あらすじ
未来とひかりの出会い
前田未来は自らの免疫が体を攻撃する「膠原(こうげん)病」を発症し、夏休み中は入院して過ごすことになる。自身の将来への不安や生活の不自由さから、未来は同室の飛鳥にもつらく当たり、彼女から距離を置かれてしまう。そんな中、未来は自分とは別の病室内で、リフティングをしている大木ひかりを目撃する。常識のない行動と自分にはない健康な姿にいら立ちを覚えた未来は、すぐに看護師に言いつけに行く。その夜、ひかりが未来に嫌な思いをさせたと謝罪しにやって来たことで、二人は知り合いになる。そしてひかりは入院している祖母の見舞いのたびに、未来の病室を訪ねるようになる。そんな中、未来は病気の不安をひかりにだけは打ち明け、未来にとって彼は特別な存在になっていく。そして未来の退院日が近づく中、来年の夏はいっしょに打ち上げ花火を見ようと約束を交わす。
「健康な人」とのあいだに壁を感じる未来
前田未来は退院することとなり、ふつうの生活に戻る。しかし病気のため、以前よりも疲れやすくなっていたり、熱が出やすくなっていたりと、未来は「健康な人」と自分のあいだに壁を感じるようになる。だが、周囲に気を使われたくない思いから、未来は誰にも病気のことを打ち明けられずにいた。そんな中、未来は同じクラスの藤岡龍斗から、今度のサッカーの試合で勝ったら付き合ってほしいと告白される。未来は流れで龍斗の試合を見に行くと、対戦チームの中に大木ひかりがいることに気づく。試合終了後、未来はひかりのもとに駆け寄るが、彼は事故に遭って記憶の一部を失っていた。
未来とひかりの文通
大木ひかりは前田未来のことや、来年の夏に打ち上げ花火を見ようと約束していたことも事故の影響から忘れていた。そんなひかりの様子を見て、未来は文通しようと提案する。こうして二人は手紙で心を通わせながら、あらためてデートの約束を交わす。そんな中、未来はその日を楽しみにしていたが、当日高熱のために動けなくなり、ひかりとの約束を破ってしまう。こうして二人のあいだにすれ違いが起こってしまう。
登場人物・キャラクター
前田 未来 (まえだ みらい)
自らの免疫が体を攻撃する「膠原(こうげん)病」を発症し、治療を受けている女子小学生。父親とは小さな頃に死別しており、シングルマザーとして仕事に奮闘している母親と二人暮らしをしている。病気を発症したことで大好きなピアノを辞めたり、行動に制限がされるようになり、「健康な人」と自分のあいだに壁を感じるようになっている。また、前田未来自身の病気によるストレスや将来への不安から、感情的になることが多い。病院に入院中、病室でサッカーをしている大木ひかりと出会い、彼に生まれて初めての恋心を抱く。
大木 ひかり (おおき ひかり)
祖母が前田未来と同じ病院に入院している男子小学生。病室内で入院中の祖母を元気づけるためにリフティングを披露していたところを未来に目撃され、彼女が看護師に告げ口をしたことをきっかけに知り合いになった。未来と来年の夏に打ち上げ花火をいっしょに見る約束をしたものの、直後に事故に遭い、未来との出会いをはじめとする記憶の一部をなくしてしまう。明るく前向きな性格で、運動神経が抜群。大木ひかり自身が加入しているサッカーチームではエースとして活躍しており、地域でも名の知れた存在。ただし、熱中すると周りが見えなくなる傾向があるためにキャプテンに選ばれなかった。そのことは自覚しており、反省している。
鈴原 静香 (すずはら しずか)
前田未来のクラスメートにして親友の女子小学生。学校内だけでなく、休みの日もいっしょに過ごすことが多い。未来が「膠原(こうげん)病」を患っていることは知らないが、未来が自分に何か隠していることには気づいている。つねにテンションが高く、空気が読めない言動も目立つが、クラスのムードメーカー的な存在の人気者。鈴原静香自身の明るさで、病気で塞ぎ込みがちな未来を元気づけている。
藤岡 龍斗 (ふじおか りゅうと)
前田未来のクラスメートの男子小学生。未来に片思いしており、自らが出場するサッカーの試合で勝ったら付き合って欲しいと告白した。その試合の対戦チームの中に大木ひかりがいたことから、奇しくも二人が再会するきっかけをつくることになる。大人びた容姿で、女子から人気が高い。生まじめで情熱的な性格で、自分の考えや気持ちをはっきり相手に示すことができる。未来が自分に興味を抱いていないことは薄々感づいているが、あきらめきれずにいる。未来が「膠原(こうげん)病」を患っていることは知らない。
飛鳥 (あすか)
病気治療のため、前田未来と同じ病院に入院している女子小学生。未来と同室で年齢も近いことから、表向きは親しくしているものの、攻撃的な発言の多い彼女に対して苦手意識を抱いていた。飛鳥の方が早く退院し、その際に口頭では再会を誓い合ったが、未来の連絡先を聞くことはなかった。飛鳥が母親に未来への苦手意識を口にしているところを、偶然通りかかった未来に聞かれてしまう。
クレジット
- 原作
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みずの まい