概要・あらすじ
サラリーマンの桜井和明は、仕事帰りに駅でぶつかったことから美大生の水川蓉一と知り合い、蓉一の家を訪れるようになる。無愛想な蓉一を苦手に思っていた桜井だったが、会うたびに彼が気になるようになり、週末や時間のある時は、水川邸に通うようになる。何事にも無関心だった蓉一も、桜井に興味を持ち始めるが、桜井の転勤話などもあり、関係はスムーズに進まずにいた。
登場人物・キャラクター
桜井 和明 (さくらい かずあき)
広告代理店「アドイースト」に勤める37歳の男性。20代の頃から賞を受賞している敏腕クリエイティブディレクター。しかし何かとオーバーワーク気味で、付き合っていた彼女に愛想をつかされてしまう。熱しやすく冷めやすい性格のため、子供の頃から植物を育てるのが苦手。独身ながら泉沢に買ったマンションに住んでおり、駅でぶつかったことから水川蓉一と知り合う。 最初は苦手に思っていた蓉一に徐々に惹かれ、水川邸にも足しげく通うようになる。
水川 蓉一 (みずかわ よういち)
美大の油彩科に通う19歳の男子大学生。古い一軒家である水川邸で、下宿を営んでいる。いつも無愛想で、何事にも無関心で変化を好まない性格。桜井和明に対してもそっけない態度をとる。幼い頃に両親を亡くしており、画家だった父親と絵のタッチが似ている、と言われることを嫌っている。これまで誰も好きになったことはなかったが、桜井と話すうちに、徐々に彼に惹かれていく。
水川 菖太 (みずかわ しょうた)
水川蓉一の従兄弟の男子高校生。水川菖一が浮気した末にできた子供。もともとは菖一の浮気相手であったシングルマザーの母親と暮らしていたが、母親が病気で亡くなったため、6歳の時に水川本家に引き取られた。中学の時から水川邸に下宿し、蓉一と岩崎竹生と一緒に住んでいる。自分が水川家から疎まれていることを知りながら、いつも明るく振る舞っている気丈な性格。 成績も優秀だが、水川家から独立することを強く希望しており、大学進学を拒否してアルバイトで生活費を稼いでいる。
岩崎 竹生 (いわさき たけお)
水川蓉一の従兄弟の男子大学生。両親のたっての願いで、大学に入学する時に水川邸に下宿し始め、蓉一と水川菖太のことを弟のように思って面倒を見ている。クールでいつも落ち着いているため、年下からモテるが、自分は年上の女性の方が好み。
藤本 浩輝 (ふじもと ひろき)
水川蓉一の同級生の男子大学生。大学でいつも1人でいる蓉一に興味を持ち、水川邸に下宿するようになる。同じく蓉一に好意を持っている桜井和明のことをライバル視している。現在はモデル事務所に所属してモデルとして活動しているが、広告業界に興味がある。
柏木 雅史 (かしわぎ まさふみ)
大手広告代理店「中央広告」で働く有名なディレクター。水川蓉一の父親である水川蓉介とは親友だった。美大生時代は水川邸に下宿していた。蓉介たちが亡くなってからは、特に蓉一のことを気にかけ、時々水川邸に顔を出している。何事にも無関心だった蓉一が桜井和明に興味を示すのを見て、桜井に蓉一と親しくしてほしいと頼む。
吉富 桔平 (よしとみ きっぺい)
水川邸の管理人。実家は不動産屋。水川蓉一の父親である水川蓉介とは親友だった。水川邸に通って食事を作ったりして、蓉一たちの面倒を見ている。
水川 蓉介 (みずかわ ようすけ)
水川蓉一の父親。水川邸で下宿を始めた。天才的な画家として知られ、同じ美大に通っていた水川アヤコと結婚して蓉一をもうけた。蓉一が6歳の時にアヤコとともに交通事故で亡くなった。幼くして母親を亡くした水川菖太を引き取るなど、優しい性格の人物。
水川 菖一 (みずかわ しょういち)
水川蓉一の伯父で、水川菖太の父親。由緒正しい水川家の長男の責任を負い、周りに厳しく接している。当初、水川邸を取り壊そうと考えていたが、弟の水川蓉介に押し切られる形で、残すことを認めた。息子の菖太にも厳しく接するが、母親似で、1人ですべてを抱えてしまう菖太の性格を心配している。
柳原 薫 (やなぎはら かおる)
泉沢の美大で彫刻科の教授を務める男性。美大生の頃は水川邸に下宿していて、水川蓉一の父親である水川蓉介と友人だった。蓉一のことは大学で見かけていたが、見守るだけで関わらないようにと、柏木雅史から釘を刺されていたため、接触するのは避けていた。
水川 アヤコ (みずかわ あやこ)
水川蓉一の母親で、旧姓は「花澤」。ショートヘアーでパーマをかけている。かつて美大でグラフィックを学んでおり、大学で知り合った水川蓉介と結婚し蓉一をもうけた。蓉一が6歳の時に、蓉介とともに交通事故で亡くなった。蓉一は生前の水川アヤコが自分を無視していたと思っている。周りの大人も、蓉一の前では何故かアヤコの話をしたがらない。
井上 柚留 (いのうえ ゆずる)
広告代理店「アドイースト」に勤める男性。桜井和明の同僚。頭の回転が速いが、クライアントへの押しが弱く、いつも桜井に頼りがち。桜井が仕事への情熱を薄れさせているので、裏で愚痴をこぼすこともあった。しかし、自分が担当したワインの広告の仕事で桜井からアイデアをもらい、改めて彼のことを尊敬するようになる。営業一課の久保田に好意を抱いている。
橘 園子 (たちばな そのこ)
広告代理店「アドイースト」に勤める女性。桜井和明の同僚。パーマをかけた長い髪を、ポニーテールに束ねていることが多い。さばさばした性格で、桜井や井上柚留の仕事をフォローする、頼りになる存在。プロレスラーやラグビー選手など、体格のいい男性がタイプ。水川邸を訪れた時に、吉富桔平に一目惚れする。
久保田 (くぼた)
広告代理店「アドイースト」の営業部に所属する女性。桜井和明に好意を持ち、食事に誘うが、断られてしまう。それからは井上柚留と食事に行くようになるが、基本的に同年代にはあまり興味がない。桜井が大阪に転勤する噂をいち早くキャッチし、井上にその話を告げる。
場所
水川邸 (みずかわてい)
水川蓉一が下宿を営む家。屋敷林のある閑静な古くて広い一軒家。蓉一とともに、従兄弟の水川菖太と岩崎竹生が住んでおり、吉富桔平が管理人を務めている。かつて水川菖一により取り壊されそうになったが、水川蓉介が下宿を始めることを提案したため、取り壊されずに済んだ。蔵はアトリエとして使われている。