緑色の砂時計

緑色の砂時計

若王子高校とライバルである大東高校の生徒たちの、青春と愛の痛みを描いたオムニバス作品で、「シリーズ 風がめざめる時代(とき)」のサブタイトルがついている。表題エピソード「緑色の砂時計」に加え、「5枚目の女王」「バラの迷路」の3つのエピソードが収録され、純粋でひたむきに生きる少女たちの姿が鮮烈に描かれる。

正式名称
緑色の砂時計
ふりがな
みどりいろのすなどけい
作者
ジャンル
兄弟・姉妹・双子
レーベル
講談社コミックスミミ(講談社)
巻数
全1巻完結
関連商品
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あらすじ

緑色の砂時計

伊庭耀子が暴行されたことを知った兄の伊庭雄二は、犯人と乱闘騒ぎを起こして剣道部を辞めてしまう。耀子と雄二は暴行事件を2人だけの秘密にするが、耀子は暴行の後遺症として兄以外の男性に対して嫌悪と恐怖を抱くようになる。妹を一生守ると誓う兄の雄二と、兄だけを信じる妹の耀子は互いに秘めた想いを持つようになっていく。耀子は兄への想いを密かに日記に書いていたが、その日記を雄二が読んだことで、ぎりぎりで保たれていた2人の均衡が崩れていく。

5枚目の女王

大東高校からライバル校の若王子高校へ転校した小沢亜弓。姉の小沢由美が若王子高校で自殺したことから、死の真相を探るために渦中へ飛び込んだでいく。由美に託された♡の女王を握りしめ、手がかりのイニシアルNの人物を探す中で、亜弓は命を狙われることになる。

バラの迷路

若王子高校の入学式で貿易界の狼王と呼ばれる西園寺京吾に見初められ、16歳の若さで結婚した海堂美尾。バラの一族と呼ばれる西園寺家の屋敷で執拗ないじめを受け、家出をしてしまう。京吾への復讐を誓った美尾は秘書として京吾のもとへ戻り、戦いを挑むのだった。

登場人物・キャラクター

伊庭 雄二 (いば ゆうじ)

エピソード「緑色の砂時計」に登場する。若王子高校に通う男子。剣道部のエースで、「若王子高校の虎」「若虎」などと呼ばれており、大東高校の大沼とは良きライバル関係にある。成績が抜群に良いことから校長に呼ばれ、じきじきに学力テストの成績を褒められるほど。しかし、妹の伊庭耀子を暴行した相手と乱闘事件を起こし、肋骨を折る怪我を負って部活をやめてしまう。 肋骨を折ったせいで体のバランスが崩れてしまい、普段からよく転ぶようになる。なお、耀子が暴行されたことは伊庭兄妹の母、伊庭兄妹の父には隠している。暴行事件以降、耀子を女性として意識するようになり、恋人であった山口麻由子を避けるようになる。

伊庭 耀子 (いば ようこ)

エピソード「緑色の砂時計」に登場する。若王子高校に通う女子。伊庭雄二の妹で、長いストレートの髪にヘアバンドをした、可愛らしい外見をしている。チンピラに暴行され、男性の近くに寄っただけで吐いてしまうほどのひどい男性恐怖症になってしまう。この暴行事件は伊庭兄妹の母、伊庭兄妹の父には隠しており、雄二に連れて行かれた藤野病院でこっそり処置してもらった。 雄二が復讐のために、犯人たちと乱闘事件を起こしたのを自分の責任だと思いつつも、雄二のことを兄妹以上の感情で慕うようになる。以降、誰にも言えない兄への想いを鍵付きの日記帳に書いている。暴行事件を目撃していたホームレスに再び襲われたところを大沼に助けられてからは、大沼に好意を持つようになる。

小沢 亜弓 (おざわ あゆみ)

エピソード「5枚目の女王」に登場する。大東高校から若王子高校に転校した少女。バレー部のエースで、腰までのロングヘアにしており、気の強い性格。姉の小沢由美は同じく大東高校の生徒であったが、若王子高校の屋上から飛び降り自殺していまい、姉の死の真相を知るために若王子高校へ乗り込むことにした。由美に託された♡の女王を首に下げ、由美の日記に手がかりとして残されたイニシアルNの人物を探す。

海堂 美尾 (かいどう みお)

エピソード「バラの迷路」に登場する。若王子高校の入学式で来賓として来ていた西園寺京吾に見初められ、16歳の若さで結婚した少女。本当の両親ではない伯父夫婦に育てられたが、純情で優しい性格をしている。古いしきたりのある西園寺家で1人の味方もなく、剣崎麻矢、西園寺家のおばあさまからメードにまでいやがらせをされ家出した。 家を出た美尾の中には京吾への激しい憎悪があり、復讐のために西園寺海運の社長秘書となり、京吾に戦いを挑む。

大沼 (おおぬま)

エピソード「緑色の砂時計」に登場する。大東高校に通う男子で、剣道部のキャプテンを務めている。短髪に強面のいかつい外見だが、剣道の試合以外ではとびきり優しいことから校内でも人気は高い。自分のことを「わし」と言うなど、少し古風な性格。伊庭雄二の剣道でのライバルで、互いを認め合っている。ある日、ホームレスに襲われている伊庭耀子を助け、雄二が剣道部を辞めるきっかけとなった乱闘事件が、耀子が暴行を受けたことが原因であることを知る。

山口 麻由子 (やまぐち まゆこ)

エピソード「緑色の砂時計」に登場する。若王子高校に通う女子。ロングヘアの優しげな風貌の美人で、伊庭雄二の元恋人。髪の両サイドをピンで留めている。乱闘事件以降、雄二に避けられるようになるが、ずっと雄二に想いを寄せている。

藤野 (ふじの)

エピソード「緑色の砂時計」「5枚目の女王」に登場する。藤野医院の院長を務めている。癖のある少し長めの黒髪で、顔を半分隠した影のある男性医師。伊庭雄二、伊庭耀子とは古い知り合いで、暴行された耀子の後処置を秘密裏に行った。美しい女性の写真を飾っており、恋人かと尋ねた雄二には「そうだ」と答えたが、実はその女性は藤野の姉。 かつて藤野は姉と関係を持っており、10年前に姉は藤野の子供を身ごもったまま自殺してしまった。このことから耀子と雄二にも同情的で、なんとか2人を救おうとしている。「5枚目の女王」では自殺直前に小沢由美が訪れており、由美が妊娠していることを告げる。

ホームレス

エピソード「緑色の砂時計」に登場する。薄汚い格好をした中年男性。伊庭耀子がチンピラに暴行されたのを目撃しており、そのことをネタに耀子を脅し、性的関係を迫った。しかしその現場を大沼に目撃され、耀子を襲うことはもとより、耀子が襲われた事実を一言でもしゃべったら半殺し以上の目に合わせると言われて逃げ出した。

伊庭兄妹の母 (いばきょうだいのはは)

エピソード「緑色の砂時計」に登場する。和服に白いかっぽう着を着て、黒い髪を後ろでまとめた古風な中年女性。明るく優しい性格で、伊庭雄二と伊庭耀子の兄弟を見守っている。外出の時も和服で、雄二が肺炎で藤野病院に入院した時も、伊庭兄妹の父とともに着物で訪れた。

伊庭兄妹の父 (いばきょうだいのちち)

エピソード「緑色の砂時計」に登場する。眼鏡をかけ、口ひげを生やした家族想いの中年男性。自宅にいる時はゆったりとした和服、外出時は背広にネクタイのスーツ姿。家族の様子には敏感で、家では伊庭雄二と碁を打ちながら、伊庭耀子の様子がおかしいことを尋ねた。肺炎で雄二が藤野病院に入院した時は、伊庭兄妹の母とともにスーツ姿で見舞いに訪れた。

校長 (こうちょう)

エピソード「緑色の砂時計」に登場する。若王子高校の校長を務めている。頭頂部が禿げていてサイドの毛は白髪、眉毛も白髪の恰幅のいい壮年男性。教育者として、部活動よりも学業を優先する気持ちの方が強い。剣道部のエースで内外に名前が知られている伊庭雄二が剣道部を辞め、学業に専念したことで県内でもトップクラスの成績を収めたことに非常に満足している。

小沢 由美

エピソード「5枚目の女王」に登場する。小沢亜弓の姉で大東高校の女子生徒だったが、若王子高校の屋上から投身自殺した。横分けにしたロングヘアの大人っぽい少女で、亜弓とは両親を早くに亡くして2人きりの姉妹として助けあって生きて来た。浦部という新聞記者の恋人がいたが、死亡している。浦部から貰った♡の女王を大事にしており、亜弓に託した。 小沢由美の日記にはイニシアルNという人物への憎悪が記されており、亜弓はNを探すために若王子高校へ転校することになる。

浦部 (うらべ)

エピソード「5枚目の女王」に登場する。少し足が不自由な新聞記者で、小沢由美の恋人だった。信楽化学工業の不正を調査している最中に死亡する。新公害といわれる有害物質の六価クロムを扱う信楽化学工業が同業会社の中で唯一追及を逃れていることに、信楽コンツェルンの信楽老が絡んでいると突きとめ、証拠をマイクロフィルムに入れ、♡の女王に隠し由美に渡した。

野田 双平 (のだ そうへい)

エピソード「5枚目の女王」に登場する。若王子高校の中年男性教諭。浦部とバーで知り合い、信楽化学工業の不正とそれを浦部が調査していることを知り、信楽老に話を持ち込んだ。証拠のマイクロフィルムを処分できれば、信楽老の口利きで紅子と結婚し、大東高校の理事になることができる。そのために小沢由美を追い詰め、自殺に追いやった。

岩崎 祐子 (いわさき ゆうこ)

エピソード「5枚目の女王」に登場する。若王子高校の女子生徒。放送部に所属していて、小沢亜弓の試合はいつも放送席から見ていた。黒い長い髪を三つ編みにしたおとなしい性格の少女で、足が悪いことでよくいじめられたりからかわれる。電車でからかわれているところを小沢由美に助けられた過去があることから、亜弓にも協力的な態度を取る。

信楽老 (しがらきろう)

エピソード「5枚目の女王」に登場する。信楽コンツェルンの会長で、着物に坊主頭、痩身の威厳のある老人。信楽化学工業の不正の証拠を浦部が手に入れたことを野田双平から知らされ、野田にマイクロフィルムの回収させようとしている。その交換条件として野田を紅子と結婚させ、大東高校の理事にする約束をする。

神 恭一郎 (じん きょういちろう)

エピソード「5枚目の女王」に登場する。サングラスをかけたロングヘアの若い男性で、スーツを着ている。命を狙われた小沢亜弓を何度も助けている謎の人物。浦部を知っており、信楽老と企業間戦争を調査している。高校を卒業した亜弓がともに社会悪と戦う仲間になることを楽しみにしている。

紅子 (べにこ)

エピソード「5枚目の女王」に登場する。信楽老の知り合いの若い女性。ショートカットの髪を横分けにした美しい女性で、気の強い性格をしている。野田双平をいやな男と嫌っている。野田が信楽老の期待に応えれば、野田と結婚させられてしまう。

西園寺 京吾 (さいおんじ きょうご)

エピソード「バラの迷路」に登場する。元華族でバラの一族と呼ばれる西園寺家の主で、貿易界の狼王と呼ばれる西園寺海運の若社長。若王子高校の入学式で新入生だった海堂美尾を見初めて強引に結婚するが、美尾につらくあたり少しの優しさも見せない。家出をした美尾が自分の秘書として戦いを挑んで来たことを喜ぶ。

剣崎 麻矢 (けんざき まや)

エピソード「バラの迷路」に登場する。西園寺家の遠い親類で、西園寺家の采配を任されている気位の高い美女。海堂美尾を疎ましく思っており、追い出そうと西園寺家のおばあさまが大事にしている白バラをわざと切らせたり、メードと共謀して美尾の作ったスープに髪の毛を入れたりなどの意地悪をする。

西園寺家のおばあさま (さいおんじけのおばあさま)

エピソード「バラの迷路」に登場する。西園寺家の気難しい老人で、いつも着物を着た小柄な老女。庭の一角に丹精して白バラを育てており、誰にも触らせないようにしている。身分のない海堂美尾のことを使用人以下のおもちゃだと思っている。

メード

エピソード「バラの迷路」に登場する。顔にそばかすのある若い女性。海堂美尾に頼まれて調理場でスープを作ることを黙認するが、実際は剣崎麻矢の手先となってスープに髪の毛を仕込んだ。美尾を西園寺京吾に愛されていると勘違いしている愚かな女だと思っている。

船長 (せんちょう)

エピソード「バラの迷路」に登場する。マンモスタンカー「うしお丸」の船長で恰幅が良く、白髪に白い髭を蓄えた男性。西園寺京吾とは長い付き合いで、信頼し合っている。嵐の夜にうしお丸のブリッジが破壊され無電が使えなくなるも、セスナからの照明弾を京吾からの合図だと気付き、モールス信号で無事を伝える。うしお丸到着に際して行われたパーティーでは、セスナの照明弾が海堂美尾のアイディアだと知って感激したと語り、美尾が賞賛されるきっかけとなる。

場所

若王子高校 (にゃくおうじこうこう)

伊庭雄二、伊庭耀子、山口真由子が通う高校で、海堂美尾は1か月だけ在籍して退学した。大東高校とは憎しみ合うライバル校で、大東高校からの転校生である小沢亜弓は避けられ、執拗ないじめに遭った。大東高校とは、学業や部活動、すべての面で張り合っている。雄二の所属していた剣道部は強豪だが、バレー部はエースの亜弓のいた大東高校に三連敗している。

大東高校 (だいとうこうこう)

若王子高校とは憎しみ合うライバル校。大沼が通う高校で、小沢亜弓、小沢由美の姉妹も通っていた。大沼と伊庭雄二は学校を越えたライバルで、剣道部員たちも意識している。亜弓は若王子高校へ転校したが、元大東高校生ということで執拗ないじめに遭った。

藤野病院 (ふじのびょういん)

エピソード「緑色の砂時計」「5枚目の女王」に登場する。藤野が院長を務める病院で、入院施設もある。暴行された伊庭耀子が秘密裏にその後処置を受けた他、肺炎を患った伊庭雄二が藤野病院に入院することとなった。2階には藤野のプライベートな部屋があり、雄二を招待したり、酒を飲んだりもしている。

その他キーワード

♡の女王

エピソード「5枚目の女王」に登場する。浦部が恋人の小沢由美にプレゼントした一組のトランプに入っていた余計なカード。1枚だけ他のトランプとは裏の模様が違う5枚目の女王のカードで、由美は妹の小沢亜弓に託す。中には浦部が調査した信楽化学工業の不正の証拠がマイクロフィルムとして入っている。

うしお丸

エピソード「バラの迷路」に登場する。西園寺家の所有するマンモスタンカー。高波でブリッジの一部が破壊され無電が使えなくなり、消息不明となった。しかしうしお丸の船長は海堂美尾と西園寺京吾が飛ばしたセスナからの照明弾を見て、モールス信号で無事を伝えた。

書誌情報

緑色の砂時計 全1巻 講談社〈講談社コミックスミミ〉 完結

第1巻

(1975年12月15日発行、 978-4061089037)

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