概要・あらすじ
昭和92年、北海道は海に沈み、東西が分断された日本。悪性脳腫瘍を患い、余命半年と言われていた朝霧生子は、冷めた態度で生活を送っていたが、突然空から落ちて来た練人の練と出会ったことで、練人対策本部の武装兵たちに追われることになる。逃亡と戦闘を繰り返すなかで生子は、自身もまた普通の人間ではないことを知ることになる。
登場人物・キャラクター
練 (れん)
練人の少年。全身に巻かれた包帯と、露出した頭蓋骨が特徴。目覚めた直後に生みの親である博士を殺され、自身も頭部を撃ち抜かれたためその銃痕が残っている。無口だが表情は豊かで、朝霧生子の作る岩石のような料理が大好物。驚異的な生命力と機動力を持ち、戦闘時は両足から鎌が出現し、人間や兵器を無限に切り裂くことができる。生子に博士の面影を見出し、彼女を守るために戦う。
朝霧 生子 (あさぎり いくこ)
空から落ちて来た練を助けた女子中学生。微笑みかけた男子が全員恋に落ちるほどの美少女。悪性脳腫瘍に侵され、余命半年と宣告されていたことから、世の中に対し冷めた態度で過ごしていた。しかし、練人対策本部から全身に銃弾を受けて以降、自身も練人であることに気づき、その秘密に迫ることになる。南花舞香とは、入院時期が同じだったことから親友になった。
南花 舞香 (みなみはな まいか)
朝霧生子の親友の少女。生子より幼いが、入院時期が重なっていたことから親友となった。住んでいた北海道が海の底に沈没したため、生子たちと合流し、行動をともにすることになる。のちに天ノ原綺羅によって改造を施され、うなじにあるリングで神経を引き抜かれると、闘争本能の強い練人と化すようになってしまう。この状態にある間は副作用で流血し続けるが、両腕を硬化、軟化、形態変化など、思う通りに変形させることができる。
天ノ原 綺羅 (あまのはら きら)
南花舞香の担当医。優しげな雰囲気の女性だが、舞香を利用し、練、朝霧生子も伴って、西日本に亡命を目論んでいた。しかし西日本に戦火が及んでいることを知ると、舞香を改造して練人化。彼女を利用して練を捕らえ、練人対策本部に差し出そうとする、冷酷で自己中心的な性格を持つ。
生子の担当医 (いくこのたんとうい)
かつて朝霧生子の悪性脳腫瘍を診断した担当医。恰幅が良く、常に笑顔を絶やさない中年男性だが、生子を診断した当時はすらりとした痩身だった。練人に対する知識を持っており、練の身体に撃ち込まれた100発近くの銃弾を取り除く手術を請け負う。
集団・組織
練人対策本部 (れんじんたいさくほんぶ)
日本を統治する武装組織。練人のみならず、その作成者をも撲滅することを目的とした超法規的行動組織。作戦上必要であれば、武力による公共物の破壊や人権の反故が許可されている。「総統」と呼ばれる全権指揮官が存在し、これより高い地位の者も存在するが、そのほとんどが謎に包まれている。また「練人解体新書」という書物を所有しており、練人の全貌解明を急いでいる。
場所
日本 (にほん)
物語の舞台となる国。現実とは異なり北海道と静岡県が海に沈み、富士山が欠けて東西に分断された状態にある。この分断は自然発生したものでなく、大きな力により人為的に分断されたものである。しかし国民は情報統制を受けて、この事実を知らされていない。理由は不明だが、南花舞香や天ノ原綺羅は西日本を「希望の地」と称していた。
その他キーワード
練人 (れんじん)
人が作り出した人造人間。各個体が特異な力と驚異的な生命力を持ち、脳や心臓を損傷しても死亡しない。練人の作成は、日本国憲法で禁じられており、この駆除に対しては、あらゆる公共物の破壊や人権の反故が許可されている。