あらゆる生物が「マッチョ」な島
本作の舞台となる「筋肉島」は、正式名称を「偉大なる筋肉の島(グランドマッスルアイランド)」という。原始時代を彷彿とさせるような暮らしぶりで、人間以外にもさまざまな動物が生息しているが、老若男女問わずいかなる生物もたくましい筋肉を誇り、人間はライオンやヒグマ以上の身体能力を持つ。そのため、銃といった文明の利器は意味を成さず、すべての問題は筋肉同士のぶつかり合いでのみ解決する。また、住居をはじめとした建築物や彫像は、すべて道具を使わず手作業で築き上げている。なお、最初に筋肉島を発見した人間が日本人だったため、島の住民たちは日本語で会話をしている。
二人の調査員が遭遇した不思議な体験
独立行政法人「国際筋肉振興センター」に所属している司馬毅一矢と成田成哲は、上司から筋肉島の観測任務を命じられる。無事に筋肉島に降り立った二人は、東部を治めている族長・ストレングスのすさまじい筋肉を目の当たりにして言葉を失う。そして、彼から課せられた厳しい試練を突破することで正式な調査員として認められ、滞在中に筋肉島の住人や生物の筋肉の美しさと力強さに魅了される。さらに、筋肉島独自の文化や住民たちの筋肉が鍛えられた背景を知ることで、ますます観測に熱が入っていく。なお、成田は作者自身を投影したキャラクターで、名前のみならず見た目やトレーニングを趣味にしている点も同じである。
筋肉島を巡るマッチョたちの争い
筋肉島に住む生物は、弱肉強食の掟を強いられており、生き抜くためには筋肉を鍛え上げるしかない。人間も例外ではなく、トレーニングの効果をより高めるため、自分に適したトレーニングと十分な栄養と休養を取り、ほかの生物に対抗する筋肉や戦闘力を身につけている。一方、人間のトレーニング効果を目の当たりにした野生生物も、やがてトレーニングの重要性を理解し、人間と同じように体を鍛えるようになる。なお、人間のあいだでなんらかの理由で争いが発生し、筋肉同士がぶつかり合う大戦へと発展することもある。司馬毅と成田が筋肉島に来て最初に体験した抗争は、ストレングスが治める東部の部族と、ストレングスのかつての親友・ポテスタスが率いる西部の部族の争い。当初二人は、東の部族の支援に回っていたが、司馬毅は心を通わせた少女・シーラを守るため、鍛え上げた筋肉を頼りに戦闘に参加する。
登場人物・キャラクター
ストレングス
筋肉島の東部にある村の族長を務める男性。髭面で筋肉隆々の肉体の持ち主。身長3メートルで、体重230キロ。80人の人間を乗せた巨大な台座を一人で持ち上げるほどの、凄まじいパワーを誇る。細かいことを気にしない豪放磊落(らいらく)な性格で、多くの人々に慕われている。また、島外から調査に訪れた調査員の司馬毅一矢や成田成哲に対しても偏見を持つことなく、大らかに接する。一方で大雑把なところがあり、娘のシーラや副族長のヒサーノからは苦言を呈されることも多い。自らに力がなければ何も守れないと考えており、日々肉体を鍛え上げることに余念がない。しかしその力を振るうのは、生活の糧を得ることや仲間の村人を守ることに限定しており、むやみに他者を攻撃することはない。西部にある村の族長を務めるポテスタスとは、かつては友人同士だったが、過去に起こった筋肉島の内乱で互いの妻を失って以来、決裂状態となっている。
司馬毅 一矢 (しばき かずや)
独立行政法人「国際筋肉振興センター」に所属している青年。上司からの命令で、先輩の成田成哲と共に筋肉島の調査に赴くことになった。成田と同様、一般人としてはかなり鍛え抜かれた肉体を持つが、「筋肉島」の人々が体を鍛えてばかりいることに懐疑的だった。しかし、筋肉島の人々たちと交流を重ねるにつれて、筋肉に対して前向きな考えを持つようになる。そんな中、筋肉島に滞在するための条件として、五人以上の島民を乗せたやぐらを持ち上げる「筋肉櫓」を課せられると、成田をはるかに上回る筋力を発揮し、島民を驚かせる。その後も筋肉に関する並外れた素質を秘めていることが明らかになる。
書誌情報
筋肉島 5巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2022-12-02発行、 978-4088833699)
第2巻
(2023-06-02発行、 978-4088835211)
第3巻
(2023-11-02発行、 978-4088837178)
第4巻
(2024-05-02発行、 978-4088840390)
第5巻
(2024-09-04発行、 978-4088842486)