概要・あらすじ
人気アイドルの大鳥なぎさは、野坂昭と両想いながらも、自由に会えずにいた。そんな中、なぎさは昭がセントジュリアナ学園に通っているとことを知り、同じ学校に転校する。だが、セントジュリアナ学園に通うモモコ・プリシラは、強引な手段を使って、日本で一番の芸能事務所「ハリウッド・プロ」から昭を芸能人デビューさせる。
モモコは昭に恋心を寄せており、また同じアイドルとしてなぎさをライバル視していたのだ。モモコは仕事という名目で昭に接近しようとするが、なぎさはなんとかそれを阻止していく。そんな攻防を繰り返すうちに、なぎさとモモコとの間には不思議な友情が芽生えるのだった。だがそんな時、魔界からレイコが現われ、昭を魔界へ連れていこうとする。
さらに魔界と人間界の双方を手中に収めようというレイモンドの企みも絡み、なぎさはドタバタと騒がしい毎日を過ごすこととなる。
登場人物・キャラクター
大鳥 なぎさ (おおとり なぎさ)
人気アイドル歌手の女子中学生。芸名は「白鳥なぎさ」。家族はなぎさの父のみの父子家庭で育った。自身がアイドルだと周囲にバレないよう、日常生活においては男装しており、学校にも男子として通っている。実家は「大鳥道場」という武術の道場を営んでいるため、大鳥なぎさも格闘技の心得があり、男子柔道部員数人を1人で倒したり、クマを投げ飛ばしたりと非常に勇ましい。 必殺技は相手を抱きかかえ、空中から地面にたたきつける「カミナリ落とし」。野坂昭とは両想いながら、敵対する道場を運営している互いの父親の反対により、交際はもとより顔を合せることすらできない状態にある。さらになぎさ自身も父親から自由な外出を禁じられており、マネージャーの中竹まことがいないと外に出られないなど、窮屈な生活を強いられている。 せめてもと野坂の通うセントジュリアナ学園に転入したが、そこでも男子生徒として生活している。
野坂 昭 (のさか あきら)
セントジュリアナ学園に通う中学生の男子。「野坂道場」の1人息子で、武術に長けた大鳥なぎさにも、その強さを認められるほどの実力者。なぎさと想い合っているが、敵対する道場を運営している互いの父親の反対により、交際はもとより顔を合せることすらできない状態にある。とはいえ、なぎさが出演するミュージカルにこっそり観客と訪れるなど、接触のための努力は惜しまない。 街で不良に絡まれ困っていたモモコ・プリシラを助けたことで知り合うが、その後モモコの強引な手法により、大手芸能事務所「ハリウッド・プロ」所属の芸能人にされてしまう。契約に際し、「ハリウッド・プロ」との約束を破った場合は、昭の父親がアメリカで一生タダ働きをすることになってしまったため、自由に行動できずにいる。
モモコ・プリシラ (ももこぷりしら)
セントジュリアナ学園に通う中学生の女子で、大手芸能事務所「ハリウッド・プロ」の社長を務めている。不良に絡まれているところを助けてくれた野坂昭を気に入っており、強引な手段で「ハリウッド・プロ」所属の芸能人とし、プライベートも束縛している。昭に対しては最初はお気に入り程度であったが、次第に恋心へと変わっている。 高飛車でわがままな性格で、欲しいものを手に入れるためには手段を選ばない。一方で芸能事務所の社長だけあって人を見る目は確かで、男装をしている大鳥なぎさを学園内で目撃し、芸能人としてスカウトしたこともある。のちにモモコ・プリシラ自身もアイドルとしてデビューし、デュエットの相手として昭を指名する。アイドルとしてのなぎさにライバル心を抱いているが、学園で男装しているなぎさと同一人物だとは気付いていておらず、それどころか昭への恋心を打ち明けるなど、友人として信頼している。 日本の芸能界で大成しなかったモモコの父に代わって、自分がスターになりたいという目標を持っている。
上岡 龍 (かみおか りゅう)
セントジュリアナ学園に通う中学生の男子で、大手芸能事務所「ハリウッド・プロ」に所属するアイドルでもある。女性向けティーン誌で「キスしたい男性」の1位に選ばれるほど人気が高い。ナルシストで、初対面の大鳥なぎさに対して「恋人の1人にしてあげてもいい」などと発言した。その際、なぎさに頬を殴られたことをしつこく恨んでいる。 ブロードウェイでミュージカルの勉強をしたこともあってプライドが高く、仕事も選んでいる。セントジュリアナ学園では風紀委員として幅を利かせていたが、男装したなぎさに負けておとなしくなった。ちなみに、アイドルのなぎさと学校のなぎさが同一人物とは気付いていない。
中竹 まこと (なかたけ まこと)
大鳥なぎさのマネージャーを務める男性。非常に真面目な性格であり、何かといきあたりばったりのなぎさに大いに振り回されている。なぎさよりは年上だが、彼女の護衛としてセントジュリアナ学園に入学し、なぎさや角田とクラスメイトになる。
社長 (しゃちょう)
大鳥なぎさが所属する芸能事務所の社長を務める男性。高齢だが、フリルの付いたかわいらしい服を好んで着用している。なぎさに対して好意的な一方で、マネージャーの中竹まことにはやや辛辣。若い頃は現在の姿と似ても似つかぬ完璧な美男子であり、俳優を志望していた。同じく俳優を目指していたモモコの父とは友人関係にあり、モモコ・プリシラとも面識がある。
角田 (つのだ)
セントジュリアナ学園に通う中学生の男子で、大鳥なぎさの大ファン。前歯の2本が大きく前に出ているすさまじい出っ歯が特徴。またスキンヘッドでもあり、外見は怖いが性格は優しい。実は角田財閥の跡取りであり、大金持ち。いつかセントジュリアナ学園になぎさが転校して来るのではないかと予測し、先に入学していた。
なぎさの父 (なぎさのちち)
大鳥なぎさの父親で、自宅で「大鳥道場」という武術の道場を開いている。野坂昭の実家である「野坂道場」とはライバルであり、いがみ合っている。そのため、なぎさと昭の交際にも大反対で、なぎさ1人で外出することも許可していない。ただし、マネージャーの中竹まことが同行する場合に限り、外出許可を出している。厳格なように見えるが、大手芸能事務所「ハリウッド・プロ」からの刺客ゴールド芝浦から大金を積まれ、さらに美女に囲まれた際には「野坂道場の傘下に入ってもいいかも」と気持ちが揺らいでいた。
モモコの父 (ももこのちち)
モモコ・プリシラの父親で現在はアメリカに住んでいる。若き日の社長とは親友であり、ともに俳優を目指す仲間であった。大役に抜擢された際、稽古中に偶然バナナの皮を踏んで脚を怪我してしまい、出演のチャンスを逃したという過去がある。結局、日本国内ではその後チャンスがまわって来なかったため渡米し、アクション俳優に武道を教える教室を開講して大成功を収めた。 日本の大手芸能事務所「ハリウッド・プロ」を買取り、モモコに経営を任せている。
ゴールド芝浦 (ごーるどしばうら)
大手芸能事務所「ハリウッド・プロ」に所属するスカウトマン。スカウトマン以外にもさまざまな交渉ごとを担当しており、大鳥なぎさの実家である大鳥道場を潰すため、野坂昭の実家である野坂道場の傘下に入るよう強引に話を進めた。
アラン・サムソン (あらんさむそん)
アメリカで生まれ育った美青年。ブロンドの髪にブルーの瞳を持ち、スタイルも抜群で、街を歩いただけで注目されるほどの容姿の持ち主。さらにボクシングや柔道、剣道にも長けており、非常に強い。大鳥なぎさの才能に着目し、アメリカでハリウッドデビューさせるため、日本にやって来た。アメリカでは新人ながら大物映画監督にスカウトされ、主役として俳優デビューを飾っている。 もともと出身は貧しく、若い頃は密かに映画館に忍び込んで鑑賞することだけが楽しみだった。
ヘレン
アラン・サムソンの恋人の女性で、アメリカに住んでいる。1人で日本へとわたり、大鳥なぎさをアメリカでハリウッドデビューさせることに執着しているアランに対して「愛情が冷めたのではないか?」と不安を感じ、帰りを待つ日々に耐え切れず日本へやって来た。日本でアランと直接会ってからは、以前のような恋人同士の関係を取り戻している。
レイコ
魔界の王の娘。自身の好みである野坂昭を魔界に連れて行き、結婚をするために人間界に現われた。当初は昭のみを魔界へ連れ去るつもりだったが、しつこく追って来た大鳥なぎさも一緒に連れて行くこととなってしまった。レイモンドという婚約者がいるが、「気取っていて嫌い」と相手にしていない。昭に接近する際に人間に扮したこともあり、その際は「伊集院麗子」という偽名を使った。
レイモンド
レイコをはじめとする、魔界の王族に仕える青年。魔界一の美男子と評され、レイコの婚約者でもある。婚約者ではあるもののレイコの家来として扱われており、「逆らったら魔界を追放する」と脅されている。しかし、実際はレイコと結婚をし、魔界だけでなく人間界も支配して、自分の思うがままにしようと企んでいる。
クマ吉 (くまきち)
大鳥なぎさの実家である「大鳥道場」で暮らしているクマ。「大鳥道場」が何者かに襲撃された際、その情報を伝えるためにアイドルとして握手会をしていたなぎさのもとに駆けつけたものの、会場は大騒ぎになってしまう。
コン太 (こんた)
大鳥なぎさの実家である「大鳥道場」で暮らしているキツネ。「大鳥道場」に現われたゴールド芝浦によりお腹いっぱいにされ、大鳥なぎさの前で倒れた。これが、なぎさには暴力を受けて倒されたものだと誤解され、騒ぎを引き起こすこととなった。
集団・組織
ハリウッド・プロ (はりうっどぷろ)
日本で一番の芸能事務所で、上岡龍と野坂昭が所属している。社長はモモコ・プリシラ。もとは別の人間が運営していた芸能事務所だったが、アメリカにいるモモコの父がタレントごと買取り、モモコを社長とした。女子中学生ながらも凄腕のモモコのおかげで、さらに芸能界で勢力を広げつつある。
場所
セントジュリアナ学園 (せんとじゅりあながくえん)
大鳥なぎさや野坂昭らが通う中学校。外装も内装もゴージャスであり、おしゃれをしていないと後ろの目立たない席にされるなど差別を受けてしまう。教室内にはミラーボールがあり、上岡の指示に応じて女子のボディコン軍団と男子の黒服軍団が現われディスコ化するなど、とことんぶっとんだ校風である。
クレジット
- 原作