花のあすか組!

花のあすか組!

いじめに会い、かつて不登校となっていた九楽あすかは、その期間に、全中裏という裏社会に多大な影響をもつ学生組織に所属していた。不登校から立ち直り、自分と同じように社会のレールから外れた人間(不良や家出少女)たちと関わりながら、生きていくということについて真剣に考えていくあすか。だが、そんなあすかを全中裏に引き戻そうと、組織のトップひばりの魔の手が幾重にも伸びてくる。高口里純の代表作のひとつ。

正式名称
花のあすか組!
ふりがな
はなのあすかぐみ
作者
ジャンル
不良・ヤンキー
レーベル
あすかコミックス(KADOKAWA)
巻数
既刊27巻
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概要・あらすじ

歌舞伎町を流す中学2年生の九楽あすかは独りを好む、ケンカが強い少女。しかし弱く孤独な少女たちのピンチを救い、本当の友達として生きる術を分かち合う。全中裏ひばりが仕組んだ様々な抗争に巻き込まれ、ひばりの支配下に戻るよう強いられるが、抵抗しつづける。学校、暴走族、ヤクザ、アイドルのファン・クラブなど、どんなに大勢が敵になっても決してひるまない九楽あすかの姿に周りの人間が魅かれていく。

登場人物・キャラクター

九楽 あすか (くらく あすか)

身長155㎝、43kg、血液型O型の14歳。父・昨造、母・今日子の娘で、祖父は政財界の黒幕といわれる篠宮余一郎。ペットは片目の烏、ハヤト。世田谷区立第一中学校]から私立紫苑学園中等部に編入する。かつては全中裏(東京都の全中学校を仕切る裏番組織)のトップひばりの側近「左」だった。 また裏番「十人衆」の1人で、西区(新宿区、中野区、杉並区、世田谷区、渋谷区、これら5区のまとまり)の裏番を仕切っていた。徘徊するのはもっぱら歌舞伎町で、そこで出会う孤独で弱い少女たちに手を差しのべる。武器にブラック・ジャック(皮袋に砂を入れたもの)を使用していたが、のちに金貨に鎖がついたものを常用する。 いじめに遭い自殺未遂をした過去がある。髪型は14才の頃の山口百恵、顔は15才の頃の中山美穂と16才のつみきみほがモデルになっている。

堂本 美子 (どうもと みこ)

14才。九楽あすかのマブダチで、よく行動を共にする。明るくケンカも強いが、学校恐怖症。鬼島陽湖の腹違いの妹。暴走族鬼畜のレディースがバックについていたが、九楽あすかと繋がっている事が知れてリンチにあう。「戦・23」では西区表番の姫(巳姫正子)に援護を頼まれ、九楽あすかと敵対する事になる。 武器は使わない場合が多いが、ホチキスやブラック・ジャック(皮袋に砂を入れたもの)、セロテープを使うこともある。少年・少女更生施設蘭塾にいた過去を持つ。

ひばり

長い巻き髪にドレス姿。機嫌が悪いと、お気に入りの人形、フェリックスの顔を破壊したり、髪を引っぱり痛めつける。かつて自分の側近「左」として仕えていた九楽あすかに執着し、執拗に制裁を加える。側近の「右」として、春日が仕えている。

トキ正宗 (ときまさむね)

松島組系の暴力団紅神会の総長。19才。紅神会は新宿を根城とする広域暴力団で、全中裏とは敵対関係にある。トルエン密売でシマを荒らされた過去から、鬼島陽湖を追っている。九楽あすかを気に入っていて、手助けするが抗争の際は敵に回る事もある。

康弘 (やすひろ)

横浜の暴走族シルバーゴーストの頭。神奈川県の国立付属高校に在学中。髪は金髪のスーパーリーゼント。九楽あすかに惚れシルバーゴーストの二代目マスコットに据えるが、本人には拒絶される。しかし、のちに九楽あすかから真珠のピアスを預かるなど、信頼されるようになる。

明 ユカリ (あきら ゆかり)

アイドルのような美少女のため、暴走族シルバーゴーストのマスコットだった。鬼畜レディースの残党と九楽あすかの抗争に関わるようになり、自分で行動するようになる。康弘の反対を押し切り、マスコットを辞める。九楽あすかの助っ人をかって出る。

(くれない)

全中裏の裏番「十人衆」の1人。鴉中を仕切っている。過去に西区の裏番を奪われた上に、顔に傷をつけられた事で九楽あすかに恨みを持つ。顔の傷を隠すため、お面をつけて登場する。武器として、人の目をつぶすよう訓練された烏を数羽同時に使う。そのうちの一羽、片目を負傷したヒデキは紅に置き去りにされ、九楽あすかに飼われるようになる。 名前をハヤトに改名して九楽あすかのペットになり、戦闘時にサポートするようになる。のちに九楽あすかがひばりの側近「左」に復帰するが、紅は認めず、西区のおとしまえをつけようと攻撃を仕掛ける。

(おあい)

全中裏の「十人衆」に属す葵という三姉妹のグループ。姉、次、末の3人ともカミソリが武器。末はカッターの刃を口で飛ばす。紅が九楽あすかへの制裁に失敗したため、ひばりの命令により登場する。また鬼畜レディースを襲うことで、「秘の包囲網」で九楽あすかが抗争に巻き込まれるきっかけをつくる。

鬼島陽湖 (きじまようこ)

堂本美子の腹違いの姉、17才。九楽あすかとはマブダチだった過去を持つ。一匹狼。過去にトルエンを密売し、最低でも2億円は稼いだと言われている。そのため、紅神会、全中裏、警察を敵に回すことになり、ひばりに献金して蘭塾に身を隠す事になった。オレンジ計画が失敗に終わったため、制裁として蘭塾に入る必要がなくなった九楽あすかだったが、鬼島陽湖を蘭塾から連れ出すため自ら蘭塾へ向かう。

最首 (さいしゅ)

高知県出身。蘭塾にいる時は中組、5班。策略家で2年にわたって独自にしいた蘭塾情報網を持つ。塾生の情報を「朱」に売って、塾の外に出る事もある。地元に微里威同盟(びりいどうめい)という高校生の組織を持っている。対立グループとの抗争で蘭塾に入る。のちにスクール・ウォーズや鬼島陽湖が仕組んだゲーム勇者チチンボイボイの冒険に参加することになる。

桐生 定子 (きりゅうていこ)

戦・23のエキスパート。18才、血液型はA型。昔、全中裏を抜けるのに手助けしてくれた九楽あすかに貸しがあるため、大将となった九楽あすかに協力する。全中裏を引退した後、川崎市を拠点にしている。桐生定子の取り巻きはロージィズというレディースで、バラの刺繍が目印。

梶山 てつ也 (かじやま てつや)

フリーのルポライター。34才、独身。暴走族や拒食症、登校拒否の青少年を取材している。新宿区のエリアマスターだった菊永が戦・23での取材に協力する。戦・23を新聞記事にした事で、全中裏懲罰部隊のリンチに遭う。

周防 波留彦 (すおう はるひこ)

全中裏HIBARI・SSにいる不知火の弟で16才。女装して皇子5F・Cの親衛隊の側近としてF・Cのお茶会などに参加していたが、反皇子派の責任者でもある。F・C運営で金稼ぎをするつもりだったが挫折。一億円を自力で稼ぎ出したら不知火がひばりに周防をHIBARI・SSの円卓七人衆に進言する約束だった。 学校に通わないバイパス族で、通信講座で大検を取得。塾2つに専門学校1つに通っている。堂本美子に好意を寄せる。

幽鬼 (ゆうき)

蘭塾では男寮年長組代表だった。心中マニアで女1人を死に至らしめ、2人を重症にした過去を持つ。死神のような男。鬼島陽湖の理解者。のちに鬼島陽湖と逃亡生活を共にする。紅神会のリンチで片耳が聴こえなくなった。紅神会の事務所を爆破し、トキ正宗を道連れにして死のうと計画する。

春日 (かすが)

ひばりの側近「右」。九楽あすかとは過去に対の存在だった。春日が「善」に位置する「右」で、九楽あすかが「悪」に位置する「左」だった。男性である。ひばりと全中裏のために秘かに動く事が多い。トキ正宗を道連れにする幽鬼に入れ知恵をする。

九楽 今日子 (くらく きょうこ)

主人公九楽あすかの母親。少女趣味で可愛らしい洋服が好き。料理に愛情をこめる。九楽あすかが友達を家に連れて来ると、喜んでケーキやお茶、夕食を出す。幼少期に九楽あすかを極力危険から避けて育てせいで、かえって危険へ飛び込むような性格になってしまった事を案じている。

フサコ

HIBARI・SS総指揮。額に薔薇の模様がある。九楽あすかの素質を見抜き、全中裏に引き入れた。しかし、一度全中裏から抜けた九楽あすかが戻り、ひばりの側近「左」におさまる事には反対する。

九曜御三家・ (くようごさんけ)

九曜巴紋、九曜星紋、九曜桜紋の中で巴(ともえ)と星(ほし)が九楽あすかの影法師。九楽あすかそっくりでダミーとして活躍する。巴にはそばかすがあり、星の額にはSの文字がある。鬼畜レディースとの抗争に関わったため、2人はひばりの命令により蘭塾へ入れられる。

おっさん

九楽あすかを嬢(じょう)と呼び、武器を製造するなどして手助けする。車を出して足代わりになる事もある。フィリピンのタガログ語が話せる。情報通で口が堅い。

集団・組織

鬼畜レディース (きちくれでぃーす)

『花のあすか組!』の登場する暴走族のレディース(女性部隊)。120名程。鬼畜にもともといたレディースに、関東近郊の暴走族から外れた少女たちが集まって連合した。鬼畜は関東最大の暴走族で、1千のバイクを都内主要道路を走らせる「秘の包囲網」という戦術を持つ。鬼畜レディースは全中裏と敵対している。 堂本美子を人質にして、九楽あすかを呼び寄せるために「秘の包囲網」を仕掛けるが、警察に検挙され幹部が少年院に入り勢力は弱まった。その後、鬼畜レディース残党が全中裏と組んで連続放火事件を起こし、放火を阻止しようとする九楽あすかをつぶしにかかる。

全中裏番組織 (ぜんちゅううらばんそしき)

『花のあすか組!』の登場する組織。東京都の全ての中学校を裏で仕切る組織で、統括するのはひばりという謎の人物。裏番「十人衆」を従え、23区にエリアマスターという、その地区を仕切る番長を配置している。頭脳集団HIBARI・SSや資金源であるアイドルグループ皇子5を抱え、少年・少女更生施設蘭塾の管理にもたずさわる。

皇子5 (みことふぁいぶ)

『花のあすか組!』に登場するアイドルグループ。雅(みやび)、翼(つばさ)、毬(まり)、翔(しょう)、剣(つるぎ)の5人で構成された男子ユニットだが、裏番「十人衆」の1人、「天使」が一番人気の雅として中心にいる。雅は男装している女性。皇子5の活動は全中裏の資金源で、「ハレルヤ2Y」と呼ばれるHIBARI・SS(全中裏頭脳集団)による期間2年程のプロジェクトが組まれている。 雅はスクール・ウォーズで勝利をおさめた九楽あすかを武道館でのコンサートへ招待し、舞台上で口づけする。この事で皇子5F・Cの全員が九楽あすかを敵とみなし、攻撃対象となった。赤線のついた九楽あすかの写真が皇子5F・Cによって発行される。

皇子5F・C (みことふぁいぶふぁんくらぶ)

『花のあすか組!』に登場するアイドルグループ皇子5のファン・クラブ。トップに君臨する総R、親衛隊、特別待遇の会員金マント、全国に支部を持つなど組織化されている。追っかけや出待ちなどをするファン・クラブ会員が、規則を破れば制裁をくわえる事ができる。九楽あすかは、脱会処分のC指定となったファン・クラブ会員小川ナツミが親衛隊から制裁を受けている所を助けた事で、紫苑学園の校舎での親衛隊からの制裁スクール・ウォーズに参加させられる。

場所

蘭塾 (らんじゅく)

『花のあすか組!』に登場する施設。塾生は暴走族や不良、売春を行った生徒や精神障害などで親が手に負えなくなった問題児。平均年齢は17.2才。一時的に社会から隔離し、性格矯正を目的とする。塾生は都内からヘリコプターで移送されるが、正確な場所を特定されないないよう迂回して向かう。山に囲まれている。塾生の頂点に立つのは裏番「十人衆」の一人、「朱」。 寮の監視する舎監、プリンセス達(A、B、Cの3人)も「朱」の手下で、実質蘭塾は全中裏の管理下にある。特別室に鬼島陽湖が隔離されている。

イベント・出来事

戦・23 (いくさにじゅうさん)

『花のあすか組!』に登場する東京23区で行われる陣取り合戦。大将2名を選出し、時期表番候補であるエリアマスター23名のうち、より多くのエリアマスターを獲得した方が勝利する。全中裏の組織はトップのひばり→裏番「十人衆」→表番→エリアマスターの図式で支配されているため、エリアマスターは最も下位に位置する。 皇子5が資金稼ぎをする「ハレルヤ2Y」を妨害したとして九楽あすかは全中裏から制裁を受ける事になり、九楽あすかを慕う姫(巳姫正子)とともに大将に選ばれ、2人は戦う事になる。はじめの1週間は情報収集合戦で、本合戦はその後の1か月。

その他キーワード

オレンジ計画 (おれんじぷろじぇくと)

『花のあすか組!』に登場する計画。オレンジ計画で獲物になった人物は蘭塾へ送り込まれる。全中裏は、「秘の包囲網」に失敗し打倒九楽あすか燃える鬼畜レディースの残党と結託して、九楽あすかに集団制裁を加え、蘭塾へ送りこもうする。鬼畜レディースは九楽あすかをおびき寄せるために中学校を次々と放火していく。 放火事件を最初に起こした少女が全ての罪をかぶるのを避けるために九楽あすかは国道246を舞台にした抗争にいどむ。

聖クラウン円陣 (せんとくらうんえんじん)

『花のあすか組!』に登場する蘭塾での制裁。九楽あすかが蘭塾に到着した翌日に、スケートボードに乗った舎監、プリンセス達(A・B・Cの3人)がひばりの命令で行った。プリンセス達は、刃の出し入れができる教卓用ムチを使用し、スケートボードに乗って九楽あすかを取り囲み攻撃する。九楽あすかは烏のハヤトの助けをかりて応戦した。

サバイバルゲーム

『花のあすか組!』のなかで蘭塾を舞台にしたゲーム。アメリカ発祥の戦争ごっこ。陣取りゲーム。ゴーグルと無線機を着用し、ペイント弾と反射弓(パンキー)を使用するが、腕力で相手を倒す事も多々ある。塾生のほぼ全員が九楽あすかを狙う中、九楽あすかは自分の影法師2人を含む仲間5人と知力・体力を使ってゲームにいどむ。 しかし九楽あすかの目的はサバイバルではなく、鬼島陽湖のいる特別室へ侵入する事だった。

スクール・ウォーズ

『花のあすか組!』に登場する皇子5F・Cの親衛隊公認の制裁。九楽あすかは皇子メンバーを出待ちしていた小川ナツミを親衛隊の制裁から助けると、皇子メンバーの前で不祥事を起こしたと見なされ、制裁(スクール・ウォーズ)を受ける事になる。スクール・ウォーズでは、全国のF・C支部のSR(支部リーダー)に九楽あすかとTOKYO SR姑娘(くーにゃん)の総長、カレンが対決する事が通達される。 一口1000円、5口以上の賭けの対象となった。

勇者チチンボイボイの冒険 (ゆうしゃちちんぼいぼいのぼうけん)

『花のあすか組!』に登場するパソコンゲーム。市販されていないゲームソフトで、口座に一万金を振り込むとプログラムが送られてくる。ゲームの中で不登校の生徒の情報が交換され、バイパス族(予備校に通って大検にパスした高校生たち)によるリンチの対象者がそこから選定されていた。堂本美子もリンチの対象者になった。九楽あすかが全中裏のひばり側近「左」に戻るきっかけとなる。

書誌情報

花のあすか組! 27巻 KADOKAWA〈あすかコミックス〉

第1巻

(1987-02-04発行、 978-4049240030)

第2巻

(1987-03-04発行、 978-4049240078)

第3巻

(1987-04-06発行、 978-4049240108)

第4巻

(1987-05-07発行、 978-4049240139)

第5巻

(1987-06-02発行、 978-4049240146)

第6巻

(1987-12-04発行、 978-4049240290)

第7巻

(1988-03-04発行、 978-4049240382)

第8巻

(1988-04-07発行、 978-4049240429)

第9巻

(1988-07-07発行、 978-4049240559)

第10巻

(1988-09-05発行、 978-4049240634)

第11巻

(1988-12-01発行、 978-4049240740)

第12巻

(1989-04-07発行、 978-4049240917)

第13巻

(1989-08-04発行、 978-4049241082)

第14巻

(1989-12-25発行、 978-4049241341)

第15巻

(1990-04-05発行、 978-4049241525)

第16巻

(1990-09-05発行、 978-4049241860)

第17巻

(1990-11-05発行、 978-4049241983)

第18巻

(1990-12-25発行、 978-4049242102)

第19巻

(1991-04-02発行、 978-4049242256)

第20巻

(1991-07-30発行、 978-4049242461)

第21巻

(1991-11-01発行、 978-4049242607)

第22巻

(1992-03-03発行、 978-4049242836)

第23巻

(1993-12-02発行、 978-4049243963)

第24巻

(1994-05-02発行、 978-4049244236)

第25巻

(1994-08-03発行、 978-4049244496)

第26巻

(1995-01-05発行、 978-4049244830)

第27巻

(1995-04-14発行、 978-4049245028)

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