誰が賢者を殺したか?

本作『誰が賢者を殺したか?』は、インターネット情報を個人が直接取得および知覚できるようになった、超情報化社会を舞台としている。人類はDNAのデバイス化に成功しており、パソコンやスマートフォンなどの外部デバイスを用いずに、あらゆるデジタルサービスを受ける事ができる。さらに感覚操作機能を用いる事で、電子情報で作成された五感に関連する拡張現実を、本物と遜色ないように認識する事も可能で、これはアーミッシュ以外のすべての人間に導入されている。

第1巻

ドイツ系移民の宗教集団であるアーミッシュが暮らすとある村で、レオナルド・ミッテランが転落死した。しめやかな葬儀が行われる中、レオナルドの一人娘であるノエル・ミッテランに許可を得ず、遺体を持ち去ろうとする集団が現れる。マルコ・ラファロから彼らがFBI捜査官である事を聞かされたノエルだったが、父親の遺体がなぜFBIの捜査に必要なのか疑問を抱く。そんなノエルに、マルコはかつて起こった未曾有のサイバーテロ、魔王事件や、それを収束へ導いた集団、一行についての話と、レオナルドがその一行の一員「賢者ダーゲンハイム」だと判明した事を知らせる。

第2巻

レオナルド・ミッテラン殺害の容疑者として検挙されながらも、ノエル・ミッテランと共に真犯人を見つけ出す事を約束した一行の一員「盗賊のゾロ」事溝呂木一馬が殺害された。さらに捜査を進めていたマルコ・ラファロと、ラルフに協力していた日本警察の刑事、藤村茂までもが毒殺され、ノエルは自分のやっている事がすべて裏目に出てしまう無力感に苛まれる。そんなノエルを励ましたのはマルコの後任としてやって来たレッド・モーガンだったが、彼はレオナルドや一馬を殺害した「継ぐ者たち」の一員だった。

第3巻

一行の一員「吟遊詩人オロロ」事尾路六花の呼びかけによって、一行メンバーが結集した。ノエル・ミッテランのためにも「継ぐ者たち」のボスとされる人物「まことの英雄」の正体を突き止めようと、総力を挙げての捜査が始まった。その結果、殺人を犯した実行犯が次々に割り出されていくが、その多くが事件後に自殺している事が判明する。また一行の「勇者アレン」事安永蓮以外のメンバーが、「継ぐ者たち」の一員である古東の謀略によって、不正アクセスの罪で逮捕されてしまう。