家族全員が記憶喪失
主人公の一ノ瀬翼が、病院で目覚めるところから物語は始まる。父の翔、母の美奈子、妹の詩織、祖父の耕三、祖母の幸恵の五人は、自分の名前も思い出せない翼にがっかりする。じつは、翼同様他の五人も福井県での自動車事故で記憶を失っていたのだ。全員が記憶喪失という異常な状況だったが、家族は次第に心を通わせ、絆(きずな)を取り戻そうとしていた。しかし、家に戻った翼たちは、ゴミだらけで荒れ果てたダイニングキッチンに愕然とする。さらに、家には家族全員分の鍵付きの個室があり、翼の部屋は、壁一面が「死」という文字で埋め尽くされていた。「自分たちには何か秘密があるのかもしれない」一ノ瀬家全員が、そんな不安を抱えるのであった。
2度目の自動車事故
記憶を失ったまま登校した翼は、自分がひどいいじめを受けていたことを知る。しかし、勇気を振り絞って反発したことでいじめから抜け出し、主犯格だった友人とも和解する。さらに、SNSで知り合った男との交際を辞められずに困っていた妹の詩織を助けることにも成功。少しずつだが、家族のあり方に前向きになりつつあった。そんなある日、父の社員旅行に家族全員で参加することが決定する。車で奥日光を目指す中、いつの間にかみんな眠ってしまい、翼が目を覚ました時には、車は福井県を走っていた。そして、父の翔は「ごめんね」と謝って、ガードレールに突っ込んだ。その後、病院で目覚めた翼は記憶を失っており、第1話と同じような展開を迎える。しかし翼は、日が経つにつれこれが2度目で、父の翔が別人に変わっていることに気づくのだった。
ループする時間?
翼は、駅前のバーガー店で働く本物の父、翔を発見する。しかし、翔は翼のことを忘れていた。翼の話を聞いた母の美奈子は、本物の翔に会いに行き、過去に起きたすべてのことを思い出す。しかしその瞬間、この世界から姿を消すことになった。偽物の翔は、一ノ瀬家に母は最初からいなかったという。そんな中、祖父の耕三は、翼を自分の部屋に呼び入れた。そして、壁や家具、ホワイトボードにびっしりと書き込まれた文字を指差し、「これは俺が体験した2000回のループの全ての記録だ」と言う。同じ時間をループしているという耕三の主張で、謎はますます深まっていく。
登場人物・キャラクター
一ノ瀬 翼 (いちのせ つばさ)
中学2年生の男子。左目の下にほくろがある。交通事故で病院に運び込まれ、意識を取り戻した時には記憶を失っていた。同じく事故に遭って記憶をなくしている両親、祖父母、妹の一ノ瀬詩織がいる。小学生時代はサッカークラブの中心的存在だったが、中学進学後は家庭の事情でサッカーを断念した。記憶を失っても落ち込まず、明るく前向きに振る舞おうとするが、中学に復帰すると厳しい現実が待ち受けていた。
一ノ瀬 詩織 (いちのせ しおり)
中学1年生の女子。一ノ瀬翼の妹。ポニーテールが特徴。翼やその他の家族同様、交通事故で記憶を失う。記憶をなくしたことで不安に苛まれるが、翼の励ましでなんとか前を向くようになる。スマホに残されたメッセージから、SNSで知り合った28歳の男性とデートを重ねていたことが判明する。
書誌情報
一ノ瀬家の大罪 6巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2023-03-03発行、 978-4088834375)
第2巻
(2023-06-02発行、 978-4088834931)
第3巻
(2023-08-04発行、 978-4088835884)
第4巻
(2023-10-04発行、 978-4088836607)
第5巻
(2023-12-04発行、 978-4088837895)
第6巻
(2024-03-04発行、 978-4088838472)