概要・あらすじ
必ず医師になること、援助している人物の詮索はしないこと。それが「あしながおじさん」の援助を受ける条件だった。この条件を受け入れ、中原麻美は医大に入学する。新しいスタートを切った彼女を待ち受けていたのは、忙しい日々と恋人との別れだった。しかし医大で出会った仲間たちと心を通わせながら、麻美は前を向いて歩き続けていく。
そんなある日、麻美は密かに慕う「あしながおじさん」と思われる人物を知るチャンスを得る。
登場人物・キャラクター
中原 麻美 (なかはら あさみ)
桐林医科大学に通う医学生で、おとなしそうに見えるが芯はしっかりした女性。小学生の時に事故で両親を亡くし、特定の条件のもと「あしながおじさん」を名乗る人物からの援助を受け、大学に通っている。当初は恋人がいたが、彼と別れてからは桐林医科大学で出会った早坂翼に少しずつ惹かれはじめる。
森次 駿 (もりつぐ しゅん)
桐林医科大学に通う医学生で、大学に入る前はサラリーマンとして働いていた男性。中原麻美のことを何かと気にかけており、彼女が困っているとつい助けてしまう。わけあって年上の女性と同居しているが、麻美には恋人だと誤解されている。
早坂 翼 (はやさか たすく)
桐林医科大学で教授を務める男性。端正なマスクと誠実な人柄で学生から高い支持を得ている。冷静沈着で何事にも動じないタイプだが、中原麻美のまっすぐな思いを受けて心が大きく揺れ動く。専門のゼミを開講し、医学の進歩に少しでも貢献しようと日夜研究を続けている。
葛城 柊子 (かつらぎ しゅうこ)
「あしながおじさん」の代理人を務める年齢は不詳の女性。中原麻美の良き相談相手であり、時には厳しいアドバイスも送る。受験期間中は麻美の家庭教師も担当していた。過去の経歴は謎に包まれているが、早坂翼の秘書をしていたこともある。
池永 克巳 (いけなが かつみ)
中原麻美の恋人で、麻美とは別の大学に通う男性。受験期間中もお互いに支え合い、「あしながおじさん」を慕う麻美のすべてを受け入れようと努めてきたが、大学進学後はすれ違い続けるお互いの気持ちに不安を抱き、焦りを感じはじめる。
杉本 せりあ (すぎもと せりあ)
桐林医科大学に通う医学生で、医師家系のお嬢様。飾らない気さくな性格のため中原麻美とはすぐに打ち解ける。容姿端麗で男子学生にとても人気がある。医師を目指しているわけではなく、ペーパードクターとして資格だけが欲しいと思っている。
瀬川 富子 (せがわ とみこ)
桐林医科大学に通う医学生で、中原麻美と同じ寮で生活する女性。二浪の末に医大へ入学した。肝っ玉母さんのようなしっかり者で、無医村の医師になることを希望している。男子顔負けのパワフルさで、麻美をはじめ周囲のみんなを安心させている。
佐伯 瑤子 (さえき ようこ)
わけあって森次駿と同居している面倒見のいい女性。広いマンションと高級車を所有し、森次にも条件付きで自由に使わせている。森次とふざけて抱き合っているところをいつも中原麻美に目撃されてしまうため、麻美には何かと誤解されている。
神崎 (かんざき)
東都医大の教授を務める男性。中原麻美の亡き父親とは大学時代の旧友だった。麻美のことを陰ながら見守りたいと思っており、夏休み期間中に娘の家庭教師として麻美を自宅に招き入れた。早坂翼は妻の実弟。
ヒロミ
中原麻美の高校時代のクラスメイトで、麻美と池永克巳が恋人同士であることを知りながらも密かに克己に惹かれている女性。克己に寂しい思いをさせている麻美に対して憤りを感じているが、なかなか打ち明けられない。
島田 (しまだ)
桐林医科大学に通う医学生で、手塚治虫の『ブラックジャック』を読んで医師を志した男性。中原麻美とは同じ班で、実習などを一緒に行うことが多い。頼りなくて何かとみんなの足を引っ張りがちだが、面倒見のいい瀬川富子にいつも助けられている。
野本 (のもと)
桐林医科大学に通う医学生で、サラリーマンを辞めて医大に入学した既婚者の男性。普通の大学生よりもかなり年上で落ち着いた雰囲気で、とても勉強熱心。中原麻美たちをクラブに連れていくなど、大人ならではの一面もある。学生のため、妻が野本の代わりに働いている。
江藤 (えとう)
桐林医科大学に通う医学生で早坂ゼミに所属する男性。中原麻美を口説こうとするが断られ、その腹いせに辛くあたるようになる。人の手柄を自分の手柄にしてしまうタイプで、後先を考えない軽率な行動に走り自滅への一途を辿る。
深川 (ふかがわ)
桐林医科大学の教授で、解剖学を担当する男性。骨格標本に詳しく、森次駿の骨格を気に入っている。かつての教え子であった早坂翼を気にかけており、森次と学生時代の早坂を重ね合わせて、何かと破天荒な森次に対しても寛容な態度を見せる。