兄弟姉妹愛VS男女の愛
一代で財を成した紫雲寺家の七人兄弟姉妹が織りなす禁断のラブコメディで、長男の新と五人の姉妹による日常が描かれる。学校のみならず世田谷線沿線中にまで広く知れ渡っている美人姉妹と暮らす新は、末っ子のことのが15歳を迎えた誕生日に、父親の要から兄弟姉妹の血がつながっていないという、驚きの事実を告げられる。新は数日前にことのから告白を受けるものの、兄妹だからと断っていた。これまでは血がつながっていることで本音を隠していた新は、これまで通りに兄弟姉妹愛を貫いていくのか、姉妹たちとの新しい関係を築いていくのかで葛藤することになる。
姉妹たちとのスキンシップの変化
紫雲寺家の長男、新は、兄弟姉妹が血のつながっていない養子であることを父親から知らされる。兄弟姉妹として彼らとのつながりを人一倍大切にしていた新だったが、末っ子のことのから風呂場で抱き付かれて告白を受けたのを皮切りに、次女の清葉から異性として意識していないかを確かめるためだと、馬乗りになられるなど、理性を試される日々が続く。また、新を童貞とからかう長女の万里とのデートや、テニスプレイヤーである四女の南の情熱的な濃厚ストレッチなど、これまでは兄弟姉妹だから許されていたスキンシップも、次第に意識するようになる。
姉妹たちの戸惑いと決意
五姉妹は長男の新に絶大な信頼を寄せているが、ことのは新に告白するも断られてしまう。これまでは兄妹だからとあきらめていた思いも、父親から兄弟姉妹の血のつながりがないことを知ると、お互いの関係性に変化がもたらされる。三女の謳華は相棒のような存在だった新への感情がコントロールできなくなり、異性として意識しているかも判然としないまま、告白まがいの言葉を口にしてしまう。次女の清葉は新に過激なスキンシップを仕掛け、お互いに異性として意識していないことを認識するものの、自分の感情に違和感を抱くようになる。そんな中、ことのは姉妹たちの変化を感じ取り、彼女たちを前に新を異性として好きだと宣言する。姉妹たちはそれぞれの切なる思いを胸に秘め、兄弟姉妹としての関係性の変化に向き合うこととなる。
登場人物・キャラクター
紫雲寺 新 (しうんじ あらた)
紫雲寺家の長男。都内の高校に通っている。世田谷区成城に豪邸を構える資産家の御曹司(おんぞうし)で、年齢は16歳。七人兄弟姉妹の上から3番目で、弟妹からは「新兄(しんにい)」と呼ばれている。五人の美人姉妹に囲まれて育った幼少期の経験とトラウマから、女性に苦手意識を持っている。末っ子のことのが15歳の誕生日を迎えた日に、父親の要から実の兄弟姉妹でないことを告げられる。数日前にことのから告白されていたこともあり、当初はみんなとの関係性が変わることを恐れていたが、次第に事実を受け入れていく。しかしことのの再度の告白や、謳華からの思わせぶりな発言により、次第に姉妹たちを意識するようになる。謳華から「エロ太」と呼ばれているなど、長男でありながらからかわれることが多い。しかし、誰よりも兄弟姉妹を大切に思っており、時には体を張って献身的にみんなをサポートしているため、兄弟姉妹たちからは絶対の信頼を寄せられている。
紫雲寺 ことの (しうんじ ことの)
紫雲寺家の五女。兄弟姉妹の中で唯一の中学生で、年齢は14歳。おとなしく控えめな性格で自分が目立つことが苦手で、小動物的なルックスも相まって五姉妹のアイドル的存在となっている。兄の新を異性として慕っており、ゲームルームで遊んでいる時に告白したことがある。その時は新に断られるものの、15歳の誕生日を迎えた日に、父親から兄弟姉妹の血がつながっていないことを知ると、バスルームで全裸の状態で再び告白した。引っ込み思案ながら、謎の思い切りのよさがあることは紫雲寺家でも知られている。三女の謳華が新に告白まがいの行いをしたことを知り、姉妹の前で新を異性として好きだと堂々と宣言した。
紫雲寺 謳華 (しうんじ おうか)
紫雲寺家の三女。新と同い年齢で同じ高校に通っている。新とは一卵性双生児として育てられていたこともあり、相棒のように気の置けない仲。幼い頃から新をからかったり、時にはいじめまがいの行為もしてきたため、新の女性観の構築に多大な影響を及ぼしている。勝ち気な性格で姉妹と喧嘩(けんか)することもあり、新にたびたび仲裁されている。新の恋愛事情を根掘り葉掘り聞き出し、勝手に応援してお節介を焼こうとしている。しかし、妹のことのの誕生日に兄弟姉妹の血がつながっていないことを知ると、徐々に新を意識するようになる。果ては自分の気持ちが定まる前に告白まがいの言葉を伝えるなど、兄弟姉妹との関係に悩む新の心へ一石を投じた。学校での成績は優秀ながら、実は陰で努力している。また運動神経も抜群で、水泳部と陸上部でエースを務めている。男女問わず人望が厚く、次期生徒会長と目されている。
紫雲寺 清葉 (しうんじ せいは)
紫雲寺家の次女。新の1歳年上の姉で同じ高校に通っている。年齢は17歳。理学部の部長を務めており、校内で一番の偏差値を誇る秀才。クールな性格と色白で涼やかな見た目から熱狂的なファンが多い。才色兼備かつ冷静沈着で、客観的な視点から言葉を口にするお姉さん的な立ち位置ながら、兄弟姉妹といっしょにドラマやゲームを楽しむ社交性も持ち合わせている。父親から兄弟姉妹の血がつながっていないことを告げられあと、五女のことのが新に告白する姿を目撃してしまう。それ以来、新が清葉自身やほかの姉妹たちに恋愛感情を抱いていないかを確かめるため、肉体接触を伴う過激なアプローチを繰り返すなど、突拍子もない行動を取るようになる。
書誌情報
紫雲寺家の子供たち 4巻 白泉社〈ヤングアニマルコミックス〉
第1巻
(2022-07-15発行、 978-4592167013)
第2巻
(2023-07-14発行、 978-4592167020)
第3巻
(2024-02-16発行、 978-4592167037)
第4巻
(2024-07-17発行、 978-4592167044)