世界観
高校生の司大輔と教師の司夢子の夫婦生活を描いている。2人は同じ学校の教師と生徒という関係にあるため、周囲にはそれを秘密にしている。大輔や夢子が互いに抱く嫉妬や心の葛藤が描かれており、同時にそこから回帰する夫婦の絆や信頼、愛情も描かれる。
あらすじ
司大輔は親元を離れて一人暮らしをしている高校生。その大輔のもとに突然、司大輔の父から「結婚をしろ」との手紙が届く。結婚相手は父親が選んだ女性で、すでに大輔の住むマンションで同居が決定しているという。突然のことに面食らう大輔だったが、その肝心の相手は大輔の高校に赴任して来たばかりの司夢子であることを知り、さらに頭を悩ませることとなる。こうして、家では夫婦、学校では教師と生徒という関係の二重生活が始まるのだった。
メディアミックス
TVドラマ
1985年7月22日には『結婚ゲーム1』、1986年6月30日には『結婚ゲーム2』のタイトルで南部英夫監督によりドラマ化され、フジテレビ系列「月曜ドラマランド」にて放送された。司大輔役を山本陽一、司夢子役を斎藤慶子が演じている。
作家情報
村生ミオは1952年4月28日生まれの徳島県出身の漫画家。1972年『かっぱラブラブ大作戦』が「別冊少年ジャンプ」に掲載されてデビュー。1974年には『ふたごバンザイ』で第7回手塚賞の佳作を受賞している。漫画家の柳沢きみおのもとでアシスタントを務めた経験があり、師弟関係にある。代表作は本作『結婚ゲーム』の他、『胸騒ぎの放課後』『微熱MY LOVE』などがある。
登場人物・キャラクター
司 大輔 (つかさ だいすけ)
15歳の男子高校生。司夢子の夫。親元を離れて、マンションで一人暮らしをしていたが、のちに夢子とともに暮らすようになる。学校ではいわゆる問題児で、友人とつるみながら、さまざまな問題を起こしている。夢子のことも大切に思っており、夫らしいことをしてあげたいとも思っている。しかし、高校生ということもあり、精神的にもまだまだ幼く、嫉妬深くなったり、素直になりきれなかったりと、問題が多い。
司 夢子 (つかさ ゆめこ)
司大輔の妻。22歳の女性教諭で、テニス部の顧問を務めている。その美貌とバスト86・ウエスト58・ヒップ88という抜群のスタイルで、特に男子生徒からの人気が高い。家では大輔に従順に尽くすものの、学校では教員として厳しく接するなど、オンとオフをしっかり切り替えている。
司 千尋 (つかさ ちひろ)
司大輔の幼なじみの女子高校生。司夢子の妹。子供の頃は大輔と一緒によく遊んだ仲で、7年前に大輔から「お嫁さんにする」と言われた約束を信じて、現在もアプローチをかけ続けている。途中から大輔と夢子の学校に転校して来て、同じ家に住むようになる。
滝沢 昭一 (たきざわ しょういち)
15歳の男子高校生。司大輔の友達で、校内で知られた問題児の1人。成績が悪く、大輔といつも最下位争いをしている。司千尋に好意を抱いており、何度もアプローチをかけているが、毎回失敗に終わっている。お調子者で常にボケているが、女性を守るということに関しては、かなり真摯に対応している。
大田 和彦 (おおた かずひこ)
15歳の男子高校生。司大輔の友達で、校内で知られた問題児の1人。滝沢昭一とはよく一緒につるんでいるが、昭一に台詞を奪われがちで、なかなかしゃべる機会がない。女性の扱いが巧みで、女心にも精通し知識も豊富。「久美子」という彼女がいる。
五十嵐 ひとみ (いがらし ひとみ)
司大輔の隣のクラスの女子生徒。ダンス部に所属している。大輔が初見でドキッとしたほどの美少女。大輔に好意を寄せており、年賀状を出すという名目で大輔の住所を聞き出そうとした。しかし、司千尋と同じ住所であることがバレると厄介だと考えた大輔からは、住所を途中までしか教えてもらえなかった。
戸古豚 (とことん)
15歳の男子高校生。他の学校から転校して来て、司大輔のクラスメイトとなる。友達付き合いには消極的で、勉強ばかりしている。疑問が生じると、それを解消するためにとことん追及する性格。大輔と司夢子との関係性が気になった時には、調査のため彼らの自宅まで訪れた。
長谷川 (はせがわ)
15歳の男子高校生。司大輔のクラスメイト。クラス内では学校一のプレイボーイとして知られている。暇さえあればクラスの女子を口説いており、女子に対する観察眼にも優れている。滝沢昭一がさまざまな女子の唇の写真を並べて誰の唇か当てるゲームをした際には、皆が苦戦するなか、ただ1人迷わずにすべての唇を当てて見せた。
校長先生 (こうちょうせんせい)
司大輔の通う学校で校長を務める男性。規則を破る生徒は誰であろうと許さない、という厳格さを持つ人物。しかし、司夢子にだけは甘く、夢子の言うことに対しては肯定することが多い。また、今までに99組のカップルを成立させ、「仲人の鬼」と呼ばれている。
谷口 (たにぐち)
司大輔の通う学校の男性教諭。同僚である司夢子のことを「理想の女性」と見なし、密かに憧れを抱いている。司大輔と滝沢昭一と大田和彦の3人には、常日頃から手を焼いており、「悪ガキトリオ」と呼んでいる。
エレン・パウエル (えれんぱうえる)
アメリカ人の女性。司大輔が司夢子とともに訪れたスケート場で出会った。日本語が堪能で、日本の風俗や習慣にも詳しい。また気が強い性格で、ナンパしてくる男性には蹴りを喰らわせて撃退している。のちに大輔の通う高校の教師となって再会する。担当教科は保健体育。スケート場で会った時から大輔に好意を抱いており、学校内外関係なく積極的にアプローチをかける。
財津 和美 (ざいつ かずよし)
司大輔の通う学校に転任して来た男性教諭。東京赤坂生まれの26歳で、小学校から大学まで一流校を卒業してきたエリート。容姿端麗で、女子生徒からの人気が高い。現在花嫁を募集しているが、女性に対して点数をつけて判断するなど、好みにはかなりうるさい。しかし、司夢子には人生で初めての100点オーバーの点数をつけ、夢子を自分のモノにしようと目論んでいる。
司大輔の父 (つかさだいすけのちち)
司大輔の父親。司夢子を「最高の女性」と見込んで、大輔の嫁として選び、派遣した人物。夫婦として一緒に暮らし始めた大輔と夢子に対し、食事中に「子どもはまだか?」と話題に出したりするなど、少々デリカシーに欠ける性格をしている。
健二 (けんじ)
司大輔のいとこの男性。役者をしている。現在は不感症の役を演じることが決まっており、その役作りに悩んでいる。事情を知らない母親から、本当に女性に興味がなくなってしまったのではないかと心配され、新婚である大輔の家に1週間預けられることとなる。
義男 (よしお)
司大輔の甥の中学生。クラスメイトの堀口ちえみと付き合っており、駆け落ち同然で大輔の家を訪れた。パソコンを使ってゲームソフトのデザインを手掛け、貯金は既に430万円もある。
司夢子の父 (つかさゆめこのちち)
司夢子と司千尋の父親。早く孫の顔を見たいと願っており、司大輔と夢子の家を訪れた際には、色々と余計な世話を焼く。夢子を大切にしている様子の大輔には感謝をしている。
司夢子の母 (つかさゆめこのはは)
司夢子と司千尋の母親。19歳で夢子を産んだためまだ若く、昔のままのスタイルをキープし続けている。司大輔には「派手なおかあさん」と評されている。男性がどのようなしぐさにドキッとするのかを知り尽くしており、夢子にアドバイスを送る。
クリス・パウエル (くりすぱうえる)
エレン・パウエルの姉で21歳。パウエル家の「女性は20歳で結婚する」という決まり事を守り、1年前に結婚した。エレンに司大輔をフィアンセとして紹介された時には、その若さとエレンとの間のぎこちなさについて苦言を呈する。
ナンシー・パウエル (なんしーぱうえる)
エレン・パウエルの妹。歳は13歳。かなり馴れ馴れしく、自分が好きになると、すぐにベタベタしてしまう。司大輔のことも気に入り、初めて会った時から、人目をはばからず抱きついていた。
ダイスケ
悪ガキたちにいじめられていた野良犬。司千尋に助けられた。千尋の後を離れないほどに懐いてしまったため、飼うことを決意した千尋が、「ダイスケ」と名付けた。結局、千尋が住むマンションでは飼うことができなかったため、本間武志の家で飼われることとなった。
本間 武志 (ほんま たけし)
司大輔とは別の高校に通う1年生の男子生徒。演劇部に所属しており、血液型はA型のみずがめ座。司千尋のボーイフレンドということで、大輔と司夢子と千尋の3人でいくはずだった、高原温泉スキー場への旅行に参加した。フレンドリーな性格で、大輔と夢子が夫婦であることも知っている人物の一人。
倉品 (くらしな)
司夢子のお見合い相手とされた男性。「仲人の鬼」の異名を持つ校長先生が選んだ。ルックス、スタイルに優れており、司大輔いわく「大人の男性」。夢子のことを気に入り、結婚を前提とした付き合いを熱望したが、断られてしまう。
熊田 (くまだ)
会社員の男性。司大輔たちが高原温泉スキー場へ泊まりがけで来ていた旅館に、たまたま居合わせた。司夢子と司千尋が混浴の露天風呂に入ってきたことを確認し、会社の同僚にそのことを伝えて、全社員を混浴に殺到させるなど、騒動のきっかけを作る。
ナオミ
司大輔が高原温泉スキー場で出会った女子大生。女友達とグループで来ており、本間武志や大輔と一緒にお酒を飲んだ。2人のうちでは大輔の方を気に入っており、身体を密着させるなど積極的なアプローチをする。
拓 (たく)
近所の男児。司大輔と司夢子が一緒に遊んでいた公園で出会った。たまたま同じ公園に訪れていた本間武志と夢子の腕を、オモチャの手錠で拘束し、2人を困らせていた。ちなみに武志は、拓を大輔と夢子の子供だと勘違いしていた。
小池 キヨシ (こいけ きよし)
司大輔のマンションの隣に引っ越してきた男性。小池チャコの夫で新婚。チャコのことは何も知らないままに結婚したと語っているが、ギネスに挑戦しようと3時間連続でキスをするほど惚れ込んでいる。最近の悩みは、チャコとの夜の生活が上手くいっていないこと。
小池 チャコ (こいけ ちゃこ)
司大輔のマンションの隣に引っ越してきた女性。小池キヨシの妻で新婚。引っ越してきた時に、ガスの契約を忘れていたというだけで泣いてしまうなど、かなりの泣き虫。キヨシからは「心配性」過ぎるとも言われている。
慶子 (けいこ)
司夢子の友人の女性。東京大学卒で一流商社勤めの男性と結婚したばかり。夢子の夫である司大輔と慶子の夫を比べては優越感に浸るなど、あまり性格は良くない。
慶子の夫 (けいこのおっと)
慶子の夫。東京大学卒一流商社勤めのエリート。元インターハイ出場選手で水泳が得意。司夢子のような美人を妻にしている司大輔に対して対抗心を燃やし、大人げなく水泳の勝負を挑む。
栗原 さえ子 (くりはら さえこ)
司夢子の友人の女性。デザイン関係の仕事をしている未婚のキャリアウーマン。大学のグループでは最も結婚が早かった夢子の夫のことが気になっていたが、初めて司大輔を見た時には夫と気付かず、弟だと勘違いしていた。
鈴木 (すずき)
司夢子の高校時代の同級生の男性。現在は国際線のパイロット。1年の半分はフランスとアメリカで生活している。高校時代から夢子のことが好きだったが、その想いは今も変わっていない。同窓会で再会した夢子に積極的なアプローチをかける。
今日子 (きょうこ)
司夢子の友人の女性。今まで付き合ったすべての男性に、こっぴどくフラれており、極度の男性恐怖症となった。しかし、それはすべて積極的に行き過ぎた結果、相手に逃げられたというのが真相で、本来は男性に対して非常に積極的な性格。
山口 真子 (やまぐち まこ)
売れっ子の女性歌手。年下の会社員の男性と結婚していたが、最近、離婚して世間を騒がせている。離婚時の記者会見では「彼の期待に応えることができなかった」と、全面的に自分が悪いことを認めた。これが世間でさまざまな憶測を呼んでいる。
藤川 (ふじかわ)
司大輔と同じマンションの405号室に住む女性。職業は美容マッサージ師。クリスマスイブの前までにドレスを綺麗に着こなしたい、という司夢子のために、出張マッサージを施す。
絵里 (えり)
滝沢昭一が渋谷でナンパした女子中学生の1人。いつもは女友達3人組で行動している。恋愛経験のない男の子を純情ぶってひっかけては、服や食事などを貢がせている。ディスコの常連でもあり、夜の遊びにも詳しい。
堀口 ちえみ (ほりぐち ちえみ)
義男の彼女。父親が商社マンで、10歳までアメリカで育った。英字新聞が読めるほどに語学が堪能で、中学生の割には考え方も成熟しており、頭も切れる。日曜大工が得意、という意外な一面もある。
原武 正輝 (はらたけ まさき)
バンド活動を行っている大学生。好青年で、女性からの人気も高い。妹が司大輔と同じクラスに所属している。司千尋が男心を知る目的で仲良くしているが、大輔からは、千尋と付き合っている人物としてマークされている。
ジェームズ
25歳の青年実業家。エレン・パウエルが、夏にアメリカへ一時帰国した時に知り合った。エレンに惚れ込み、彼女がたじたじになるほど電話やメールで猛アプローチをかけている。一方で、パーティで司夢子を見かけて一目惚れし、即座にプロポーズするなど、軟派な一面もある。
集団・組織
夢子先生親衛隊 (ゆめこせんせいしんえいたい)
夢子を悪い男から守る団体。司夢子が美人で魅力的なため、変な男からも狙われやすいということで、滝沢昭一が組織した。メンバーはクラスメイトの男子で、可能な限り夢子のボディーガードを務めている。
場所
SNACK DUNK (すなっくだんく)
司大輔がアルバイトをしていたスナック。大輔は、夫らしいことを1つもしていないと後ろめたく思っていた。そこで司夢子に指輪を買うことを思いつき、その資金を得るためにアルバイトをした。時給は600円。谷口も時々飲みに訪れる。
ゴージャスホテル
最近オープンしたホテル。司大輔が、旅行の代わりに司夢子を誘った場所。大輔がその名前だけで高級ホテルと決めつけていたが、実際は宿泊5000円で、リーズナブルな料金設定のラブホテルだった。
倉品学園 (くらしながくえん)
司夢子が転勤を打診された学校。夢子が研修に行った際、彼女の姿を見た倉品学園の校長が、是非うちに来てほしいと夢子に働きかけた。かなりの名門校で、給料の水準も高い。
イベント・出来事
ミス・ティーチャー・コンテスト (みすてぃーちゃーこんてすと)
日本で一番美しい教師を決めるコンテスト。滝沢昭一が勝手に司夢子の写真を送ってエントリーし、最終審査まで残った。夢子は最終審査を辞退しようとしたが、周りからの期待や後押しもあり、結局最終審査に参加した。優勝した者には図書券が送られ、その優勝者の職場の学校にも教育助成金が入ることになっている。
その他キーワード
愛のコーヒー・カップ (あいのこーひーかっぷ)
ペアのコーヒーカップ。「夫婦の絆を強くする」という触れ込みに惹かれた司大輔が、司夢子にプレゼントした。夢子はこのプレゼントを非常に喜び、後日2人でコーヒーを入れてコーヒーブレイクを楽しんだ。
若妻のよろめき (わかづまのよろめき)
ポルノ映画の題名。谷口が、郊外補導の一環という名目で司夢子を誘った。谷口は「中に生徒がいるか確かめるだけ」と、夢子を説得して中に入るが、結局スクリーンに釘づけになっていた。主演女優は夢子に似ている。
トロピカル喫茶 (とろぴかるきっさ)
司大輔の学校の文化祭で、大輔のクラスが行った喫茶店。発案者は滝沢昭一。教室に強烈な暖房を入れ、ウエイトレスの女子が全員ビキニのトロピカル・スタイルで接客するというもの。