概要・あらすじ
女優になるために上京して来た稲村まどかは、日々の生活費や宣材写真の資金を稼ぐため、キャバクラ「魔女子俱楽部」で働いていた。店では、地味な容姿と冷めた性格からなかなか客がつかない一方で、スタイルのよさだけは評価されていた。そんな中、まどかは雑誌で映画「獣の条件」で主演を務める桜田アリサの妹役オーディションの告知を目にして早速応募する。
だが、まどかはオーディション会場に到着するなり別室に通され、神取サチから芸能事務所「ラピスラズリプロダクション」に所属するように言い渡される。そこでまどかに与えられた役割は通常の女優ではなく、裸専門のスタント女優だった。担当マネージャーの咲坂直樹からも見下されるような発言をされ、まどかは自分の理想とする女優業とかけ離れた現実に落ち込む。
そんなまどかの初仕事は、映画「獣の条件」でのアリサの濡れ場のスタントで、まどかは戸惑いつつも仕事をまっとうする。だが、これを機にまどかの美しい身体は業界内で有名になり、相手役だった新見剣にも高く評価される。一方のアリサは、裸専門のスタント女優に負けていられないと闘志を燃やし、本番では自分が脱いで演技すると言い出す。
登場人物・キャラクター
稲村 まどか (いなむら まどか)
地方から女優を夢見て上京して来た女性。年齢は18歳。つねに眼鏡をかけており、地味で平凡な顔立ちだが、スタイルは抜群。まじめでどこか冷めたクールな性格をしており、多少の物事には動じない肝の据わったところがある。女優を志したのは、高校時代に演劇部で『リア王』のコーデリア役を演じた際、部長だった浜中に褒められた事がきっかけ。 またその時に演技した事で得た快感も忘れられずにいる。しかし女優としては芽が出ず、タクにスカウトされて「マジョリカ」の源氏名でキャバクラ「魔女子俱楽部」で働いている。映画「獣の条件」で主演の桜田アリサの妹役オーディションに応募した際、神取サチにそのスタイルのよさを評価され、芸能事務所「ラピスラズリプロダクション」に所属する事になる。 ただし通常の女優ではなく、裸専門のスタント女優としての契約だった。「ラピスラズリプロダクション」での芸名は「MADOKA」。実は男性経験のない処女である。
桜田 アリサ (さくらだ ありさ)
かつて天才子役として活躍した女性。現在も女優活動を続けているが、子役時代のイメージを引きずり、伸び悩んでいる。映画「獣の条件」での主演が決まっているが、桜田アリサ本人はまったくやる気がない。周囲が話題作りのために自分を脱がせようとしている事には気づいているが、脱ぎの仕事は絶対にしないと決めている。しかし業界内で自分の裸のスタントを演じた稲村まどかの噂を聞き、さらに相手役だった新見剣もまどかの事を高く評価したため対抗心を燃やす。 最終的にはスタントなしで自分がすべて演じる事を決意する。
新見 剣 (あらみ けん)
人気の若手男性俳優で、映画「獣の条件」に出演が決まっている。稲村まどかが初スタントをした際の相手で、まどかのあまりの身体の見事さに撮影を忘れそうになったほど。実は女好きで頻繁にキャバクラに通っているが、事務所の圧力によって今のところ、その醜聞は世間に知られていない。
胡桃谷 剛 (くるみたに ごう)
芸能事務所「ラピスラズリプロダクション」に勤務する男性。桜田アリサのマネージャーを務めており、アリサのわがままに振り回されている。よく「ハゲ」と悪口を言われているが、アリサ本人は胡桃谷剛の事を信頼している。アリサに対して愛情を注いでおり、映画「獣の条件」で裸になった時は自分の娘が脱いでいるようで見ていられないと、目を背けた。
国立 健人 (くにたち けんと)
芸能事務所「ラピスラズリプロダクション」に勤務する青年。桜田アリサの付き人を務めており、アリサのわがままに振り回されながらも、自分の主張したい事ははっきり口にするタイプ。筋肉質な身体つきから、アリサには「筋肉バカ」と罵倒されている。人気若手俳優の新見剣と接触した際に舞い上がるなど、ミーハーなところがある。
神取 サチ (かんとり さち)
芸能事務所「ラピスラズリプロダクション」に勤務する女性。チーフマネージャーを務めている。映画「獣の条件」で主演の桜田アリサの妹役オーディションを開催した際、稲村まどかのスタイルのよさが一際目立っていたため、裸専門のスタント女優としてスカウトした。咲坂直樹をはじめ周りから軽んじられる存在のまどかに対し、真摯に向き合う。
咲坂 直樹 (さきさか なおき)
芸能事務所「ラピスラズリプロダクション」に勤務する男性。稲村まどかの担当マネージャーを務めている。まどかに対しては、「たかが裸専門のスタント女優」と見下している節がある。
後藤田 (ごとうだ)
著名な映画監督の男性で、ヒット作を多数生み出している。映画内に、主演女優の激しい濡れ場を必ず入れる事でも有名。次回作は桜田アリサ主演で、映画「獣の条件」の撮影が決まっている。
タク
水商売のスカウト歴3年の男性。街を歩いていた稲村まどかのスタイル抜群の後姿に興味を抱き声をかけたが、地味な素顔を見て一度は引き下がった。しかし、もしかしたらまどかのようなタイプの方が化けるのではないかと考えを改めた。そして再び声をかけ、キャバクラ「魔女子俱楽部」を紹介した。
かりん
キャバクラ「魔女子俱楽部」でヘルプとして働く女性。明るく面倒見のいい性格の持ち主で、キャバクラ勤務が初めての稲村まどかの面倒をよく見ている。
マリン
キャバクラ「魔女子俱楽部」で働く女子大学生。店ではNo.1の人気を誇る美人ながら、毒舌家で性格もきつい。特に新人に対しての当たりが強く、稲村まどかに対しても嫌味を言っていじめている。「魔女子俱楽部」のスタッフからも要注意人物と目されているが、売上がいいために見逃されている。大学入学当初は女子アナウンサー志望だったが、自分をスカウトして来たタクに好意を抱き、キャバクラでの仕事を優先している。
麻美 (あさみ)
稲村まどかの高校時代からの親友の女性。年齢は18歳。地味なまどかとは対照的に派手なタイプ。まどかを追って、同じく上京して来た。まどかからは「あーちゃん」と呼ばれており、何かあると互いに報告をし合う仲。
浜中 (はまなか)
稲村まどかと同じ高校に通っていた先輩の男性。当時はまどかの所属する演劇部で部長を務めていた。まどかの演技を褒めたものの、実際にまどかが女優を目指すと聞いた時には、まどかのルックスでは難しいのではないかと言葉を濁した。一方で、まどかのスタイルのよさは文句なく認めている。卒業後は脚本家を目指し、大学へ進学した。
集団・組織
ラピスラズリプロダクション
桜田アリサが所属している中堅の芸能事務所。映画「獣の条件」でアリサの妹役オーディションを開催し、エントリーしてきた稲村まどかのスタイルのよさが神取サチの目に留まり、まどかは裸専門のスタント女優として所属する事となった。
場所
魔女子俱楽部 (まじょしくらぶ)
繁華街にあるコスプレキャバクラ。キャバクラ嬢達はみな肌の露出が激しい魔女を模したコスプレ衣装を着て接客する。タクにスカウトされた稲村まどかも、アルバイトとして働いている。