あらすじ
兄弟一緒に翔凌高校に進学
中学3年の夏、サッカー部を引退した飛高蒼士は、やりたいこともなくさまざまなことに挑戦するが、どれも長続きせずに失敗に終わっていた。そんな中、蒼士は日課のランニングをしていると、海外のサッカーチームで活躍しているはずの年子の兄、飛高紅也が現れ、突然一対一のサッカー勝負を持ち掛けられる。中学の部活でベンチ入りすらできない蒼士と、紅也のあいだには大きすぎる実力差があったが、紅也の言葉に闘志を燃やした蒼士はみごと勝利を収める。そして蒼士は、紅也との勝負で自分が本当にやりたいことを再確認し、サッカーを続けるために翔凌高校に進学することを決める。一方の紅也も、ヨーロッパの強豪チームからの誘いを断り、翔凌高校に進学するのだった。入学後、二人はサッカー部に入部するためにグラウンドに向かうと、紅也効果もあって入部希望者が大勢集まっていた。そこで監督の路田御子は、本当にやる気がある者を選別するために入部試験を実施する。
一軍を目指して三軍からの下剋上
入部試験後、飛高蒼士はケガ人や初心者が属する三軍に入ることとなった。飛高紅也は一軍からのスタートで、インターハイ予選に出場できるのは一軍選手のため、蒼士は一刻も早く一軍への昇格を目指していた。しかし三軍キャプテンの仙道駿の指令で、パス練習だけを延々と繰り返す日々の中、三軍の選手は実践的な練習ができないことに不満を募らせる。だが蒼士は、仙道に自分の実力を認めさせて現状を変えようと練習を重ね、試行錯誤の中で仙道の真意に気づく。それからは練習に取り組む意識が変わり、パスの精度が飛躍的に上がった蒼士は、仙道の推薦もあってインターハイ予選に出場するメンバーを決めるための、一軍と二軍混成の紅白戦に出場することになる。紅白戦で活躍すれば一軍入りが確実になるため、蒼士は闘志を燃やすのだった。
登場人物・キャラクター
飛高 蒼士 (ひだか そうし)
翔凌高校サッカー部に所属する1年生の男子。ポジションはライトウイング。学年は同じだが年子の兄、飛高紅也からは「蒼」と呼ばれている。熱血漢で馬鹿正直な生真面目な性格で、サッカーへの情熱が非常に強い。小学生の頃は紅也とコンビを組んで「天才兄弟」と称されて活躍をしていたが、中学校の部活ではベンチ入りすらできないほどに落ちこぼれる。一時期はサッカーを辞める気でいたが、紅也との一対一の勝負に勝ち、自分はサッカーが好きだと再確認して高校でもサッカーを続けることを決意。やる気と才能はあるものの基礎ができていないため、最底辺の三軍に所属することとなる。三軍キャプテンの仙道駿から、地味なパス練習ばかりさせることに最初は反発していたが、仙道の意図に気づいたあとは仙道を兄のように慕うようになる。身長は163センチで、体重は58キロ。誕生日は3月14日、血液型はB型。好きなものは体育とカレー、嫌いなものは勉強と苦いもの。好きなタイプはよく笑う子。利き足は右で、あこがれのサッカー選手はクリスティアーノ・ロナウド。休日はつねに友達と遊んで過ごしている。一年中半袖で過ごし、制服は冬でもワイシャツしか着ない。髪色は母親似で、顔は父親似。
飛高 紅也 (ひだか こうや)
翔凌高校サッカー部に所属する1年生の男子。ポジションはミッドフィルダーながら中盤ならどこでもプレーできる。学年は同じだが年子の弟、飛高蒼士がいる。小学生の頃は、蒼士とコンビを組んで「天才兄弟」と称されていた。小学6年の時にスペインのクラブチームからスカウトされ、中学時代はプロチームの下部組織に所属していた。U-15世代の欧州大会に出場して2ゴール3アシストの成績を残し、飛び級でU-18の日本代表でも大活躍して「日本サッカーの至宝」と称され、さらに黄金の時代の一人に数えらえる。一時帰国して蒼士と一対一の勝負をして負けたあと、バルセロナやマドリード、マンチェスター、バイエルンなど世界中のトップクラブからのオファーをすべて断り、蒼士といっしょにプレーするために蒼士と同じ高校に進学する。部活では圧倒的な実力を見せて即一軍入りを果たし、上級生とも問題なく連携プレーをこなす。身長は175センチで、体重は70キロ。誕生日は4月11日、血液型はAB型。好きなものは猫と湯豆腐、嫌いなものは強いて挙げればマスコミ。好きなタイプは考えたことがない。利き足は右で、あこがれのサッカー選手はシャビ・エルナンデスとスティーヴン・ジェラード。休日は散歩やサッカーを観戦して過ごしている。スペイン語は完璧にマスターしており、英語も簡単な会話なら可能。髪色は父親似で、顔は母親似。
藤本 竜輝 (ふじもと りゅうき)
翔凌高校サッカー部に所属する1年生の男子。ポジションはサイドバック。クラスメイトの飛高蒼士からは「フジ」と呼ばれている。小学生の時に蒼士と飛高紅也のチームと試合したことがあり、その試合で見せた蒼士のプレーに感動してずっと蒼士にあこがれていた。高校で蒼士と再会するとすぐに友達となる。身長は165センチで、体重は55キロ、誕生日は12月12日、血液型はA型。好きなものは寿司(すし)と歴史、嫌いなものは豆腐と理科。好きなタイプは優しい人。利き足は左で、あこがれのサッカー選手はパオロ・マルディーニ。休日はひたすらサッカー選手のWikiを見て過ごしている。度を超えたサッカーオタクで、プロはもちろん、同年代の有望な選手にも詳しい。
砥上 優 (とがみ ゆう)
翔凌高校サッカー部に所属する1年生の男子。ポジションはライトウイング。クールな性格で、試合中でも感情をあらわにすることなく、冷静にプレイする。鹿島Jr.ユースでエースだった実力者で、ドリブルを得意としている。飛高紅也とプレイするために鹿島ユースの誘いを断って翔凌高校に入学した。身長は160センチで、体重は47キロ。誕生日は5月30日、血液型はO型。好きなものは休日と辛いもの、嫌いなものは朝起きとカニ、女の子みたいと言われること。好きなタイプはうるさくない子。利き足は左で、あこがれのサッカー選手は特にいない。休日は寝るかリフティングをして過ごしている。
黒川 鉄平 (くろかわ てっぺい)
翔凌高校サッカー部に所属する1年生の男子。ポジションはディフェンシブミッドフィルダー。金子仁太、桧本将稀とは幼稚園からの幼なじみ。桧本からは「テツ」、犬猿の仲のクラスメイト、飛高蒼士からは「下まつ毛」と呼ばれている。中学時代はキャプテンを務めており、金子や桧本と共に「六中トリオ」と呼ばれ、六中を全国大会まで導いた。無尽蔵のスタミナとフィジカルを誇り、ボール奪取能力にも長(た)け、中盤で闘犬のように走り回っている。身長は178センチで、体重は70キロ、誕生日は8月25日、血液型はB型。好きなものは肉、嫌いなものは同年代で自分よりうまい選手と、弱いくせに出しゃばる人間。好きなタイプは巨乳の子。利き足は右で、あこがれのサッカー選手はジェンナーロ・ガットゥーゾ。休日は地元の友達と遊んで過ごしている。地元の友達には優しいが、それ以外の人たちには敵意をあらわにする。
金子 仁太 (かねこ じんた)
翔凌高校サッカー部に所属する1年生の男子。ポジションはライトサイドミッドフィルダー。黒川鉄平、桧本将稀とは幼稚園からの幼なじみ。黒川と桧本がサッカーをやっていたから、金子仁太自身もサッカーを始めた。黒川からは「仁」と呼ばれている。黒川や桧本と共に「六中トリオ」と呼ばれ、六中を全国大会まで導いた。高いクロス精度を誇り、中学時代は県大会でアシスト王を獲得している。身長は172センチで、体重は64キロ。誕生日は9月4日、血液型はA型。好きなものはアイスと漫画とゲーム、嫌いなものは辛いもの。好きなタイプはスレンダーな子。利き足は右で、あこがれのサッカー選手はデビッド・ベッカム。休日はゲームをやりたいと思っているが、黒川から遊びに引っ張り出されている。
桧本 将稀 (ひのもと しょうき)
翔凌高校サッカー部に所属する1年生の男子。ポジションはゴールキーパー。黒川鉄平、金子仁太とは幼稚園からの幼なじみ。黒川からは「将」、金子からは「しょーちゃん」と呼ばれている。黒川や金子と共に「六中トリオ」と呼ばれ、六中を全国大会まで導いた。中学時代の県大会では好セーブを連発していた。身長は177センチで、体重は68キロ、誕生日は1月19日、血液型はO型。好きなものは米とディスカバリーチャンネル、嫌いなものは野菜すべて。好きなタイプは北欧美女。利き足は右で、あこがれのサッカー選手はイケル・カシージャス。休日は兄弟と自主練習をして過ごしている。
和泉 京 (いずみ けい)
翔凌高校サッカー部に所属する3年生の男子。ポジションはディフェンシブミッドフィルダー。サッカー部のキャプテンを務めている。ケガを治して一軍に昇格した仙道駿と共にプレイできることを楽しみにしており、覇気をなくしている仙道に発破をかける飛高蒼士にも期待を寄せている。身長は183センチで、体重は73キロ。誕生日は7月17日、血液型はB型。好きなものは肉じゃが、嫌いなものはミント。好きなタイプはハッキリした子。利き足は右で、あこがれのサッカー選手はリッキー・ランバート。休日は料理をしているが、腕は芳しくない。花粉シーズン時は会話ができなくなるほどの重度な花粉症を発症する。
路田 御子 (ろた みこ)
翔凌高校に勤める女性教師。担当科目は英語。サッカー部の監督も務めている。元女子プロサッカー選手で、スペインのチームに所属し、飛高紅也とはその時に知り合った。教え子で幼なじみの仙道駿から二人だけの時は「御子姉」と呼ばれている。ノリが軽くて部員たちにもフランクに接している。仙道が手術を乗り越えてケガを完治させ、以前のように全力でサッカーをプレイできることを願っている。身長は173センチで、体重は52キロ。誕生日は9月29日、血液型はO型。好きなものは味噌(みそ)汁、嫌いなものはパエリア。好きなタイプは自分よりイケている人物ながら未(いま)だに出会えていない。あこがれのサッカー選手はジネディーヌ・ジダン。休日はドライブをして過ごしている。
仙道 駿 (せんどう しゅん)
翔凌高校サッカー部に所属する3年生の男子。ポジションはオフェンシブミッドフィルダー。祖父はドイツ人で元サッカー選手。初心者やケガ人で構成される三軍のキャプテンを務めている。1年の時に左膝をケガし、その後もケガを繰り返している。現在はある程度回復したものの、50メートルを全力で走っても10秒以上かかってしまうため、仙道駿自身は選手として終わったと考えている。それでもサッカーへの情熱は失っておらず、毎日4時間以上もパスの練習をしている。手術を受ければ完治するといわれているが、成功確率が50%で、失敗すると二度とボールを蹴れなくなるため、手術に踏み切れないでいる。無表情で近寄りがたい雰囲気を漂わせているため、問題児と誤解されやすいが、同級生の和泉京や旭彗吾、幼なじみの路田御子は駿のよき理解者でもある。ケガを繰り返しているためにやる気をなくしていたが、どんな逆境でもあきめない飛高蒼士と接しているうちに、少しずつ昔の自分を取り戻していく。身長は176センチで、体重は64キロ。誕生日は12月31日、血液型はA型。好きなものは餅、嫌いなものは色が派手な野菜。好きなタイプは背が高い人。利き足は左で、あこがれのサッカー選手はグティ。休日は左足のケアをして過ごしている。
旭 彗吾 (あさひ けいご)
翔凌高校サッカー部に所属する3年生の男子。ポジションはセンターバック。サッカー部の副キャプテンを務める。優しい性格で下級生からも慕われている。精度の高いロングパスと優れた危機察知能力の持ち主で、その能力を最大限に活かすためにミッドフィルダーからセンターバックに転向した。インターハイ予選に出場するメンバーを決める紅白戦では、相手の動きを冷静に読んで何度も攻撃を阻止している。身長は179センチで、体重は70キロ。誕生日は11月3日、血液型はO型。好きなものはそうめん、嫌いなものはうどん。好きなタイプは一生懸命な子。利き足は左で、あこがれのサッカー選手はファビオ・カンナヴァーロ。休日は読書をして過ごしている。
壱村 大然 (いちむら たいぜん)
翔凌高校サッカー部に所属する2年生の男子。ポジションはセンターフォワード。身体能力が非常に高く、周囲から期待を寄せられているエースストライカー。しかし点を決めたあとに脱ぐクセがあり、毎回路田御子から怒られている。インターハイ予選に出場するメンバーを決める紅白戦では、飛高蒼士に対抗意識を燃やしてハットトリックを決めた。身長は179センチで、体重は70キロ。誕生日は1月1日、血液型はAB型。好きなものは丼もの、嫌いなものはチーズ。好きなタイプは大和撫子(やまとなでしこ)。利き足は右で、あこがれのサッカー選手はアドリアーノ・レイテ・リベイロ。休日は山登りをして過ごしている。
佐反 剣弥 (さそり けんや)
翔凌高校サッカー部に所属する2年生の男子。ポジションはレフトサイドバック。サッカー部では最速のスピードを誇り、左サイドをオーバーラップして何度もチャンスを作っている。兄弟が多いため面倒見がよく、インターハイ予選に出場するメンバーを決める紅白戦では、視野が狭くなっていた飛高蒼士に自分の強みを活かすようにアドバイスを与えた。身長は165センチで、体重は58キロ。誕生日は2月10日、血液型はA型。好きなものはガム、嫌いなものはかぼちゃ。好きなタイプはゆるふわ系。利き足は左で、あこがれのサッカー選手はフィリップ・ラーム。休日は音楽鑑賞をして過ごしている。
集団・組織
黄金の時代 (える どらーど)
スペインリーグで活躍するU-18世代の天才選手たち。日本出身の飛高紅也、スペイン出身のシャビ=エル・オーロ(ポジションはセントラルミッドフィルダー)、ドイツ出身のユーリ・アレクサンドライマー(ポジションはゴールキーパー)、イングランド出身のハーヴィー・デューズホープ(ポジションはセンターフォワード)、イタリア出身のレオナルド・ジェイド(ポジションはセンターバック)、ブラジル出身のトルマリ(ポジションはサイドバック)の六人。その六人で、「黄金の時代同士で戦ってサッカーの歩みを100年進める」という約束を交わしていたが、紅也が翔凌高校に進学したことで頓挫してしまう。スペインで紅也を3年間待つより、日本の高校に進学した方が自らの成長につながると判断した五人は、日本の高校に進学した。そのため、日本が「次世代の世界の頂点を決める新しい戦場になる」と世界中から注目されることになる。
書誌情報
蒼く染めろ 14巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2021-12-17発行、 978-4065256985)
第2巻
(2022-03-17発行、 978-4065272879)
第3巻
(2022-07-15発行、 978-4065281857)
第4巻
(2022-10-17発行、 978-4065291306)
第5巻
(2022-12-16発行、 978-4065302415)
第6巻
(2023-02-17発行、 978-4065306147)
第7巻
(2023-05-17発行、 978-4065315606)
第8巻
(2023-07-14発行、 978-4065321935)
第9巻
(2023-10-17発行、 978-4065328958)
第10巻
(2024-01-17発行、 978-4065341834)
第11巻
(2024-03-15発行、 978-4065348796)
第12巻
(2024-05-16発行、 978-4065355138)
第13巻
(2024-08-16発行、 978-4065365236)
第14巻
(2024-11-15発行、 978-4065371350)