概要・あらすじ
1519年、マヤ テワカン族の少年キアウィトルはアステカ族の捕虜となり、黒い太陽神テスカトリポカの化身に選ばれる。アステカの別部族の奴隷ショチトルは彼の世話女として仕えることになった。キアウィトルとショチトルはたちまち恋に落ちる。テスカトリポカの化身は1年の間、国を上げてもてなされた後、生贄となる。
だが、その大祭を控えたアステカにコルテス率いるスペイン軍が襲来。征服されたアステカだが祭祀は継続した。そしてコルテスが都を離れていた間に開かれたテスカトリポカの祭りでキアウィトルは生贄となり、自分が風霊王だと気付く。彼は、本来のテスカトリポカである地霊王に翻弄されていたのだ。
ショチトルはとうもろこしの女神シロネンの化身に選ばれ、テスカトリポカの妻になるはずだった。が、祭壇の途中でキアウィトルがテスカトリポカでないことに気付いて生贄にならず、祭壇から転落死してしまう。ショチトルはアライアとして目覚め、風霊王との再会を誓うのだった。
その翌年、スペイン軍が再上陸し、1521年にアステカは滅亡した。
登場人物・キャラクター
キアウィトル
マヤ テワカン族の少年で、額に太陽を思わせるあざがある。そのため、テスカトリポカの化身に選ばれ、1年間の歓待を受ける。アステカの都テノチティトランに来たときに知り合ったショチトルが世話女となると、彼女と愛し合うようになる。1520年の大祭で生贄となって、風霊王の意識を取り戻す。 そこで対面したテスカトリポカの正体は地霊王であり、白い羽の蛇神ケツァルコアトルが風霊王だと知らされる。地霊王に地下界へと引き込まれそうになりながら、テスカトリポカの妻になるべく祭壇に向かうショチトルに呼びかけ、彼女が地霊王の妻になることを阻んだ。
ショチトル
アステカ族の奴隷娘。キアウィトルに惹かれ、世話女となったことで恋人関係になる。キアウィトルといつまでも一緒になれる女神になりたいと願っていた。その思いを利用され地霊王によってテスカトリポカの妻、若いとうもろこしの女神シロネンだと吹き込まれる。生贄の祭壇でテスカトリポカがキアウィトルでないことに気付いて生贄とならずに転落死。 そのときに、自分が風霊王を愛したアライアであったことを思い出し、再会を誓う。
地霊王 (ちれいおう)
太陽大神になるために風霊王を罠にかけた精霊王。黒き太陽神テスカトリポカでもあり、本来なら白い羽の蛇神のはずの風霊王が黒い太陽神として生贄になることを楽しんでいた。
マリンチェ
キアウィトルと同じマヤ テワカン族の娘。アステカ族に故郷を追われ、流れ流れてスペイン軍のコルテスの愛人となる。アステカ帝国の滅亡を強く願う。
フェルナンド・コルテス (ふぇるなんどこるてす)
スペインの新大陸第3次探検隊の指揮者。1519年4月にアステカ帝国の沿岸に上陸し、11月に都であるテノチティトランに入城した。アステカ帝国が隠していた黄金に気付き、入城から1週間後にモテクソーマ王を捕縛。半年後、スペイン軍の事情でテノチティトランを出た間に反乱が起き、留守部隊が全滅したため、急遽大軍を率いて反攻に出る。 だが、モテクソーマ王の弟、クイトラワクが新たな王となったアステカ帝国は強く、惨敗を喫してしまう。それでも、翌1521年4月から再戦を挑み、8月にようやくアステカ帝国を滅亡に追いこんだ。だが、こうした業績の全てはスペイン王室に奪われ、1547年に失意のうちに死去。 モデルは歴史上の実在の人物であるフェルナンド・コルテス。
場所
テノチティトラン
アステカ帝国の都で、テスココ湖の真ん中に浮かぶ巨大な都市。現在のメキシコシティー。毎月のように大きな祭祀が執り行われていた。