あらすじ
ひがさ
日傘で遊ぶ子供は、赤い傘の影が地面や原っぱと混ざるのが楽しくて、色々な場所を歩き回っていた。彼女は、この綺麗な光景を教えたくなって、かあちゃんを呼ぶ。
特別な日
女の子は、いつだって一番可愛く、一番大切にされていた存在であった。だが、最近は男の子ばかりが大切にされて、プレゼントまでもらっている。女の子は、それがとても不満だった。
むかしのこと
私が小さかった頃、黒いこねこを拾った。それは私にとって生まれて初めての宝物だった。私はそのこねこに母親がいることに気づいたが、こねこを手放すことがどうしてもできなかった。
夕刊配達兄妹
小学5年生のお兄ちゃんが、夏休みの間、夕刊配達のアルバイトをすることになった。妹の私は有無を言わさず手伝わされることになる。
ずっとまえのこと
小学1年生の私は、勉強がまったくできずに、いつも学校に最後まで残され、家ではお母さんにたくさん叱られていた。だから私が大人になったら、できる子の気持ちはわからないけど、できない子の気持ちはわかる大人になろうと思っていた。
女の子ものがたり なみがでたの
新しい幼稚園にやって来たなつみは、そこの子供たちがみんな黒くて意地悪そうだと思った。でもおかあさんと約束したし、もうお姉さんなのだから泣かないようにと我慢する。しかしお弁当の時間に、涙が出て来てしまう。
女の子ものがたり はじめて拾った猫
工場のはずれの原っぱに捨てられていた猫を拾ったなつみは、初めてできた友達のみさちゃん、きいちゃんと猫を飼うことにした。しかし結局誰の家でも飼うことはできず、原っぱで子供たちだけで育てた猫は、長くは生きられなかった。
女の子ものがたり ずっと親友
なつみは、一人ぼっちの女の子がボトルに手紙を入れて海に流す、という内容の本を読んだ。本の中の女の子には返事が来て、返事をくれた相手と親友になったという。親友が欲しいなつみとみさちゃんときいちゃんも、ボトルに手紙を入れて海に流すことにした。
ちくろ幼稚園
幼稚園児のりえこと、それをとりまくおかあさん、おとうさん、りえこの兄の日常ストーリー4コマ漫画。りえこの家族はいつも彼女に振り回されているが、明るく元気なりえこのことが、みんな大好きなのだった。
制服のこと
おかあさんは新しい制服が似合うから着てみろと言うが、わたしはどうしても制服を着るのが嫌で、飼い犬のジョンと一緒に散歩にでかけることにした。
こどもの時間
大人になった私は、子供の頃はいじめられたし、勉強もできなかったから、学校も先生も大嫌いだった。だから漫画家となったら、自分が描く作品で、子供時代の自分を救ってやろうといつも考えている。
登場人物・キャラクター
日傘で遊ぶ子供 (ひがさであそぶこども)
エピソード「ひがさ」に登場する。大きな傘に隠れて半ズボンを穿いた足しか見えず、性別や顔かたちは不明。赤い日傘を差して、その影が原っぱや地面の色と混ざるのが楽しくて歩き回っている。かあちゃんに何度も話しかけ、一緒に遊んでいる。
女の子 (おんなのこ)
エピソード「特別な日」に登場する。西原理恵子の実の娘がモデルの小さな女の子。髪を2つに分けて頬くらいの高さで結んでいる。これまで一番可愛いがられ、一番大切にされていたのに、最近急に兄の男の子ばかりがちやほやされるようになり、面白くないと感じている。
私 (わたし)
エピソード「むかしのこと」「夕刊配達兄妹」「ずっとまえのこと」に登場する。西原理恵子の子供時代がモデルの小さな女の子。小学1年生時代から勉強がまったくできず、授業中でも、黒板には謎の言葉が書いてあるとしか思えなかった。そのため常にお母さんに怒られていて、それが高校3年生まで続いた。できる子の気持ちは理解できないが、できない子の気持ちは理解できるので、できない子をできないまま育てようと考えている。
なつみ
エピソード「女の子ものがたり なみだがでたの」「女の子ものがたり はじめてひろった猫」「女の子ものがたり ずっと親友」に登場する。西原理恵子の子供時代をモデルにしたと思われる小さな女の子。髪型はふんわりとした茶色で、目も優しく、おとなしめの風貌。引っ込み思案で、初めて転入した幼稚園になじめずに悲しくなってしまう。 慣れてからはみさちゃん、きいちゃんとよく一緒に遊んでいる。
りえこ
エピソード「ちくろ幼稚園」に登場する。黒髪でおかっぱの幼稚園児で、明るく可愛い女の子。おかあさんとおとうさんとりえこの兄の4人家族。家族に愛されて幸せだが、食い意地が張っており、屋台をずっと眺めていることがある。また意外にずる賢いところがあり、ぬいぐるみをわざと隠して、おとうさんに新しいぬいぐるみを買ってもらおうとする。
わたし
エピソード「制服のこと」に登場する。肩より少し長いふんわりした髪型の女の子。新しい制服が届くが、みんなと同じ服を着るのを嫌がっている。大好きな飼い犬が他の犬と同じ姿だったら悲しいし、何より同じ服装をしていたら、おかあさんにも見つけてもらえないと考え、制服を着るのをやめようと決意する。
大人になった私 (おとなになったわたし)
エピソード「こどもの時間」に登場する。現在の西原理恵子をモデルにしており、かっぽう着を着用して、お団子頭に赤いかんざしを挿している。小さな頃にあった色々な嫌なことをしっかり覚えており、大人になった今、自分の描く漫画の中で、可哀想な過去の自分を助けようと考えている。
かあちゃん
エピソード「ひがさ」に登場する。ふんわりとした長い髪をしており、少し頬にしわがある中年女性。いつもにこにこしていて、愛情深く子供に優しく接している。日傘で遊ぶ子供と一緒に原っぱを歩き回る。
男の子 (おとこのこ)
エピソード「特別な日」に登場する。女の子の少し年上の兄で、坊主頭の男の子。この春に小学校に入学するので、家族中からちやほやされ、プレゼントもたくさんもらっている。
お兄ちゃん (おにいちゃん)
エピソード「夕刊配達兄妹」に登場する。私の2歳年上の兄。パンチパーマのような髪型で目つきが悪い。小学5年生の夏休みに、夕刊の新聞配達のアルバイトをすることにし、有無を言わせず妹の私にも手伝わせる。自分は自転車に乗って配達するが、身分が低い妹には自分の足で配達させる。
先生 (せんせい)
エピソード「ずっとまえのこと」に登場する。私の小学校1年時の先生。白髪で肩に近い長髪をした壮年の男性教諭。いつもにこにこと笑みを絶やさず授業をしているが、授業後は決まって「できた人から帰っていいです」と言う。その時残るのはいつも決まった3人で、嘘つきで嫌われ者の女の子、大声を出して石を投げる男の子、そして私だった。
こねこ
エピソード「むかしのこと」に登場する。小さな黒い子猫。私が拾って秘密で飼っていたが、実は母猫がいて、狂ったようにこの子供の猫を呼んでいた。私が母猫を無視し、こねこを手放さなかったので、こねこは日に日に弱り、死んでしまう。
みさちゃん
エピソード「女の子ものがたり なみだがでたの」「女の子ものがたり はじめてひろった猫」「女の子ものがたり ずっと親友」に登場する。なつみときいちゃんの友達で、同年代の女の子。短いおかっぱ頭に黒目の大きな顔をしている。団地に住んでいて、世界一怖そうな母親と小さな弟がいる。家にはエッチなポスターがたくさん貼ってあり、きいちゃんには、父親がすけべな人なんだと言われている。
きいちゃん
エピソード「女の子ものがたり なみだがでたの」「女の子ものがたり はじめてひろった猫」「女の子ものがたり ずっと親友」に登場する。なつみとみさちゃんの友達で、同年代の女の子。かなりの短髪で、目は小さく釣り上がっている。いつも汚くみすぼらしい服装を着ており、周囲の人にも敬遠されがち。藪の中の大きな家に住んでいるが、中は汚く、半分はゴミで埋め尽くされている。 あまり汚いので、近所では遊びに行ってはいけない家と言われている。みさちゃんは靴下が汚れるからと土足で上がった。
猫 (ねこ)
エピソード「女の子ものがたり はじめてひろった猫」に登場する。工場のはずれの原っぱに捨てられていた、黒い小さな子猫。かろうじて目は開いているものの、健康状態はあまりよくない。なつみときいちゃんとみさちゃんに見つかって拾われた。箱に入れて隠されていたが、拾ってから3日後に死んでしまう。
おかあさん
エピソード「ちくろ幼稚園」に登場する。りえこの母親。真ん中で分けたふんわりした髪の長い中年の女性。りえこをとても可愛がっている。りえこがぬいぐるみを隠し、なくなったと嘘をついて、おとうさんに新しいぬいぐるみを買わせようとしていることに気づく。
おとうさん
エピソード「ちくろ幼稚園」に登場する。りえこの父親で、少し太ったハゲの中年男性。りえこをとても可愛がっており、すぐに何でも買い与えてしまう優しい性格。うっかり、お父さんの方がりえこより先に死んでしまうと口にして、りえこを泣かせてしまう。
りえこの兄 (りえこのあに)
エピソード「ちくろ幼稚園」に登場する。りえこの兄で、パンチパーマをかけたような髪型をしている。淡々とした雰囲気ながら、りえこが風邪をひいた時などは、心配して様子をうかがう優しい性格。