概要・あらすじ
異星文明との出会いを夢見て六千年前に地球を旅立ったイケダは、遂に惑星ラグラングにたどり着く。しかしそこは、五千年前に地球人類によって開拓された惑星で、さらに皮肉なことに、今まさに廃棄されようとしているところだった。進歩を夢見る人類と、進歩の限界に達し、衰退しようとしている人類の出会いを描いたSF短編。
タイトルはアーサー・C・クラークの小説『幼年期の終わり』が元になっていると思われる。
登場人物・キャラクター
イケダ
異星文明と出会うことを夢見て、六千年前に地球から旅立った青年。宇宙船内の冷凍装置で眠り続けたまま宇宙を亜光速で航行していたが、遂にラグラングにたどり着く。しかしそこは、ワープ航法を開発した地球人類によって開拓された惑星だった。さらに皮肉なことに、ラグラングは廃棄が決定されており、今まさに地球への最終帰還船が出発するところであった。
マリモ
イケダと同世代の女性。パロというオウム型ロボットを連れている。医学生という肩書を見込まれて、イケダの蘇生を任される。そして蘇生後、今まさに廃棄されようとしているラグラングを案内して回るのだった。
ゲヒラ
マリモの祖父。思い出の残るラグラングへの別れを惜しんでいる。蘇生し、自身の境遇にショックを受けているイケダに、ラグラングの歴史、そしてイケダが冷凍睡眠していた六千年の間に起こった人類の進歩の歴史を語って聞かせる。
場所
ラグラング
銀河星雲の中心近くに位置する惑星。地球から約五千光年の位置にあり、ワープ航法を使えば六十日で到着する。約五千年前、銀河開発用の中継基地として開拓される。そして銀河が開拓されつくした現在、役割を終え廃棄されようとしていた。イケダが六千年の時間をかけて到着したその日は、皮肉にも地球帰還船の最終便が出発する日だった。