船崎小学校に通う少女の謎の失踪事件
2年前に失踪した友人の平川彩乃を忘れられず、彼女の行方を探る調査をひそかに続けていた中学生の乾一真は、彩乃がクラスメートたちに送ったメールの写真に映る天狗面の男に不信感を抱き、その背景に映っていた送電塔を調べていた。その結果、写真の送電塔が筑尾山と八浦市を結ぶ「筑八線28番鉄塔」であることを突き止め、周辺に彩乃の痕跡が残っている可能性があると推測する。そこで一真は、小学生時代からの親友である田安総太、オカルト好きでインターネットに精通している坂下晴人、男勝りな剣道部員の女子・桜田凛と共に、彩乃の失踪の原因と居場所を探る捜査を開始。捜査を進める中で、彩乃の失踪が10年前の連続失踪事件と関連している証拠を発見し、マスコミも辿り着けなかった真実に迫っていく。
失踪事件の真相を紐解く冒険
ジャーナリストの虎門鳴海は、父親である北羽橋真司が10年前に発生した連続失踪事件の容疑者として逮捕されて死刑判決を受けたことで、「犯罪者の家族」という汚名を着せられ、窮屈な生活を強いられていた。しかし、鳴海は父親の無実を信じ、真実を求めて真司が陥れられた証拠を探し続け、2年前に知り合ったジャーナリスト・清水清志郎が残した手がかりを基に、警官の町木戸狐太郎と共に筑尾山のキャンプ場へ向かう。そして、一真たちとは異なる視点から捜査を進めていた鳴海は、やがて連続失踪事件の首謀者らしき人物を特定することに成功する。
失踪事件の捜査を妨害する勢力
一真たちは、これまでに収集した送電塔のデータや、ジャーナリストの鳴海と協力して晴人がインターネットで得た情報を基に、彩乃の行方や失踪事件の真相を探ろうとしていた。しかし、凛に対して脅迫めいた内容の手紙が送られてきたり、晴人がSNSに投稿したデータが削除されたりするなど、彼らが事件にかかわることを妨害する現象が頻発する。一真たちは、これらの妨害に不安を抱きつつも、彩乃への思いから捜査を続行する。だが、一真たちに目を付けた天狗面の男は、警察内部にいる何者かと手を組み、一真たちを排除しようと画策していた。
登場人物・キャラクター
乾 一真 (いぬい かずま)
とある中学校に通う1年生の男子。「一真」と書いて「カズマ」と読むが、同級生からは「イッシン」と呼ばれている。電気工学に関心があり、特に電線や送電塔に興味を持っている。また探求心が旺盛で、疑問に思ったことは徹底的に調べないと気が済まない性質。2年前に同級生となった平川彩乃と友達になり、彼女の気丈な態度に惹かれていた。だが、その矢先に彩乃が行方不明になり、喪失感に苛まれるようになる。そんな中、失踪直前にクラスメートたちに送られたメールに添付されていた不審な写真から、背景に映る送電塔を手がかりに、彩乃が筑尾山に連れ去られた可能性を特定する。そして、中学1年の夏休みを迎えたことをきっかけに、クラスメートたちと共に彩乃の行方を追う冒険を始める。
平川 彩乃 (ひらかわ あやの)
船崎小学校に通っていた女子。両親から虐待を受けており、背中にあるアザを隠している。気丈な性格で、友人たちに辛そうな様子を見せたことがない。つねにひまわりの種を持ち歩き、語尾に「~なのだ」と付ける独特の言い回しを使うため、少々風変わりな印象を与えているが、その個性も含めてクラスメートから好感を抱かれていた。「ドラキュラ鉄塔」と呼ばれる鉄塔を訪れた際に乾一真と出会って友達になるが、それからわずか2週間後に行方不明になってしまう。失踪当時は「家出した」「誘拐された」「天狗による神隠し」など、さまざまな噂が飛び交ったが、現在も彼女が失踪した原因は明らかになっておらず、安否確認もできていない。
書誌情報
ぼくたちの死体さがし 全4巻 日本文芸社〈ニチブンコミクス〉
第1巻
(2022-04-19発行、 978-4537144925)
第2巻
(2023-01-27発行、 978-4537146035)
第3巻
(2023-10-27発行、 978-4537147131)
第4巻
(2024-07-18発行、 978-4537148572)