大いなる完

目白の闇将軍の異名を取った、元内閣総理大臣田中角栄をモデルにした政治漫画。主人公鉄馬完のキャラクターこそ田中角栄に似ているが、舞台や人物相関、およびストーリー展開は完全なるフィクションである。

正式名称
大いなる完
ふりがな
おおいなるかん
作者
ジャンル
自伝・伝記
レーベル
講談社 / 講談社漫画文庫(講談社) / 講談社プラチナコミックス(講談社) / モーニングKC(講談社)
巻数
全4巻完結
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概要・あらすじ

土手村の小作人のせがれ鉄馬完は、己の煩悩と才覚と行動力を武器に小作人から地主の地位にまで這い上がった。終戦後、農地解放政策のニュースに体が震えたは、血のたぎりを何かにぶつけたいと欲して政治家を志す。さまざまな逆風に曝され、幾度となく失脚しそうになるが、持ち前のバイタリティで窮地を乗り切り、政界の王者に駆け上がっていく。

登場人物・キャラクター

鉄馬 完 (てつま かん)

貧しい小作人のせがれで、差配役のせがれの馬に妹が蹴り殺されたことに怒り、家に乗り込んで大暴れする。その結果、完は村から出て行くことになるが、白井川ダム工事で鉄馬土建の基礎を築いたのち、短期間で次々と工事を成功させて莫大な金を手にする。その金で石倉家に隣接する地主の家をそっくり買い取り、かつてレイプした石倉高子を女房に迎えようとするが拒否され、失意の内に軍隊に召集される。 終戦後、衆議院選挙に立候補して、山奥の村々からの支持を得て当選。本会議で自由党の石田茂の窮地を救った功績により法務政務次官に抜擢されたが、派閥争いによる報復措置を受けて贈収賄疑惑で投獄される。 しかし、面会に来た高子の言葉に奮起して、獄中から総選挙に出馬。見事に衆議院議員に返り咲き、のちに鉄馬派の代議士百八十人を率い、王者として君臨し続けた。

東福寺の和尚 (とうふくじ の おしょう)

幼少の頃から村人が手を焼く鉄馬完に対し、あるときは行くべき道を指し示し、またあるときは的確なアドバイスを与えて人間的に成長させようとする。石倉新太郎の差し金で完がヤクザに殺されそうになった際は、身を呈して完の命を救った。

石倉 新太郎 (いしくら しんたろう)

石倉本家の跡取りで、民友会の衆議院議員石倉国松を叔父に持つ。戦前は軍人として日本の将来を担い、戦後は石倉国松の地盤を継いで政界に打って出る。のちに民主党の若手実力派として真っ向から鉄馬完と対立し、さまざまな謀略を巡らして完の政治家生命を断とうとするが、妹の石倉高子の死ぬ間際の言葉で完を終生のライバルと認め、以後は正々堂々と戦うようになる。

石倉 高子 (いしくら たかこ)

石倉家の令嬢で石倉新太郎の妹。女学生の頃に鉄馬完にレイプされ、完を殺して自分も死のうとするが、妊娠したことを知ってウィーンでひっそりと石倉勇介を出産する。帰国後もずっと完のことを恨んでいたが、のちに勇介のためを思って完を許し、贈収賄事件で完が投獄された際には拘置所に面会に行き、涙ながらに完を励ます。 末期癌に侵されているにもかかわらず、直後の総選挙では収監中の完の代理として選挙区を回り、見事に当選させるも、無理が祟って他界する。

北野 秀男 (きたの ひでお)

関東軍の一兵卒として大陸に渡ったが、八路軍との戦闘で左腕を失って日本に復員する。その後、本郷で自動車の部品会社太陽自動車商会を興し、策略を巡らして海軍航空本部に取り入り、悪どく金を稼ぐ。戦後は進駐軍の物資を不正に横流しした罪で逮捕されるが、贈収賄の疑惑で取り調べ中の鉄馬完と留置場で知り合い、完のことを政権の一大派閥を担う指導者に成長する器と感じて、以後は全面的に支援する。

勝又 三郎 (かつまた さぶろう)

戦争で左目を失い、普段は眼帯をつけている。女郎屋でたまたま鉄馬完の隣の座となり、そこで女郎に綿が値上がりすると話していたのを完に盗み聞きされる。その話を信じた完は、有り金をはたいて綿を買い占め、大金を手にする。臨軍の軍事費を中佐クラスが思いのままに支出していることに目をつけ、北野秀男とともに軍部に食い込んで悪どく金を稼ぐ。

キヨ

地主のせがれに馬で蹴られて死んだ、鉄馬完の妹にそっくりの女郎。完との床入りを最後に、年季が明けて故郷に帰るはずだったが、綿の転売で儲けたら迎えに来るという完の言葉を信じて再び身売りする。その後、約束を守って身請けした完に淡い恋心を抱きつつも、女郎だった過去に遠慮して陰ながら完を支えることに徹する。

松本技師 (まつもとぎし)

白井川ダム工事の元請会社で監督技師をしていたが、鉄馬完の人間的な魅力に惚れ込んで鉄馬土建に入社する。肩書きは副社長兼監督技師。完が二度目の赤紙で軍隊に召集されたあと、留守を守って鉄馬土建の発展に尽力する。戦後、完が政界に進出した際には金庫番として多額の選挙費用を用意するが、石倉新太郎の謀略で金の流れを東京地検に捜査され、結果として完は贈収賄容疑で逮捕される。

石田 茂 (いしだ しげる)

自由党の総裁で内閣総理大臣。昭和二十二年四月の総選挙で社働党に敗北し、一旦は野党に下るも、鉄馬完の働きによって首相に返り咲く。その功績により完は一年生議員にもかかわらず法務政務次官に大抜擢されるが、民主党からの報復で完が東京地検に逮捕された際は、完を見捨てて免職処分にした。

朝本 軍治 (あさもと ぐんじ)

上総勝浦は興津の朝倉一家の跡目だったが、昭和二十二年四月の総選挙で千葉三区から立候補して当選する。焼け野原と化した日本を立て直すという崇高な志を持っており、第一回国会の本会議では議長選挙で自分に票を入れた。同じく自身に投票した鉄馬完に興味を抱き、完が贈収賄容疑で投獄された直後の総選挙では、完がもし逆風を跳ね返して当選したら子分になると誓う。

開高 蔵六 (かいこうぞうろく)

学籍にある若輩の身ではあるが、昭和二十二年四月の総選挙で宮城一区から立候補して当選する。第一回国会の議長選挙では、鉄馬完、朝本軍治、西郷重太郎と同じく、自分自身に票を投じた。その一件で完に興味を抱き、贈収賄疑惑で投獄された完を陰ながら応援する。

西郷 重太郎 (さいごう じゅうたろう)

昭和二十二年四月の総選挙で、鹿児島二区から立候補して当選する。第一回国会の議長選挙では、鉄馬完、朝本軍治、開高蔵六と同じく自分自身に票を投じた。完が政治家として大きな才能を秘めていることを見抜き、贈収賄疑惑で投獄された完を陰ながら応援する。

石倉 勇介 (いしくら ゆうすけ)

鉄馬完が若い頃に石倉高子を強姦して生まれた子ども。高子と二人でずっとヨーロッパにいたが、日本に帰国すると石倉家で育てられる。完が父親だと知ったあとは政治家を志し、完がこの世を去るまで鉄馬派をまとめ続けた。

集団・組織

石倉家 (いしくらけ)

『大いなる完』に登場する一族。中国地方にはめずらしい一千町歩地主で、その耕地は60ヶ村に及び、小作人の数は800人を数える。総石高は二万石を超え、戦前は絶大な権力と富を持っていた。石倉新太郎と石倉高子の生家である。

鉄馬土建 (てつまどけん)

『大いなる完』に登場する土木建築会社。鉄馬完が白井川ダム工事の下請けに入ったとき、貧乏小作のせがれや乞食たちを集めて会社組織とした。人手不足に悩む他の業者を尻目に、短期間で次々と工事を成功させ、完が政界に打って出た際には多額の選挙資金を引き出すカバンとなった。責任者は副社長の松本技師。

書誌情報

大いなる完 全4巻 講談社〈講談社漫画文庫〉 完結

第1巻

(1994年12月発行、 978-4062600033)

第2巻

(1994年12月発行、 978-4062600040)

第3巻

(1995年2月発行、 978-4062600156)

第4巻

(1995年2月発行、 978-4062600163)

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