SANDA

SANDA

板垣巴留の代表作の一つ。15歳未満の人口がわずか0.1%という、超少子化社会となった近未来の日本を舞台に、大黒愛護学園中等部に通う三田がサンタクロースの末裔として、行方不明となったクラスメイトの小野を捜す物語。三田は同級生の冬村の手によってサンタクロースとして覚醒し、小野の捜索を依頼される。三田のサンタクロースとしての能力が明らかになる中で、共に小野の捜索に尽力する冬村や甘矢との関係を深め、半年前に死亡したはずの小野の捜索を通じて、学園の謎が次第に明らかになっていく。本作は、伝説的な存在であるサンタクロースを現代的な学園設定に組み込み、アクション要素を特徴とした学園ヒューマンドラマ。「トラウマゼロ教育」を掲げ、子供たちを管理下に置いて自由意志を奪う学園の教育方針と、子供を愛するサンタクロースの使命に目覚めたことで、子供たちを大切に思う三田の姿勢との対比が描かれている。超少子化社会という社会問題を背景に据えた世界観の中で、学園内での日常描写と超常現象が混在する構成により、現実と非現実の境界を曖昧にした演出が用いられている。秋田書店「週刊少年チャンピオン」2021年34号から2024年32号まで連載。テレビアニメ第1期が2025年10月から放送された。

正式名称
SANDA
ふりがな
さんだ
作者
ジャンル
アクション
 
ヒューマンドラマ
レーベル
少年チャンピオン・コミックス(秋田書店)
巻数
全16巻完結
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作品の概要

基本情報

板垣巴留の代表作の一つ。

要旨と舞台設定

15歳未満の人口割合がわずか0.1%という、超少子化社会となった近未来の日本を描いた物語。大黒愛護学園中等部に通う三田一重は、サンタクロースの末裔であり、特定の条件を満たすとサンタクロースに変身する呪いがかけられている。三田は行方不明となったクラスメイトの小野一会を捜すため、三田の秘密を知る冬村四織や甘矢一詩と共に奔走する。

ストーリー展開

三田は、自らの命を狙う同級生、冬村の手により、サンタクロースとして覚醒する。これは三田の秘密を知る冬村の策略であり、子供に無償の愛を与えるサンタクロースとしての使命に目覚めた三田は、行方不明になった親友、小野を捜索してほしいという、冬村からの依頼に応じることとなる。そして三田は、半年前に死亡したはずの小野の捜索を進める中で、冬村や甘矢との関係を深めていくと同時に、学園にまつわる謎にせまっていく。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、アクション要素が特徴の学園ヒューマンドラマ。サンタクロースという伝説的存在を現代的な学園設定に組み込み、超少子化社会という社会問題を背景に据えている。人格をゆがめるトラウマをなくすための「トラウマゼロ教育」を謳(うた)い、子供たちを管理下に置いて自由意志を奪おうとする学園の教育方針と、サンタクロースとして子供たちを大切に思う三田の姿勢の対比が描かれている。

作品固有の表現技法と特徴

作中では、サンタクロースの超常的なアクションシーンが特徴で、学園内での日常描写と超常現象が混在する構成により、現実と非現実の境界を曖昧にした演出が用いられている。また、行方不明事件を通じた友情と信頼関係の変化が丁寧に描かれる。

世界観の構築と設定

本作の世界観は超少子化社会となっており、教育制度も独自の変化を遂げている。大黒愛護学園中等部では「トラウマゼロ教育」という教育方針が採用されており、これが物語の重要な背景要素となっている。また、三田はサンタクロースの末裔という設定により、現代社会に残存する伝説的存在となっている。

連載状況

秋田書店「週刊少年チャンピオン」2021年34号から2024年32号まで連載。

メディアミックス情報

テレビアニメ

第1期:2025年10月から放送。

大人と子供の関係性を描いたヒューマンドラマ

本作の舞台となる未来の日本では、15歳以下の子供たちが総人口のわずか0.1%にまで減少しており、国の方針として手厚く保護すべき対象と認定されている。だが、治安の悪化や人口減少による影響から、自らの欲望のために子供を利用しようとする大人も少なくない。子供たちの中にもまた、こういった大人の特異性に気づいている者がおり、表向きは従いつつも反抗の機会や逃げるチャンスをうかがっていた。メインキャラクターの冬村四織や甘矢一詩も同様で、子供の味方だと信じられているサンタクロースの末裔・三田一重に助力を求めるなど、大人と子供の水面下で繰り広げられる争いが、本作の大きなテーマとなっている。

サンタクロースの末裔と、彼を支える子供たち

サンタクロースの末裔である三田一重は、赤い服を着用すると筋骨隆々の老人に変身を遂げる。この姿になると体軀に見合った怪力に加えて、炎に強い耐性を備え、さらに足から鋭いソリ状の刃を具現化させるなど、さまざまな特殊能力を得る。ただし、その能力は子供からの信頼に依存している部分が多く、近くにいる子供が喜んだり安堵したりする際は高い実力を発揮するが、三田自身が子供に負い目を感じたり、子供から疑念を抱かれたりすると能力が大きく低下し、最悪の場合は変身が解除されてしまう。冬村四織と甘矢一詩は、三田のサンタクロースとしての長所と短所を熟知し、自分たちが子供であることを生かして彼をサポートしている。

さまざまな思惑が渦巻く大人たち

本作には、希少化した子供たちを海外に売りさばいている「子賊」や、子供の思想を自分の思いどおりにしようともくろむ大渋一二三、サンタクロースを捕えてその力を独占しようとする「赤衣の特捜隊」など、一癖も二癖もある大人たちが登場する。大人と、三田一重をはじめとした子供たちは基本的に相いれず、子供たちはサンタクロースの力を狙ってくる大人とバトルを繰り返している。しかし、三田自身は大人に対して憎しみや不信感を抱いているわけではなく、できることなら戦わずに心を通わせたいと願っている。この信念は、サンタクロースと敵対する大人たちを改心させることもあり、子供と大人の架け橋としても機能している。

登場人物・キャラクター

三田 一重 (さんだ かずしげ)

大黒愛護学園中等部に通っている男子。クラスメートからは「カッちゃん」のあだ名で呼ばれている。サンタクロースの末裔で、赤い服を着ると筋骨隆々とした老年男性に変身する。ふだんは身長161センチで体重46キロとかなり小柄ながら、変身後は身長240センチで体重200キロ以上の体軀を誇る。また、変身後は身体能力が強化され、炎への耐性を得られるほか、足に刃のように鋭いソリを具現化できる。しかし老眼になったり、子供にウソをつかれると周囲の物体が落下したりするなど、デメリットも存在する。当初はサンタクロースとしての能力をひた隠しにしており、赤い服を着ることを執拗に嫌がっていた。しかし、片思いの冬村四織に正体を暴かれ、彼女の親友で行方不明になっている小野一会の捜索を懇願されると、変身能力を駆使して小野を助けるために奔走する。

冬村 四織 (ふゆむら しおり)

大黒愛護学園中等部に通っている女子で、三田一重のクラスメート。親しい友人からは「おふゆ」と呼ばれている。181センチと長身ながら、体重は51キロとかなり瘦せている。体型や性格が女性らしくなく、冬村四織自身も女子という自覚があまりない。しかし、三田から思いを寄せられているほか、親友の小野一会からもひそかに恋愛に近い感情を抱かれているなど、不思議な魅力を持っている。三田がサンタクロースの末裔であることを知っており、行方不明になった小野を助け出すために彼の協力を仰ぐため、三田の体に刃物を突き立てたり、学校に爆弾を仕掛けたりするなど非常識な手段を取る。だが、そのブレない姿勢が逆に三田から気に入られ、協力を取り付けることに成功する。

書誌情報

SANDA 全16巻 秋田書店〈少年チャンピオン・コミックス〉

第1巻

(2021-12-08発行、978-4253281010)

第2巻

(2022-02-08発行、978-4253281027)

第3巻

(2022-05-06発行、978-4253281034)

第4巻

(2022-07-07発行、978-4253281041)

第5巻

(2022-09-08発行、978-4253281058)

第6巻

(2022-12-08発行、978-4253281065)

第7巻

(2023-02-08発行、978-4253281072)

第8巻

(2023-04-07発行、978-4253281089)

第9巻

(2023-07-06発行、978-4253281096)

第10巻

(2023-09-07発行、978-4253281102)

第11巻

(2023-11-08発行、978-4253281119)

第12巻

(2024-01-05発行、978-4253281126)

第13巻

(2024-04-08発行、978-4253281133)

第14巻

(2024-06-07発行、978-4253281140)

第15巻

(2024-08-07発行、978-4253281157)

第16巻

(2024-10-08発行、978-4253281164)

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