聖魔伝

聖魔伝

『アゼル聖魔伝』の続編。ヒルデガルド・ヒルダと前作の敵役ラウレス、前作の主人公ロードリークの三角関係のような恋愛の行方を中心に、魔物同士の戦いやロードリークの成長、ラウレスの過去などを描くファンタジー作品。

正式名称
聖魔伝
ふりがな
せいまでん
作者
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概要・あらすじ

街一番の踊り子・ヒルデガルド・ヒルダには、この街に来る以前の記憶がない。ヒルダは時に情人とも噂される客・ラウレスにその不安を語っており、それを静かに受け止めてくれる彼に対して好意を持っていた。しかし二人の前にヒルダの元恋人、アゼルの勇者であるロードリークが現れ、ラウレスの正体を告げる。ラウレスはアゼルの民を滅ぼしたと言う魔界の王であり、ヒルダの記憶を奪った張本人だった。

そんな中、ラウレスを魔界に戻そうと画策する臣下テティユスの行動から魔界将軍ザーディが復活。戦いの中、ヒルダ、ラウレス、ロードリークをめぐる恋の行方を描く。

登場人物・キャラクター

ヒルデガルド・ヒルダ (ひるでがるどひるだ)

ベルクと呼ばれる街で、一番の踊り子と称される女性。容姿端麗で、気は強いが友だち思いで優しい性格をしている。街に来る以前の記憶がなく、路上で途方に暮れていたところをキタラと呼ばれる弦楽器を演奏する少女シェリルに拾われる。以降、彼女と同じアパートで暮らし、踊り子として生計を立てている。上客であるラウレスには好意を持っているが、指一本触れられていない。

ラウレス

ヒルデガルド・ヒルダの情人とも噂される男性。長い黒髪が特徴で、容姿端麗であるほか、幻術や戦いにも長ける。その正体は魔物で、魔物の姿の時には側頭部に一対のコウモリの羽のようなものが現れる。時に冷酷な一面も見せるが、ヒルダに対する恋慕の情は深く、何よりも彼女のことを優先する。そのため、魔界公爵であり、現在の魔界の王であるにもかかわらず、魔界には全く戻っていない。 前魔界皇帝が在命の頃は、その右腕として名を馳せた。アゼルの民を滅亡させ、ヒルダの記憶を消したため、ロードリークからは強く憎まれている。また、魔界将軍であるザーディと魔界の覇権を争って戦った過去がある。

ロードリーク

滅亡したと言われているアゼルの民の生き残りの青年。前作、『アゼル聖魔伝』の主人公。アゼルの始祖・カイメイに次ぐ力を持つと言われた両親から生まれた純粋なアゼルの民。カイメイの後継者として、勇者となる運命にある。そのため、勇者の証であるアゼルの剣を探している。住んでいた村を滅ぼされ、ヒルデガルド・ヒルダを奪われたためラウレスを強く憎んでいる。 人を癒したり念動力のような力を使うことができるが、感情が高ぶると力を制御できなくなる。

テティユス

天使と見紛う白い翼と美しい容姿を持つ魔物。長く白い髪をしている。その美しい姿のため他の種族に狩られ、今ではほとんど残っていないという有翼魔神のひとり。仲間とともに狩られようとしていたところ、命を助けられたことからラウレスと知り合い、以降、忠実な部下として任えている。ラウレスに心酔して忠誠を誓っており、命をも差し出すことを厭わない。 ラウレスには魔界の王として君臨してもらいたいと考えており、彼を魔界に帰すために様々な工作を行う。

ザーディ

魔界将軍を名乗るドラゴン種の魔物。若い男性の姿をしている。過去ラウレスと魔界の覇権を争って破れ、極北の地につながれていたが、ラウレスを魔界へ戻そうと画策したテティユスの手によって解き放たれた。以降、テティユスを側仕えとして従える。性格は単純で、聡明さにかけるが、豪胆で状況判断は早い。また、ラウレスに対抗できる力を持つ唯一の存在、と言われるほど魔力が強い。

カローン

魔界の辺境にある冥府ハデスの君主。イリアの兄。常に優しい笑顔をたたえており、人当たりが良く人心を捉えるのがうまい。「生命の花」と呼ばれる、人の命を司る花を意のままに操ることができる。イリアの報告をうけ、ラウレスを脅してその力を手に入れながらも、ラウレスと敵対するザーディやロードリークのもとにも姿を表し、自らの画策を実現しようとする。

アスバル

滅亡したと言われているアゼルの民の男性。口ひげを生やしている。アゼルの祖・カイメイの教えを受け入れなかったため、ロードリークからは異端者と呼ばれる。軽妙な性格を装ってはいるが、責任感や使命感は強く、アゼルの巫女・マルカやアゼルの祖・カイメイの思惑からロードリークを守ろうとしている。

ラビ

滅亡したと言われているアゼルの民の生き残りの少年。孤児であり、同じアゼルの民であるロードリークに拾われ、彼に同行している。幼く無邪気な性格で、ロードリークのことを強く慕っている。アゼルの巫女・マルカの精神体に乗り移られてしまっているため、ラビ自身が表に現れることは少ない。

マルカ

アゼルの祖・カイメイの娘。アゼルの巫女を務めていた女性。父親譲りの霊力のため、生き神として崇められていたが、死したのち、精神体となってラビに取り付いている。ラウレスに滅ぼされたアゼルの悲願、アゼルの復興とアゼルの剣の奪還をロードリークに課し、彼を世界の救世主に仕立てあげようとしている。

シェリル

ベルンの街に住む少女。記憶をなくし路頭に迷っていたヒルデガルド・ヒルダを保護する。キタラと呼ばれる弦楽器の名手だが、病魔に冒されており、このままでは余命数ヶ月と言われている。優しく芯が強いが、自身の病気に関しては、諦念している様子がうかがえる。

ククル

ベルンの街に住む青年。ヒルデガルド・ヒルダの信奉者のひとりで、ヒルダが男性客に絡まれていたところを、持ち前の強い正義感から彼女を助けようとして、ヒルダやラウレスと知り合う。非力だが勇気があり、自分に課された使命を全うしようとする強さがある。

イリア

魔界の辺境にある冥府ハデスに住む少女。ハデスの君主であるカローンの妹。賑やかで明るく優しい性格で、自由を好み面倒臭いことが嫌い。美味しいものを食べて思い切り遊んで、好きなものに囲まれて暮らしたいと考えている。ピキというお供の鳥をいつも連れ歩いている。ザーディとの戦いののち、魔界に落ちてきたラウレスを保護する。 心を読むことができる。

集団・組織

アゼルの民

魔物に対抗できるほど強い力を持つという一族。アゼルの始祖・カイメイ・ゾルを祖とする。ラウレスの手によって滅ぼされた。体にアゼルの印と呼ばれる模様が浮き出るものもおり、ロードリーク、ラビ、アスバルなどがこれにあたる。

その他キーワード

アゼルの剣

アゼルの民に伝わる剣。アゼルの祖・カイメイが創り出したと言われる。その力は人間界、ひいては魔界も制することができると言われるほど強い。アゼルの民が滅ぼされて以降、行方不明となっている。

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