を続けるうちに強豪との乱戦も経験し、剣術の腕前も着実に向上させていく。

そしてさまざまな困難と障害に出くわしながらも、彼は一歩ずつ謎の解明に迫るのであった。

登場人物・キャラクター

馬庭 実行 (まにわ じっこう)

新撰組の見習い隊士の少年。池田屋事件が起きた日に、謎の宣教師、オードル・ヘボンと出会い、彼から日本人の故郷はエルサレムだという説を聞かされて少なからず心を動かされる。のちに新撰組副長の土方歳三にヘボンを殺害するよう命じられるが、情に負けて果たせず、新撰組を脱退。ヘボンと共に「日ユ同祖論」の証拠となる「黄金の子羊像」を探し出す旅に出る。 日本人の祖先がユダヤ人であるというヘボンの説に反発、懐疑的な態度を取るが、日本とユダヤを結ぶさまざまな接点が明らかになるにつれ、より公平な目線で事実を見るようになっていく。剣術流派の馬庭念流継承者。池田屋事件までは実戦未経験。剣の腕は未熟だが、武士の誇りと気概だけは一人前。

オードル・ヘボン (おーどるへぼん)

ユダヤ人の男性宣教師。かつて滅ぼされた北イスラエルの民族の子孫が日本人であるという「日ユ同祖論」を信じる不思議な異人。池田屋事件の日に馬庭実行と出会い、日本人と自分たちの民族は同じ祖先をもつという持論を展開。その事実を裏付けるために「黄金の子羊像」を探し求め日本にやってきたと告白する。ヘブライ語と日本語の共通点、そして聖書と日本書記に残されたキーワードがいくつも符号することを指摘、さらに聖書に予言された「146年後の大戦争」によって人類が滅亡しないためには日本とユダヤが手を携えることが重要だと訴え、実行を説得、共に子羊像を探すため諸国遊歴をスタートさせる。

沖田 総司 (おきた そうじ)

新撰組一番隊隊長を務める青年。流派は天然理心流。白河藩脱藩浪士。近藤勇、土方歳三らとは義兄弟の関係を結ぶほど結束が固い。生れつき病弱な体質で、結核を患い余命は半年といわれる。限られた時間を人斬りとして終わるか、それ以上の価値のあることに使うかで葛藤している。そんな折り、馬庭実行とオードル・ヘボンの逃走劇に巻き込まれ、彼らとともに真実を求める旅を開始する。 新撰組で一、二を争う剣の腕前ながら、少年のような純粋さ、ロマンを求める詩的雰囲気を醸し出している。実在した人物、沖田総司がモデルとなっている。

土方 歳三 (ひじかた としぞう)

新撰組副長を務める青年。近藤勇と同じく、武州多摩育ち。何にもまして隊の存在意義と組織強化に命をかける「ミスター・新選組」。まだ少年の馬庭実行に、オールド・ヘボンを殺害するよう非情の命令を下す。血も涙もない冷徹人間のように見えるが、結核で余命いくばくもない沖田総司のことを誰よりも気にかけ、その身を案じている。 実在した人物、土方歳三がモデルとなっている。

近藤 勇 (こんどう いさみ)

新撰組局長を務める青年。土方歳三と同じく、武州多摩育ちで、生まれは百姓の家。野性的な相貌と落ち着いた雰囲気には英雄のオーラが感じられる。新撰組を切り盛りする土方とは幾多の死地を潜り抜けてきた戦友であり、親友。彼には全幅の信頼を寄せているが、激しすぎる性格と行動を諫めることもある。実在した人物、近藤勇がモデルとなっている。

おうら

沖田総司の恋人。京都山中の家屋でひっそりと暮らし、病床の沖田を献身的に支える。余命いくばくもない沖田の身を案じながら、残された時間を可能な限り実りあるものにしようと励まし、勇気づける。沖田が敵に襲われそうになるとともに戦う姿勢を見せるなど、気丈な面も持つ。

岡田 以蔵 (おかだ いぞう)

土佐藩出身の人斬りとして知られる青年。酒乱状態で馬庭実行やオードル・ヘボンに襲い掛かる。京都では何人もの暗殺を実行、殺戮者として恐れられている。謎の村里・秦ノ原に身を寄せ、天狗集団の監視の下、いやいやながら労役につく。沖田総司と渡り合うなど剣の腕は一流だが、酒と金には目がない不埒者。実在した人物、岡田以蔵がモデルとなっている。

勝綾 (すぐるのあや)

井戸に落ちた馬庭実行たちが行き着いた洛北の秦ノ原に住む始皇帝の直系を自称する日本人。少女ながら秦ノ原の統治者でもある。あどけない風貌に似合わず、周囲を圧倒する風格とオーラがあり、掛け声一つで狼の集団と天狗衆を束ねる統率ぶりは見事というしかない。黄金の子羊像の行方を知る重要な人物。

生天目 トヨ (なまため とよ)

京都所司代に仕える捜索方。べっしき女と呼ばれ、見た目は醜く不格好だが大名の愛妾で武芸に通じている。成人男性の倍くらいはあろう巨体と、威圧的な風貌、獣のような鋭い感覚を持つ。馬庭実行との戦いに敗れて以来、人間らしい心を取り戻す。

坂本 龍馬 (さかもと りょうま)

土佐藩出身の男性で、脱藩浪士。馬庭実行とオードル・ヘボンが旅を続けていく過程で出会う。大らかで既成の概念や常識に捉われない自由な発想を駆使して、犬猿の仲だった薩摩藩と長州藩を結ばせる「薩長同盟」の締結を成し遂げる。土佐藩の山内容堂の他、薩摩の西郷隆盛らと緊密に連絡を取り合う。実在した人物、坂本龍馬がモデルとなっている。

松平 容保 (まつだいら かたもり)

会津藩主で京都守護職。生田目トヨを愛妾に持つ大名。新撰組を使って京都の警護、浪人の取り締まりにあたる。お殿様らしく堂々とした立ち居振る舞いを見せるが、風貌がやや陰険で、馬庭実行やオードル・ヘボンらの警戒を誘う。トヨを連れ戻すため、軍勢を率いて実行らを追い詰める。実在した人物、松平容保がモデルとなっている。

西郷 隆盛 (さいごう たかもり)

薩摩藩出身の青年。新政府を樹立するため、密かに倒幕を画策し、外国商人から密貿易で武器を購入するなど暗躍する。坂本龍馬が連れてきた馬庭実行、オードル・ヘボンとは出張先の海軍操練所で出会う。堂々とした風貌、恰幅ある体躯が特徴。龍馬同様、自然と人を引き付ける不思議な魅力がある。実在した人物、西郷隆盛がモデルとなっている。

山内 容堂 (やまうち ようどう)

土佐藩藩主。京都からはるばるやってきた馬庭実行、オードル・ヘボンらを温かく迎え入れる。日ユ同祖論の謎を解く手がかりとなる「釈日本記」の所有者。藩の家宝ともいうべき釈日本記を、素性不明でいかがわしい理論を振りかざすヘボンらに見せていいかどうかで迷いを見せる。凛とした風貌、高潔な人格で人民の信頼も厚く、名君として名高い。 実在した人物、山内容堂がモデルとなっている。

八束 八十八 (やつか やそはち)

土佐藩お抱えの国学者。土佐藩に代々伝わる史書「釈日本記」を読解できる学者は彼1人といわれ、その博識ぶりは天下に鳴り響く。言葉使いが乱暴で、破廉恥な振る舞いも見せるなど、老学者らしからぬ面もあるが、馬庭実行、オードル・ヘボンらの純真でひたむきな姿勢に打たれ、積極的に協力するようになる。

クレジット

原作

書誌情報

赤い鳩 全6巻 小学館〈ビッグコミックス〉 完結

第1巻

(1988年10月発行、 978-4091816818)

第2巻

(1988年11月発行、 978-4091816825)

第3巻

(1989年5月発行、 978-4091816832)

第4巻

(1989年8月発行、 978-4091816849)

第5巻

(1989年11月発行、 978-4091816856)

第6巻

(1989年12月発行、 978-4091816863)

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