概要・あらすじ
第二次世界大戦前、イギリス大使の娘・モイラ・B・バーンズは父親の赴任先インド・ラジャスタンにある藩王国・ジョドプールで生活することになる。彼女はそこで王子・シルバ・アジット・シンと出会う。文化や性格の違いから反発しあう二人だが、様々な事件をきっかけにしだいに惹かれあい、結婚の約束を交わす。
一旦はイギリスに戻ったモイラだが、王(マハラジャ)となったシルバの迎えもあり、紆余曲折を経てジョドプールへと帰還し、結婚する。王や王妃としての自覚を深めたふたりは、インド独立の流れの中、藩を少しでも良いものにしようと奮闘する。
登場人物・キャラクター
モイラ・B・バーンズ
イギリス大使の娘。両親とに連れられ、インド・ラジャスタン藩王国のジョドプールにやってくる。ジャスワール王の宮殿に宿泊した際、第六王子であるシルバと出会い、親交を深めてゆく。性格は明るく活動的で聡明だが、感情や理想に任せて行動をすることが多く、周囲を巻き込んだ騒動となる。 興奮したり精神的な負荷がかかると気絶する。後にシルバと結婚。マハラーニ(王妃)となる。
シルバ・アジット・シン
インド・ラジャスタン藩王国のジョドプールの王・ジャスワールの第六王子。幼い頃、イギリス大使の両親につれられてラジャスタン藩王国にやってきたモイラと知り合い、紆余曲折を経て結婚の約束をする。少年期は暗殺に怯える日々を送っていたが、父であるジャスワール王の死によって王となり、第二次世界大戦、インド独立等、大小の騒動を乗り越え、大きく成長する。
リチャード・バーンズ
モイラの父の男性。イギリス大使としてラジャスタン藩王国のジャイプールに派遣される。実態はイギリスのスパイ。ジャスワール王には武器を売りつけ、ジャスワール王の弟・サヒバと通じ、内乱をおこさせ、国を鎮める名目でイギリス軍を引き入れ、ジョドプールを実質のイギリス植民地化する計画を実行している。
ジョア・ホールディン
イギリス人の青年。ジャスワール王に雇われ、ジョドプールで新宮殿の建築に携わる建築士。幼い頃のモイラとシルバの教師も勤める。ふたりの理解者で、後に街の整備も務める。
リンツ・フォン・シュテルンエッカーブロイ
ドイツ人の男性。ドイツ軍に所属する。階級は大佐。ドイツ軍の機密を知ってしまったモイラを始末するため、ラジャスタンに帰る途中、パリで立ち往生していたモイラに近づく。
ラージャ・エル・フィール・マフマド・イブン・サウド
アラブ王の第16王子の青年。ラジャスタンに戻る途中、カイロで蒼の石を奪われてしまったモイラが、彼の乗った車にひかれてしまったことで知り合いとなる。明るいが、自身の思いどおりにならないと気が済まない性格。モイラに恋をし、後宮に入れようとする。
ナタリー・シェルダン
アメリカ人の女性。ラージャの第3夫人。ストリート・ガールをやっていたところ、石油会社の人からアラブの王子が白人の妃を探していると聞き、それを受ける。モイラがラージャの後宮に入れられたさい、知り合いとなる。非処女であることが明らかになると殺されるため、後宮から逃げ出す機会を狙っている。
シバ
シルバに仕える青年。ロンドンにいたモイラをジョドプールまで送り届けるようシルバに申し付けられ、以降、パンディットと共にモイラに仕えるようになる。ヒンドゥ教徒。年若い分、機敏に行動するが、パンディットと同じく、どこかのんきな性格。ウルドゥ、ヒンドゥ、ベンガル、サンスクリット、アラビア、ペルシャ、ヘブライ、サンスクリット、英語を操る事が出来る。
パンディット
シルバに仕える男性。ロンドンにいたモイラをジャイプールまで送り届けるようシルバに申し付けられ、以降、シバと共にモイラに仕えるようになる。敬虔なイスラム教徒。性格は明るく、のんき。彼が作るカレーは天下一品という。シュクラという名の弟がいる。ウルドゥ、ヒンドゥ、ベンガル、サンスクリット、アラビア、ペルシャ、ヘブライ、サンスクリット、英語を操る事が出来る。
ウシャ・クマーリ
ウダイプル王の従弟・ギルダール・クマーリの娘。シルバの第二夫人となるべく宮殿入りしていたところモイラと知り合う。イスラム教徒。やさしくひかえめな性格ながら、芯は強い。
マーサ・バーンズ
モイラの祖母。モイラの父、リチャード・バーンズの母。イギリス人。第二次世界大戦下、ラジャスタン藩王国に行ったきり連絡の取れなくなったモイラに会うために軍用機に乗り込むような、行動的ではっきりとした性格。
ジュリアス・ベネトン
代々マフィアのドンを務める家柄に産まれた、イタリア人の青年。祖母・ラジャスタン藩王国に咲くケシの花から取れるアヘンを狙い、マーサを探すためにジョドプールを出たモイラをイタリアで監禁する。
チャンドリカ・ホールディン
ジョア・ホールディンの妻。ケンブリッジ大学の博士号を3つ持っている才女。デリーで医師をしていたが、ジョアと結婚したためジョドプールにやってくる。モイラの作った病院で医師として活躍する。
ヘムラータ
シルバの父・ジャスワール王の第一夫人。ベナレス生まれの女性。時代の変化を感じ取っており、シルバやモイラの行動を理解しようとしている。第四夫人のラジマタに子供を殺されている。
シンディア・シング・バーンズ
ハリジャンという不可触賤民の少年。ラジプート族。親が彼の足を切り落とそうとしたところ、あわれに思った者が宮殿に連れてきて以来、余り物を貰いつつ宮殿で暮らしている。猿からバイオリンを取り返してもらった礼としてマーサに渡した指輪にモイラが興味を持ったことから彼女と知り合う。 音楽、工芸などに高い才能を示す。人種差別を避けるため、ラジャスタンを離れ、アメリカに留学をする。
ジャイプール王
ジャイプール青年王。シルバのいとこ。過去、シルバの父・ジャスワール王に助けられたことがある。シルバの理解者として、大ラジャスタン連合創設のために活動する。イギリスに留学したさい覚えたポロの名手。