透明なゆりかご

透明なゆりかご

1997年から産婦人科医院でアルバイトをしていた作者自身の経験に基づき、さまざまな事情を抱えた患者が訪れるクリニックの赤裸々な内情と、小さな命がもたらす奇跡を1話完結の連作短編形式で描く、真実の産婦人科医院物語。掲載誌は講談社の3誌におよび、「Kiss PLUS」では2014年1月号から、「ハツキス」では2014年7月号から、「Kiss」では2014年4月号からそれぞれ掲載されている作品。

正式名称
透明なゆりかご
ふりがな
とうめいなゆりかご
作者
ジャンル
自伝・伝記
レーベル
KC KISS(講談社)
巻数
既刊9巻
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

1997年、女子高の准看護科に通う沖田×華は、まだ資格も取れていないただの女子高生だったが、母親からの強引な勧めにより、産婦人科医院「××クリニック」でアルバイトを始めることになる。そこには、自らに宿った小さな命に希望を持つ人、逆に絶望する人など、さまざまな事情を抱えて病院を訪れる人がいた。×華は不器用ながらも、そんな患者個々に向き合い、1人の人間として精いっぱいに接する。

そして、小さな幼い命の強さを垣間見、命の尊厳について考えることになる。

登場人物・キャラクター

沖田 ×華 (おきた ばっか)

高校3年の女子生徒。高校の准看護科で准看護師になるため勉強中。母親からの勧めで、近所の産婦人科医院「××クリニック」で、准看護師見習いとしてアルバイトをすることになる。仕事の内容は多岐にわたるが、そのうちの1つとして、さまざまな理由により中絶となり、生まれることができなかった胎児の欠片を集め、業者に引き渡すことがある。 誰もが嫌がる仕事だが、彼女はこれを嫌がらず、見送る気持ちをこめて童謡を歌いながら行う。人一倍不器用で何かと失敗することも多いが、さまざまな問題を抱えた患者と、1人の人間として向き合い、心のこもった対応をする。小学生の頃、ひらがなが書けず、2ケタ以上の引き算もできないため落ちこぼれとなり、母親から虐げられる毎日を送っていた。 集団行動も苦手だったのでいじめにも遭い、辛い小学校生活を送っていた経緯を持つ。小児喘息を持っており、定期的に発作を起こしては、子供の頃からかかりつけの病院に通院している。作者の沖田×華本人がモデル。

下崎 賢一郎 (しもざき けんいちろう)

沖田×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」の院長。37歳の男性医師。見た目は体育会系で、趣味は町内野球をすること。医者に見えない活発で豪快な性格の持ち主。裏表なく明るい先生として、妊産婦やスタッフからも慕われている。自分の子供で野球チームをつくるのが夢で、現在6人の子供がおり、そのすべてを自分が取り上げた。

丸山 (まるやま)

沖田×華が病院実習に行っていた総合病院のNICU(新生児集中治療管理室)の看護師。30歳の女性。20代で若くして主任となり、場を仕切っている。いつもほがらかで優しく、実習に来る学生たちに対して親身になって接している。以前、小児外科に勤めていたが、毎日のように子供が亡くなる日が続き、ノイローゼになって倒れたことがある。

田中 良子

第2話「野良妊婦」に登場する。健康保険証も母子手帳も持っていない訳アリ妊婦。分娩のために駆け込みで、沖田×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」にやって来た。翌日に体重5100グラムの男児を出産。自分自身が糖尿病であることから、生まれた男児も新生児糖尿病を患っている。不倫の末、誰にも知らせずに出産した。

(しず)

第3話「保育器の子」に登場する。新生児の女の子。沖田×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」の前に、バスタオルでくるんで紙袋に入れられた状態で捨てられていた。あまりのかわいさに病院スタッフたちをメロメロにした。一時的に呼び名が必要ということになり、スタッフによって大人しいという意味で「静」と名付けられた。

女子高生 (じょしこうせい)

第3話「保育器の子」に登場する。静を産んだ女子高校生。人知れず赤ちゃんを産んだ後、沖田×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」の前に、出産直後の新生児をバスタオルでくるんで紙袋に入れて捨てた。その後、産後の母体の状態が悪く、貧血が続いていた。それを両親が心配し病院へ連れて行き、産後であることが判明。両親とともにクリニックを訪れ、静に再会する。

島っち (しまっち)

第4話「胎児の光」に登場する。沖田×華の後輩の女子高生。中学時代の剣道部の後輩。付き合っている彼氏の子供を妊娠したことがわかり、中絶のために産婦人科医院を訪れる途中、偶然×華としばらくぶりの再会を果たす。彼氏は妊娠を報告して以降音信不通となっているが、それでも彼を優しくていい人だと信じている。

大宮 (おおみや)

第4話「胎児の光」に登場する。沖田×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」で中絶手術を受けた女性。2か月前に妊娠したが、経済的な理由で出産することができなかった。しかし、その後体調不良が続くと訴え、毎日のように病院を訪れるようになった。もともとはおとなしいタイプだったが、来院するごとにイライラが募り、ついには周囲の無関係な子供に暴力を振るってしまう。

山岸 カナ (やまぎし かな)

第5話「透明な子」に登場する。小学5年生の女の子。漫画が大好きで、沖田×華とは近所の本屋で知り合い、漫画の話をするようになった顔見知り。ある時、様子がおかしいと感じた母親によって、×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」に来院。そこで、性的虐待を受けたことが確認される。しかし、その事実を認めるが、相手については口を割ろうとしない。 両親は、父親の暴力が原因で離婚。その後母親が再婚し、現在に至っている。今の父親が教育熱心なため、週5日塾に通っている。

永田 (ながた)

第6話「母性について」に登場する。沖田×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」で出産した女性。不妊治療の末、ようやくできた女の子を出産した。生まれてきた子が想像していた子供と違ったことを理由に、別の赤ちゃんと取り換えようとしたところを取り押さえられた。その後、家族が相手に土下座し、転院することで示談となった。

後藤 (ごとう)

第6話「母性について」に登場する。以前、沖田×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」に出産のため通院していた女性。もうすぐ生まれる予定の赤ちゃんを「翔くん」と呼び、会える日を心待ちにしていた。しかし、健診の際、胎内で亡くなっていることが分かり死産となった。そのショックは大きく、もう子供を作ることはないと思っていたが、のちに新しい命を授かることになる。

石黒 ミカ (いしぐろ みか)

第7話「小さな手紙」に登場する。沖田×華の小学生時代のクラスメイトだった女性。×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」に、妊娠中毒症と切迫早産の危険のため入院し、再会を果たす。小学生の頃は、いつもボロボロの服を着用し、いじめを受けていた。家庭では、母親からの虐待に遭い、施設や親せきの間を転々としていた。

浜田 孝雄 (はまだ たかお)

第8話「産科危機」に登場する。浜田陽子の夫。妻が双子を妊娠し、沖田×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」に通院していたが、分娩中に急変し亡くなった。妻が帰らぬ人となって正気を失いつつも、残された双子の赤ちゃんの面倒を見ながら、自分を取り戻していく。

浜田 陽子 (はまだ ようこ)

第8話「産科危機」に登場する。浜田孝雄の妻。双子の初産で、沖田×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」に通院していた。夫婦仲が良く、通院もいつも夫と一緒だった。分娩中に出血が止まらなくなり、出血性ショックで帰らぬ人となった。

神楽田 恵美 (かぐらだ えみ)

第9話初産指導に登場する。音大出身の30歳の女性。地元では有名な大会社「神楽田建設」の御曹司、神楽田と結婚して5年目になる。しかし子供ができないため、3年以上にわたりさまざまな大病院にかかって不妊治療を続けてきた。その後、沖田×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」で新たに不妊治療を始めたところ、不妊の原因が夫にあることが判明。 治療の結果、めでたく第一子を妊娠する。しかしこれ以降、妊娠に関してあらぬ疑いをかけられ、夫から暴力を受けるようになる。

神楽田 (かぐらだ)

第9話初産指導に登場する。神楽田恵美の夫であり、地元で有名な大会社「神楽田建設」の御曹司。結婚5年目にして、妻が妊娠しない原因が自分にあることが判明。複雑な心境を抱え、精神的に不安定になる。その後、治療の甲斐あって妻が妊娠するが、その妊娠を自分の子ではないのではないかと疑い、妻に対して暴力を振るうようになる。

吉田 春 (よしだ はる)

第10話「ドゥーラさん」に登場する。沖田×華の母方の従妹にあたる女性。子供の頃からおとなしく、口数も少なめで、×華をよく可愛がっていた。高校卒業後すぐに結婚した。4人目の子供を妊娠して、×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」に通院していた。稽留流産となり、処置のために入院した。流産したことをそれほど気にせず、明るく退院していったが、その後ふさぎ込み、引きこもるようになってしまう。

ケリー

第10話「ドゥーラさん」に登場する。カナダ出身の女性。出産前後の付添人「ドゥーラ」として出産を控えた女性から雇われ、沖田×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」の病室に通っている。明るく前向きで、人の気持ちをとてもよく考えてあげられる心温かい人物。国内外でさまざまな妊婦と向き合っている。

安部 さおり (あべ さおり)

第11話「不機嫌な妊婦」に登場する。現在妊娠5か月で、26歳の女性。1か月前に、他の産婦人科から沖田×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」へ転院してきた。「本当にそうなの?」が口癖で、いつも病院に対して不信感を持っている。不機嫌でわがままばかり言っては、周囲を困らせている。

あっちゃん

第12話「14歳の妊娠」に登場する。北野真理の隣に住む女性。真理の家庭教師であり、沖田×華が小学生の頃にも家庭教師を務めていたため、今でも×華とは交流がある。真理から妊娠したかもしれないことを相談され、×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」へ付き添うことになる。

北野 真理 (きたの まり)

第12話「14歳の妊娠」に登場する。あっちゃんの隣家に住む14歳の女子中学生。学校ではクラスになじめず、いじめにも遭っていた。25歳の大学教授を自称する彼氏の子供を妊娠し、沖田×華が勤めている産婦人科医院「××クリニック」に来院する。その後、妊娠を知った彼氏は音信不通となり、捨てられるが、子供を産んで育てる決意をする。 しかしすべてを知った両親に反対され、対立状態となる。

ママ

第12話「14歳の妊娠」に登場する。北野真理の母親。上品で優しく、娘の将来のために教育に力を入れていた。娘の妊娠を知り、自分の教育方針が間違っていたからではないかと自分を責め、初めは泣いてばかりいた。しかし次第に娘の気持ちを考えるようになり、出産に関して考えに変化が見え始める。休学して出産し、落ち着いたら高校に進学することを条件に、出産を認めることを決める。

栗山 果月 (くりやま かづき)

第13話「子供嫌いの看護師」に登場する。沖田×華の1つ年上の女子学生。准看護実習生として、×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」に実習に来ている。美人だが毒舌で、要領が悪いのにサボってばかり。そのうえ子供が大嫌いで、仕事にもやる気が見えないため、先輩看護師からの評判も悪い。中学生の頃より、母親の彼氏から性的暴行を受け続けており、妊娠・中絶を繰り返している。

中川 涼子 (なかがわ りょうこ)

第14話「縁をつなぐ子」に登場する。41歳の女性。4児の母親であり、現在5人目を妊娠中。沖田×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」に通院し、経過も順調だったが、出産することを家族や両親から反対され、悩み始める。以前、夫の妹である久美子から「ポンポン産んでハムスターと変わらない」と暴言を吐かれて以降、相容れない関係であることを悟り、疎遠になっていた。 そこへ、彼女から5人目の赤ちゃんを養子に欲しいと言われ、逆上する。

久美子 (くみこ)

第14話「縁をつなぐ子」に登場する。中川涼子の夫の妹。涼子と同時期に結婚したが、子供ができないまま現在に至る。一方でたくさんの子供に恵まれた涼子を妬み、「ポンポン産んでハムスターと変わらない」と暴言を吐いた。これをきっかけに、涼子とは疎遠になっていた。しかし、涼子が妊娠した5人目の赤ちゃんを、自分の養子にしたいと願い出る。

坂本 あかね (さかもと あかね)

第15話「7日間の命」に登場する。沖田×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」に通院している28歳の女性。以前妊娠した時、4か月健診の際に胎児の臓器の一部がないことが判明し、中絶した。その後再び妊娠し、胎動が激しい赤ちゃんを「ポコちゃん」と呼んでかわいがるなど、経過は順調だった。ところが、7か月目の健診の際に胎児の心音に異常が発見され、重度の心臓病であることが発覚する。 子供が生まれても長く生きられないことを告げられ、中絶の決断をするものの、精神が不安定になり、夫婦関係がさらに悪化する。

坂本 (さかもと)

第15話「7日間の命」に登場する。坂本あかねの夫。以前に妻が妊娠した赤ちゃんを亡くしてから、場所を問わずいつもケンカしており、周囲から仲の悪い夫婦という印象を持たれている。その後、再び妻の妊娠が判明して以降、胎動が激しい赤ちゃんを「ポコちゃん」と呼び、かわいがるなど、夫婦仲は改善されたように見えた。しかし、7か月目の健診の際、胎児の心音に異常が発見され、重度の心臓病であることが発覚する。 子供が生まれても長く生きられないことを告げられ、中絶の決断をするものの、夫婦関係がさらに悪化。子供と妻のことについて考え直し始める。

平井 藍子 (ひらい あいこ)

第16話「妊娠中毒症」に登場する。23歳の女性。不妊治療の末に妊娠し、現在妊娠8か月。同居中の義母・あつ子との関係も良好で、沖田×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」には、いつも一緒に通院している。食べづわりの影響もあり、体重が増えすぎて妊娠中毒症になったことをきっかけに、あつ子による生活の管理が次第にエスカレート。 赤ちゃんの名前を決めさせてほしいというあつ子からの要求に、NOということができず、ストレスが大きく膨らんでいく。

あつ子 (あつこ)

第16話「妊娠中毒症」に登場する。平井藍子の夫の母親。同居中の藍子との関係は良好で、産婦人科への通院もいつも一緒だった。しかし、藍子を妊婦として大切にしすぎるあまり、いつのまにか過保護になり、藍子から自由や出産の楽しみを奪うことになる。

かーくん

第17話「置き去りの子」に登場する。沖田×華が病院実習に行っていた総合病院のキッズコーナーにいた男の子。母親に連れられて来院し、キッズコーナーに預けられた。そのまま、母親は迎えに来ず、置き去りにされた。その際、面倒を見てくれた守衛の江口を「サンタさん」と呼んで慕っている。

江口 (えぐち)

第17話「置き去りの子」に登場する。沖田×華が病院実習に行っていた総合病院の守衛を務める70歳代の男性。以前は小学校の校長先生を務めていたこともあって、いつもにこにこ笑っていて、子供の扱いにも慣れている。以前置き去りにされた女の子を助けたことがある。大きな体と優しい風貌から、かーくんからは「サンタさん」と呼ばれている。

菊田 里佳子 (きくた りかこ)

第18話「ハイリスク出産」に登場する。沖田×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」で、計画外の妊娠が判明した女性。10歳の頃に劇症1型糖尿病を発症し、網膜症で弱視になった。現在もインスリンや食事などで血糖値のコントロールを行っており、出産にはかなりのリスクが伴うため、妊娠を簡単に喜ぶことができない状態。しかし、思い悩んだ末に出産することを決意する。

寺谷 江梨子 (てらたに えりこ)

第19話「突然死の別れ」に登場する。沖田×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」で、息子「聡」を出産した女性。生後7か月になった頃、乳幼児突然死症候群により、聡が植物状態になり、その5か月後に帰らぬ人となる。それからというもの、息子の死を受け入れることができず、空のベビーカーを押して歩くなど、心身ともに追い詰められていく。

ミノリ

第20話「超低出生体重児」に登場する。体重430g、身長23cmの超低出生体重児。沖田×華が病院実習に行っていた総合病院のNICU(新生児集中治療管理室)に入院している新生児。内臓が未熟なため、呼吸障害、脳出血などを発症する可能性があり、予断を許さない状態。

松岡 法子 (まつおか のりこ)

第20話「超低出生体重児」に登場する。ミノリを産んだ25歳の母親。子宮頚管無力症と診断され、妊娠23週の時に自宅トイレで分娩が始まり、救急搬送されてそのまま出産となった。しかし、産んだ子供の状態にショックを受け、子供に対する罪悪感や不安感からふさぎ込み、ミノリに会わないままでいる。

奥さん (おくさん)

第21話「院長先生の祈り」に登場する。下崎賢一郎の妻で6人の子供の母親。昔はミスコンに出るほどの美女だったが、現在は子育てに追われ、疲れ切ってしまっているため、見る影もない。前にだっこ、後ろにおんぶで4人の子供の遊び相手をし、15キロ痩せたうえに髪の毛も歯もスカスカで、40代なのに60代にしか見えない。夫が自分の子供で野球チームをつくることを夢にしているため、さらに子供を作ろうとすることに限界を感じ、書置きを残して実家に帰ってしまう。

今井 (いまい)

第21話「院長先生の祈り」に登場する。下崎賢一郎がまだインターンとして大学病院にいた頃に担当した妊婦の女性。不妊治療の末の待望の妊娠で、人一倍喜んでいた。経過は順調だったが、分娩中に状態が急変し、死産となる。野球好きで、自分の代わりに下崎が野球チームを作れるほどたくさんの元気な子供を育てることを望み、約束させた。

関口 千里 (せきぐち ちさと)

第22話「この子、誰の子?」に登場する。沖田×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」で、男児を出産した20歳の女性。生まれた赤ちゃんが金髪碧眼だったため、夫から自分の子供ではないと責められ、離婚を言い渡された。しかし、夫の子であることは間違いない事実で、それを証明をするため、自分の血縁に外国人がいないか調査をし、疲弊しながらも、前向きに子育てを始める。

つっちー

第23話「床下の子」に登場する。沖田×華が子供の頃に知り合った少年。兄弟がいたが、自分だけ育児放棄され、家に入れずにいつも床下で暮らしていた。母親はおらず、自宅は父親が経営している雀荘。父親の目を盗み、客用のつまみを盗って食事代わりにしていた。ブラジルに行ってジュース屋を開くことを夢見て、賞金を得ようといつもツチノコを探している。

鍋谷 サチ (なべたに さち)

第24話「老助産師とトラウベ」に登場する。沖田×華が通う女子高のそばに、1人で住んでいる老人の女性。通学途中の女子高生に、スカートが短いことや、腰を冷やすななど、さまざまなことを怒鳴りつけることで有名な名物お婆さん。「鍋バー」の名で呼ばれている。元助産師で、現役時代は一度も死産がなかった「ゴッドハンド」として有名だった。

沢田 拓真 (さわだ たくま)

第25話「3人の母」に登場する。沢田凛子の25歳の夫。小学生の頃から万引癖があり、町で知らない人はいないほど有名な不良だった。中学卒業後は進学も就職もせず、昼間からフラフラしていると噂されている。凛子と結婚後もそれは変わらなかったが、妻の妊娠をとても喜んだ。しかし妻が出産後に突然姿を消してしまったため、自分が子育てをすることになる。

沢田 凛子 (さわだ りんこ)

第25話「3人の母」に登場する。沢田卓真の妻で、現在妊娠2か月。つわりがひどく、地元のパン屋「もずくベーカリー」のアンパンしか食べられないため、毎日アンパンを買いに来ている。妊娠中は、お腹の子が男児だと言われていたが、出産後女児であったことが判明。病院を退院後、赤ちゃんを置いて突然姿を消してしまう。

梅野 (うめの)

第25話「3人の母」に登場する。街のスーパーに出店しているパン屋「もずくベーカリー」に勤めている26歳の女性。8か月の子供の母親であり、完全母乳で育児をしているので、沢田卓真の子育てを手助けすることになる。主に健診に連れていくことを担当した。

有田 (ありた)

第25話「3人の母」に登場する。街のスーパーに出店しているパン屋「もずくベーカリー」に勤めている女性。3歳の息子がいたが、離婚後、子供の親権が夫に渡って一人暮らしだった。そのため、喜んで沢田卓真の子育てを手助けすることになる。主に寝かしつけを担当した。

五十井 (いかい)

第25話「3人の母」に登場する。街のスーパーに出店しているパン屋「もずくベーカリー」に勤めている女性。沢田卓真を幼い頃から知っており、本当の親のように温かく厳しく接してきた、肝っ玉母ちゃんのような存在。卓真が1人で子育てをしようとしていることを知り、卓真の職のあっせんと、子育ての協力を提案する。

すみ

第26話「置き去りの子」に登場する。沖田×華が病院実習に行っていた総合病院のNICU(新生児集中治療管理室)で、保育器に入っている2歳児。2年前、1300gの未熟児で生まれたが、出産と同時に母親を亡くした。また、脳に障害がある可能性があることがわかり、父親は逃げたまま連絡が取れない状態。名前も付けられないでいたので、看護師の丸山によって、「すみっこの保育器にいる子」という意味で「すみ」と名付けられた。

寺内 紀子 (てらうち のりこ)

第26話「置き去りの子」に登場する。直と付き合っている女性。ある日、憔悴した状態の直と出会い、何も聞かずに受け入れた。その後、妻を亡くし、子供を置き去りにしてきた、というすべての事情を聞いた後、赤ちゃんを迎えに行くことを決意。すみを引き取り、家族として幸せにしたいと考えている。

(なお)

第26話「置き去りの子」に登場する。総合病院ですみを出産した直後の妻を亡くした男性。妻を亡くしたことがショックで、子供と向き合うことができず、その場から姿を消した。妻の死を受け入れられず、すべてを子供のせいにしようとした。そのため、子供の存在を忘れることで自分を保とうとした。その時、出会った寺内紀子に諭され、2年後、再び子供のもとを訪れる。

赤森 ヤスエ (あかもり やすえ)

第27話「出産不安」に登場する。沖田×華の友人の叔母にあたる42歳の女性。大手企業に勤めるキャリアウーマンで、同じ職場の夫とはとても仲が良い。夫婦共通の趣味は海外サッカー観戦で、毎年長期の海外旅行をしている。ある時、妊娠が判明。子供は作らない主義だったため、思い悩むが、出産することを決める。それ以降、すべてが計画通りに運ぶようにと、妊娠や出産について熱心に勉強を始める。 しかし、思うようにいかない毎日が続き、心身ともに疲れてしまう。

民宿の女性 (みんしゅくのじょせい)

第27話「出産不安」に登場する。自宅で民宿を営む女性。出産に対する不安でいっぱいになってしまった赤森ヤスエを崖の上で見かけ、声をかけた。民宿をしている自宅に呼び、親身になってヤスエの話を聞いてやり、自分の経験を語ってヤスエの不安を解消させた。

駅裏の子 (えきうらのこ)

第28話「駅裏の子」に登場する。沖田×華が小学生時代に知り合った外国人の少女。駅の裏手にある歓楽街に勤める外国人女性の子供。駅裏の人たちは町の人から嫌われていたこともあり、いつも1人でいた。近所のごみ屋敷のごみ山の上で×華と知り合い、よく遊んでいた。何をするにも乱暴。神様を信じて教会に通っていたが、いじめっ子がいたため教会内に入ることができず、いつも離れた場所にあるマリア像に祈りを捧げていた。

香川 マーラ (かがわ まーら)

第18話「駅裏の子」、第29話「立ち会い出産」に登場する。26歳の外国人女性。町の飲食店のホステスを務めている。常連客の香川正と交際2か月で国際結婚をして妊娠。酒とパチンコばかりで不甲斐ない夫の性根を叩き直すため、夫を出産に立ち会わせることを決意。沖田×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」で女児を出産した。

香川 正 (かがわ ただし)

第29話「立ち会い出産」に登場する。香川マーラの夫。タクシー運転手を務めている。酒に酔って溝に落ちたり、全裸で走ったりと、この界隈では有名な男性。町の飲食店でホステスを務めていたマーラに一目惚れし、交際2か月でスピード結婚をした。しかし、妻の妊娠後も毎日パチンコ店に通い詰め、ホステスの女性と浮気をするなど、問題行動が後を絶たない。 その性根を叩き直すため、妻の出産に立ち会うこととなり、外での酒やパチンコを自制する日々を送ることになる。

浦本 晴美 (うらもと はるみ)

第30話「中絶の家」に登場する。17歳の女性。もともとは、沖田×華の同級生だったが、高校1年生の時に退学し、現在はフリーターをしている。今までに3回妊娠を経験している。その都度中絶を繰り返し行っており、今回も妊娠が判明するが、中絶を選択。中絶専門の病院に付き添ってほしいと、×華のもとを訪れる。

老夫婦 (ろうふうふ)

第30話「中絶の家」に登場する。70代くらいの人の良さそうな老夫婦。人工妊娠中絶専門の病院をひっそりと営んでいる。おじいちゃんが医師を、おばあちゃんが看護師を務めている。同意書がなくても低料金で中絶を行ってくれることで有名。普通の一軒家で、法的に問題のない範囲で金額を設定し、中絶を行っている。過去に中絶を断ったことで自殺してしまった少女への想いがあり、信念を持って中絶専門の病院を立ち上げた、という経緯がある。

浅野 悠飛 (あさの ゆうひ)

第31話「病院前の赤い車」に登場する。生まれることのできなかった胎児を引き取りに来る業者の男性。明るくさわやかなタイプで、人と打ち解けるのがうまい。沖田×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」を新たに担当することになり、×華を始めとするさまざまな看護師たちと親しくなっていく。その後、×華を合コンに誘ったことがきっかけで、裏の顔が明らかになる。

浅野 夕子 (あさの ゆうこ)

第31話「病院前の赤い車」に登場する。浅野悠飛の母親。かつて悠飛の妊娠中に夫から暴力を受けた。全身痣だらけだったが、夫のことをわかってあげられるのは自分だけだ、と我慢する毎日を送っていた。しかし、その後、夫から捨てられ、1人で子供を産むことを決意し、産婦人科医院「××クリニック」で悠飛を出産した。

塚ポン (つかぽん)

第32話「めぐる命」に登場する。40歳の男性。都内にある小さな串カツ屋「でかまるや」を妻カナエとともに営む。串カツチェーン店で修業した後、2年前に自分の店をオープンした。妻と結婚した20歳の頃は、駆け出しの役者をやっていた。収入の不安から役者をやめ、3つの仕事を掛け持ちする日々を送っていた。結婚10年目の時、子供が授かるが、息子のナツキが難聴であることが発覚し、愕然とする。

カナエ

第32話「めぐる命」に登場する。塚ポンの妻で42歳の女性。夫とともに、都内にある小さな串カツ屋「でかまるや」を営んでいる。結婚10年目の時、妊娠が判明した。無事に男児、ナツキを出産するが、息子が難聴であることが発覚する。息子の障害に責任を感じ、さまざまな治療方法を試みるものの思ったような効果はなく、疲弊して自分が倒れてしまう。

ナツキ

第32話「めぐる命」に登場する。塚ポンとカナエの息子。生まれつき耳に障害があり、左耳はほんの少しの聴力があるが、右耳はまったく聞こえていないことが判明。さまざまな治療を試みるが、思ったような効果はなく、2歳を過ぎてもしゃべることはできないままだった。しかしある時、自分の前世は「カメムライチロー」だったと語り始める。

中谷 亜希 (なかたに あき)

第33話「分娩台の涙」に登場する。妊娠2か月の25歳の女性。幼少期に心臓病を患っていたため、体が一般の成人女性よりも未発達で、高校生くらいにしか見えない。体の事情から、もともと子供を作るつもりはなかったが、周囲の心配をよそに、出産を決意する。それは、早くに亡くなった母親との約束を守りたかったからだった。

久田 七奈 (ひさだ なな)

第34話「妊娠騒動」に登場する。沖田×華と同じクラスの女子生徒。グループのリーダー格で、どこにいても目立つ存在。3か月前から生理が止まり、お腹と胸が張って微熱が続く、という症状が出ているため、妊娠を疑っている。同じグループの川井、美川っちという2人の少女も同様の症状が出ており、妊娠検査薬を職場から持ってきてほしい、とそろって×華に相談する。

黒田 美奈子 (くろだ みなこ)

第35話「母の祈り」に登場する。21歳の女性。結婚してすぐに妊娠し、男児「真一」を出産した。不器用でうっかりが多く、何かと失敗しがち。母親になったという実感が得られないことに悩んでいたが、退院時には前向きな姿勢で頑張る決意をしていた。しかし、退院から2か月後、乳幼児突然死症候群により子供を失くしてしまう。

原口 理恵 (はらぐち りえ)

第36話「安産祈願」に登場する。28歳の女性。沖田×華の友人の姉。3人目を妊娠し、×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」に通院している。実家で一緒に暮らしている家族が4世代9人。自分の夫以外すべて女性で構成された女系家族だったため、妊娠5か月で胎児が男の子であることが判明し、家族を巻き込んでのお祭り騒ぎになる。

北見 桃香 (きたみ ももか)

第37話「出産非希望」に登場する。26歳の女性。妊娠6か月で、沖田×華の勤めている産婦人科医院「××クリニック」に通院を始めた。しかし、もともと望まない妊娠だったため、出産を希望していなかったが、「めんどくさいから」という理由で出産を決めた。周囲の人に子供をいらないと吹聴したり、あまりにも勝手な言動でまわりを振り回すため、看護師も手を焼いていた。 出産後から徐々に変化が見え始める。

書誌情報

透明なゆりかご 9巻 講談社〈KC KISS〉

第1巻

(2015-05-13発行、 978-4063409574)

第2巻

(2015-10-13発行、 978-4063409697)

第3巻

(2016-04-13発行、 978-4063409857)

第4巻

(2016-10-13発行、 978-4063980011)

第5巻

(2017-05-12発行、 978-4063980110)

第6巻

(2017-12-13発行、 978-4065106174)

第7巻

(2018-08-09発行、 978-4065128770)

第8巻

(2019-10-11発行、 978-4065144824)

第9巻

(2021-04-13発行、 978-4065187340)

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