あらすじ
黒衣の剣士との邂逅(第1巻)
シリカ、リズベット、リーファの三人は、VRMMO「アルヴヘイム・オンライン」に新しく追加されたクエスト「天使の指輪」の話題で盛り上がっていた。永遠の絆が手に入るというクエストにロマンを感じた三人は、クエストを協力して進行させて行くものの、そこでキリトにそっくりな、黒衣をまとった少年クロと出会う。実はクロのプレイヤーは女性で、かつSAO生還者でもあり、シリカやリズベットとは共通点が多かった。また、クロがキリトにあこがれを抱いて似た姿にした事もあり、四人はすぐに打ち解ける事となった。しかしクロにはソードアート・オンライン時代に心の深い部分に負った傷があり、それが理由で次第にシリカたちを遠ざけるようになる。同じくソードアート・オンライン時代を体験したシリカはそんなクロを放っておけず、一人で戦っていたクロに合流し、四人は協力して「天使の指輪」クエストをクリアする。クエストをクリアした四人は手に入れた指輪を交換し、新たな絆の誕生を喜んだ。そしてクロは過去と決別するため現在のアバターを封印し、ソードアート・オンライン時代のデータをもとにルクスという新たなキャラクターを作り、三人の冒険に合流する。
水着コンテスト(第2巻)
「天使の指輪」のクエストを無事にクリアし、新たな仲間も加えた一行はその最初の一歩目でつまづいていた。クエストで壊れた防具の修理を頼もうとしたものの、その修理費は100万ユルドと高額なもので四人は修理費を稼ぐための金策を余儀なくされたのだ。服飾職人アシュレイの勧めもあり賞金が100万ユルドの「水着コンテスト」に参加する事となった四人は太陽がさんさんと照りつける白い砂浜で水着アピールを始める。しかし成績は伸び悩み、期限は迫る一方。焦る一行であったが、そんな中、四人は迷子のNPCを見つけた事をきっかけとして「水着コンテスト」の裏ルールに気づく。「水着コンテスト」に隠された「夏の浜辺の姉妹」のクエストを見つけたシリカたちは、クエストを進めボスとの戦いに勝利する事でコンテストのポイントを大量に稼ぎ、一行は水着コンテストに優勝し賞金を手にするのであった。そして防具を無事に修理してもらった四人はあらためて新たなパーティーとしての第一歩を踏み出し始める。
暗躍する盗賊ギルド(第2巻~第3巻)
アルヴヘイム・オンラインで冒険の日々を過ごしながら、学生としての日常を過ごすシリカ、リズベット、リーファ、ルクスの四人。しかしそんな平和で充実した日常を過ごしていた四人はある日、無差別にPK行為を繰り返す集団「盗賊ギルド」の存在を噂で耳にする。盗賊の特徴からルクスはソードアート・オンライン時代の記憶を呼び起こし、かつての仲間がかかわっているのに気づく。そして実際に盗賊ギルドから仲間たちが襲われた事でルクスは苦い記憶に苛まれ、ついにゲームの引退を口にしてしまう。
しかし、盗賊ギルドに所属する少女グウェンによって引退してでも隠したい過去をシリカたちに暴露された事で、過去を隠す事が不可能になったルクスは遂に自分のソードアート・オンライン時代の過去を語り始める。ルクスは自分がSAO生還者なら知らぬものがいないほど悪名高いギルド「笑う棺桶」の元メンバーであり、諜報員として活動していた事を話す。脅されて不本意ながら加入したという経緯により、その活動内容はほとんどが小間使いのようなものだったが、ルクスは我が身可愛さに悪事の片棒を担いだ事に強い罪悪感を感じており、過去を消してしまいたいと涙を流す。過去の罪に苦しむルクスをシリカはそれでも受け入れると励まし、彼女たちは自分たちの間に結ばれた絆を再確認して、罪から逃げず立ち向かう決心を固める。
盗賊ギルド壊滅作戦(第4巻)
ギルド「邪な蝙蝠」の脅威はついに領主達にとっても看過できないものとなり、盗賊ギルドの討伐隊が組まれる事となった。シリカ、リズベット、リーファ、ルクスの四人は討伐隊に参加し、力を合わせてグウェンを止める事を決意する。しかし「邪な蝙蝠」のアジトに攻め入った一行を待ち受けていたのはトラップだった。仲間と分断されピンチに陥ったルクスはグウェンと対峙し、彼女の説得を重ねる。仲間との合流によって絆を再確認するルクス、逆に戦局が不利になるにつれ少しずつ不協和音を奏でる「邪な蝙蝠」。そしてついにグウェンの切り札がシリカの機転によって破られた事が決定打となり、「邪な蝙蝠」の構成員は逃げ出し、グウェンは見捨てられてたった一人になってしまう。そして自暴自棄になったグウェンはついに最後のトラップを起動してしまう。起動すれば敵味方関係なく目の前の存在に襲い掛かるモンスターを前に一行は再びピンチに陥ってしまう。自分を守りながら戦う四人を見てあざ笑うグウェンだったが、その感情は確かに変化していた。そしてグウェンが四人に対して行った援護が討伐隊の援軍であるキリトとシノンを到着させる時間稼ぎとなり、一行は危機を脱する事に成功する。
グウェンの決意(第4巻)
危機を脱した一行だったが、グウェンは頑なにルクスを拒絶し、去ってしまう。しかし咄嗟にルクスが送ったメッセージによって、二人はついに現実世界で顔を合わせる事となった。想いを吐露し、かつての隔たりを埋めた二人は「友達」として関係をやり直す事を約束する。その後、グウェンは盗賊ギルドの首魁として出頭し、自らの持つ金品を弁償として領主であるサクヤに渡した。最後にキャラクターを削除し、自らのしがらみをすべて清算したグウェンは、ルクスと初めて出会った際に使っていたソードアート・オンライン時代のデータをコンバートし、新しいグウェンとしてアルヴヘイム・オンラインの世界をルクスと共に冒険する事を決意した。
未知の冒険(第5巻)
リズベットの店でくつろいでいたシリカ、リズベット、リーファであるが、そこにルクスが奇妙な客ガーネットを連れて来る。ベテランの振りをしていたガーネットだが、すぐにリズベットに初心者だと見抜かれ恐縮してしまう。実はガーネットは友人にだまされてベテランの振りをしていただけであり、右も左も分からない初心者だった。ガーネットの境遇を不憫だと感じた一行は、初心者にゲームの楽しさを教えるため共にクエストに旅立つ。そして一行はクエストの途中、偶然、クエストに隠された未知の新ルートを見つけてしまう。ピンチに陥りながらも最後まで諦めず戦った事でガーネットはゲームの面白さを実感し、ルクスも初心者との触れ合いを通じて過去の傷を乗り越えるのに成功する。そして心機一転、アルヴヘイム・オンラインを楽しもうと思いを馳せているルクスだったが、そんな彼女の元に、かつての友人ロッサの姿をした亡霊が姿を現わす。
忍び寄る亡霊(第5巻)
友人のロッサに似た「亡霊」を見て以降、様子のおかしいルクス。そんなルクスの様子に気づいた一行は、彼女から事情を聞き、ガーネットと共に挑んだクエストに「亡霊」が関わっているのではないかと考え、新ルートから派生する新クエストに挑む事となった。グウェンの協力で情報屋のアルゴと接触した一行はクエストを進めるための情報と、SAO生還者の間で目撃例が増える「亡霊」の存在を耳にする。そしてアルゴの情報に従って「小人の靴屋」に向かった一行は、そこで予想もしない出来事に遭遇する。
登場人物・キャラクター
シリカ
アルヴヘイム・オンラインの世界を冒険するケットシーの少女。SAO生還者であり、ソードアート・オンラインで行われたデスゲームの最中にキリトに助けられて以降、彼に特別な想いを抱いている。ソードアート・オンライン時代は苦しい事もあったが、キリトをはじめとしてそこで知り合った人たちとの絆によって立ち直っており、今はソードアート・オンライン時のデータを使ってアルヴヘイム・オンラインの世界を仲間たちと共に冒険している。 現実世界での本名は「綾野珪子」といい、SAO生還者用の学校である「SAO帰還者学校」にリズベットと共に通っている年頃の少女である。現実世界では猫の「ピナ」、ゲーム中では小さい竜の「ピナ」を飼っており、珍しい竜を「使い魔」にしている事から「竜使いのシリカ」と呼ばれている。 短剣と支援魔法を使用した戦いを得意としているほか、観察力が鋭く、グウェンの使った魔法無効化のスキルの正体に真っ先に気づき対抗策を出したり、隠されたギミックを発見したりして活躍している。また彼女の使い魔のピナも味方の回復や援護を行う事ができる。なぜか触手型モンスターに襲われてはハプニングを引き起こすのに定評があり、仲間であるリズベットたちからはすでにお約束として見られている。
リズベット
アルヴヘイム・オンラインの世界を冒険するレプラコーンの少女。SAO生還者であり、ソードアート・オンラインでは名の知れた武器職人として活躍しており、キリトたちの武器の面倒を見ていた。キリトには特別な想いを抱いており、彼との絆があったからこそ今もアルヴヘイム・オンラインを遊んでいられるとリズベット自身は思っている。 アルヴヘイム・オンラインでも武器職人としての道を歩んでおり、ルクスが使っている剣はリズベットが作って贈ったものである。また武器以外にも楽器や盾なども作る事ができるが、服飾関係は別スキルが必要となるため衣装の修復はできない。武器の制作にはポリシーを持っており、友達にも自分の安売りはしないと自分の生産の腕に誇りを持っている。 このため服飾職人であるアシュレイには職人としてのシンパシーを感じていた。戦闘ではメイスと支援魔法を使って戦う。現実世界での本名は「篠崎里香」といい、SAO生還者用の学校である「SAO帰還者学校」にシリカと共に通っている年頃の少女である。
リーファ
アルヴヘイム・オンラインの世界を冒険するシルフの少女。キリトの妹で、彼を通じてシリカ、リズベットと知り合い、アルヴヘイム・オンラインで冒険をしている。周囲が家族、友人含めてSAO生還者だらけなためソードアート・オンラインの話題になると一人だけ話題に取り残されて疎外感を感じすねる事が多い。戦闘ではシルフならではの素早い動きと片手剣を使った戦いを得意とし、風の魔法を使った攻撃魔法も使える。 現実世界での本名は「桐ヶ谷直葉」といい、シリカたちと同年代の少女。シリカ、リズベットと通う学校は別なものの、小まめに連絡を取り合いよく顔を合わせている。兄であるキリトにはとてもよく懐いている。
ルクス
キリトそっくりのアバターを使う「クロ」という名のスプリガン族の少年剣士。シリカたちが「天使の指輪」クエストを遂行中に出会った。SAO生還者であり、ソードアート・オンラインの英雄キリトを様付けするほど強い憧憬を抱いている。キリトそっくりのアバターができたのは偶然だが、運命じみたものを感じ、装備や戦い方はキリトを真似たものを選んでいる。 その姿は、キリトと長い付き合いのあるシリカたちですら見間違えるほどである。実はアバターは少年の姿だがプレイヤーは女性であり、現実世界での本名は「柏坂ひより」で、シリカたちと同年代の少女である。ゲーム内では癖で男口調を使うが、現実世界では女性らしい口調でしゃべる。亡き友人ロッサとの約束を果たすため「天使の指輪」に挑み、シリカたちと出会った。 シリカたちと友情を育んだ事で過去を乗り越えた後はクロのアバターを封印し、ソードアート・オンライン時代のデータを使ってルクスと呼ばれる新たなシルフ族の少女型アバターのキャラクターを作り、以降はこちらのキャラクターを使ってシリカたちと交流を重ねている。ソードアート・オンライン時代はギルド「笑う棺桶」に強制的に「諜報員」として所属させられていたり、憔悴したところを助けてくれた友人ロッサを目の前で失っていたりと悲惨な過去を送ってる。 そのためゲーム内でも「死ぬ事」、目の前で仲間に「死なれる事」を極端に忌避する傾向があったが、仲間との交流を経て次第に過去と向き合って行く。 SAO生還者であるためシリカ、リズベットと同じ「SAO帰還者学校」に通っている。
シノン
アルヴヘイム・オンラインのプレイヤーであるケットシーの少女。弓を使った長距離の狙撃を得意とし、シノンも自身の狙撃による活躍を自慢している。ギルド「邪な蝙蝠」の討伐戦の際にはキリトと共に討伐隊の応援という形でシリカたちを援護し、その脱出を助けた。
キリト
ソードアート・オンラインのプレイヤーをデスゲームから解放した英雄。SAO生還者の中では二刀流をあやつる「黒の剣士」として半ば伝説的な存在であり、ルクスは彼の存在に強いあこがれを抱いている。現実世界では「桐ヶ谷和人」という少年で、リーファとは兄妹の関係にあたる。アルヴヘイム・オンラインではスプリガンの二刀流剣士として戦う。 ギルド「邪な蝙蝠」が事件を起こした際には、討伐隊の応援としてシノンと共に参加し、シリカたちを助けた。その際には助けたあと、本来の目的を忘れ盗賊ギルドの残したモンスターと戦闘不能になるまで戦うなど年相応にお調子者的な部分を見せ、周囲から呆れられている。
ロッサ
ソードアート・オンラインに参加していたルクスと同年代の少女。ルクスのソードアート・オンライン時代の友人だが、作中ではすでに故人となっている。お人好しでお節介な性格をしており、ソードアート・オンライン時代、ギルド「笑う棺桶」討伐戦のあと、心身を憔悴させ人間不信になっていたルクスに絆を象徴するといわれる「天使の指輪」を渡し元気づけた。 この時に次はルクスが「天使の指輪」を手に入れ、交換する約束をしたが、果たされる前にロッサはルクスをかばって死亡してしまっている。このとき交わした約束が元で、ルクスはシリカ、リズベット、リーファと出会っているため、新しく手に入れた天使の指輪をロッサを含めた五人の絆としている。 のちにSAO生還者による「亡霊」の目撃例が上がり始めた時期に、ルクスも自分に呼びかけるロッサそっくりの亡霊を目撃している。
アシュレイ
アルヴヘイム・オンラインで服飾職人を営むプレイヤー。女性の口調で話す青年でデザイナーなこともあり、とても個性的な雰囲気を漂わせている。SAO生還者でありリズベットと同じくソードアート・オンライン時代から生産職に並々ならぬ情熱を注いできた。そのためアルヴヘイム・オンラインでも滅多にいない裁縫スキルの「完全習得(コンプリート)」に到達しており、職人としての姿勢は「鍛冶」と「裁縫」と別々の分野ながらリズベットは共感するものが多いと感じている。 シリカたちが防具の修復に訪れた際には彼女たちの服への情熱を確かめるため、「水着コンテスト」への参加を勧めている。シリカたちの活躍を認めたあとは、彼女たちの服をただ修理するだけではなく改良したうえに、一人だけ初期装備だったルクスにもサービスで服を贈っている。
サクヤ
アルヴヘイム・オンラインに存在するシルフ領の領主。思慮深く、物腰も穏やかなシルフ族の美女だが、シルフ内では絶大な権力を誇るプレイヤーである。アリシャ・ルーやシリカたちはお茶飲み友達で、甘いお菓子とおしゃべりを楽しんでいる。ギルド「邪な蝙蝠」の活動が活発になったため対応を考えていたところ、逆に「邪な蝙蝠」の夜襲を受けて思わぬ被害を被ってしまう。 これは領主暗殺未遂事件としてプレイヤー間の噂話に広がり、「邪な蝙蝠」の討伐隊を結成して送り込む事態に発展した。なお、のちに首謀者であるグウェンの贖罪を受け入れた。
アリシャ・ルー (ありしゃるー)
アルヴヘイム・オンラインに存在するケットシー領の領主。陽気な雰囲気を持つケットシー族の美女で、サクヤとは友人関係である。ギルド「邪な蝙蝠」によるPVP事件に頭を悩ませるサクヤに協力して事に当たっており、討伐隊を結成する際にも大きな力添えをした。
グウェン
ギルド「邪な蝙蝠」の首領。忍刀と投げナイフを武器に戦う少女型のアバターを使うプレイヤー。SAO生還者で、ソードアート・オンライン時代はギルド「笑う棺桶」に自分のギルドを無理矢理接収され、「笑う棺桶」の下部組織として、人殺しはしていないもののPVPでの追い剥ぎ行為を繰り返していた。ルクスとは「笑う棺桶」の監視役と末端という形で交流を育んでいた。 抑圧した現実世界の反動から自分本位に生きる事を至上としており、アルヴヘイム・オンラインでも盗賊ギルドとしてPVP行為や初心者への扇動など問題行為を次々重ねた。特殊なスキルとアイテムを組み合わせて使う事で敵の魔法を無効化する戦術を得意とする。しかし魔法の無効化の際には決まったモーションを取る必要があり、シリカに技を見破られた後は、弱点をつかれ敗北した。 敗北によって「邪な蝙蝠」の仲間たちからも見捨てられ一時は自暴自棄に陥ったものの、ルクスの必死の説得によって心動かされ出頭した。迷惑行為を掛けたサクヤへ謝罪と弁償をしたあとは、現在のキャラクターデータを削除し、ソードアート・オンライン時代のデータを使った新しいグウェンを作成し、心機一転してアルヴヘイム・オンラインを楽しむ決意をしている。 現実世界での本名は「鶴咲芽衣美」といい、シリカやルクスと同年代の少女で、SAO生還者用の学校である「SAO帰還者学校」に通っている。
ガーネット
友人に誘われてアルヴヘイム・オンラインを始めた初心者プレイヤー。背が高く、露出の多い格好をした気の強そうな雰囲気を持つ女性のキャラクターを使い、初対面のリズベットにも高圧的な態度で武器を要求した。しかしこれは、ゲームに誘った友人が冗談で間違った知識を植え付けたせいで、地の性格は礼儀正しく良識のある人物である。 オンラインゲーム初心者だけあって技術も未熟で、配慮の足りない言動が目立つが、自分の悪い部分はすぐさま反省し、次につなげようとする素直な部分を持っている。一時期はゲームが合わないと思い辞めようとしていたが、シリカたちとの冒険でゲームの楽しさに気づき、友人たちとゲームを続ける決意をした。
アルゴ
グウェンがシリカたちに紹介した情報屋を営むプレイヤーの少女。一人称が「オイラ」で独特なイントネーションのしゃべり方をする。ソードアート・オンラインにも参加していたSAO生還者であり、キリトとは旧知の仲である。シリカたちもソードアート・オンライン時代に直接の面識はなかったものの情報屋アルゴの作った攻略本に大変世話になっていた。 「鼠のアルゴ」はソードアート・オンライン時代より名乗っているアルゴの二つ名であるが、アルヴヘイム・オンラインでは猫の特徴を持つ種族ケットシーを選んでキャラクターを作成している。アルヴヘイム・オンラインでも情報屋を営んでおり、シリカたちに表には出ない大手生産ギルド「小人の靴屋」の裏事情を教えた。 またSAO生還者が目撃する「亡霊」の正体を追っており、ルクスから「亡霊」の目撃情報を聞いたあとは、アルヴヘイム・オンラインで何かが起きているのを確信する。
グランゼ
アルヴヘイム・オンラインのレプラコーン領に存在する生産ギルド「小人の靴屋」に所属するプレイヤー。芝居がかった振る舞いをする美女で、そのあまりのなり切り振りに当初シリカたちはNPCかと思ったほどである。アイテムのレシピを求めて訪れたシリカたちに交渉をしかけ、新クエストの情報をだまし取ろうとするも失敗した。
集団・組織
邪な蝙蝠 (ばってぃばっと)
シルフの領内で不穏な動きをしている盗賊ギルド。首領はソードアート・オンライン時代、ギルド「笑う棺桶」の下部組織の一つをまとめていたグウェンである。グウェンの特殊なスキルによって敵の魔法を無効化しかく乱して倒す戦法を得意とし、討伐に向かったシルフの精鋭部隊を返り討ちにするほどの実力を誇る。初心者からベテランまで無差別にPKを繰り返し、領主であるサクヤの暗殺未遂事件まで発展した事でほかのプレイヤーにも悪影響が出始めていた。 グウェンの特殊性に重きを置いたギルドで仲間意識は薄いため、グウェンの戦法が敗れた時点で空中分解し、最後はグウェンがケジメとして自らのデータを削除したため完全に消滅した。
笑う棺桶 (らふぃんこふぃん)
ソードアート・オンライン時代、名を馳せた最凶最悪のギルド。「PoH(プー)」と呼ばれる男を頭目に、多くの構成員が集まりSAOの裏側で脅迫、追い剥ぎ、時には殺人と悪逆の限りを尽くし、ゲーム攻略を大きく妨害した。かなり規模の大きなギルドで、「笑う棺桶」の下部組織となるギルドも数多くあった。また狡猾な面もあり、自分たちの犯行がバレないように「諜報員」と呼ばれる人間を多数確保している。 ルクスも孤立無援の状態で脅迫されて無理矢理「諜報員」にされ、「笑う棺桶」の小間使いとしてこき使われていた。構成員は諜報員も含めて特徴的な入れ墨がアバターのどこかに刻まれている。最終的に有志のプレイヤーによる討伐隊が組まれ30人以上の死傷者を出して「笑う棺桶」は壊滅したが、ルクスやグウェンのように生き残った構成員がアルヴヘイム・オンラインに参加している。
その他キーワード
SAO生還者 (えすえーおーさばいばー)
ソードアート・オンラインで行われたデスゲーム終了時まで生き残り、ゲームから生還したプレイヤーたち。2年間、外界とは隔絶された世界にいたため、一部の修学が必要な者は専用の「SAO帰還者学校」に通っている。過酷な電子世界での経験は多くのSAO生還者の心に傷を残し、人生を狂わせたうえに、周囲からの好奇の視線もあり、今もなお苦しんでいるSAO生還者が存在する。 そのためSAO生還者には二度とゲームに触れたくないと考える者も多く、リズベットは人の縁に恵まれてまた新しくゲームを始めた自分たちの方が少数派ではないかと語っている。
ソードアート・オンライン (そーどあーとおんらいん)
世界初のVRMMORPG。正式名称の頭文字を取って「SAO」の略称で呼ばれる。開発者に乗っ取られてプレイヤーはゲームから脱出できないようにされ、ゲームの死が現実の死に直結するデスゲームとなってしまった。2年の月日をかけてキリトによって犯人が倒され、ゲームに囚われた人々は解放されたが、犠牲者も多く、生き残った人々にも多くの傷を残した。
アルヴヘイム・オンライン (あるゔへいむおんらいん)
ソードアート・オンラインのあとに作られたVRMMORPG。プレイヤーはサラマンダー、シルフ、スプリガン、ケットシー、インプ、プーカ、レプラコン、ウンディーネ、ノームの9種類の種族から選んでキャラクターを作り、剣と魔法の世界を冒険する。キャラクターのレベルは存在しないが、武器を扱うための熟練度が存在し、これを上げなければ強い武器を扱う事はできない。 またアクション性が強く、プレイヤーの反射神経や判断力が重要な要素となっている。運営はプレイヤー同士の戦いであるPVPを推奨しているため幅広い楽しみ方が存在するが、同時に悪質なPVPの横行にもつながっている。ソードアート・オンラインのデータを流用して作られているため、SAO生還者の持つソードアート・オンラインのキャラクターデータと互換性があり、SAO生還者はその気になればソードアート・オンラインのデータを使ってキャラクターを作る事ができる。 ただしソードアート・オンラインのデータを使った場合、デスゲームとなったソードアート・オンラインの仕様に引っ張られ、現実のプレイヤーに似た容姿となってしまう。
天使の指輪 (りんぐおぶえんじぇるうぃすぱー)
アルヴヘイム・オンラインに存在する同名のクエスト「天使の指輪」をクリアする事で手に入る魔法の指輪。ソードアート・オンライン時代にも存在しており、移植されてアルヴヘイム・オンラインに実装された。天使の指輪を交換した者同士で携帯電話のようにメッセージを届けたり、指輪にメッセージを録音して繰り返し再生する機能を内蔵しており、指輪を交換した者同士の永遠の絆を約束するといういわれがある。 ルクスにとってはソードアート・オンライン時代の亡き友人ロッサとの思い出が詰まったアイテムで、このアイテムを求める事がきっかけとなってシリカ、リズベット、リーファの三人と出会った。ルクスは天使の指輪を手に入れた際に、四人での指輪の交換を提案し、三人と出会わせてくれたロッサに感謝しつつ絆を確かめ合った。 以降、ロッサを含めた五人の絆を象徴するアイテムとなり、彼女たちの冒険を手助けしている。
クレジット
- キャラクター原案
-
abec
- 原作
-
川原 礫