概要・あらすじ
千石一は歌手の大盛たか菜の大ファン。彼女の地方公演を見るために一週間高校を休んでいたが、コンサート会場で乱闘騒ぎを起こし、それが新聞沙汰になったことで退学になってしまう。新しく入学した楢山高校は建物は老朽化し、生徒数も少なく、予算もない悲惨な現状で、なおかつ近くに立つホテルから土地の売却を求められており、このまま廃校になるのではないかという噂がたっていた。
一はその行動力を見込まれ、他の生徒たちに頼まれて、楢山高校存続のために一肌脱ぐことになる。
登場人物・キャラクター
千石 一 (せんごく はじめ)
バンド活動をしている高校生の男子。歌手の大盛たか菜の熱狂的ファンで、学校を一週間サボって彼女の地方公演について回っていた。その際、ちょっとしたことから他のファンと乱闘騒ぎになり、新聞沙汰になったことで高校を退学させられてしまい、楢山高校に転校する。あまのじゃくで素直ではないが、自分を頼ってくる者を見捨てられないような情の深いところがある。 行動力があり、時に後先考えない行動をすることがあるが、憎めない性格をしている。春戸や太田らとともに母校宣伝部を立ち上げ、楢山高校存続のために奔走する。
谷村 千春 (たにむら ちはる)
楢山高校に通っている女子で、千石一のクラスメイト。歌手の大盛たか菜にどことなく似ている美人だが愛想がなく、いつも窓の外を眺めてぼんやりとしている。成績が良く、中学生の時から秀才と呼ばれていたが、現在は自分自身の存在意義について悩んでいる。実は楢山高校が廃校になることを密かに望んでおり、一たちの足を引っ張ろうとする。
春戸 (はると)
楢山高校に通う男子で、千石一のクラスメイト。弁舌が巧みな気が利くタイプで、先生や山口からも信頼を置かれている。争い事を苦手としており、険悪な空気をいち早く察知しては、愛嬌と口先だけで相手を丸め込む。一や太田らとともに母校宣伝部を立ち上げ、楢山高校存続のために奔走する。
太田 (おおた)
楢山高校に通う男子で、千石一のクラスメイト。眼鏡をかけており、性格は冷静沈着。一の行動力や春戸の弁舌の巧みさに対して、一歩引いた立場を取っていることが多い。だが、常に冷静に状況を見極めており、時にはツッコミ役を担うこともある。一や春戸らとともに母校宣伝部を立ち上げ、楢山高校存続のために奔走する。
大盛 たか菜 (おおもり たかな)
テレビ番組にも引っ張りだこの売れっ子の歌手。中学3年生の女子で、勉強はあまり好きではない。谷村千春と勘違いされたことで千石一らと偶然知り合い、楢山高校の事情を知る。楢山高校を廃校にすべく母校宣伝部の妨害工作をする相手から、一らをかばい手助けをする。
山口 (やまぐち)
楢山高校の生徒会長を務める男子。強面だが意外と気さくなところがあり、柔軟で素直な性格。千石一の入学を祝って歓迎会を催した。一らが楢山高校のためにしている母校宣伝部の活動を、最初は渋い顔で見ていたが、やがて何もせずにいた自分を恥じ、一らを認めて協力するようになる。
校長先生 (こうちょうせんせい)
楢山高校の校長。眼鏡をかけた、バーコード禿げの男性。生徒たちに理解があり、千石一らの母校宣伝部の活動を温かく見守っている。かつて進学校として名を馳せていた時代の楢山高校を知っており、廃校寸前とはいえ、教師と生徒の関係が良好な今の状況をむしろ好ましく思っている。カラオケが大好き。
登島 みゆき (としま みゆき)
ラジオDJをしている黒髪ストレートの美人な女性。リスナーからの愛称は「トシちゃん」。楢山高校を廃校にしないための母校宣伝部の活動の一環として、千石一らが差し入れと学校の入学案内を渡したところ、ラジオでそのことを読み上げ、結果的に楢山高校の宣伝に一役買うこととなった。
矢沢 俊彦 (やざわ としひこ)
歌手活動をしている中学3年生の男子。見た目はぼんやりとしていて年寄くさいが、作詞作曲の才能に優れており、幻のシンガーソングライターと高く評価する声もある。さらに美声で、ファンの間ではイメージが美化されている。しかしテレビ出演した際、その姿を見たファンにがっかりされてしまったという辛い過去がある。千石一らと知り合い、母校宣伝部に協力して楢山高校の校歌を手掛けることとなる。
坂田 (さかた)
大盛たか菜のマネージャーを務める男性。楢山高校のすぐ近くの高層ホテルのオーナーから依頼され、母校宣伝部の活動を妨害するために、千石一を騙して楢山高校から転校させようと試みる。
集団・組織
母校宣伝部 (ぼこうせんでんぶ)
千石一、春戸、太田ら1年生が中心となって発足したサークル。楢山高校を廃校にしないため、来年度の新入生を増やすことを目的に活動している。登島みゆきに働きかけ、ラジオを通じて学校名を読み上げてもらったことをはじめ、矢沢俊彦に新しい校歌を作ってもらったりと話題を集めに成功した。ついにはテレビ出演を果たし、レコードを出すまでになる。
場所
楢山高校 (ならやまこうこう)
治安の悪そうな繁華街のまん中にある、全寮制の私立高校。建物が老朽化、生徒数も激減しており、不動産屋から土地を売るよう迫られている。学校の評判も地に落ち、1年生は転校して来た千石一を含めてもやっと10人という状態で、廃校の危機にさらされている。