あらすじ
牛乳びんのこども
りえちゃんが夏の暑い日に牛乳びんを開けると、中から小さな牛乳びんのこどもが出て来た。牛乳びんのこどもは昼間は洋服ダンスや押し入れに隠れていて、夜出て来たり、夕方に走り回っていたりしている。
ぼくがはじめておぼれたひ
お母さんと妹と一緒に海に来ていたぼくは、生まれて初めて海で溺れてしまった。だけど、ぼくを自慢したいおばあちゃんのことを思い出し、こんなところで死ぬわけにはいかないと、海の底を歩いて、岸に上がろうと頑張る。
ご挨拶
生まれたての赤ん坊のおれは、生まれて来たことが嬉しいし、周りの大人が喜んでいるのも嬉しいと思っている。生きているのがすごく楽しいし、このまま色んなことを覚えていくだろうと思っている。おれは生まれたことを世界中に挨拶する。谷川俊太郎の詩作品をもとに絵を描いて漫画の構成にした作品。
女の子ものがたり にゅうにゅうさん
なっちゃんが1人で退屈していると「にゅうにゅうさん」が現れた。にゅうにゅうさんは時々やって来て、なっちゃんの体の中に入って来る。なっちゃんはにゅうにゅうさんに嫌われないようにと、いい子にする。
どこから
お母さんは息子と娘と一緒の時間が大好きだった。「子供はどこから来るのだろう」と疑問に思う息子と娘に、お母さんは、頭の中に空豆のイメージが沢山降って来て、その中に子供が入っていたという話をして聞かせる。
ぴにゃりくん
性格の悪い謎の生き物であるぴにゃりくんは、いつも子供を狙っている。そして隙を見て子供たちの中に入り、乗っ取ろうと企んでいる。しかしひどい言葉には弱いので、子供たちはぴにゃりくんにひどい言葉を浴びせて攻撃する。
お観音さん
りえちゃんが6歳まで育った高知県の漁港である浦戸の裏山には、観音様が祀られていた。りえちゃんが古い家の中でいつも不思議な声を聞いていることを話すと、おばあちゃんが観音さまのところにりえちゃんを連れて行くことになった。
神さまはどこだ
「神様はどこだ」といつも思っている私は、旅を続けていた。高い山に登ったり、貧しくて低い場所に行ったりもするが見つからず、どこにいるだろうと探し続けている。
ひとコマ りえちゃん
小さな女の子のりえちゃんの元気で楽しい毎日を、1コマで切り取ったお話。
登場人物・キャラクター
りえちゃん
エピソード「牛乳びんのこども」「お観音さん」「ひとコマ りえちゃん」に登場する。小さな女の子。エピソード「牛乳びんのこども」で牛乳びんのこどもと出会ったり、エピソード「お観音さん」で不思議な声を聞いたりと、変わった出来事を体験することが多い。エピソード「ひとコマ りえちゃん」では、いつも明るく元気に友達と変なことをしたり、変な格好をしたりしている。
ぼく
エピソード「ぼくがはじめておぼれたひ」に登場する。小さな男の子で、お母さんと妹と一緒に海に来て、溺れた。しかし、女手一つで男の子5人を育て上げたおばあちゃんの自慢の孫になるためにもここで死ぬわけにいかないと、なんとか岸を目指す。
おれ
エピソード「ご挨拶」に登場する。生まれたばかりの人間の赤ん坊だが、母親は杉の木で父親はアザラシ。目ではなくへそでものを見る。周りの大人たちがおれが生まれたことを嬉しいと言っているのを理解しており、おれもそのことを嬉しいと感じている。生まれたばかりにもかかわらず、おっぱいを知っていることを不思議に思っている。
なっちゃん
エピソード「女の子ものがたり にゅうにゅうさん」に登場する。小さな女の子で、茶色のふんわりした髪の毛を肩より少し短くしている。時々「にゅうにゅうさん」という不思議な存在を身近に感じている。みさちゃんのお人形を羨ましいと思っている。
お母さん(ひっつめ) (おかあさん)
エピソード「どこから」「ぴにゃりくん」に登場する。かっぽう着に手ぬぐい、ひっつめ髪にかんざしを挿した母さんスタイル。仕事は忙しいが、学校から帰って来た息子と娘と一緒に仕事場にいる時間が好き。作者である西原理恵子がモデル。
私 (わたし)
エピソード「神さまはどこだ」に登場する。神様はどこにいるのかといつも考えている女性。神様を探しに高い山に登ったり、低い場所に行ったりもするが、未だに見つけられないでいる。作者である西原理恵子の若い頃がモデル。
牛乳びんのこども (ぎゅうにゅうびんのこども)
エピソード「牛乳びんのこども」に登場する。りえちゃんが開けた牛乳びんから出て来た小さな子供。まだ赤ちゃんで、昼間は洋服ダンスに隠れたり、夕方走り回ったりする。しかし、間違えて出て来てしまったことに気づき、りえちゃんに水を撒いてくれと頼む。
おばあちゃん
エピソード「ぼくがはじめておぼれたひ」に登場する。ぼくの祖母で、女手一つで魚屋をやって男の子5人を育て、そのうちの1人を大学までやったのが自慢。孫のぼくに慕われている。
お母さん (おかあさん)
エピソード「ぼくがはじめておぼれたひ」に登場。ぼくの母親。茶色の長い髪を後ろで1つに束ねている。ぼくが溺れたことに気づかず、浜辺で妹と砂山を一緒に作って遊んでいた。
妹 (いもうと)
エピソード「ぼくがはじめておぼれたひ」に登場する。ぼくの妹。肩までの髪を切りそろえていて、リボンの付いた帽子をかぶっている。ぼくが溺れたことに気づかず、浜辺でお母さんと砂山を一緒に作って遊んでいた。
にゅうにゅうさん
エピソード「女の子ものがたり にゅうにゅうさん」に登場する。透明でぐにゃぐにゃしている不思議な存在。時々現れてはなっちゃんの体の中に入るが、風の強い日はなっちゃんの体の中から押し出されて外に出てしまう。なっちゃんには、乱暴なことをしたり、わがままを言ったり甘えたことをするといなくなってしまうと思われている。
みさちゃん
エピソード「女の子ものがたり にゅうにゅうさん」に登場する。黒いおかっぱ頭の小さな女の子。どうしても欲しいお人形があり、店の前でしつこく泣き叫んで買ってもらった。なっちゃんにもこのお人形を羨ましがられている。
おじいちゃん
エピソード「女の子ものがたり にゅうにゅうさん」に登場する。なっちゃんの母方の祖父で、禿げていて作業着を着ており、いつも魚と機械油の臭いがする。なっちゃんのことがとても好きで、なっちゃんが遊びに来る日はバス停で必ず待っている。
息子 (むすこ)
エピソード「どこから」「ぴにゃりくん」に登場する。お母さん(ひっつめ)の息子の小さな男の子。坊主頭に丸顔で、勉強が嫌い。離乳食はラーメンだった。オムツがなかなか取れなかったのは、当時住んでいたマンションの毛足の長い絨毯をお母さんが汚したくなかったため、なかなかオムツを卒業させなかったから。
娘 (むすめ)
エピソード「どこから」「ぴにゃりくん」に登場する。お母さん(ひっつめ)の娘の小さな女の子。黒いお下げ髪で、いつもにこにこしている。離乳食はハムだった。なかなか歩けるようにならなかったが、その理由は抱っこしたらニコニコ笑うので、お母さんが嬉しくて2年間抱きっぱなしでいたせいだった。
ぴにゃりくん
エピソード「ぴにゃりくん」に登場する。丸くて黄色く、2本の足とヒレのようなものがついている謎の生き物。いつも子供たちを狙っている血に飢えたけだもので、隙を見せると子供の中に入って悪いことをする。ひどい言葉に弱い。
場所
浦戸 (うらど)
エピソード「お観音さん」に登場する。高知県の小さな漁港。りえちゃんが6歳まで育った場所で、老人と子供ばかり住んでいる。裏の山に火の神様として知られるありがたい観音様があり、そのおかげで浦戸は一度も火事になったことがないといわれている。