世界観
コンシューム大陸と呼ばれる、諸国が戦乱に明け暮れる群雄割拠のファンタジー世界を舞台にしている。キラーと呼ばれる、常人を遥かに凌駕する戦闘能力を持つ超人たちが各国に所属していて、ほとんどの戦争はキラー同士の対決という構図で行われる。
あらすじ
第一部
ニンテルド帝国によって故郷を滅ぼされた少年・ギアは、復讐のためにニンテルド帝国と敵対しているセグア王国の軍に身を投じる。そこでキラーとしての素質を見い出されたギアは、タトランドの捕虜となったセグア王国のアレックス将軍と接触する任務を与えられる。その任務は、救出が困難であればアレックス将軍の力を吸収し、その命を奪えという非情なものであった。実の父親であるアレックス将軍の力を吸収したギアは、新たなる力を解放してタトランドとの戦いを勝利へと導く。
第二部
第二部は、引き続きギアが重要な役回りを演じはするものの、特定の主人公を置かない群像劇として描かれる。ギアは、セグア王国からニンテルド帝国に潜入し、皇帝であるマルクスの身柄を確保せよ、という困難な任務を与えられる。その旅の途上、スロヴィア王国において、ギアとその一行はスロヴィア王国の王女であるクリスタル=エフェレフと、勇者として名高いミョムト=ユーティの対決を見届けることになる。
登場人物
本作『蒼い世界の中心で 完全版』の登場人物は、ほとんど全員が何らかのコンシューマーゲーム作品、または作品のキャラクターをモチーフとしている。なお一部には、主に著作権に配慮した事情から、コミックスの刊行に際してデザインが変更されているキャラクターもいる。
登場する武術・格闘技
この世界のキラーたちが使う能力は、いくつかの体系に分かれている。身体能力を高める「氣動(アクション)」、エネルギーを射出する「放射(シューティング)」、魔法のような効果を現出する「錬成(パズル)」、物体に何らかの役割を演じさせる「創演(ロールプレイング)」、研ぎ澄まされた超感覚を持つ「超共感(オンライン)」などの存在が確認されており、これらはゲームのジャンルが出典となっている。
パロディネタ
世界観そのものが、現実世界のコンシューマーゲーム業界のパロディという形をとっている。コンシューム大陸は「コンシューマーゲーム」に由来し、ニンテルド帝国は任天堂、セグア王国はSEGAを元ネタにしている。ストーリー構成も、例えばアタリをモデルにしたアタリカ帝国の興亡など、部分的にはコンシューマーゲーム史をなぞっている要素もある。
関連商品
本作『蒼い世界の中心で』を原作とした、公式のPCゲーム『バトルライン』が、同人サークル「8-senses」より2008年に発売されている。ジャンルはカードシミュレーションRPGで、『蒼い世界の中心で』のキャラクターがカードとして登場しており、作者のクリムゾン自らがビジュアルを手がけている。さらに2010年には、続編である『バトルラインコンクエスト』も発売された。
メディアミックス
TVアニメ
2012年から2013年にかけて、TOKYO MXでTVアニメ版が放送された。全3話。製作総指揮はクリムゾン、監督は柳沢テツヤがそれぞれ担当した。ギア役を岡本信彦、ネル役を三森すずこ、オパール役を橘田いずみが演じた。
WEBラジオ
2012年10月11日から2013年3月21日にかけ、HiBiKi Radio Stationで『蒼い世界の隅っこで』というWEBラジオも放送されている。パーソナリティは橘田いずみ、三森すずこ、高橋コータが担当した。
登場人物・キャラクター
ギア
セグア王国のマクスリ村出身のキラーの少年。身体能力全般、中でも特に脚力に秀でており、その高速ぶりから「青い音速」の異名を取る。ただし泳ぎだけは苦手。当初はスピードはありながらも突破力に欠けるという弱点があったが、のちに回転しながら相手に突進する「スピンチャージ」という必殺技を身につけて、それを克服する。 好物はチリドッグ。
ネル
セグア王国のマクスリ村出身のキラーの少女。ギアとは血の繋がりがあるわけではないが兄妹同然の関係で、周囲には義妹と認知されている。ギアとともにセグア王国軍に身を投じ、キラーとしての素質を見い出されて、ギアと同じ特殊部隊に配属された。超共感の使い手であり、非常に優れた聴覚を持っている。
オパール
セグア王国軍のキラーの若い女性。アレックス将軍に次ぐNo.2といわれる実力を持つ。当初は弓使いであったが、アレクセイ=テジロフにその素質を見い出されて師事し、放射の使い手となった。必殺技は、複数のショットをチャージして一気に放つ「7WAYショット」。
ラムセス
セグア王国軍の副将軍を務めるキラーの若い女性。錬成の使い手であり、魔力を込めた宝石を用いた術を得意とする。アレックス将軍に好意を抱いていた過去があるが、告白して振られたショックで作戦においてミスを犯してしまう。これがアレックス将軍を虜囚の憂き目に遭わせる事態を招いたと思い込んで苦悩している。
アレックス将軍 (あれっくすしょうぐん)
セグア王国軍の将軍を務めるキラーの中年男性。ギアの実の父親。タトランドの捕虜となり、拷問を受けて再起不能の状態に陥った。そのため、セグア王国軍の作戦の中で自分のもとにやって来たギアに、自分を吸収させて死亡した。
コイール
テロリストの集団を率いているキラーの中年男性。セグア王国の内部にあって、セグア王国に敵対していた。オパールの実の父親でもある。セグア城を爆破する事件を起こした後、オパールとギアによって組織を壊滅させられ、最後は自ら望んでオパールに吸収されて死亡した。
アレクセイ=テジロフ
コンシューム大陸の外、北方にあるロルグという国出身の傭兵の男性。キラーではないにも関わらず、天才的な能力を持った「錬成の使い手」。日頃からやたらと下ネタを連発している下品な人物であるが、その実力は本物。セグア王国の傭兵をしていた頃、ギアに初めての敗北を味わわせ、また最初の師ともなった。
マルクス
ニンテルド帝国の二代目帝王。「炎帝」の異名で知られる。年齢は不詳。ただの配管工の身から一代で帝王にまでのし上った。コンシューム大陸最強のキラーとも囁かれるほどの実力の持ち主。大陸制覇に王手をかけた状態だが、実は統一の野心は持っておらず、セグア王国との講和を望んでいる。
ゼリグ
ニンテルド帝国きっての智将。ニンテルド六将軍の1人であるキラーの青年。その頭脳から、「すべての謎を解くもの」とあだ名される。戦場で「油断大適」という旗を掲げているが、字を間違えているわけではなく、「油断したままでも十分に戦える」という意味の挑発である。
グリージ
ニンテルド帝国の帝王マルクスの実弟。ニンテルド六将軍の1人のキラー。兄と同じく年齢は不詳である。兄と比較されることに強いコンプレックスを持っており、すぐ激昂する困った癖がある。しかし、御世辞でも主役として持ち上げられている時は上機嫌。
ファーエ
ニンテルド帝国に仕える若き女将軍。ニンテルド六将軍の1人で、飛竜にまたがって戦うキラー。沈着冷静で、うまく行かないことがあっても、何度も何度もやり直す性格の持ち主。そのため「ミス・リセット」とあだ名されている。ニンテルド六将軍の中では随一の常識人。
カーヴァイ
ニンテルド帝国に仕える若い女性のキラー。ニンテルド六将軍の1人で、尋常でない食欲を持った大喰らい。由来は不明であるが「無限の戦士」の異名を持つ。「カーヴァイ」という名はゼリグが付けた通称で、本名は「ポロロ」という。最後に他人に教わった技を、どんな技であろうと1つだけ完璧にコピーする、という特殊な能力の持ち主。
ドル=ディゴルグ
かつてニンテルド帝国の最強のキラーとして知られ、「伝説の剛腕」とあだ名された名将。盗賊団「イリーガルパイレーツ」の討伐に向かった際、魔鏡によって力を奪われ、殺害された。その死後、その力を奪った偽ディゴルグが多くの悪行を働くようになったため、ニンテルド帝国の恥部とまで言われるようになってしまう。
ディゴルグJr (でぃごるぐじゅにあ)
ドル=ディゴルグの息子。ニンテルド帝国に仕えたキラー。父親の仇を討つべくイリーガルパイレーツの討伐に向かったが、偽ディゴルグによって罠にかけられ、父親と同じく魔鏡によって力を奪われ、殺害された。
偽ディゴルグ (にせでぃごるぐ)
盗賊団「イリーガルパイレーツ」の首領。どんな卑劣な手もいとわない悪党。年齢は不詳。魔鏡を悪用してドル=ディゴルグの力を奪い取り、その後は「ディゴルグ」を名乗って暮らしていた。最後には、魔鏡の力を防ぐ「コピーガード」を持ったゼリグの手で討たれた。
偽ディゴルグJr (にせでぃごるぐじゅにあ)
盗賊団「イリーガルパイレーツ」の幹部。偽ディゴルグの実の息子。年齢は不詳。父親と共謀し、魔鏡を悪用してディゴルグJrの能力を奪い取り、その後は自ら「ディゴルグJr」を名乗って暮らしている。ニンテルド帝国の正規軍を装って略奪などを働いている。そうして滅ぼした村の中の1つが、実はギアの故郷のマクスリ村であり、最後には、その事実を知ったギアによって討たれた。
ミョムト=ユーティ
「勇者」とあだ名される旅のキラーの青年。エリール共和国の出身で、クリスタル=エフェレフと並び、「二大ロールプレイング」と称される創演の使い手。派手な必殺技などはあまり見せず、あくまでも基本に忠実な戦い方をする。基本的に無口で、「はい」「いいえ」以外の言葉を発することは稀。
パトリー
ミョムト=ユーティに仕える怪力のキラーの少女。もともと、とある悪の宗教団体で奴隷として酷使される身であったが、ミョムトによって助け出され、ともに旅をするようになった。怪力以外に特に能がないため、普段は馬車を引っ張っている。
クリスタル=エフェレフ
スロヴィア王国の若き王女。「究極王女」とあだ名される超一流のキラー。ミョムト=ユーティと並び、「二大ロールプレイング」と称される創演の使い手。ミョムトを一方的にライバル視しており、一対一での勝負を挑むが敗北する。
アリシテッド
スロヴィア王国のキラーの若い女性。クリスタル=エフェレフには及ばないものの、凄腕の創演の使い手。幼い頃からクリスタルとライバルとして腕を競い合い、また親友と言うべき関係を築いていた。しかし、実はクリスタルに深い嫉妬と憎悪を抱いており、クリスタルがミョムト=ユーティに敗れた直後、その暗殺を謀る。
ヤヤ
スロヴィア王国のキラーの若い女性。飛竜の扱いにかけてはスロヴィア王国一。クリスタル=エフェレフの従妹であり、親友だった。好きなものがコロコロと変わる性格で、アリシテッドがクリスタルを裏切った時、それに同調して自分もクリスタルの敵に回った。
カーランド=エフェレフ
スロヴィア王国の女王であったキラーの女性。クリスタル=エフェレフの母親でもある。大陸一の創演使いの座を賭けて、当時まだ少年だったミョムト=ユーティに挑み、完敗を喫する。その後、ミョムト打倒を娘のクリスタルに託し、クリスタルに自らを吸収させて死亡した。
アシモフ・イースト (あしもふいーすと)
デコルアンという小国の首領。年齢は不詳。争いを好まぬ性格であり、セグア王国がニンテルド帝国に攻め入るために、領内を通過する許可を求めてきた時にも快諾した。またのちに、ギアたちがマルクス捕縛任務のために、再びデコルアンを通ろうとした時も、妹のアカギ・イーストが先走ってギアたちと戦闘になったのを仲裁した。
アカギ・イースト (あかぎいーすと)
デコルアンの首領であるアシモフ・イーストの妹の若いキラー。「バグ」という死病を患っており、自暴自棄になっている。兄が通行許可を出しているにも関わらず、セグア王国の軍勢に対して奇襲を加えた。また、のちにギアたちがマルクス捕縛任務のために、再びデコルアンを通ろうとした時も、襲撃を行っている。
ブロックス
年齢不詳のキラーの男性。アカギ・イーストの部下。もともとは流れ者の賞金首で、デコルアンに流れ着いて拾われた身。195mmのキャノン砲、22mmのバルカンなどを装備した戦車を繰り出したが、アレクセイ=テジロフによって砲撃を反射され、完敗する。
ヴァイズ・ブル (ゔぁいずぶる)
タトランド国のキラーの若い男性。ボイズ・ブルの兄。かつて地下100階もある迷宮の奥深くに囚われた恋人たちを救出するため、弟とともに自らに「竜の呪い」をかけて戦闘力を強化した。しかし、恋人を救うことはできず、以後、世を儚んでシャボン玉を吹いて暮らしている。
ボイズ・ブル (ぼいずぶる)
タトランド国のキラーの若い男性。ヴァイズ・ブルの弟。恋人を救うことができなかった悔恨から、酒に溺れて暮らしており、兄より好戦的で凶暴な性格。セグア王国のアレックス将軍を捕らえて拷問を加えた張本人であり、その息子のギアによって倒される。
集団・組織
イリーガルパイレーツ
偽ディゴルグによって率いられている盗賊団。魔鏡の力を駆使して多くのキラーの力を得ており、名将たるドル=ディゴルグを戦死に追い込むなど、盗賊団とは思えぬ実力を有する。そのため、ニンテルド帝国の正規軍の力をもってしても、なかなか討伐することができずにいた。
場所
コンシューム大陸 (こんしゅーむたいりく)
大きな「C」の字の形をした広大な大陸。北にニンテルド帝国、南にセグア王国があって、その間にはニンテルド帝国勢力下の小国家群がひしめき合っている。北方のニンテルド帝国領は雪に覆われた地となっており、ホーリーマウンテンという大きな山がある。
セグア王国 (せぐあおうこく)
コンシューム大陸の南方にある国。ギアの出身地。国民は青い瞳をしているのが特徴。コンシューム大陸のほとんどがニンテルド帝国の勢力下に入る中、その統一を阻む最後の抵抗勢力となっている。起死回生をかけて、ギアにニンテルド帝国帝王・マルクスの捕縛を命じる。
ニンテルド帝国 (にんてるどていこく)
コンシューム大陸の北方にある国。国民は赤い瞳をしているのが特徴。マルクスの支配のもと、住民たちは「楽しく遊ぶ」日々を過ごしている。ニンテルド帝国を世界征服を企む悪の帝国だと思っていたギアは、実際に訪れたニンテルド帝国で、子供たちが楽しげに遊んでいる光景を目の当たりにし、大いにショックを受けることになる。
アタリカ帝国 (あたりかていこく)
かつてコンシューム大陸で強勢を誇った国。大陸を制覇する寸前まで行ったが、質の悪い兵士を増やしすぎたため民衆の信頼を失い、クーデターにより崩壊して小国の座に転落した。今でも存在してはいるが、他国に影響を及ぼすほどの力は既に持っていない。
その他キーワード
キラー
普通の人間よりも優れた能力を持った人種。アタリカ帝国の崩壊後、各国が少数精鋭主義を採用していく中で生み出された。もともとは人工的に作られた存在だが、キラーの体質は遺伝するため、現在存在するキラーのほとんどが、過去のキラーたちの子孫である。
吸収 (きゅうしゅう)
他の人間の命を取り入れてパワーアップすること。キラーのみが行うことができる。この時、吸収された側は死亡する。吸収を行える回数は個々のキラーによって決まっており、通常は多くても数回程度が限界である。「大切に思っている相手であればあるほど、吸収した際に大きくパワーアップする」という法則が存在するが、この事実を知る者は非常に少ない。 パワーアップするのは、あくまでももともと当人が持っていた基礎的なステータスのみであり、吸収した相手の必殺技を使えるようになったりすることはない。
氣動 (あくしょん)
肉弾戦を得意とする者たちの戦闘術。エネルギーを体の中で高め、身体能力を一時的に向上させるという性質のもの。キラーであれば、生まれながらに無意識に使っているという程度に基本的なもの。これを意図的にコントロールして用いれば、さらに戦闘能力を高めることができる。
放射 (しゅーてぃんぐ)
かつて大陸を席巻した「伝説の侵略者」イ・ベイザーが確立した闘法。基本的には、エネルギーを遠くに飛ばして攻撃するというもの。指先にチャージしたエネルギーを放つ「ショット」が基本技であるが、さまざまな応用法がある。
錬成 (ぱずる)
自分の持つエネルギーを、炎や氷など別のエネルギーに変えて放つ術の体系。見た目の印象としては魔法に近い。錬成魔導学院という専門の教育機関があり、アレクセイ=テジロフは、そこで創設以来の天才と呼ばれていた。
創演 (ろーるぷれいんぐ)
自らのエネルギーを他の物体に伝達し、それに「何らかの役割(ロール)を演じ(プレイ)させる」技術の体系。盾を物凄く硬くしたり、物を自在に動かしたりと、さまざまな応用法があるが、他の技術体系と比べて習得が難しい。ただし、極めれば最も恐ろしい技術だともいわれている。
超共感 (おんらいん)
研ぎ澄まされた超感覚を会得する能力の体系。超共感の使い手は人並み外れた視力や聴力を持ち、わずかな風の流れさえはっきりと感じ取ることができる。ネルはアレクセイ=テジロフによって超共感の能力の持ち主であることを見い出され、セグア王国の特殊部隊に身を投じることとなった。
魔鏡 (まじゅごん)
もともとはキラーが開発された頃に、キラーを抑制するものとして作り出されたものであった。のちに盗賊団「イリーガルパイレーツ」の手に渡り、ニンテルド帝国に大いなる災いをもたらした。なお、魔境による吸い出しは、キラーの吸収とはまったく別の性質のものである。
クレジット
- 原作
-
アナスタシア・シェスタコワ
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