専門家監修によるリアルな描写
主人公の朝顔は、興雲大学に勤務する法医学者。一般病死以外の異状死体を検査し、病気、事故、自殺、他殺といった死因を特定する監察医の仕事をしている。実在する著名な法医学者、佐藤喜宣が監修を務めており、監察医の仕事が詳細に描かれている点が、本作の大きな特徴である。死体解剖の様子や、胃の内容物の精査、長時間圧迫を受けた筋肉が開放されたときに起こるクラッシュシンドロームといった、専門的な描写や用語が随所に登場し、ストーリーにリアリティを与えている。
朝顔が法医学者になったきっかけ
朝顔の母親は、11年前に親友の娘の結婚祝いで神戸に一泊し、阪神・淡路大震災に遭遇した。足にケガを負って入院した母は、元気そうにしていたが、時間差で命を失うクラッシュシンドロームにより亡くなってしまう。医学生だった朝顔は、母を救えなかった自分を責めて落ち込むが、そこで出会ったのが法医学者の夏目茶子だった。献身的に遺体と向き合う茶子の姿に感銘を受け、朝顔は法医学者を目指すことになる。それ以来、茶子とは師弟関係にあり、今でも師匠から様々なことを学んでいる。本作は母を失った朝顔が、ベテラン刑事の父、万平や師匠の茶子の背中を見ながら成長していく物語でもある。
ハートフルな医療ミステリー
朝顔の父、万平は、佐多山警察署に勤務するベテラン刑事である。事件性が疑われる遺体が発見されると、万平は朝顔に解剖を依頼。朝顔は解剖、万平は証拠集めや聞き込みという異なったアプローチで、事件の真相を解き明かそうとする。本作は、胃の中に残された不審な物質や、誰かが遺体を動かしたとしか思えない死斑など、遺体の痕跡を手がかりに真相に迫るミステリー漫画である。また、真相を明らかにすることにより、様々なドラマが展開するハートフルなヒューマンストーリーでもある。
登場人物・キャラクター
山田 朝顔 (やまだ あさがお)
興雲大学法医学教室に勤務する法医学者の女性。三十路で黒のロングヘアーが特徴。阪神・淡路大震災で母を亡くしてからは、父の万平と二人暮らしをしている。遺体の死因を特定することに真摯かつ懸命に取り組んでおり、時には自身の仕事の範疇を超えた行動を取ることもある。
山田 万平 (やまだ まんぺい)
朝顔の父。佐多山警察署勤務のベテラン刑事で、小柄で広いおでこ、太い眉、大きな口が特徴。朝顔と二人三脚で遺体の真相に迫る。阪神・淡路大震災で妻を亡くしてからは、朝顔と二人暮らしをしており、糖尿病予備軍という理由で食事や酒を制限されている。
クレジット
- 原作
- 監修
-
佐藤 喜宣
書誌情報
監察医朝顔 5巻 実業之日本社〈マンサンコミックス〉
第1巻
(2006-04-28発行、978-4408169941)
第2巻
(2006-10-28発行、978-4408170237)
第3巻
(2007-01-29発行、978-4408170411)
第4巻
(2007-06-29発行、978-4408170671)
第5巻
(2008-10-29発行、978-4408171500)







