覆面の羊

覆面の羊

とある病院の地下にある施設では、客の求めに応じて、人間のクローンが密かに作られていた。そこではクローンの秘密をバラしたり、ルールを破った者は、実行部隊によって速やかに処理される。そんな施設で育ち、外に出たことのない謎の覆面美女、美月と共に、不審死事件の真相を探るべく地下施設の調査を続ける情報屋の榊を中心に展開していくクライムサスペンス。「WEBコミックガンマ」で配信の作品。

正式名称
覆面の羊
ふりがな
ふくめんのひつじ
作者
ジャンル
サスペンス
関連商品
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あらすじ

第1巻

暗い表情をした青年の加藤壮輔が、暗い地下施設内を進み、怪しい覆面をかぶった女、美月の面接を受ける。そこは、禁断のクローン技術を使って、客の要求に応じて複製人間を作る施設だった。加藤は、亡くした最愛の恋人、の複製を依頼し、楓の毛髪から作り出された楓のクローンである幼女を手に入れる。一方、3年前に施設で知り合った女性モデルのクローンを手に入れた野村は、施設のルールを破ってクローン女性に成長促進剤を過剰摂取させ、女性を変死させてしまう。施設の秘密保持のため、ルールを破った者は捕らえられ、記憶を消去されて施設に監禁される。そのことを知っている野村は逃走するが、あっさり施設の実行部隊によって拉致されてしまう。そんな中、不審死事件の真相を追う情報屋のは、野村が拉致される状況を利用して、地下施設への潜入に成功する。一方、物心がついた時から施設で育ち、外へ出たことのない美月は、自分が何者であるのかを知りたがっていた。

第2巻

秘密裏に人間のクローンを作り出している地下施設に潜入したは、施設の人間にバレそうになるが、美月に助けられる。外の世界を知りたい美月は、自分を施設外に連れ出してくれるということを条件に、榊が施設から脱出するための手助けをする。その後も施設には、クローン人間を求めて新たな客が訪ねて来る。大手居酒屋チェーン「ダイコクグループ」の社長である大黒政輝が、会社の後継者にするために、自分のクローンの作成を依頼してきたのだ。大黒には大黒佑磨という一人息子がいるが、親の金で遊んでばかりいる佑磨に大黒は愛想を尽かせていた。自分のクローンである幼児を手に入れた大黒は、家族に秘密のマンションで家政婦を雇い、自分のクローンを育てる。しかし、妻に愛人を囲っていると勘違いされ、説明するために施設のルールを破って、妻だけに秘密を打ち明けようとする。だが、その行為はすぐに施設に察知され、大黒は実行部隊によって連れ去られてしまう。

登場人物・キャラクター

美月 (みづき)

物心ついた時からクローン施設で育った女性。年齢は20代だと思われるが詳細は不明で、施設から外に出たことは一度もない。名前以外は何も知らず、自分が何者なのかを知りたがっている。幼い頃から知っているヤマダにだけは心を許している。施設内で部外者に会う時は、必ずマスクを着用するようにとヤマダから言われており、防護マスクのような怪しいフルフェイスマスクと白衣を着用している。加藤壮輔からマスクについて尋ねられた時は、人様にお見せできるような顔ではないからと説明していたが、素顔はボブヘアの美女。施設では「接客」を担当しており、訪れた客に契約条件を読み上げて、施設のルールを説明する役目を担う。感情を表に出すことはなく、施設のルールを破った者から記憶を奪うような残酷な処置も、淡々とこなす。施設内の人間からは、「美月様」と呼ばれている。施設で複製されたクローン人間には、皮膚上に数字が刻印されて管理されているのだが、美月の背中にも「H-C 026175047」の刻印がされている。また、芸能人である桜井美幸の学生時代の容姿とそっくりである。

(さかき)

情報屋を生業としている男性。おかっぱ頭の暗い印象の青年で、両腕にトライバル系のタトゥーを入れている。母親との二人暮らしで、父親を幼い頃に亡くしている。母親が父親のことをいっさい教えてくれないため、自分で真相を探ろうとしているうちに、情報が金になることに気づいてハマっていき、裏社会に通じる情報屋となった。そんな時、刑事の川島が飲酒運転する車にはねられて、左目を失明した。左目には、小型カメラ付きの義眼を仕込んでおり、左目部分がサングラスになった丸眼鏡をかけて隠している。野村がクローン女性を死なせた変死事件の真相を追う中で地下施設に潜入し、そこで美月と出会っている。地下施設で人間のクローンが作られていることは知っており、再度潜入する方法を探っている。

ヤマダ

人間のクローンを作る地下施設で働く老齢の男性。白髪のオールバックで顎鬚を生やし、白衣を着用している。美月が幼い頃から知っており、美月が唯一心を許している存在でもある。

加藤 壮輔

死んだ恋人、楓のクローン作成を施設に依頼してきた青年。亡くなった楓の毛髪を施設に提供し、7か月後、その毛髪から複製された幼女を引き取った。成長促進薬を投与することでクローン人間の成長をうながすが、身体への負担が大きいため過剰な投与は施設から禁じられている。クローンの楓が加藤壮輔の年齢に追いつくのは8年後と美月から言われている。楓さえいればほかには何もいらないと語るほど彼女を愛しており、ひっそりと楓との生活を始める。

加藤壮輔の恋人の女性。ショートカットのかわいらしい顔立ちで、明るい性格をしている。24歳の時に亡くなったと思われるが、加藤が楓の毛髪をクローン施設に提供し、複製された。成長促進薬の投与によって7か月で6歳ほどまで成長し、加藤に引き取られる。抹茶のソフトクリームが好物。

野村

若手起業家の男性。年齢は28歳。3年前に地下施設を訪れ、知り合いの女性モデルのクローン作成を依頼した。引き取ったクローンを早く成人させたいために、施設のルールを破って成長促進薬を過剰摂取させ、3年で20代前半まで成長させた。その結果、クローン女性が成長に耐えきれず、皮膚が剝がれるように崩れ落ち、死亡した。施設のルールを破ったため逃走していたが、施設の実行部隊によって捕らわれる。

桜井 美幸

芸能プロダクション「ベルベット」に所属する看板女優の中年女性。美人だが、加齢による体調不良を感じており、永遠の若さを手に入れたいと考えている。ベルベットの社長とは会社設立前からの付き合いで、ずっと仲がいい。学生時代の容姿は、美月と瓜二つである。

ベルベットの社長 (べるべっとのしゃちょう)

芸能プロダクション「ベルベット」の社長を務める中年男性。暗く鋭い目つきをしている。会社の看板女優である桜井美幸とは、会社の設立前からの長い付き合い。美幸の学生時代の容姿が、美月と瓜二つであることについて何か知っている様子だが詳細は不明。

西

人間のクローンを作る地下施設で働く男性。オールバックの髪型に眼鏡をかけ、白衣を着用している。美月やヤマダのもとでチーフ的な役割を担っており、冷徹に職務をこなす。施設に潜入した榊の脱出に美月がからんでいると疑っている。

川島

刑事の中年男性。飲酒運転をしている時に榊を車ではねて、左目を失明させた。キャリアを守るため闇医者を使って榊を治療させ、口封じしている。それ以来、榊に弱みを握られているが、川島自身も榊を情報屋として利用している。榊に頼まれて、野村がクローン女性を死なせた変死事件の情報を提供した。

大黒 政輝

大手居酒屋チェーン「ダイコクグループ」の代表取締役を務める男性。年齢は47歳。長年かけて築いた会社の後継者とするため、大黒政輝自身のクローン作成を地下施設に依頼する。一人息子の大黒佑磨がいるが、親の金で遊び歩いている佑磨には見切りをつけており、20年後に政輝自身のクローンに会社を継がせようと考えている。

大黒 佑磨

金髪に顎鬚を生やしている若い男性。大黒政輝の息子で、親の金で酒を飲み、仲間と放蕩三昧の日々を送っている。仲間の彼女でさえ、金で買おうとするなど傲慢な性格で、仲間からも恨まれている。父親から見放され、ついに1000万円の手切れ金を渡され、縁を切られる。

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