ACCA13区監察課

ACCA13区監察課

「もらいタバコのジーン」という異名を持つ食えない男、ジーン・オータスはドーワー王国の13区に跨(また)がる巨大組織「ACCA」の監察課副課長として各区の不正防止のため、不定期に13区の支部を巡検する役目を帯びていた。しかし、突如知らされた監察課廃止の知らせと共に、ジーンは国の行方を巡る大きな陰謀に巻き込まれていく。架空の国家を舞台に壮大なスケールで描かれたサスペンスロマン。「月刊ビッグガンガン」2013年vol.07から2016年vol.11にかけて連載された作品。2017年1月テレビアニメ化。OVA、舞台化などメディア化多数。

正式名称
ACCA13区監察課
ふりがな
あっかじゅうさんくかんさつか
作者
ジャンル
軍隊・軍人
関連商品
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世界観

現在から遡ることおよそ200年、ドーワー王国は13個の国に分かれていた。それを約100年前に現国王の曽祖父が一つの国に平定し、13の区から成るドーワー王国が誕生する。しかし、現国王の父の世代で、12の区がクーデターを起こしてしまう。現国王の父は先代が作り上げたドーワー王国を守るため、平和的な解決を望み、各区の代表と話し合いの場を持った。そして12の区に地方自治を認め、その他にも首都の移動、中央議会の制定、といった幾つかの条件をもとに、無事にクーデターを食い止めた。その時に政治とは独立した民間組織「ACCA」が結成されて長い平和が訪れた。国中の誰もが安穏としている世界のなか、ACCAの上層部たちが、国内でクーデターの動きがあることに気づき、次第に物語は展開していく。

作品誕生のいきさつ

本作『ACCA13区監察課』は、作者であるオノ・ナツメの「今までに描いたことのないような作品に挑戦したい」という考えのもと、担当編集者との綿密な打ち合わせのうえに生まれた作品である。オノ・ナツメが特に重視したのは、「作中でさまざまな制服を描きたい」ということ。これにより、地方自治制であり、各区の下でさまざまな組織が運営されている=組織ごとに異なる制服がある、という設定が生まれ、世界観を構築する礎となった。

単行本の装丁

カバー表紙には、白をバックに、ジーン・オータスをはじめとする主だった登場人物が、1巻につき一人表紙を飾る。また、表紙には、オマケとしてポチャード副本部長の日常を描いた1コマ漫画、裏表紙には、観察課員のノットが休暇に子供たちと過ごしている日常の様子を描いた1コマ漫画が、各巻に描かれている。

あらすじ

第1巻

ACCA本部監察課の副課長を務めるジーン・オータスは、いつものように妹のロッタ・オータスに見送られて、くわえタバコで仕事へと出かけた。すると、携帯電話に副本部長のポチャードから、至急ACCA本部ビルまで来るようにと連絡が入る。ジーンが上司のオウルとともに本部ビルの副本部長室に出向くと、ポチャードから、いきなり月末をもって監察課を廃止することを言い渡されてしまう。だが監察課の廃止に対しては、組織内でも賛否両論が分かれていた。監察課が廃止されるか否かの論議が持たれるなか、ジーンは監察課での最後の仕事をまっとうすべく、ファーマス区へと向かう。

第2巻

ファーマス区で行われていた不正の発見と解決の功績から解体をまぬがれたACCA監察課だったが、今度は副課長であるジーン・オータスに対するクーデター関与の疑惑が5長官のあいだで持ち上がりつつあった。彼を監視するため、ACCAの内務調査課から派遣されたのは「クロウ」の異名を持つ覆面局員であり、ジーンの高校時代からの友人でもあるニーノだった。そうとは知らずに当事者のジーンは監察課の仕事として今度はジュモーク区を訪れていた。しかし、ホテルに到着するとジーンは予約していた部屋とは別の豪華な部屋へと案内されてしまう。訝(いぶか)しく思いながらも1泊したジーンだったが、翌朝、今度は朝食と共に届けられた新聞に挟まれる形で、封筒に収められた1本のタバコが届けられていた。ホテルに迎えに来たジュモーク支部の駐在員リーダーであるコルリと合流したジーンは、支部を訪れる。ジーンを出迎えてくれる職員たちと共に現れた支部長に対してジーンはホテルの部屋の礼を告げると、支部長は意味ありげな笑みをただ浮かべるのだった。

第3巻

自分がクーデター派の人間との橋渡し役にされていると5長官の一人であるリーリウムから知らされたジーン・オータスは、次の出張先であるスイツ区を訪れていた。伝統と格式を重んじ、昔からの貴族が取り仕切っているスイツ区は外との交流が厳しく管理されており、機械の持ち込みや使用にすら厳重な管理が敷かれた閉鎖的な区だった。そんな難しい地域に派遣されている駐在員リーダーのウォーブラーのことを、ジーンは監察課の中で、自分の後任を任せられる人物として買っていた。そんな彼と共に北区の見回りをしていたジーンだったが、ウォーブラーが昼食を買いに行って一人になった際に、警察から逃げてきた怪しい男たちを遠目に見つけてしまう。なんとはなしに彼らを見つめていたジーンだったが、それに気がついた男たちは自分たちの話を聞かれたと勘違いし、怒気を帯びた面持ちでジーンに詰め寄って来る。勘違いであることを説明しようとするジーンの前で、彼らはクーデターの話を聞かれたと叫ぶのだった。しばらくしてウォーブラーが戻って来ると、そこにジーンの姿はなかった。ウォーブラーは思わず、その場でジーンが二度と姿を現さないでくれるなら結構と悪態をついてしまう。

第4巻

ACCA本部長のモーブに依頼されていた内偵をうまくこなすことができず、冷たい言葉をかけられたジーン・オータスは、友人のニーノと共に痛飲して朝を迎えていた。新年を間近に控えて浮き足立つ街並みの中、ACCA本局にある監察課も新年のパーティーに向けての相談が交わされていた。そんな中、ジーンが管理するマンションで振る舞い酒があることを聞きつけた課員たちの提案と、ジーンの妹であるロッタ・オータスの快諾もあり、監察課の新年パーティーはジーン兄妹の管理するマンションで行われることとなった。盛大に行われる新年パーティーとは対照的に、故郷であるコロレー区へ帰省していたモーブはせまり来るACCA設立後100周年を前に、自らが行動すべき必要性を感じていた。明くる年、モーブは早速コロレー区の支部長だった時代からの部下たちに招集をかける。そして、腹心である彼らを使って、モーブは本格的にクーデターの調査へと動き出すのだった。

第5巻

自分がドーワー王国の王家に関係があることをモーブから知らされたジーン・オータスは、自分の知らないあいだにどうしてクーデターの橋渡し役にされていたのかをようやく理解する。しかし、どういう経緯で王国と関係があるのかを知らないジーンは、その事情を聞くために高校時代からの友人で、ACCAの内務調査課の覆面局員でもあるニーノのもとを訪れる。彼から語られたのは、かつてドーワー王国に存在した第2王女のシュネーがたどった数奇な運命の物語だった。そして、ジーンとニーノに関する真実も明らかになってくる。

第6巻

自身の出生の秘密を聞いたジーン・オータスは、自分がACCA存続のため、その廃止を唱えるシュヴァーン王子の対抗馬として祭り上げられたことを知る。数々の思惑が行き交う中、ジーンは監察課の仕事としてプラネッタ区の視察に訪れていた。酷暑の砂漠に取り囲まれ、人々の多くが地下で暮らすその区は、貧しいながらも新たなる地下資源の発掘という夢を区民全員で目指す力強い場所だった。区長のアルテアと二人きりになった際、ジーンはプラネッタ区がクーデターにかかわるつもりはなかったと告げられる。しかし、地下資源が見つかった時にACCAという秩序がなかったらどうなるのかを、監察課の駐在員であるロクステッラから問われたというアルテアは、区民の夢が本物となった時のため、ACCAの存続を望んでいると告げられる。

スピンオフ・外伝

漫画

本作『ACCA13区監察課』のスピンオフ作品として、オノ・ナツメの漫画『ACCA13区監察課 P.S.』と『BADON』の2作品がある。『ACCA13区監察課 P.S.』は『ACCA13区監察課』に登場した5長官の一人であるスペードが、長官になるまでの物語が描かれている。『BADON』はヤッカラ区の前科者四人が首都、バードンで「高級煙草屋」を起業するストーリーとなっている。

また、外伝作品として『ACCA13区監察課 外伝 ポーラとミシェル』がある。内容は『ACCA13区監察課』に登場した5長官の一人であるパインと、その親友でありライバルでもある「レイモンド・マホガニー」の互いの娘たちを主人公に描いた物語で、コミックス描き下ろしの作品となっている。いずれもスクウェア・エニックスより刊行。

メディアミックス

TVアニメ

2017年1月、TOKYO MX、サンテレビなどでテレビアニメ版を放送。制作はマッドマックス。ジーン・オータス役を下野紘、ニーノ役を津田健次郎、ロッタ・オータス役を悠木碧が演じている。

OVA

2020年3月27日に、本作『ACCA13区監察課』のOVA版『ACCA13区監察課 Regards』が発売された。テレビアニメ版『ACCA13区監察課』の最終話から1年後の後日談をオリジナルストーリーで描いた内容で、制作はテレビアニメ版と同じくマッドハウスが務めた。ジーン・オータスを下野紘、ニーノを津田健次郎が演じるなど、配役もTVアニメ版に準じたものとなっている。また、発売前の2020年2月14日からは一部の劇場での先行上映会も開催された。

舞台

2017年11月3日から、本作『ACCA13区監察課』の舞台『ACCA13区監察課』が、品川プリンスホテル・クラブeXで講演された。制作はネルケプランニングが務め、ジーン・オータスを荒木宏文、ニーノを岡山晴己が演じている。

朗読音楽劇

テレビアニメ作品をもとに構成された二つの朗読音楽劇が過去に開催されている。2017年8月6日に東京、なかのZERO大ホールで初演が開催された『『ACCA13区監察課』-Piece of Mind-』はテレビアニメ版12話を再構成しつつ、オリジナルの要素としてスピンオフ作品『ACCA13区監察課 P.S.』の内容を合間に加えた構成となっている。もう一方の音楽朗読劇である『ACCA13区監察課 Regards』は同じタイトルのOVA版と相互に補完し合う内容として構築された、本編終了から1年後を舞台としたストーリーとなっている。本来は2019年10月12日、13日に開催する予定だったが台風により公演が中止され、安全を確保したうえで出演者とスタッフのみのよる映像収録が行われた。収録内容は2020年3月27日にBlu-ray & DVDとして販売されている。その後、中止となった公演は『ACCA13区監察課 Regards,』のタイトルで再演が決定され、2020年11月8日にスタッフと出演者を再結集して舞浜アンフィシアターで開催された。双方の朗読音楽劇はジーン・オータスを下野紘、ニーノを津田健次郎が務めるなど、テレビアニメ版のキャストに準じた声優が担当している。

登場人物・キャラクター

ジーン・オータス (じーんおーたす)

ACCA本部監察課、副課長の男性。痩せ型で背が高く、金髪でもみあげを刈り上げてツーブロックにし、サイドの髪の毛を耳にかけている。両親は、13年前にペシ区とロックス区の区間で起こった列車事故に巻き込まれて亡くなっている。現在は妹のロッタ・オータスと2人で、バードン区にあるセレブマンションで、住み込みの管理人をしながら生活している。 「もらいタバコのジーン」の異名をとるヘビースモーカー。ACCAの名称のもととなった「アッカ」という鳥がデザインされたライターを愛用している。端麗な容姿と飄々とした性格から、ACCA内では特に目立つ存在で、人気もある。しかし、「組織きっての食えない男」と陰口を叩く者も、少なからず存在する。 好物はあずきの入った食パンとグラタントーストで、苦手な食べ物は生魚。

ニーノ

ジーン・オータスの友人の男性。痩せ型で背が高く、青い髪で前髪が長い。黒いタートルネックのシャツにジーパンを着用することが多く、黒縁のサングラスをかけている。ニーノの父親が13年前に、ペシ区とロックス区の区間で起こった列車事故に巻き込まれて他界しており、それからは1人で生活をしている。ジーンとは高校時代の同級生。 人を寄せ付けず、クラスメイトたちから浮いていた変わり者同士でお互いに気が合い、現在も良好な関係を築いている。ジーンの妹のロッタ・オータスとも親しく、一緒に買い物に出かけたり、食事をしたりと、家族ぐるみの付き合いをしている。好きな食べ物はチョコレートで、趣味はバイクを走らせること。表向きはフリーの記者をしていることになっているが、実はACCAの内務調査課の覆面局員「クロウ」。 グロッシュラー長官からの指令で、ジーンの行動を監視し続けている。

ロッタ・オータス (ろったおーたす)

ジーン・オータスの妹で学生。小柄で、金髪の長い髪を後頭部で1つに束ねていることが多い。ワンピースを主に着用し、ベレー帽をかぶることもある。両親は13年前にペシ区とロックス区の区間で起こった列車事故に巻き込まれて他界している。現在は兄のジーンと2人で、バードン区にあるセレブマンションで、住み込みの管理人をしながら生活している。 ジーンにはACCAの監察課の仕事があるため、管理人としての業務は主にロッタ・オータスが行っている。学校帰りには、決まって自宅近辺のカフェで甘いものを食べて帰っている。料理が得意で、小麦粉を使ったパンやケーキなどが好物。好きな食パンは、くるみの入った食パン。

ポチャード

ACCA副本部長。黒髪だが頭頂部に毛髪がなく、鼻の下にひげを蓄えた、小柄ながら恰幅のいい男性。独身で、非番の日はドーナツ屋やパン屋に足を運び、自宅に持ち帰って食べるのが楽しみの1つ。好物は茹でたあずきをたっぷりのせたトースト。オペラ鑑賞が趣味。

オウル

ACCA本部監察課で課長を務める男性。ジーン・オータスの上司にあたる。長い金髪を左右均等に中分けにしていて、鼻の下にひげを蓄えている。背が高くスマートな体型。ポチャードに自身の働く監察課の廃止を通告された。自身は、平和なこのご時世に監察課があり続ける必要性はないだろうと考えており、廃止の通告を予測をしていた。 極度に乗り物酔いしやすい体質で、車を運転することも、乗車することも苦手。

スペード

ACCA5長官の1人。前髪を中分けにした短髪のロマンスグレーで、人を威嚇するようなギロッとした鋭い眼光を持つ男性。5長官の中では最も年配で、5長官を取りまとめて指揮を執る役割を担っている。ヤッカラ区の出身ということもあって賭け事が大好きで、ギャンブルと結びつけるような言動をよくする。

パスティス

ACCA5長官の1人。金髪の長髪を後頭部で1つに束ね、上唇の上にひげを生やした、背が高く目の細い男性。スイツ区出身者で、中央議会スイツ区代表のブールとは交流があり、親しい間柄。監察課のジーン・オータスが国内を視察で回り、各地の要人とたやすく近づける環境にある現状を快く思っていない。貴族出身で、伯爵位を持つ。

グロッシュラー

ACCA5長官の1人。白髪の長髪を中分けにした、背が高く目の細い男性。5長官の中では一番謎が多い人物。寡黙でミステリアスな雰囲気を持ち、周囲からは色々な意味で一目置かれている。ロックス区の出身で、長官になる前はロックス区の支部長を務めていた。ACCA監察課のジーン・オータスが国内の各地を視察に回るようになったのを機に、ACCAの内務調査課の覆面局員として、ジーンの行動を監視するよう、ニーノに命令する。

リーリウム

ACCA5長官の1人。上部に縁のない四角い眼鏡をかけた、黒髪で小麦色の肌の男性。フラワウ区出身で、兄がフワワウ区長、弟がACCAのフラワウ支部長を務めている。同じ5長官のグロッシュラーがクーデターに関わっているのではないかと疑っており、その真相を突き止めるためにジーン・オータスに協力を求める。同じ5長官のパインとは仲が良く、彼に教えてもらったジュモーク区にある「バスウッド」という名のファーストフード店は、それ以来ずっとお気に入りの店。

パイン

ACCA5長官の1人。四角く細長い眼鏡をかけ、緑色の短髪をオールバックにして顎ひげを生やした男性。出身がジュモーク区のため、非常に背が高い。同じ5長官のリーリウムとは仲が良く、2人で食事をするなど、よく行動をともにしている。5長官の中では比較的若く、明るく親しみやすい性格の持ち主。パインの地元であるジュモーク区へ配属になったモミに、「バスウッド」という名のジュモーク区にある、美味しいファーストフード店を教えてあげた。

エイダー

ACCA監察課の女性。小柄で赤茶色の長い髪をしており、目が大きく、ACCAから支給された制服を着用している。ファーマス支部の駐在員でリーダーを務めている。明るくい性格で、地元職員と仲が良く、信頼も厚い。仲間意識を強く持っており、そのため、ジーン・オータスが視察に来た際も部下が地元職員と癒着をしていないかと疑う彼に対して、部下をかばい続けた。 ジーンがファーマス区を視察している間、行動をともにする。

ノット

ACCA監察課に所属する男性。黒髪の短髪で、眉毛が若干垂れ下がっている。既婚者だったが妻に逃げられてしまい、現在は3人の子供とともに暮らしている。穏やかで優しい性格なうえ子煩悩。お土産を持って帰ったり、子供たちに本を読んであげたり、休日にはピクニックに行ったり、料理を一緒に作ったりと、プライベートでは家族サービスに余念がない。 そのため、妻に逃げられた理由は、同僚局員たちの間でも大きな謎の1つとされている。

レイル

ACCAバードン支部で働く、警察局の新入り男性巡査。ブロンド色の髪を肩まで伸ばして中分けにしている。本部勤めのエリート連中に対して嫌悪感を抱いており、特に、目立つ風貌で高価なタバコをこれ見よがしに吸っている、監察課のジーン・オータスを目の敵にしている。

モーブ

ACCA本部長の女性。両耳にピアスを付け、ウェーブした長い黒髪の女性。コロレー区の出身者で、ACCAのコロレー支部長を務めていたこともある。厳格にして真面目な性格で、彼女が本部長になってからは、ACCAの組織内が大いに引き締まった。5長官の下で組織を取りまとめる役割を担っており、ACCAの人間のすべてを把握している。 国内にクーデターを起こそうとしている連中がいるという噂を入手し、グロッシュラー長官にその報告をした後、ドーワー王国国内を視察して回っているジーン・オータスに、クーデターの情報収集をするよう協力を求める。

グルス

ACCA監察課の男性。四角いノンフレームの眼鏡をかけ、ロマンスグレーの短髪の前髪を上げてぴっちりと横分けにしている。バードン支部の駐在員でリーダーを務めている。監察課のジーン・オータスが急遽視察に来ることが決まった際には、大慌てでジーンを出迎える準備をした。ジーンとは支部の食堂で一緒に昼食をとったり、移動の際の車の運転も請け負ったりするなど、バードン区での視察中、行動をともにする。

コルリ

ACCA監察課の男性。小柄で短髪、クリッとつぶらな黒い瞳をした男性。ジュモーク支部の駐在員でリーダーを務めている。ジュモークでは、背の高い人々に合わせて車や家具などが作られているため、一般の平均から見ても小柄なコルリには住みやすい環境ではなく、少なからず苦労をしている。しかし、温厚で優しい性格のため、周りにはそういった素振りを見せることはない。 自身の身長を考慮して、別の区へ異動できるように尽力してくれているジーン・オータスに対し、感謝の気持ちを抱いている。ジーンがジュモーク区を視察している間、行動をともにする。

モミ

ACCAジュモーク支部の局員。縮れたくせ毛で、背が高く痩せ型の男性。支部リーダーのコルリのもと、監察課のジーン・オータスが視察に訪れた際には、車の運転手を務めて行動をともにした。5長官のパインと交流があり、ジーンが昼食をするお店を選ぶ際には、以前からジュモーク区の出身でもあるパインから勧められていた「バスウッド」という名のファーストフード店に入店した。 ジーンがコルリ区を視察する間、行動をともにする。

シュヴァーン

ドーワー王国の王子。金髪で、前髪を中分けにしている。ファルケ2世の孫にあたり、国内では唯一の王位継承権を持つ。ACCAを毛嫌いしており、王位を継承した暁には、真っ先にACCAを解体したいと考えている。その他にも中央議会を永久に閉会させた後に王室主導の政治を行い、最終的には枢機院を復権させようと目論む。 調子が良く軽い性格で、王宮では彼に対して良いイメージを持っている者は少ない。

マギー

ドーワー王国の近衛兵。水色の髪を中分けにした男性。無口で寡黙な性格だが、近衛兵の中でも特に有能な人材と見なされており、年若いにも関わらずシュヴァーンの身辺の護衛を担当している。シュヴァーンの命を受け、ロッタ・オータスの素性を探っている。

ファルケ2世 (ふぁるけにせい)

ドーワー王国の現国王。白髪で、前髪が後退しており、鼻の下にひげを生やしている。時折眼鏡をかけることもある。ドーワー王国が建立してから第3代目の国王にあたり、今年で99歳になる。近日行われる式典で退位を発表し、シュヴァーンに王位を譲位するのではないかと噂されている。以前は愛煙家だったが、今は禁煙している。お菓子が好物で、ケーキや果物に目がない。

クヴァルム

ドーワー王国の枢機院長。背の高い男性で、ロマンスグレーの髪をオールバックにし、もみあげから顎にかけてひげを生やしている。ファルケ2世から全幅の信頼を寄せられており、式典の式辞の作成、料理の手配をはじめ、さまざまな執務を行う。かつて愛煙家だった国王の健康を危惧し、ドーワー区内を全面禁煙にするなどの措置をとったこともある。 国王の側に付き従いながら、クーデターを起こそうと企んでいる一味の1人ではないか、と疑われているジーン・オータスの行動を注視している。

ウォーブラー

ACCA監察課の男性。もみあげから顎にかけて無精ひげを生やし、短髪で背が高い。スイツ支部の駐在員でリーダーを務めている。地元民との折り合いが難しいとされているスイツ区で、支部のリーダーを4年間も務めていられるのは、彼の真面目で仕事熱心な性格と人柄に、地元の人間が好印象を持っているから。また、ACCAの監察課においても、彼の人柄と仕事能力は高く評価されている。 ジーン・オータスからは、本部に戻って自分の後継になって欲しいと言われている。ジーンがスイツ区を視察している間、行動をともにする。

ビスキュイ

ACCAスイツ支部の局員。黒い髪をオールバックにし、襟足付近の髪を伸ばしてはねさせている男性。規律や風紀を重んじる生真面目な性格。監察課のジーン・オータスが視察に来た際には、ジーンの行動を制限し、本部の人間らしい振る舞いと行動をするようにと注意する。区内を視察中のジーンを、盗聴の疑いで区民が捕まえた際には、ビスキュイが呼び出され、ジーンに対して尋問を行った。

ブール

中央議会スイツ区代表議員。中分けにした髪形で、ダブルのスーツを着用した男性。同じスイツ区出身である5長官のパスティスとは交流があり、親しい間柄。平民の身から政治家になった人物で、男爵の地位を手に入れ、スイツ区の代表に選ばれるほどに区民から期待を寄せられていた。しかし、その後は手のひらを返したかのように、バードン区に家を購入して家族を呼び寄せ、故郷のスイツ区には一度も戻って来ていない。 これを受け、区民からはブールを解任させようとの声が高まってきている。

ダンリン

ACCAビッラ支部の駐在員。茶髪で、カールした短髪の、頬にそばかすがある男性。制服の上からダウンジャケットを羽織り、首にボーダー柄のマフラーを巻いている。ビッラ支部のリーダーで、駐在員として派遣されたのは、ここで4か所目となる。明るく素直な性格で、監察課のジーン・オータスが視察にやって来た際に快く歓迎し、防寒服やマフラー、手袋を手配した。 ジーンをレストランに連れて行き、美味しいビッラ料理でもてなした。ジーンがビッラ区を視察している間、行動をともにする。

サンドパイパー

ACCAロックス支部の駐在員。長い髪を後頭部で1つに束ね、背が高く痩せ型の瞳が大きい男性。気分屋で調子がよく、周囲からは軽く見られがちだが、実はACCAの入局試験をトップで通過した頭脳明晰な逸材。ちなみに、髪を伸ばし始めたのは、ロックス支部のリーダーを務めるようになってからで、区民の影響を受けてのもの。 ジーンがロックス区を視察している間、行動をともにする。

パルス

ACCA監察課の男性。坊主頭で、目が細い。ハレ支部の駐在員でリーダーを務めている。監察課のジーン・オータスが視察にやって来た際に、レイニーが開いたジーンの歓迎会に同席した。体格が良く、大柄な体型をしているが、温和で物腰が柔らかく、押しに弱い性格をしている。ジーンがハレ区を視察している間、行動をともにする。

レイニー

ACCAハレ支部の支部長。白髪で、頭頂部が禿げ上がっている男性。普段から陽気で明るい性格。監察課のジーン・オータスが視察にやって来た際には、ジーンの歓迎会を行い、その陽気さにさらに拍車がかかっていた。ジーンにハレ区の地元料理を沢山振る舞い、酒を注いでもてなしながら、ファルケ2世の式典の話や、ジーンが視察で回ったさまざまな区の話をして盛り上がる。

エグレット

ACCA監察課の男性。髪をオールバックにしている。ドーワー支部の駐在員でリーダーを務めている。真面目でまめな性格で、監察課のジーン・オータスが視察にやって来た際は、部屋にこもってデスクワークを行うジーンにお茶を準備したり、書状を届けに行ったりと、さまざまな雑務を行い、ジーンの仕事が円滑に捗るように手伝う。 ジーンがドーワー区を視察している間、行動をともにする。

モーント

ドーワー王国の近衛隊の隊長。マギーの上司。軽くウェーブした髪を左に流した男性。真面目で責任感が強く、王家に対して絶大なる忠誠心を注いでいる。枢機院長のクヴァルムからの信頼も厚く、国王であるファルケ2世の外出時の警護を任される。

グリーズ

ACCAコロレー支部の支部長。長い黒髪を後頭部でまとめてお団子にし、キリッと整えた眉毛に長いまつ毛を持つ女性。監察課のジーン・オータスに敬意を表し、彼が視察にやって来た際には、ジーンの体調を気遣い、接待は極力少なくし、身体に溜まった疲れを癒すようにスケジュールを管理するなど、女性らしい気遣いを見せる。

ラルース

ACCA監察課の男性。短髪で、コロレー支部の駐在員を務めている。監察課のジーン・オータスが視察にやって来た際に、お茶を出したり、車の手配をしたりといった雑務を行う。優秀な女性が多いコロレー支部で、男性ながらにリーダーを続けているだけあって、非常に高い能力の持ち主。支部の局員たちにも認められている。 ジーンも、彼の仕事ぶりには非常に満足している。ジーンがコロレー区を視察している間、行動をともにする。

アーベント

ドーワー王国の近衛兵。白髪の長髪を中分けにした男性。シュネーの身辺の警護を担当している。ドーワー家から除籍されることになったシュネーを連れ、バードンへ向かうよう、枢機院長のクヴァルムから命令を受けた。その後、シュネーがバードンへ向かうためにペシ区から乗る船に同席した。無事にバートンへ到着した後も、シュネーの庶民としての生活を陰ながら見守り続け、定期的にファルケ2世に報告をしていた。

シュネー

ドーワー王国の第2王女。小柄な体型で、長い金色の髪をしている。才気煥発な女性で、コロレー区への短期留学後に国のさまざまなことに対する興味を抱いた。持ち前の強い好奇心から、日頃は哲学書や政治思想論の本に親しみ、町に出ては革新派の若者たちとの交流を深めていた。しかし、その積極的な姿勢が将来的に王家に影を落とす要因となるのではないかと危惧されるようになる。だが、その才能を惜しむ国王のファルケ2世の心中を慮(おもんぱか)り、枢機院長のクヴァルムがドーワー王家から彼女を除籍する計画を立案した。ペシ区での外遊の最中、船舶の事故を装い死亡を偽装するという計画は、シュネー本人の同意もあって実行に移される。以後は一介の庶民として首都・バードンで生活していた際に、パン屋で出会った青年と恋に落ち、二人の子供をもうけた。

ニーノの父親 (にーののちちおや)

ニーノの父親。青い髪をしていて、ワイシャツと黒いベスト、五分丈のズボンを着用し、黒いブーツを履いている。アーベントのことを「旦那様」と呼び、彼の家で身の回りの世話をしていた。アーベントがシュネーとともに船でバードンへと向かう際に、息子のニーノを連れて同行した。その後、アーベントから、シュネーの庶民としての生活を陰ながら見守り続ける役目を任され、定期的にファルケ2世に報告していた。 しかし、13年前にペシ区とロックス区の区間で起こった列車事故に巻き込まれ、死亡してしまう。

パッサー

ACCA監察課の女性。ほっそりと痩せた体型で、パーマをかけた長髪を後頭部でまとめている。ペシ支部の駐在員でリーダーを務めている。明るく前向きな性格。ペシ区が海に面した土地であるため、趣味の魚釣りを思い存分楽しめると大変喜んでおり、常に釣具を身につけて行動している。ジーン・オータスがペシ区を視察している間、行動をともにする。

ヘリング

ペシ区の区長。短髪で、口の周りと顎に無精ひげを生やし、黒いダブルのコートを着た男性。監察課のジーン・オータスが視察にやって来た際に、支部長のクラムとともに会談の場を設ける。ペシ区が過去に王族の人間を不幸にした土地であるがゆえに、これ以上区のイメージを損うのを恐れている。その結果、13年前にペシ区とロックス区の区間で起こった列車事故の際、責任を負うことを拒んだ前区長に代わって謝罪をする。

クラム

ACCAペシ支部の支部長。口の上にひげを生やした禿頭の男性。監察課のジーン・オータスが視察にやって来た際に、ペシ区の区長ヘリングが、13年前にペシ区とロックス区の区間で起こった列車事故の際、責任を負うことを拒んだ前区長の代わって謝罪した会談の場に、同席した。

ファルコ

ACCA監察課の男性。背が高く、髪をオールバックにしている。ヤッカラ支部の駐在員でリーダーを務めており、ヤッカラ区の区民性にすっかり染まって、賭け事が大好き。監察課のジーン・オータスが視察にやって来た際には、コインで視察するルートを決めたり、トランプで行く場所を決めたりするほど土地の色に染まっていた。 彼自身も自覚しつつも、むしろ染まっていくことを喜んでいる。ジーンがヤッカラ区を視察している間、行動をともにする。

バカラ

ヤッカラ区長の男性。黒髪で、額がやや後退しており、口の周りにひげを生やしている。ヤッカラ区に長年住んでいることもあり、根っからのギャンブル好き。監察課のジーン・オータスが視察にやって来た際に、支部長のキノとともに会談の場を設け、トランプのポーカーをしようと持ち掛ける。ゲームを始める前に、ヤッカラ区で作られた逸品のタバコを、ジーンにプレゼントした。

キノ

ACCAヤッカラ区の支部長。黒髪で、口の周りともみあげから顎にかけてひげを生やしている男性。監察課のジーン・オータスが視察にやって来た際に、区長のバカラとともに会談の場を設け、ジーンにトランプのポーカーをしようと持ち掛ける。

ロクステッラ

ACCA監察課の女性。黒髪の短髪で、姿勢が良く、キリッと引き締まった顔つきをしている。プラネッタ支部の駐在員でリーダーを務めている。監察課のジーン・オータスが視察にやって来た際には、プラネッタ区に辿り着くまでの道中の大変さを労うような心配りもできる、真面目で素直な性格の持ち主。その性格ゆえに、区の予算の大半をはたいて行っている地下資源の掘削事業で資源を掘り当てたら、戦争が起こってしまうのではないかと心配。 区長のアルテアに相談している。ジーンがプラネッタ区を視察している間、行動をともにする。

ポールスター

ACCAプラネッタ支部長。黒髪の短髪で、眼鏡をかけている男性。温和な性格で、監察課のジーン・オータスが視察にやって来た際には、プラネッタ区に辿り着くまでの道中の大変さを労う。ドーワー王国の式典への参加についての返事をジーンに手渡す。

アルテア

プラネッタ区の区長。白髪で、メガネをかけた男性。区の予算の大半を地下資源の掘削事業に充てているため財政難が続いており、住民だけでなくACCAの局員たちにまで厳しい生活環境を強いてしまっている。そのため、周囲の区から蔑みの目を向けられてもおかしくない状況を作ってしまった。それを、区の指導者として恥ずかしく感じている。 クーデターが成功しても失敗しても、プラネッタの住民の生活は変わらないと考えており、クーデターには関わらないことを決めていた。しかし、ACCAプラネッタ支部駐在員のリーダー、ロクステッラから、地下資源の掘削事業で資源を掘り当てたら、各区の力関係のバランスが崩れて戦争が起こってしまうのではないか、という話を聞き、考えを改める。

カナリー

ACCA監察課の男性。黒髪で、襟足と耳の周りを刈り上げ、ツーブロックにしている。タレ目でいつも笑顔を絶やさず、和やかな表情をしている。温和で人当たりの良い性格もあって、同性だけでなく女性からの人気も高い。フラワウ支部の駐在員でリーダーを務めている。ジーン・オータスからは、各区のリーダーの中でも飛びぬけて気がまわり、優秀な人物と評価されている。 しかし、フラワウ区に配属されてからは、支部からの細かい指示通りに動かなければならないため、肌身離さずメモ帳を携帯し、大事なことはすぐにメモを取れるようにしている。課長のオウルが決めている次の任地先の候補には、ヤッカラ区が挙がっている。ジーンがフラワウ区を視察している間、行動をともにする。

集団・組織

ACCA (あっか)

ドーワー王国の巨大な統一組織。国内にある警察局、消防局、医療局などが名を連ねる。局員には平民が多いが、上層部は貴族で占められている。首都のバードンの市庁広場に本部を構え、国内の全13区それぞれに支部を設けており、本部が取りまとめを行っている。名前の由来は、結成年に絶滅した平和のシンボルの鳥から名付けられている。 局員に支給されている制服の左腕にパッチワークされているエンブレムにも、鳥のデザインが施されている。

監察課 (かんさつか)

ACCA内にある部署。主人公のジーン・オータスが局員として勤務している。各支部に本部局員を駐在させたうえで、不定期に上役が視察に廻り、各支部の日々の業務を監視。区内に問題や事件がないか、内部で不正をしていないかなどを調査する役割を担っている。駐在員は、リーダーと副リーダーを各支部に2人ずつ配置。さらに東西南北に署を設け、そこでもリーダーと副リーダーを配置している。 駐在員は、毎日決まった時間に、担当支部で起きた事件のデータを、専用回路で本部へ送信することが義務づけられている。地元局員との癒着を防止するために、基本的には2年に1回、担当地区の異動が行われている。

中央議会 (ちゅうおうぎかい)

ドーワー王国の国費を配分するために結成された議会。ACCAとは切り離されて接点はない。ドーワー枢機院の独自統括下にあり、各区の特性を尊重しつつ、より良い国づくりを進めるために作られた集まり。しかし、近年では政治的部分が強くなってきており、各区の力関係のバランスも崩れ始めている。

場所

ドーワー王国 (どーわーおうこく)

地方自治制の布(し)かれた王国。国内は13の区に分かれており、それぞれの地区が独自の文化を持っていて、気候も様々。国名の通り、王族によって支配され、国の地形図を見ると、鳥のような形をしている。近年、交通整備が進み、その結果、国内の空、陸、海における無事故記録が2年目を迎えた。毎年、国王の誕生日には盛大なセレモニーが開催され、各地でお祭りが催される。 また、当日は国王が住んでいる城内の一部が開放され、国民も中に入ることができる。

バードン

ドーワー王国内にある13区の中の1つ。ドーワー王国の首都。バードン市庁広場にはACCAの本部ビルがある。本部の制服が黒いのに対し、支部の制服は都会的な白い制服。色以外のデザインはほぼ同じであるが、警察局の局員はロングブーツを着用している。試験の難易度に反して、実はACCA本部の給料よりもバードン支部の給料の方が高く、ACCA七不思議の1つ。 支部の社員食堂が美味しい、と局員の中では評判。

ファーマス

ドーワー王国内にある13区の中の1つ。13区一の農産区で、広大な土地を有しており、国内の農産物の約9割を担っている。収穫期には支部局員も収穫を手伝う。その時には制服を着用せず、動きやすい服装で参加をする。土地が豊かで物価が安く、収穫される野菜はどれも取れたてで美味しい。他の地区に比べて暮らしやすく、犯罪の派生率も13区の中で一番少ない。

ジュモーク

ドーワー王国内にある13区の中の1つ。平均身長が非常に高く、2メートル15センチもある。農産物も他の地区と比べて約2.5倍ほど大きく、料理も一品一品が大きく、味も逸品。特に、人気店の「バスウッド」にハマり、駐在する間に太ってしまう局員が後を絶たないほど。監察課の中でも視察出張に行きたがる局員が多く、とても人気がある地区。

ドーワー

ドーワー王国内にある13区の中の1つ。王室のある要所の地区で、他の地区に比べて最も近代化が進んでいる。過去に枢機院長のクヴァルムが、愛煙家だったファルケ2世の健康を心配して、区内の全面禁煙という大胆な政策を行ったため、国内唯一の禁煙区でもある。近年観光地化されたため、自由に出入国ができるようになった。 王家のお膝元ということもあり、美意識の高い住民が多い。この地区の任地をしている駐在員も、身だしなみに気を遣っている。

スイツ

ドーワー王国内にある13区の中の1つ。昔から貴族が仕切っていた地区。伝統と格式を大事にしており、他の地区に比べて出入国の出入りが厳しい。その影響で、区外の人間は食事の場所まで指定されてしまうほど。それは駐在する局員たちも例に漏れず、視察にやって来た監察課のジーン・オータスも、その気風を息苦しく感じていた。 支部の制服にも貴族の雰囲気が色濃く反映されており、細部にわたった装飾に拘りが見られる。

ビッラ

ドーワー王国内にある13区の中の1つ。13区の中で一番寒い地区で、ほぼ一年中雪が降っているため、区民は皆防寒服に身を包んでいる。建物内の暖房は、すべて暖炉だけでまかなっている。決して豊かな土地ではないが、自区で補える物で生活しながら、適度に他の地区とも物流を行っているため、行政がとても上手く回っている。ビッラ支部の制服は完全防寒着で、ACCAの文字が入ったマフラーと帽子は、偽物が出回るほど、区民に人気が高い。

ロックス

ドーワー王国内にある13区の中の1つ。グロッシュラーの故郷で、岩肌の出た荒々しい町並みが特徴的な地区。区民の男性の殆どが長髪で、スレンダーな体型をしている。ロックス支部の駐在員を務めているサンドパイパーも、区民の男性たちの髪型に感化され、髪を長髪にした。区民は皆、布をまとったような民族衣裳に身を包んでおり、衣服には装飾が多く施されている。 ACCAから支給されている制服にも、先祖代々の民族衣裳がそのまま反映されている。13年前に起きたペシ区とロックス区の区間の列車事故では、ペシ区との争いを避け、事故のすべての責任を負った。

ハレ

ドーワー王国内にある13区の中の1つ。気候が温暖で、13区の中で一番の長寿の地区。区民は健康的で、高齢者も他の地区に比べて非常に多い。陽気で明るい区民性から、ACCAでも高齢の人々が半袖、短パンで元気に働いている。また、高齢者が多いため、約100年前に起こったクーデターを経験した人々も、まだ多く存在している地区でもある。

コロレー

ドーワー王国内にある13区の中の1つ。ACCA本部長のモーブの出身区。古くて趣のあるハイセンスな建物が多く立ち並ぶ。能力主義社会で、スタイリッシュで優秀な女性が多い。支給されている制服も、女性局員のために、それぞれ身体のラインに合わせて仕立てられている。チョコレートが美味しいことでも有名な地区。

ペシ

ドーワー王国内にある13区の中の1つ。海に囲まれ、沢山の島が点在する地区。過去に事故のあった港には、第2王女の像が建てられており、ペシの海を見守っている。港でも簡単に魚が釣れるため、釣りの道具を持って歩く支部局員の姿が、よく目撃されている。ACCAから支給されている制服も、セーラーカラーが採用されている。

ヤッカラ

ドーワー王国内にある13区の中の1つ。ACCA監察課の駐在員たちの中で、異動したい地区のナンバー1に上がるほど人気の地区。5長官のスペードの出身区でもある。ギャンブルなどで一攫千金を狙うために、夢を追い求めてこの地区にやって来る男性が多い。支部局員は、つばの広い帽子をかぶり、カウボーイのような制服を着用している。

プラネッタ

ドーワー王国内にある13区の中の一つ。区のほとんどが広大な砂漠で覆われており、住民たちのほとんどは地下に形成された街で生活をしている。また、プラネッタ区の領土の中に内包する形でヤッカラ区も存在している。地上のほとんどが砂漠であるため、ペットボトル1本を惜しむほど、水が貴重なものとなっている。長年にわたって地下資源の採掘に区の予算の大部分を割いているが、未だに資源の発掘にいたっておらず、慢性的な財政難を抱えている。そのため、ACCAの制服も支給されずに駐在員たちは私服にワッペンを縫い付けて制服の代わりとしている。地下生活を余儀なくされることから、区民の生活に制限を強いる区としてスイツ区との比較対象に挙げられる。しかし、行政による制限が課されるも財政に問題のないスイツ区とは異なり、区自体が貧しいプラネッタ区では行政の方針に従わなければ生きていけない。そのため、地下資源を採掘するために区の予算を費やすという方針に反対する区民はそもそもこの区で生活しておらず、空を自由に眺められないことを除いて、区民はそれほど苦に思っていないという違いがある。また、地下資源という夢を追う姿勢からギャンブルに夢を馳せるヤッカラとの比較もされるが、区民を挙げて地下資源を追いかけるプラネッタ区民の方が、よほど賭け事師なのではないかともいわれている。

フラワウ

ドーワー王国内にある13区の中の1つ。プラネッタとは対照的に地下資源に恵まれ、沢山の花々が育ち、美しい景観が広がっている地区。地元の住民たちも、他の区に比べて朗らかで優雅な雰囲気を持つ人が多い。区民が着ている伝統衣装を、ACCAの制服としてそのまま取り入れている。制服は、真っ白いロングワンピースのようなデザインになっていて、一目見ただけでは、ACCAの局員と地元住民の区別がつかない。 それは、地元住民たちの自身の地区への誇りの高さの現れだ、といわれている。

ムギマキ

バードン区の西の区域にある食パン屋。扉の上の看板には、アルファベットの大文字で「MUGIMAKI」と書かれている。クルミ、チーズ、五種のナッツ、チョコレート、あずき入りなど、さまざまな食パンを取り扱っており、カタログを作れてしまうほど種類が豊富。ミリ単位で食パンを切り売りしてもらうことも可能。ジーン・オータスやロッタ・オータスだけでなく、ACCAの局員や上層部の人間も、頻繁に利用することが多い。 地域の人々に非常に人気の高い店。

その他キーワード

支部 (しぶ)

ドーワー王国国内にある13区それぞれに、ACCAが配置している出張機関。支部には、それぞれ支部長が配置されている。業務内容に応じて、支部が管理をする部署が設けられており、その中の1つである監察課には、本部の局員が配属される。

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