概要・あらすじ
明治時代。奉公人として横浜にやってきた和は、アキと名乗る不思議な少年と出会う。アキによれば、和の奉公先の主人であるクリント・J・ミラルドには西神鬼が憑りついているのだという。言葉の意味が分からず困惑する和だったが、アキと別れた直後に人間とは思えぬ姿に変貌したミラルドに命を狙われる。絶体絶命の和のもとに、不思議な武器を持ったアキがふたたび現れる。
登場人物・キャラクター
アキ
西神鬼を倒すために戦う、10歳の少年道士。前髪を眉上で短く切り、後ろを刈り上げている。前世では西神鬼を追い詰めたが、西神鬼は身体を1000に散らばらせ逃げてしまう。前世の導師は亡くなり、以来「転生の術」を用いて何度も転生しながら、1000に散らばった西神鬼の身体をすべて倒し、回収するために追い続けている。今の姿がアキ。 しかし、現在はまだ前世の記憶を完全に取り戻していないため仙力が戻らず、力を発揮できない状態にある。クールでぶっきらぼうな性格だが、西神鬼から人々を守るためには、危険もいとわない。
師匠 (せんせい)
アキが師事している仙人。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、腰のあたりまで伸ばした白髪ストレートロングヘアを肩甲骨あたりの低い位置で1つに結んでいる。若い男性のように見えるが、実際は非常に長い時を生きており、アキが何度も転生を繰り返しながら西神鬼と戦い続けてきた歴史を知っている。穏やかで落ち着いた、のんびりとした性格。 前世の記憶を取り戻せず力を発揮できないアキを指導し、稽古をつけている。主食は霞で、占いが得意。
キョン
アキと師匠に仕えるキョンシーの男性。坊主頭と目の下のクマ、顔の中央に縦に入った、皮膚を縫い合わせたような傷あとが特徴。屍の妖怪であるため本来は夜に人を襲い、太陽の光を浴びると消滅してしまう。しかし師匠が施した魔改造により、昼間も普通に活動できる、非常に丈夫な身体になっている。丁寧な口調で話し、おっとりとした性格。 師匠たちの料理番を担当している。街で見かけた和に密かに想いを寄せており、ある時、危機に陥った和を助けたが、それが原因で番所に連れていかれてしまう。
火犬 (こーけん)
風虎の兄で、その正体は天界に住む動物である「霊獣」。前髪を上げて額を全開にし、炎のように波打ったウェーブヘアを逆立て、額に火の玉のようなものを付けている。小柄で、弟の風虎よりも身長が低い。師匠には彼が天界から降りて来た時から付き添っており、アキよりも付き合いは長い。炎を操る力を持ち、1000度の灼熱弾を放ったり、身体の表面温度を500度まで上げることができる。
風虎 (ふーこ)
火犬の弟で、その正体は天界に住む動物である「霊獣」。前髪を上げて額を全開にし、オールバックにしている。大柄で、兄の火犬よりも身長が高い。マイペースな性格で、兄の命令を聞かないこともある。師匠には彼が天界から降りて来た時から付き添っており、アキよりも付き合いは長い。
和 (かず)
クリント・J・ミラルドの屋敷に奉公人としてやってきた15歳の少女。前髪を眉の高さで切ってロングヘアを束髪にしてまとめ、頭頂部には大きなリボンを付けている。病気の父親と幼い兄弟がおり、家計を助けるためミラルドの屋敷がある横浜へやってきた。業務中にミラルドの逆鱗に触れ、殺されかけたところをアキに救われたのをきっかけに西神鬼の存在を知ることになる。
クリント・J・ミラルド (くりんと・じぇい・みらるど)
ハプスブル商会の社長を務める男性で、和が奉公することになった家の主人。前髪を上げて額を全開にし、撫でつけ髪にしている。外国人であるため、片言の日本語で話す。非常に残忍で冷酷な性格で、少しでも気に入らない使用人は平気で殺してしまう。そのため屋敷の人間には非常に恐れられており、周囲からも多くの恨みを買っている。アキには西神鬼に取り憑かれた存在と見なされている。
能蔵 (のうくら)
番所で署長を務める男性。前髪を上げて額を全開にした髪型で、太い眉と厚い唇が特徴。能蔵が署長になってから、留置場に入れられた人間は皆亡くなっているという悪い噂があり、クリント・J・ミラルドと同様に西神鬼に取り憑かれている疑いがある。両親からは誇り高く生きるようにと育てられ、署長の地位にまで上り詰めた。その誇りから、西神鬼に対して現在も精一杯の抵抗を続けており、完全には乗っ取られずまだ意識を保っている。
ジロー
火犬の友人の少年。前髪を上げて額を全開にし、髪を放射状に立てたパイナップルのような髪型をしている。褐色の肌が特徴。ある日突然兄の平太郎が失踪したため、アキと火犬に捜索の協力を願い出る。かつて身を挺して自分を守った結果暴力事件を起こし、前科持ちとなってしまった平太郎を強く慕っている。
その他キーワード
西神鬼 (せいしんき)
大昔に存在した最強最悪の妖怪で、心臓を突かなければ殺せないとされている。国を亡ぼすほどの強さで恐れられていたが、元々は1人の人間だった。かつてアキの前世である1人の道士に殺されかけたが、身体を1000に散らばらせる形で逃げ延びた。道士は、その際に怪我を負って亡くなったが、転生の術を用いて、今でも散らばった西神鬼と追っており、現世の姿がアキである。
猫猫棒 (にゃんにゃんぼう)
アキの前世である1人の道士が、西神鬼に対抗するために作りだした魔道具。黒いステッキの先に、白猫の手を模した飾りがついた形をしている。かわいらしい外見から武器には見えないが、「猫大砲(ニャンタイホウ)」や「破猫の手(はにゃのて)」などの、西神鬼に有効な強力な技を放つことができる。しかし、西神鬼の1000に散らばった身体のうち「内臓」には効果がなく対抗できない。