概要・あらすじ
羅生豪介はヨーロッパに渡って15年。社会の裏表を知り、時に危険な職業にも手を出しながら各地を渡り歩く。ある日、殺人事件の渦中で、自分が買った売春婦マレッタ・クレージュの保証人となり、共に暮らすことになってしまう。
登場人物・キャラクター
羅生 豪介 (らもう ごうすけ)
もみあげが長く口髭を生やした男性。登場時は33歳。主にヨーロッパを渡り歩いて15年になり、裏表の事情に通じている。その知識と経験で、にわか添乗員から裏取引の仲介まで様々な職にありついている。モンブランの麓シャモニーのスキースクールで国家検定教師の免許を取得している。売春婦だったマレッタ・クレージュの保証人となり、一緒に暮らすようになる。
瀬川 京子 (せがわ きょうこ)
ややウェーブのかかった長髪の女性。ツアーの一員としてパリにやってきた。単独行動が多く、旅券を置いたまま道に迷うなど添乗員の羅生豪介を悩ませる。婚約者を探しているという。
峰 恵子 (みね けいこ)
左目の下に泣きぼくろがあるストレートヘアの女性。瀬川京子の親友。峰恵子の婚約者・片岡を追ってパリに向かい、そのまま滞在している。羅生豪介は娼館で彼女に似た女性の写真を見つける。
ヴォロキーチン
頭頂部が禿げあがった恰幅の良いロシア人男性。ソビエト連邦政府の高官。女子体操選手達を熱心に支援している。娘ジェーニャは心臓に持病がある。羅生豪介とマレッタ・クレージュは、調査のためフランス人の体操教師と体操選手と偽って彼に近づく。
片岡 (かたおか)
痩せて肩まで髪の伸びた眼鏡の男性。瀬川京子の婚約者。画家を志し、4年待てと瀬川京子に告げてパリに渡った。彼を追って瀬川京子の親友峰恵子がパリに行って以来、音信不通となる。
長田 友二 (ながた ゆうじ)
七三分けで眼鏡をかけた男性。千代田物産パリ支社勤務。シャモニーに羅生豪介を呼び出す。シャモニーの大氷河コースで夫の遺体を探す落合七恵を守るよう依頼する。
落合 七恵 (おちあい ななえ)
セミロングの髪の女性。夫は長田友二の友人でスキーメーカーの開発部の研究員だったが、4年前シャモニーの大氷河コースで行方不明になる。以来、クレパスを回っては遺体を探している。
イングリッド・パシノバ
短い黒髪のチェコスロバキア人女性。チェコスロバキアが独自の路線を歩むことを目指すブレンショーの秘書を務め、密命を帯びて羅生豪介に仕事を依頼する。
高田 賢士 (たかだけんじ)
20代前半の日本人男性。夫婦でイギリスに滞在し、古物バイヤーをしている。組織に属さず一人で仕事をし、走り回って利ザヤを稼いでいる。若いが経験豊富で交渉術に長けている。羅生豪介は仕事で知り合い、同じ一匹狼として好感を持つ。
マレッタ・クレージュ
セミロングの髪の少女。登場時は13歳。ブルゴーニュ生まれで2年前にパリに流れたという。女衒のジャン・ベネットの元で売春婦をしていた。保証人となった羅生豪介の元で暮らすことになる。奔放だが、時々子供のように羅生豪介に甘える。本来は非常に頭が良く、のちに寄宿舎のある学校に入り、優秀な成績をおさめる。 時には羅生豪介の片腕のような働きもする。
タヌウィン・シド
短い巻き毛の黒髪のアラブ人男性。アラブのアルシャム王国の皇太子。国王である父親との折り合いが悪く、国を離れパリに滞在していた。マレッタ・クレージュに高価な本を買い与えてから知り合いになる。
パルマ―
比較的小柄だが貫録のあるフランス人の中年男性。URI通信の局長。羅生豪介の書いたルポルタージュを読み、その腕を買ってライターとして雇う。
ジョホール・ダンカン
背が高く、いつもパイプやタバコをふかしている男性。URI通信の記者。「閃光(フラッシュ)ダンカン」の異名を持つ。百戦錬磨の記者らしく度胸があり、戦地で銃弾が飛び交う中でも平然としている。
鈴木 富貴子 (すずき ふきこ)
黒髪の女性。父は衆議院議員の鈴木宏太郎。祖母がパリで羅生豪介とマレッタ・クレージュに助けられたのが縁で二人と知り合う。父鈴木宏太郎が設立した日仏学生会館の理事としてパリに向かう。ソルボンヌ大学に留学した経験がある。