概要・あらすじ
岡崎志麻子は一流商社に勤めており、恋人との仲も順調で、プロポーズも間近かと思われていた。しかし、あろうことかクリスマスの夜にデートをキャンセルされ、振られてしまう。早く結婚しなければと焦る志麻子だったが、そんな彼女の前に、両親の離婚以来ずっと離れ離れだった妹のみのりが現れる。引き取られた父親が亡くなって、独りぼっちになってしまったみのりに、志麻子は一緒に住むことを提案。
久しぶりに会話をしてみると、2人は立場も性格もまったく違うことを知る。自由奔放に見えるみのりは、実は芯が強く、自立した女性であった。最初はみのりを下に見ていた志麻子は、これまで気づかないふりをしていた自分自身の薄っぺらさや、過去のトラウマと向き合うことになる。
登場人物・キャラクター
岡崎 志麻子 (おかざき しまこ)
総合商社「丸井商事」の常務秘書を務める29歳の女性。仕事をバリバリこなし、どんな仕事でもその手腕を存分に発揮するが、実は自分に自信がない。両親が離婚した後、母親の望む理想の娘にならなければならない、というプレッシャーで、自分らしく伸び伸びとした生き方を知らずに、大人になってしまった。しっかり者で、なるべく条件のいい男性と早く結婚して、家庭に収まりたいと考えている。
みのり
岡崎志麻子の妹。25歳のフリーターの女性。自由奔放な父親に振り回されて育ったせいか、楽天的な性格をしている。真面目で堅物な姉とはまったく正反対の性格で、結婚願望も特になく、気持ちが赴くままに、やりたいことをやるタイプ。放浪癖のある父親に放置されて育ったことがトラウマとして残っており、大切な人にいつか捨てられてしまうのではないか、という強迫観念がある。
若菜 純一 (わかな じゅんいち)
総合商社「丸井商事」に勤めている男性。岡崎志麻子と付き合っていたが、クリスマスデートの当日に志麻子に別れ話を持ちかけ、あっさり他の女性に乗り換えた。エリート育ちのボンボンで、別れた後もなれなれしく話しかけてきては、新しい恋人である川合美々の魅力を語るなど、無神経なところがある。
伊東 ハジメ (いとう はじめ)
みのりの恋人。無職の男性。手先が器用で、帽子やバッグ、洋服、靴、下着まですべて自分で作ってしまう。将来はデザイナーになり、自分のブランドを立ち上げたいという夢を抱いている。友人に騙されて借金を背負わされており、その返済に追われて、いつも貧乏暮らしをしている。
エドワード・チャン (えどわーどちゃん)
総合商社「丸井商事」の最高ブレーンと評される、ドン・カルロスの第一秘書を務める男性。仕事に非常に厳しく、相手に冷たい印象を与える人物。岡崎志麻子に対しても冷たい口調であたるが、志麻子の努力は認めており、人生に悩める志麻子に生き方を指南する。親しい相手からは「エディ」と呼ばれている。
田辺 (たなべ)
総合商社「丸井商事」の最高ブレーンと評される、ドン・カルロスの第五秘書を務める男性。イケメンで優男風の雰囲気を漂わせている。仕事に厳しいエドワード・チャンのもとで、物静かで謙虚な姿勢で仕事をこなしている。
山本 烈 (やまもと れつ)
総合商社「丸井商事」の医務室に、非常勤で診察にやって来ている男性医師。普段は大きな病院で働いている。若くてがっしりした身体つきをしており、なおかつ細やかな気遣いと礼儀正しさを持つため、不特定多数の女性たちから人気がある。しかし、実は浮気の常習者で、内縁の妻もいて、隠し子までいる。岡崎志麻子とも身体の関係を持とうとするが、内縁の妻が乗り込んで来たことにより失敗する。
ジュリアン・ロバーツ (じゅりあんろばーつ)
総合商社「丸井商事」が取引する「S&W社」の社長を務めている男性。見た目は田舎者のおじさんで、スーツすら着ておらず、自由奔放で、思いついたことをすぐに実行に移す。好奇心旺盛で、特に日本の文化に興味津々で、なんでも知りたがる。岡崎志麻子を困惑させるが、みのりの協力を受けた志麻子のもてなしにより、日本観光をして大満足する。
テレサ
エドワード・チャンと付き合っている女性。香港出身で、アジアに関する物品の輸出入を手掛ける仕事をしている。時には自分の扱う商材を自らレポーターとして取材し、その映像をTV局に売ったりすることもある。自立した女性を自認し、恋人に依存するような付き合い方を望んでいない。
川合 美々 (かわい みみ)
岡崎志麻子を振った若菜純一と、新たに付き合い始めた女性。舌ったらずで、守ってあげたくなるような頼りなさが、男性の心をくすぐるタイプ。ブリッ子しては男性に甘えるのが上手。純一も手玉に取るが、のちにさらに条件の良い男性を見つけて、あっさりと乗り換える。
志麻子の母 (しまこのはは)
岡崎志麻子とみのりの母親。佐伯秀之と離婚した後は、長女である志麻子を引き取り、2人で暮らしていた。いつも誰かに幸せにしてもらおうとする身勝手な性格。そのことを自覚しておらず、思い通りにならないと、すべて相手が悪いと思い込んでいる。55歳で再婚し、札幌へ移住する。
佐伯 秀之 (さえき ひでゆき)
岡崎志麻子とみのりの父親。既に故人。夢見がちで自由奔放な性格で、社会性が欠けており、家族を振り回していた。志麻子の母と離婚した後はみのりを引き取ったが、以前と変わらずに好き勝手な生活をしていた。58歳の時に脳溢血で亡くなり、葬式も後始末もみのりが1人で行った。
若菜 広子 (わかな ひろこ)
若菜純一の母親。息子の純一に依存しており、総合商社「丸井商事」に乗り込んで、純一と岡崎志麻子との仲を潰そうと画策した。言動が一致せず、ダブルスタンダードなところを見せるが、若菜広子自身の身勝手さには気づかない無神経な性格。仕事ばかりの夫にかまってもらえなかった淋しさを、純一で満たそうとしている。
場所
丸井商事 (まるいしょうじ)
岡崎志麻子、若菜純一、エドワード・チャンらが働いている総合商社。本社は東京にあり、大きな社屋に社員は5000人ほどいる。日本で販売するための商品を買い付けに、仕事で海外に行くことも多い。