逃亡弁護士 成田誠

逃亡弁護士 成田誠

無実の罪を着せられた元弁護士の男性が、自分の無実を証明するために奔走する姿を描いたサスペンス。「週刊ヤングサンデー」2007年20号から2008年35号にかけて連載された作品。2010年には『逃亡弁護士』のタイトルで、上地雄輔主演でTVドラマ化もされている。

正式名称
逃亡弁護士 成田誠
ふりがな
とうぼうべんごし なりたまこと
作者
ジャンル
サスペンス
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あらすじ

弁護士の成田誠は、ある日、自分の所属する弁護士事務所「アクサル法律事務所」で二ノ宮徹の死体を発見する。気が動転する中、警察を呼ぼうとした誠は、後ろから何者かに殴られ意識を失ってしまう。誠が目を覚ました時にはすでに徹を殺害した犯人とされており、警察の取調べでも自白の強要をされるなど追い詰められていた。そのため、誠は隙を見て取り調べ室から逃亡。その後は、自分の無実を証明するために証拠をそろえつつ、名前を変えて職を転々としながら、徹を殺害した真犯人を追う逃亡生活に身を投じる。

メディアミックス

TVドラマ

2010年7月から同年9月にかけて、関西テレビとホリプロの共同制作によるTVドラマ版が『逃亡弁護士』のタイトルで放送された。脚本は渡辺雄介と秦建日子、演出は本橋圭太、白木啓一郎、田中峰弥、大内隆弘が担当している。主なキャストは成田誠役を上地雄輔、二ノ宮絵美役を石原さとみが演じている。

登場人物・キャラクター

成田 誠 (なりた まこと)

「アクサル法律事務所」に勤めていた元弁護士の男性。2年前に起こった弁護士、二ノ宮徹殺人事件の犯人とされているが、実際は無実の罪を着せられている。現在は指名手配されており、自分が無実であることを唯一証言してくれそうな五十嵐充の行方を捜しつつ、名前と職を変えながら生活している。正義感が強く、逃亡中の身ではありながら、違法なことには一切手を染めていない。 そのため、行く先々で困っている人を見かけては手を差し伸べ、持ち前の法律の知識で助けている。

二ノ宮 絵美 (にのみや えみ)

17歳の女子高生。二ノ宮徹の娘で、二ノ宮翔太郎の姉。徹が殺された事件では当初、成田誠を疑ってその所在を追っていた。しかし、誠と実際に会って話している内に、「誠が無実である」という可能性も視野に入れ始めている。以降、誠と連絡先を交換して定期的に連絡を取りあい、事件の究明を手伝っている。元々、誠とは家族ぐるみでの付き合いもあり、好意も抱いていた。

二ノ宮 翔太郎 (にのみや しょうたろう)

二ノ宮徹の息子で、二ノ宮絵美の弟。年齢は5歳。姉の絵美から母親がいない理由を、「母親はお星さまになった」と聞かされている。そのため、将来の夢は母親に会うために宇宙飛行士になりたいと考えている。また、徹が死亡したことも理解できずにいる。

二ノ宮 徹 (にのみや とおる)

「アクサル法律事務所」に勤めていた弁護士の男性。人権派として名を知られた弁護士で、成田誠の上司だった人物。誠とも家族ぐるみでの付き合いがあり、本当の家族のように接していた。しかし、事務所で深夜に作業中、何者かに襲われて命を落としている。

律子 (りつこ)

二ノ宮絵美と二ノ宮翔太郎の叔母。二ノ宮徹死亡後、身寄りのない絵美と翔太郎を引き取って面倒を見ている。絵美が成田誠と定期的に連絡を取り合っていることまでは知らないものの、不審な行動をしていることを気にしている。

真船 丈 (まふね じょう)

二ノ宮徹殺人事件の担当検事を務める30歳の男性。取り調べ中に成田誠を逃がして以来、誠を捕まえることに異常な執着を見せている。冤罪を訴えながらも逃走を続ける誠のやり方を否定しており、冤罪であれば、逃げずに裁判で明らかにするべきだと考えている。

真船 孝明 (まふね たかあき)

真船丈の父親。西荻窪署の会計課で係長として勤務していたが、6000万円もの裏金を作った事件の主犯として逮捕されている。その時は証拠不十分で不起訴になったものの、逮捕の影響で復職はままならず、世間から後ろ指を指される生活を強いられていた。

小松 (こまつ)

真船丈の検察事務官を務める男性。丈とはよく行動をともにしており、一緒に成田誠の足取りを追っている。普段は真面目な性格だが、職務中まったく笑わない丈を笑わせようと密かに機会をうかがっており、ここぞというタイミングで芸人の真似をするなど、ひょうきんな一面もある。

五十嵐 充 (いがらし みつる)

「アクサル法律事務所」の事務長を務めていた男性。二ノ宮徹殺人事件の当日、徹の死亡推定時刻に成田誠と会っていた。そのため、誠の無実を立証できる唯一の人物だが、当時は酒に酔っていて誠のことは覚えていないと証言している。病気を原因に事務所を辞めており、その後の足取りは不明となっている。

浅沼 仁 (あさぬま ひとし)

「ニーズ法律事務所」に勤めていた弁護士の男性。成田誠の司法修習生時代の同期で、誠から一番信頼を寄せられている人物。現在は「浅沼法律事務所」の弁護士として働いているが、赤字続きで経営状況は芳しくない。もともとは裁判官を志望していた。

橘 正志 (たちばな まさし)

経営コンサルタント会社「タチバナ」の社長を務める男性。久美子の元夫。女性に対してすぐに手をあげるDV気質の持ち主で、これまで付き合ってきた女性すべてに対して暴力を振るっている。自分の息子である橘拓也を橘家の跡取りとするため、親権だけは絶対に渡したくないと考えている。そのため、久美子からの面談もすべて断っている。

ミキ

過去に橘正志と付き合っていた女性。ヨリを戻したいと正志のもとを訪れ、現在は一緒の家に住んでいる。正志からは「慎ましくしていろ」と言われており、勝手なことや逆らうことは許されていない。

久美子 (くみこ)

橘正志の元妻。2年前に離婚して橘家を出ているが、離婚した際に離れてしまった息子の橘拓也の身を案じ、不安な毎日を送っている。少しでも拓也の近くにいたいという理由から、今も正志の家の近くに住んでいる。

橘 拓也 (たちばな たくや)

橘正志と久美子の6歳の子供。しかし、実際は正志とミキとの間に生まれた子供であり、久美子とは血の繋がりはない。それでも、久美子のことは母親として慕っており、会いたいと思っている。

西崎 (にしざき)

印刷会社に勤めている38歳の男性。林義充の上司で、役職は課長。リスクの大きな仕事も大胆にこなすやり手で、社内での評判も高い。しかし、その裏で横領をしており、その罪を義充に着せてクビに追い込んでいる。

林 義充 (はやし よしみつ)

無職の48歳の男性。もともと印刷会社に入社して以来、真面目に働き続けていた。しかし、上司である西崎に横領の罪を着せられて、一方的にクビになっている。そのため、西崎に強い恨みを抱いている。

山本 明 (やまもと あきら)

「秀英進学予備校」の国立医学部コースに通う男性。予備校で行われる模試の成績は常に10位以内に入る秀才だったが、最近はランク外が続いている。友人に連れられて行ったキャバクラで出会った志穂に好意を抱き、彼女に会いたいがために、勉強そっちのけでアルバイトに勤しむ日々を送るようになった。しかし、最近は志穂と会うためではなく、勉強から逃げることの方が主目的となっている。

志穂 (しほ)

キャバクラに勤める女性。山本明から好意を抱かれていた。店から明の足が遠のいた途端に、しつこくメールを送ったりしたりしている。過去に3件のストーカーをしている常習犯で、明にも同様に、勝手に居場所を突き止めてストーカーをしている。

広瀬 (ひろせ)

無職の男性。5年かけて貯めた金で、小さいゲーム喫茶を開こうとしていた。しかし、不動産会社「大友ハウジング」に勤める石田に騙され、苦労して貯めた金をすべて持ち逃げされてしまう。その報復として、石田と「大友ハウジング」に勤めるもう1人の男性に暴行を働いて金品を強奪。その結果、警察から追われる生活を送っている。

石田 (いしだ)

不動産会社「大友ハウジング」に勤める男性。ゲーム喫茶を開こうとテナントを探していた広瀬に声をかけ、広瀬の金を詐取した。その後、広瀬の報復に遭って暴行されたうえに金品を奪われ、全治2か月の重傷を負っている。

山崎 義一 (やまざき よしかず)

北池上警察署生活安全課の係長を務める50歳の男性。7年前、息子の山崎公太の出産を機に妻の山崎早苗を亡くしている。出産がきっかけで早苗が死亡したことは、公太には伏せている。しかし、公太からは「仕事に夢中になって母親を死に追いやった」と誤解されており、親子関係は良くない。それでも公太のことは大切に想っており、父親らしいことをしたいと、時間があれば公太の勤務先に顔を出すようにしている。

山崎 公太 (やまざき こうた)

「ナナセ運輸」でアルバイトをしている20歳の男性。山崎義一の息子。付き合っている彼女がカード破産してしまったうえに妊娠をしているため、闇金に手を出している。それでも「自分の女に苦労させるようなことは絶対にしない」という信念のもと、なんとかしようと考えている。

山崎 早苗 (やまざき さなえ)

山崎義一の妻で、山崎公太の母親。腺病質で出産が難しいと言われていたが、義一と話し合った結果、出産を決意。結局、公太を産むことはできたが、その後しばらくして亡くなった。公太のことは「義一に似て正義感の強い子になる」と言っていた。

大沢 (おおさわ)

土木作業員をしている男性。かつて婦女暴行の罪により6年間刑務所に服役していた前科持ちで、それを同僚に知られることを恐れている。しかし、実際は冤罪であった。屈辱的な裁判を繰り返す気力がなく、判決を受け入れてしまったという背景があり、裁判がトラウマとなっている。

借金女 (しゃっきんおんな)

数々の金融機関から金を借り続けている女性。借金の総額は850万円にも膨れ上がっている。だが、その借金は事故で死んでしまった元彼のもので、自身は連帯保証人となっていたため、その借金を肩代わりすることになったという経緯がある。もともと人に依存する性質にも関わらず、元彼とは死別しているため、1人で生活をすることに疲れている。

梅田 輝男 (うめだ てるお)

「梅田たばこ店」の店主を務める72歳の男性。梅田正輝と梅田良輝の父親。自分が経営している「梅田たばこ店」に誇りを持っている。不動産屋から、たばこ店の土地を高額で買い取るという話を持ちかけられても、その気持ちはまったく揺るがずにいる。

梅田 正輝 (うめだ まさき)

銀行員を務める44歳の男性。梅田輝男の長男。最近の金融再編の煽りを受けて、本店から支店に飛ばされた結果、給料が減ってしまった。そのため、住宅ローンと子供の学費など、資金面に不安を抱えている。

梅田 良輝 (うめだ よしき)

レストランの経営者を務める38歳の男性。梅田輝男の次男。レストランの経営は上手くいっており、近々支店を出そうとしている。そのため、まとまった資金を必要としている。

丸川 文江 (まるかわ ふみえ)

「アクサル法律事務所」の前で、不気味な祈禱のようなことをして、嫌がらせ行為をしている老婆。過去に「アクサル法律事務所」に相談に訪れた際、「助言」という名目で勧められたコンビニ経営が原因で破産した。その結果、心労で倒れた夫にも先立たれている。

佐々間 諒介 (ささま りょうすけ)

過去に成田誠が弁護を担当した男性。17歳の時、当時付き合っていた恵子の同僚である藤森に対し、傷害事件を起こしたが、その件は、誠の的確な弁護で執行猶予付きの判決が出た。しかし、のちに藤森からの報復に遭って塩酸を浴びせられ、顔には痛々しいやけどの跡が残っている。

恵子 (けいこ)

会社員の女性。かつて17歳の佐々間諒介と付き合っていたことがある。しかし、諒介が藤森から塩酸を浴びせられた際に負った傷を見て、「ひどい」と発言。それがきっかけとなり、諒介から一方的に別れられている。また、当時17歳の諒介と付き合っていたことが公になったことで、社内では「淫行女」などと呼ばれている。

藤森 (ふじもり)

恵子と同じ会社に勤めていた男性。当時、恵子と付き合っていた17歳の佐々間諒介に対して「ボクちゃん」などとからかっていた。その結果、激昂した諒介に殴られ、全治2週間の怪我を負った。諒介の裁判では藤森自身の素行の悪さなども俎上に上がり、結果的に会社にも居づらくなって退職している。その後、諒介に対して恨みを抱くようになり、復讐のため塩酸を浴びせた。

本郷 望 (ほんごう のぞみ)

二ノ宮絵美と同じ高校に通う女子。「新宿のラブホ街で見た」「高級車に乗っているのを見た」という目撃情報が数多くあり、学校での評判は良くない。ブランド物を買うために援助交際をしていたが、妊娠してしまったため、相手の男から慰謝料を取れないかと考えている。

桜庭 和郎 (さくらば かずろう)

ビル清掃会社「桜庭ビルメンテナンス」の社長を務める58歳の男性。人柄が好く、「桜庭ビルメンテナンス」に勤めていた逃亡中の成田誠からの信頼も厚い。噓をつく人間だけは絶対に許さないことを信条としている。

桜庭 直哉 (さくらば なおや)

桜庭竜也の8歳の息子。サッカーが好きで、ビル清掃会社「桜庭ビルメンテナンス」で働いていた逃亡中の成田誠と、よくサッカーをしていた。竜也と母親が喧嘩しているのをよく目撃していたが、2人には仲良くして欲しいと考えている。

桜庭 竜也 (さくらば りゅうや)

ビル清掃会社「桜庭ビルメンテナンス」の部長を務める33歳の男性。社長である桜庭和郎の婿養子にあたる人物。昔からギャンブルと女遊びが止められず、今もそのことで妻と揉めることが多い。それでも自分を変えようと努力はしており、「桜庭ビルメンテナンス」を自分の手でもっと大きくしたいと考えている。

桜庭竜也の妻 (さくらばりゅうやのつま)

桜庭竜也の妻。竜也の女遊びとギャンブルには呆れており、そのことが原因で喧嘩をすることも多い。そのため、息子の桜庭直哉には「たくさんの女の子と仲良くなっちゃダメ」などと、竜也を反面教師にして教育している。

磯谷 (いそがい)

私立英翔高等学校の教師を務める男性。Y大学の法学部を卒業している成田誠の恩師であり、高校時代の誠が法律家を目指すきっかけを与えた人物。教育熱心で、当時は誠をはじめ生徒からの人望も厚かった。しかし、現在は生徒の堀江二郎に暴力を働いたという噂が立っており、教師としての立場が危ぶまれている。

堀江 二郎 (ほりえ じろう)

私立英翔高等学校に通う男子生徒。磯谷にタバコを吸っているところを3度も目撃されている問題児。3度目に磯谷に注意された際には激昂し、殴りかかった。また、その時にバランスを崩し、自分で転んで頭を打ちつけている。

野村 弘 (のむら ひろし)

私立英翔高等学校の理事長を務める男性。教師の磯谷が生徒の堀江二郎に対して暴力行為を働いた、という件については中立の立場を貫いており、密かに真偽を確かめようとしている。

校長先生 (こうちょうせんせい)

私立英翔高等学校の校長を務める男性。私学であるため、学校のイメージを守るということを最優先に考えている。教師の磯谷が生徒の堀江二郎に対して暴力行為を働いたという件に関して、磯谷を即刻クビにするべきだと考えている。

赤羽 恭平 (あかばね きょうへい)

有限会社「白百合金融」に勤める35歳の男性。多重債務者をターゲットにして任意整理を装い、多くの金を巻き上げている悪党。二ノ宮徹殺人事件の後に五十嵐充と接触した疑いがあり、成田誠から行方を追われている。

黒川 (くろかわ)

殺し屋を生業としている男性。首に生々しい傷がある。韓国の軍隊出身で、普段は日本語をしゃべるが韓国語も話せる。すでに1人を殺害した経験を持ち、雇い主の命令を忠実に守るヒットマンとして暗躍している。

場所

アクサル法律事務所 (あくさるほうりつじむしょ)

人権派弁護士事務所として名高かった法律事務所。当時の責任者は二ノ宮徹が務めていた。しかし、裏では依頼人の資金を搾り取る弁護士も存在するという黒い噂もあり、一部では悪徳事務所としても見られていた。徹が何者かに殺害された殺人現場でもあるが、その後間もなく営業が再開されている。

クレジット

原案

剛 英城

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